【全日本ラリー選手権 第7戦/福島県いわき市】
JRC Round 7
開催日 | 2018年8月24日-8月26日 |
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開催場所 | 福島県いわき市 近郊 |
天候 | Leg1) 晴れ Leg2) 晴れ 一時 雨 |
路面 | Leg1) ドライ Leg2) ドライ&ウェット グラベル(非舗装路面) |
総走行距離 | 418.11km |
SS合計距離 | 62.82km (14SS) |
得点係数 | 1.2 (非舗装路50km~100km未満) |
参加台数 | 47台 (ヨコハマタイヤ装着車 19台) |
昨年はお休みした福島県での全日本ラリー選手権が今シーズンは復活、ホストタウンをいわき市に移して「MSCCラリー in いわき 2018」が8月24日(金)から26日(日)に開催された。海沿いに設けられたサービスパークは6月にオープンした大型ショッピングモールが目の前という立地で、周辺には観光スポットも多い。このためショッピングに訪れた市民や観光客が多く訪れ、家族連れなどが国内最高峰のラリーシリーズを戦うマシンやクルーを間近にして笑顔を見せていた。
戦いの舞台となるステージは一昨年までの棚倉時代からお馴染みのグラベル(非舗装路)林道が主体で、大会最長の「鶴石山 (11.19km)」や「長草萱山 (4.40km)」、タフな路面の「西根 (6.52km)」、ハイスピードな「東野牧野 (2.73km)」、雄大な牧場を駆け抜けるターマック(舗装路)のギャラリーステージ「鹿角平 (0.95km)」を設定。その一方で新たなステージとして、ターマックの「川上 (5.05km)」と「三崎公園 (0.57km)」が設けられたが、前者はレッキを終えた多くの選手が「川上は難しい」と口にした。
日中は真夏日となった25日(土)、7時ちょうどにランキングリーダーの証であるゼッケン1をつけた新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)がスタート。新井選手も難しいと語っていた「川上」がオープニングステージとなるが、注目のSS1をベストであがって幸先よいスタート。これに奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)が続くヨコハマタイヤ勢がワン・ツー、新井選手と3番手のライバルは4.2秒差となった。
続くSS2はグラベルのロングステージ「鶴石山 1」、SS3「長草萱山 1」も新井選手が制して速さを見せる。奴田原選手組はSS3で2回目のセカンドベストを奪うと、多くのギャラリーが見守るSS4とSS5の「三崎公園」で連続ベストを奪い、ヨコハマタイヤ勢の2台が戦いの主役となった。
戦いはリピートの林道ステージに戻ったが、SS6「川上」の2回目で奴田原選手組はマシンをガードレールにヒットしてしまい後退。SS7「鶴石山」の2回目でさらにタイヤを壊してしまい、大きくポジションを下げてしまった。一方の新井選手組はSS7とSS9「長草萱山」の2回目もベスト、初日は5本のベストを奪った新井選手組がライバルに9.8秒差をつけてトップで戦いを折り返した。
グラベルとターマックのステージが混在する本大会、硬質路面用のADVAN A036もターマックステージで活かして速さを見せた新井選手組。路面にあわせてタイヤに車高もこまめに調整して、LEG1のトップ獲得に結びつけた。
一夜明けた26日(日)も、朝から暑さに包まれたいわき市地方。残るステージは6本、合計距離20.40kmで勝敗を決するが、早朝6時30分に新井選手組がサービスイン、15分の作業を終えると林道ステージへと向かっていった。
この日のオープニングは「西根」、日陰はマッディな箇所も多くタフなコンディション。ここではライバルの先行を許し、1.3秒詰められた新井選手組。しかし続く「東野牧野」の1回目で0.6秒取り戻し、「鹿角平」の1回目で連続ベストを奪う。後半セクションはライバル勢がベストとなったが、大会の締めくくりとなる最終ステージ「西根」の2回目で新井選手組がベストを奪い、最終的な差を11.0秒に拡大してフィニッシュ。
新井選手組は二日間のレグポイントも満点、フルポイントを獲得して4連勝を飾りシリーズチャンピオン獲得に大きく一歩前進した。
リタイア率が高くなることも珍しくないサバイバルな福島戦だが、JN1クラスではヨコハマタイヤ勢が壮絶な生き残り戦を制して優勝を飾った。
土曜日のオープニングステージを制したのは須藤浩志選手/新井正和選手組(スイフト)で、SS3、SS4(同秒)、SS5もベストを奪って、チームメイトのライバルとシーソーゲームを繰り広げる。しかしSS7「鶴石山」の2回目でタイヤを壊してしまい後退、さらに須藤選手組とトップを競い合っていたライバルもコースオフで戦列から姿を消した。
タフなステージに上位が翻弄されたのに対して、粘りの走りが実ってトップに躍り出たのは小川剛選手/藤田めぐみ選手組(フィット)。LEG1をトップであがり、2位とは1分以上の大差で有利なポジションとなった。しかし、小川選手組も順風満帆というわけではなかった。ミッションの負担が大きく、2速が抜けるという症状が生じていた。これを小川選手は左手でおさえつつ、右手のみのステアリング操作で切り抜けてLEG1を走りきっていた。
残りおよそ20kmのLEG2、小川選手組は大量マージンも背景に、なるべく2速に入れている時間を短くする走り方でステージを攻略。30秒ほどマージンを吐き出したものの、初日の粘りも功を奏してトップのままでフィニッシュまでマシンを運ぶことに成功。第3戦・京都以来となる優勝で今シーズン2勝目を飾り、ランキング争いでもトップとの差を大きく詰めた。
また、JN1クラスではLEG2で、内藤学武選手/小藤桂一選手組(デミオ)も速さを披露。ギャラリーが見守る「鹿角平」の2本をともにベストであがり、この合計タイムが各クラスで最も速かったクルーに贈られる特別賞を手中におさめた。
JN3クラスでは、藤田幸弘選手/藤田彩子選手組(デミオ)が力走。LEG1はSS3「長草萱山」でベストを奪うなどして2番手であがると、LEG2も着実にマシンを運んでいく。惜しくも最終ステージでそれまで3番手だったライバルに逆転を喫したものの、しっかりフィニッシュして3位表彰台を獲得した。
このほか、JN4クラスでは山本悠太選手/北川紗衣選手組(86)、JN2クラスでは明治慎太郎選手/古川智崇選手組(86)が、それぞれ3位で表彰台の一角を飾った。
【今回の成績 : JN6クラス 優勝】
暑くて疲れました(笑)。SS1からベストで、結果的には初日のリードも活かして勝つことが出来ました。これで4連勝、でも勝田範彦選手組もしぶとく(笑)2位になっていますから、気を抜けない戦いが続きますよね。タフなラリーでしたがマシンとタイヤのフィーリングも良くて、自分としては完璧に近いラリーを出来ました。フルポイントを獲得出来たので、次の“天王山”とも言えるRALLY HOKKAIDOに向けて、車もチームもドライバーも完璧にして臨んでいきます。
【今回の成績 : JN1クラス 優勝】
いろいろあったJN1ですが、“棚ボタ”でもありますがしっかり生き残ってこそのラリーですからね。ミッションの状態はどんどん厳しくなって、2速が抜けては入れの繰り返しでした。大変でしたが初日で大きく差をつけられたので、ごまかしながら逃げきって一安心です。これでランキング争いもトップとの差がほとんど無くなったので、JN1も一層盛り上がるでしょう。次のRALLY HOKKAIDOに向けて、しっかり車をメンテナンスしようと思っています。
【今回の成績 : JN4クラス 3位】
FR(後輪駆動)の中ではトップの3位表彰台ですが、まだ行けると思っています。西根の1ループ目などは、まぁまぁのタイムが出ていますが詰める余地もまだまだあると思います。西根といえば2ループ目は、土砂降りで厳しかったですね。振り返ってみるとLEG1もまだまだ詰められた感じなので、ドライバーのスキルもそうですが、タイヤ選択などの組み立てもレベルアップを図っていこうと思います。上とのタイム差が大きいので、速さを磨いて勝てるように頑張ります!!
【今回の成績 : JN3クラス 3位】
最終ステージでライバルが物凄いタイムを出して、2位から3位にドロップしてしまいました。自分たちも1回目よりはタイムアップ出来たのですが、それをさらに上回られました。道はタフですが「いつもの福島だな」という感じで、それほど気にはなりませんでした。最後に逆転されたのは悔しいですが、コンマ何秒かの差で負けるよりは割り切れている感じです(苦笑)。次はスキップしてターマックの残り2戦に出る予定なので、そこで借りを返したいですね。
2年ぶりの福島開催は、全線ターマックの新しいステージも設けられた。そのためLEG1は新井選手組、奴田原選手組ともに硬質路面用のADVAN A036をフロントに装着してスタート。ターマックの「川上」を走り終えるとスペアとして搭載していたADVAN A053にフロントを交換、グラベルステージを走り終えるとターマックの「三崎公園」の前で再びフロントをADVAN A036するなど、こまめにタイヤをあわせての戦いとなった。
これはLEG2も同様で、マッディな路面が予想された「西根」に対しては、フロントにADVAN A031を投入。ステージの状況を的確に予想し、最適なタイヤを投入することで4連勝を実現した。また新井選手組は、今シーズン初めて215/60R15サイズのADVAN A053を使用。新井選手は初期反応と加速の良さを評価しての装着だと語っていたが、そのポテンシャルも4連勝を支える大きな力となった。