消費者課題

顧客の安全衛生

KPI

画面を左右に動かすと、表組みの情報がご覧になれます

項目 2021年度実績 2022年度実績
製品の安全にかかわる規制や
自主的規範に違反した事例の件数
(連結)1件 (連結)2件
タイヤ製品、MB製品における企画書からの設計審査による製品安全およびその評価(設計標準合致による判断を含む)の実施率 100% 100%

責任部門

タイヤ品質保証本部(関連用品含む)
ホース配管、工業資材品質保証部(タイヤ以外)
品質監査室が社内第三者的な立場で監視

考え方・目標

なぜ「顧客の安全衛生」が重要取り組み項目なのか
理由と背景の解説

横浜ゴムグループのタイヤ製品、MB製品は、品質に問題が起こった場合、お客さまの生命・財産・環境に重大な影響を及ぼす可能性があります。持続可能な経営を行っていくためには、安全な横浜ゴムグループの製品をお客さまにご使用いただき信頼を構築することが重要で、品質問題はお客さまからの信頼の失墜につながります。 このような認識から横浜ゴムグループは、「顧客の安全衛生」を重要な取り組み項目として定め、継続的な改善活動を進めています。

方針および考え方

「品質方針」
お客さまにご満足して頂ける魅力的な商品を企画、設計、生産、販売すると共に、サービスに至るまで全てのプロセスにおいての品質保証体制を確立させ、社会に貢献します。
その為に全てのプロセスにおいて品質保証活動の基本ステップを機能的に結びつけた体系的活動を実施いたします。
品質事案の対策は、未然の防止と発生後の速やかな流出阻止、発生源対策が求められます。全ての品質事案について、リスク評価を行い、お客さまの安全第一の考えに基づいた対応を取る一方で、平行して再発防止の見地から流出を防止する施策を緊急で実施しなければなりません。これを達成するため、品質事案の真因究明から恒久対策完遂までを全社で共有化し、相互監視・水平展開を推進しています。

各プロセスで実施している製品の安全衛生に関する影響評価の内容

プロセス 製品の安全衛生に関する影響評価
製品コンセプトの開発 企画審査では、既存商品の品質情報とお客さまの使用条件を予測した新商品開発における目標品質の決定と製品安全性の留意点を関係部門で共有します。
研究開発 社内規定のデザインレビューにおいて、上記目標品質達成のための手段および施策を確定し、仕向地に関わる法規・規格・認証への適合性の確認と、お客さま要求への適合を確認。それらが確保され、初めて量産化へのプロセスに移行します。
製造および生産 目標品質が量産工程において確保されていることを、適法性試験や検査の実施で確認します。各製造工程における自工程保証や検査の有効性についても、定期的な内部監査などにより確実性を維持しています。
マーケティングおよび宣伝 製品安全を確実なものとするため、製品の取り扱いについてカタログやホームページ等を通して、お客さまや取引先に周知しています。
保管・流通 製品品質をお客さまにお届けするために、保管や流通過程における不具合の有無を監視し、改善施策につなげています。
使用 製品の使用方法の説明・警告の実施の必要性を確定し、周知・展開しています。また、CS(顧客満足)・技術サービス活動を通して、お客さまとのコミュニケーションを図り、設計部門にフィードバックすることで改良を継続しています。
処分・リユース・リサイクル トラック、バス向けタイヤの更生(リトレッド)過程においても、品質管理を行っています。

目指す姿に向けた施策

これまで取り組んできた製造工程での品質活動(PYB管理)をさらに向上するため、市場に出ている商品の品質に変化がないか目配りできる人材の育成、そのような情報を迅速に展開する仕組みの強化、そして、問題なく機能しているかを確認する品質内部監査をグローバルで充実していきます。
  • PYB管理:製造工程で不具合があった場合、P(ピンク)指定となり、Y(イエロー)で改善実施、B(ブルー)で効果確認、と段階を踏んで再発防止を行う管理体制。

マネジメント体制

当社は、グローバルにお客さまに提供した製品・サービスに関する全ての重要品質事案について、その不具合がお客さまご自身や家財・環境に至るまでどのような影響を及ぼすか、そしてどのような潜在的リスクが考えられるかについて独自のリスクマップを作成して、定量的に分析・分類しています。その結果に基づき、お客さまの安全を第一に考え、迅速かつ適法性・適合性を持った社内処理を事業品証部門・サービス部門において確実に実施するとともに、品質監査室がその牽引・監視を実施しています。

<問題発生時の対応>

お客さまの安全が十分に確保できていないと判断した場合は、可及的速やかに社内手続きを実施し、適法性を持って市場措置を行うとともに、ホームページや外部メディアなど使ってお客さまへ周知しています。

<未然防止・再発防止>

品質マネジメントシステム(QMS)に則った潜在的リスクの定量的分類と、FMEAによる未然安全設計の考え方の導入で、同様の品質問題が再発しない仕組みの構築に取り組んでいます。
品質事案の現象は、事業あるいは品種によって異なりますが、設計の考え方や危険予知、環境配慮、工程別にブレイクダウンした発生源・流出源対策などは、異事業・異品種でも考え方として共通する部分が多くあるため、全社的に事例や対策を共有しています。その一環として、毎年全事業を対象とした重要品質事案に対する再発防止策とその有効性、横展開の状況について「全社品質トラブル再発防止報告会」を実施しています。
  • FMEA(Failure Mode and Effect Analysis):故障・不具合の防止を目的とした、潜在的な故障の体系的な分析方法。

<人材育成とお客さま向け講習会の実施>

国内外市場では、経験豊かな技術者を販売会社や販売拠点に駐在させ、計画的に商品知識や取り扱いについての社内研修を開催しています。また、お客さまに赴く機会を増やし、安全かつ適正に商品を扱っていただくための講習会を計画的に展開しています。

2022年度の活動レビュー

2022年度もお客さまの声をより多く聞くため、お客さま対応窓口を強化しています。
製品品質に関わる品質苦情件数につきましては、コロナ禍の自粛ムードの中、MB部門は前年比30%減少となっています。タイヤ部門は対象範囲を拡大し、金額ベースで前年比17%増加となっています。

品質保証体制の構築

自動車産業における品質保証体制のベースは、IATF16949への適合です。そのため、品質教育を実施するとともに、管理監督者に対しては、内部品質監査員資格の取得を推進しています。
2022年度は3名の新規認定を行いました(認定者総数は147名)。
また、精度の高い市場情報の入手と商品不具合発生時の迅速な対応を推進するため、タイヤ部門では資格制度を運用し、サービスネットワークを形成しています。
2022年度のタイヤサービスエンジニアの新規認定者数は(国内2名、海外24名)で、それに加えクレーム判定が行える者を育成しています。

<2022年度>

画面を左右に動かすと、表組みの情報がご覧になれます

研修・有資格者の実績 国内 海外
IATF16949内部品質監査員認定者数 MB部門1名(延べ133名)
タイヤ部門2名(延べ14名)
――
タイヤサービスエンジニア新規認定者数 2名 24名
認定者総数 17名 436名
タイヤクレーム判定権委任者数(新規) 0名
(2022年度はYFS(ヨコハマフィールドサービス)資格取得研修の開催が出来ず、新規認定者はありませんでした。)
0名
(2022年度は海外向けクレーム判定権委任研修の開催が出来ず、新規認定者はありませんでした。)
タイヤクレーム判定権委任者総数 778名 191名

事例紹介

2022年度は、タイヤ関連で国内外合わせて2件、リコールがあり、適切に対応しました。 MB部門ではリコールやサービスキャンペーンなどはありませんでした。

今後の課題

品質問題の撲滅と、お客さまのニーズを確実に吸い上げた製品のご提供を、安全性・適法性・適合性を持って実現するため、世界中にサービス網を展開し、お客さまの声を収集・分析・分類して、新製品に確実に取り入れるサイクルを回しています。
今後さらに、お客さまのニーズ、使用環境でご満足いただける製品の提供を追求するためにも、お客さまから頂くクレーム情報をしっかりと受け止め、そのクレームの数を確実に低減していくことが課題です。そのための施策として、市場品質情報収集力や各市場における市場適応性をサービス部門、お客さま対応窓口で強力に推進していきます。
協力会社様との品質保証も、当社にとって非常に大きな課題です。責任の明確化や過去トラブルに基づく確実な自主点検の仕組みと、協力会社様への監査活動の実施に取り組んでいきます。