2021年7月24日
ショップブログ
「ホイールの重量が重い方が高速燃費が良い説」の考察 解答編
前回のあらすじ
加速時は軽いホイールの方が燃費が良いが、巡航時は重いホイールの方が燃費が良いという、 エネルギー保存の法則を超越した理論が果たして本当なのかどうか?
店内討論会だけでは解が出なかった為、僕は外部にその解を求めました。
今回、ついにその真相に迫ります。

ご意見その6
「高速走行中の車両に掛かる抵抗値で一番大きいのは空気抵抗
転がり抵抗は、1回転あたりの「タイヤの変形量」と比例すると思ってもらえばいいですかね。
大雑把に言って2点間。
・タイヤが接地する時
・タイヤが離れる時
分厚いゴム板を持った事があれば、あの板を鋭角に折り曲げるのに必要なエネルギーがわかるかと。
理論上、比較対象の車両が空気密度が均一で全くの平地(そんな所は仮想空間上しか無い)を一定速度で巡航するのに必要な燃料「エネルギー)は、走行抵抗に比例する。
ホイールのサイズ、オフセットが全く同じで空気圧も一緒でも、燃費に違いが出ます。
それは何か? それはホイール自体の空気抵抗があるからです。
最初に言ったように、高速走行中の抵抗値で一番大きいのは空気抵抗
スポーツ系アルミは軽さも重要だけど、ブレーキも冷却出来ないと、サーキットは走れないから、開口部が大きいスポーク形状。
コレが高速回転する時の抵抗と、高速横移動する時の抵抗が大きい。
自転車の場合、加減速の少ないスピードレースとなればいかに「減速しないか」も重要。
タイヤ・リム重量が重いと、加速にこそエネルギーが必要だが、一定速度の回転まで上昇して得られた慣性エネルギーにより「スポークが発生させる空気抵抗による減速」に耐えるエネルギーが増える→スピード落ちにくい→ラクになる、になります。なので、風速やコース、レーサーの好みにも寄りますが、空気抵抗を減らす為に、エアロ形状の3本スポークホイールとか、後輪は穴無し円盤とかを使います。エコランを20年位やってて、一人で1400km/Lのマシン作れます。
記録向上のため、異論があれば教えて頂きたい(笑) 」
店長「なるほどです。
昨日のスタッフ間の議論でも、ロードレーサーYさんの「重いホイールの方が高速巡行に必要な脚力が軽くなる」という実体験に対し、僕は「でもホイール変わったら、それってデザイン変わってるから空気抵抗も変わってない?」というクエッションはだしていました。なので、実際に検証しようと思ったら、軽いホイールにウェイトをつけまくって、デザインが同じ状態で重量を増やしても同じ現象が起きるか? 実験してみるか? なんて話にもなってたんですが・・・ なるほど、重量そのものの慣性が空気抵抗と相殺されるというのは、納得いく理論です」
「スポークホイールでも、重量変化のほとんど起きない模型飛行機用の薄ーーーいフィルムを貼って風切り抵抗減らすだけで記録伸びます。
重量の変化がほとんど無く空気抵抗の変化のみで、減速度が大きく変化します。
車輪の上半分は車速より高い速度で空気に接しますので、バカにならんのです。タイヤパターンでも変わるでしょうね」
店長「整備性等のネガを無視できるなら、

今の燃費競争してるメーカーエンジニアはみんなこうしたいんですかねぇ(笑)」
「インサイト出たときにまず出た言葉は『こんなのずるい(笑)』でしたね。2人乗りだし(笑)
でも、技術革新のおかげで、割と普通に見えるよく走るクルマが増えましたね」
店長のまとめ
「皆さん色々なご意見ありがとうございました。
高速巡行時において、発生する車の走行抵抗の内、 大多数を占めるのが空気抵抗。
この事実は前々から知っていたのに、今回は重さ軽さばかりに気が向いていて失念しておりました。
これでは重力に囚われた古い地球人です。シャア大佐に粛清されてしまいます怖い。
さて、では空気抵抗という概念を踏まえた上で、今回の重軽アルミ燃費論争は、つまりはこういう事なら、普遍的な最適解となるような気がします。
即ち
高速巡行において、重ホイールが軽ホイールを凌駕する事は実際に起こりうる。
しかしそれは、重量が重いから燃費が良くなっているのではなく、重量が重いホイールは必然的にディスク面積の広いホイール形状 (いわゆるディッシュホイールと言われるジャンル)である事が多く、逆に 軽いホイールは開口面積の多いスポークホイールである事が多い(これは軽量化で有利な事の他に、スポーツホイールはブレーキ冷却性がとても重要であるから)
そして、高速走行時における燃費への影響は
空気抵抗>>>>重量
くらい差があるため、少々重くなっても空気抵抗の少ないホイールの方が燃費性能は良くなる事が多いという事になる」
「正解!」



はい、ということで今回の議論は非常に為になるお話しでしたね。
車の燃費を考える時、空気抵抗は最も影響力の大きいファクターであります。
例えば、皆さんが「燃費のいい車」といわれて真っ先に思い浮かべるトヨタ プリウスですが、あの車は純正アルミホイールに一貫して特徴的なホイールカバーを採用し続けています。
普通、ホイールカバーが採用されている車はスチールホイールの車であり、それはおそらく景観上の理由で装着されています。
なのでアルミホイールであれば、景観上の理由でカバーを付ける必要なんてないのに、あの世界一の合理主義のトヨタが、一貫してコスト増となるアルミホイールカバーをプリウスに採用し続けているのですから、必ず何らかの狙いがあります。おそらくそれは、タイヤホイールが回転するときの空気抵抗であるはずです。
速度が上がるにつれて飛躍的に増大していく空気抵抗は、例えば高速道路を時速100kmで走っている時の走行抵抗は半分以上が空気抵抗だと言われています。
つまり、高速道路を走っている車は、空気に抵抗する為にガソリンエネルギーの半分を消費しているのです。
その為、エネルギーロスの大きさが
【低速時】重たいホイールの質量が重い事によるエネルギーロス > 軽いホイールの空気抵抗が重い事によるエネルギーロス
【高速時】重たいホイールの質量が重い事によるエネルギーロス < 軽いホイールの空気抵抗が重い事によるエネルギーロス
という逆転現象が起こりえるわけです。
ここで気をつけなけえばいけないのは、『重量の重さそのものが燃費に好影響を与える事は無い』という点です。
なので、例えば比重がめちゃくちゃ重たい金属を使って、空気抵抗も重量もどっちも重いホイールを造ったら、それは低速時も高速時も燃費の悪いホイールが出来上がります。(笑)
ということで、
「ホイールの重量が重い方が高速燃費が良い説」
は正しい。
ただし、より厳密にいえば
「ホイールの重量が重い方が空気抵抗が少ない形状であることが多いため高速燃費が良い場合が多い説」
が正しい理解ということになるのでした。
おしまい
おまけ
ここからは思考の泥沼に入ってゆく領域・・・
店長「自分は、机上で燃費を考える時は『文系脳で考えるエネルギー保存の法則』を考察の柱に据えて考えているので、”重量物が回る時のジャイロ効果的なもので空気抵抗に打ち勝つ”という部分については、総合的に見たエネルギーの足し算引き算で、まだちょっと分からない部分が出るのですが、上記した空気抵抗とホイール形状の理論に関しては、まさに「それしかない!」と思えるほど、納得するものでした。スッキリスッキリスッキリ」
意見2さん「『重量物が回る時のジャイロ効果的なもので、空気抵抗に打ち勝つ』その解釈は正しくないねぇ〜人間の足はなめらかに回るものでは無くてトルクムラがあることがヒントだと思うよ。クランクにトルクセンサー付けて、空気抵抗が同じで重さの違うホイールを入れてテストすればどうしてそう感じるかは解明できるね!
店長「自転車を理解するには人体の構造の見識が要るのかぁ..._:(´ཀ`」 ∠): トルクセンサー....コメリには売ってないだろなー(`・ω・)」
意見6さん「ジャイロと回転する事による慣性エネルギーはちょっと違いますね(笑) あとはスポークの風切り問題も、台の上で空転させることと車体に付けて転がす事だと、ちょっと条件変わっちゃいますけどね。『同じ形状のスポーク丸出しホイールなら、リムが重い方が停止までの時間は長い』とか、まぁまぁこの手の意見交換は夜が更ける程長くなりますよ(楽しい)」
店長「僕自身、ジャイロってなんジャイロ? ってくらい、あまりよく分かってない物理現象なので、“的な”という文学的逃げを打ちました(笑) 前述した、『文学脳エネルギー保存の法則』でいけば、転がってるホイールが内包するエネルギーは、必ず外からやってきたエネルギーなわけで、それは何処から来て何処に行くの? 危ぶむ無かれ危ぶめば道はなしってなもんで。で、重たいホイールの方が軽いホイールより、その内包エネルギーを効率よく空気抵抗と相殺できるということなのだろうか? 軽いホイールは、重たいホイールより内包するエネルギーが空気抵抗と相殺する時に、何か不利な事が起きるのか? とか色々、頭の中がファンタジーになってくるのでした」
意見2さん「(笑) 重い方が燃費が良いはないけど、重い方が風にあおられたときなどにペダルが軽く感じられる(負荷が増えたと感じにくい)はあり得るよね。でもフライホイールにエネルギーをチャージする必要があって、それはエネルギー保存の法則に支配されているって感じかな〜」
店長「そろそろ理解が追いつかなくなってきたので、今夜はこの辺でおひらきとさせていただきます(笑)」








