2015 JRC Round 9 Report

【全日本ラリー選手権 第9戦/愛知県新城市】

JN6クラスは新井選手組と奴田原選手組がともに表彰台を獲得、
JN1クラスは須藤浩志選手組が逆転で今季2勝目を飾る!!

JRC Round 9

開催日 2015年10月30日-11月1日
開催場所 愛知県・新城市 近郊
天候/路面Day1) 晴れ/ドライ
Day2) 曇晴れ/ドライ
ターマック(舗装路面)
総走行距離 414.088km
SS総距離 96.735km (17SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km未満)
参加台数 70台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 29台)
全日本ラリー選手権 第9戦

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全9戦のカレンダーで全国を転戦してきた2015年の全日本ラリー選手権も、いよいよ最終戦を迎えた。第9戦は愛知県新城市を舞台に開催される「新城ラリー2015」、ことしも新城総合公園をメイン会場に、多くの出展や車両展示、イベントが組まれて多くの市民やモータースポーツファンが足を運んで盛り上がりを見せた。

その大会規模の大きさはエントリーリストにも表れており、全日本選手権だけでもオープンクラスやクラシッククラスを含めて全70台が出場。さらに併催のTRDラリーチャレンジにも75台がエントリー、総勢145台が出場するという賑わいとなった。

土曜と日曜の二日間で競われる全日本選手権は、土曜日に「雁峰北 (11.139km)」、「上平井(5.074km)」、「鬼久保 (6.771km)」を各3回、そしてメイン会場内の「県営新城総合公園W (0.813km)」を2回走行する、全10SS(スペシャルステージ)が設けられる。日曜日は「ほうらいせん一念不動 (8.732km)」と「鬼久保」、「県営新城総合公園WS (0.608km)」を各2回、そして「上平井」を1回走行する全7SSが設けられ、二日間で合計96.735kmのステージを走行するターマック(舗装路)ラリーだ。

金曜日の夕方、新城市中心街の通りを使って盛大なセレモニアルスタートが催されて大会は幕を開けた。そして土曜日のDay1、JN6クラスは序盤の2本でライバルの先行を許すも、SS3とSS3で新井選手組と奴田原選手組がワン・ツーを奪い、トップとの差を詰めていく。SS4を終えて新井選手組はトップと2.3秒差の2番手、奴田原選手組は7.9秒差の3番手というポジションで、2ループ目へと突入。

後半、奴田原選手組がSS7とSS8で連続ベスト、最終のSS10も制してハイスピードな鬼久保をヨコハマタイヤ勢が完全制覇。しかし、大会最長となる新城の名物ステージ、雁峰林道ではライバルが速さを見せ、ここで生じる差をなかなか詰めきれない展開に。

前戦のハイランドに続いて、週末を通じて好天に恵まれた新城。初日を終えてトップと2位の新井選手組は12.8秒、3位の奴田原選手組は24.0秒差、残る37.296kmでの逆転を期して日曜日の午前6時30分にDay2がスタート。しかし、奴田原選手組はSS13と16、新井選手組もSS14でベストを奪う力走を見せたがライバルを追い詰めるまでは至らず。優勝には届かなかったが、新井選手組が2位、奴田原選手組が3位でフィニッシュして、多くのギャラリーに見守られる中でセレモニアルフィニッシュとなった。

JN2クラスでは第6戦のモントレーを制している須藤浩志選手/新井正和選手組が好走。Day2でチームメイトを逆転してトップを奪い、嬉しい今季2勝目を飾ることに成功した。また、JN3クラスでは藤田幸弘選手/藤田彩子選手組、JN1クラスでも燃料電池自動車で参戦した国沢光宏選手/木原雅彦選手組が、それぞれ準優勝を獲得。

このほか話題のエントリーでは、JN5クラスにヴィッツターボで参戦した新井大輝選手/フィル・ホール選手組が、トラブルを抱えながらもしっかりフィニッシュまでマシンを運んで6位完走。また、チャンピオンを賭けて臨んだJN4クラスの番場彬選手/加勢直毅選手組はトップ争いの一角を占めていたが、惜しくも初日でリタイアとなった。

DRIVER VOICE

新井敏弘 選手 [富士スバル アライモータースポーツ WRX]

【今回の成績 :JN6クラス 2位】
新城ラリーは雁峰に尽きますね(苦笑)。車の仕様は基本的にハイランドから変えていません。雁峰に合わせようと思っても、あのような道は群馬に無いので難しいですよね。VAB型を開幕から投入してチャンピオンを獲得できた2015年ですが、この一年で車は大きく進化を遂げています。最終戦で勝てなかったのは残念ですが、VAB型がワン・ツー・フィニッシュということで、速さは十分に見せられたと思っています。

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 : JN6クラス 3位】
ステージベストも奪えた一方で、車のセッティングなどをもっと新城向きにして、曲がりこむコーナーが多い雁峰などでの速さをもっと追求する必要性があると感じました。Day2ではテレビ用に室内に取り付けていたカメラが外れて車内で暴れるという、アンラッキーもありましたし……。シリーズランキングは3位という結果になった2015年でしたが、ちょっとツキに見放された部分も多かったように思います。

藤田幸弘 選手 [ADVAN BRIG エムスポーツ デミオ]

【今回の成績 :JN3クラス 2位】
初日はノートラブルでしたが、Day2ではミッションの2速が使えなくなって冷や汗ものでした(笑)。高速ステージと低速セクションが極端に違うので、リズムを掴むのが難しいラリー。車そのものはどちらでも行けるようにセットしていますが、低速ステージからはじまって高速ステージに移り、より丁寧な運転で走らせて。そこで、低速ステージももっと丁寧に行こうと2ループ目で走ったらタイムがガタ落ちしてしまいました。だから、ステージに応じて運転を極端に変えるようにして走った二日間でした。最後は2速が無い中で、なんとか巧くまとめきることが出来ました。

須藤浩志 選手 [スマッシュ BRIG コマツ スイフト]

【今回の成績 :JN2クラス 優勝】
Day1でうちの若い衆(鈴木尚選手)に雁峰北だけでトータル40秒も負けて、これはさすがに取り返せないなと逆に気が楽になりました。思いっきり行こうか、と開き直ったように踏んでいきましたが、Day2のオープニングから3本で差を詰められなかったら終わりだと思っていたので、とにかく全開でいきました。タイヤがよかったりという色々な要因で一気に差を詰めて、気がつけば差が詰まった状態で得意なステージだけが残っている状態になって。鬼久保勝負で逆転に成功しました。後輩と楽しく勝負出来たことが、とても嬉しいですね。

国沢光宏 選手 [未来]

【今回の成績 :JN1クラス 2位】
今回はBluEarth-Aで走行しましたが、ラリーを通じて全てBluEarthで走って表彰台というのは初めてですよね。技術としては燃料電池というのは、まだまだ内燃機関と比べて“赤ちゃん”の技術。ですが将来的には大きな子に育つかもしれないというものを、いろいろな使い方をして実力を見ていくというのをやってみたいと思ったのが、参戦の背景にあるのです。車は重さが1,850kgとヘビー級ですが、それとエコタイヤの組み合わせでも本格的なラリーマシンからキロ3秒くらいの差ですから、凄く速いと思うんですよ。この先、ユニットがより進化して小さく・軽くなっていくでしょうから、ラリーでもガンガン走れるようになるでしょうね。

TOPICS

新城市街地でセレモニアルスタートを実施!!

2007年から全日本ラリー選手権のカレンダーに加わった新城ラリー。その歴史は2004年に中部ラリー選手権の一戦として開催されたことに始まり、内閣府の「DOS 地域再生計画」として認定を受けていることも大きな特徴のひとつだ。この制度は地域が行う自主的かつ自立的な取り組みを国が支援するもので、新城市もラリーコース整備のための補正予算を組むなど全面的な大会の支援を行っている。

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地域を代表するイベントとして認知度も高まっている新城ラリーだが、今年は新たな試みとして金曜日の夕方に市街地中心部でセレモニアルスタートが催された。新城駅にも近い通りをクローズし、ゲートを設けて参加車両が一台ずつ穂積亮次・新城市長らのフラッグでスタート。沿道には小学生をはじめ地域の方々が多数足を運び、戦いに挑むクルーへと声援を送った。

また、スタートに先立っては県立新城高校の吹奏楽部が演奏を披露。セレモニアルスタートを華やかに盛り上げるとともに、多くの市民を楽しませていた。

AREA GUIDE

新東名高速道路の延伸で、さらに利便性が高まる新城市!!

東京と名古屋を結ぶ新たな大動脈として、2012年4月に部分開通した新東名高速道路。現在は御殿場JCT(ジャンクション)から浜松いなさJCTを経由して三ヶ日JCTまでの区間が供用されているが、浜松いなさから西側の建設工事も着々と進められている。本年度末までには浜松いなさJCTから東海環状自動車道と合流する豊田東JCTまでの区間が開通する見込みだ。

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この延伸にともない新城市内には、新城インターチェンジと長篠設楽原パーキングエリアが設けられることとなっている。インターチェンジは国道151号に接続し、ラリーのメイン会場となっている新城総合公園や、観光スポットである長篠城跡などへのアクセスがますます便利になる。

新城市は、春は河津川河口や桜淵公園の美しい桜、秋には鳳来寺山の紅葉と、四季折々の美しい自然を楽しめる。ラリーのステージにもなった本宮山スカイラインは爽快なルートであり、高速道路を使ったドライブを楽しむには絶好のエリアと言える。

TECHNICAL INFORMATION

今回、全日本ラリー選手権に初めて参戦したFCV(燃料電池自動車)となったトヨタ・ミライ。フィニッシュまでノートラブルで走りきり、JN1クラス2位を獲得した。この走りを支えたのはヨコハマタイヤ、装着されていたのはBluEarth-A(ブルーアース・エース)だ。

これまでにも全日本ラリー選手権では、電気自動車の日産・リーフでウェットタイヤとして使われたことがあるが、ドライ路面でも優れたポテンシャルを発揮。パイクスピークス・インターナショナル・ヒルクライムでも見せてきた高い運動性能が、全日本ラリー選手権の舞台でも実証された。