環境

製品およびサービス

KPI

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項目 2021年度実績 2022年度実績
全取扱商品に占める環境貢献商品の比率 (連結)100.0% (連結)100.0%
使用済み製品や梱包材のリユース、リサイクル比率 (連結)
使用済み製品
 タイヤ 67%
 MB 86%
梱包材 84%
(連結)
使用済み製品
 タイヤ 65%
 MB 95%
梱包材 84%

責任部門

商品開発・企画部門

考え方・目標

なぜ「環境貢献商品」が重要取り組み項目なのか
理由と背景の解説

商品が生産から廃棄されるまでの各段階で、環境に与える負荷(CO2発生量)を数値データで把握する手法LCA(ライフサイクルアセスメント)で、横浜ゴムグループの主力商品であるタイヤを測ると、使用段階でのCO2発生量が全ライフサイクルの80~90%を占めています。そのため、横浜ゴムでは特に「低燃費を実現する環境貢献商品を生み出すこと」に注力しています。

製品およびサービスに関する方針および考え方

基本的な考え方を「環境基本方針」「横浜ゴム全社環境方針」「横浜ゴムグループ行動指針」に掲げ、横浜ゴムグループが提供する製品・サービスは地球環境に対する負荷を最小化するため、地球温暖化防止、資源の有効利用、化学物質管理に配慮・改善していきます。加えて、安全・品質(機能性)を改善した「環境貢献商品」をお客さまに提供します。

目指す姿

「環境貢献商品」100%を維持し、社会要求を受けて環境性能を向上します。

目指す姿に向けた施策

「トップレベルの環境貢献企業になる」ために、「すべての商品を環境貢献商品にする」を維持します。
環境貢献商品は、単に商品を通しての温室効果ガスの排出削減だけでなく資源再生、省資源、含有化学物質の削減など安全・快適性の確保などにも取り組んでいます。新商品は、開発の開始段階で環境アセスメントを行い、設計審査(デザインレビュー)の場において、当社が定める環境貢献商品規定をクリアしないと開発が許可されない仕組みとしているため、世に出るすべての新商品が環境貢献商品となっています。
  • 環境貢献商品規定:新たに開発する商品において、「地球温暖化防止」「資源再生・循環」「省資源」「安全・快適性」の4項目の評価点平均が、従来商品の値を5%以上上回り、かつ全項目で悪化がない商品であること

<4つの環境性能と環境性能評価指標>

2022年度の活動レビュー

環境貢献比率(全体)実績

横浜ゴムグループの環境貢献商品比率は2017年以降100.0%を継続しています。2022年度の低燃費タイヤの販売本数比率(連結)は、35.9%でした。
低燃費タイヤの使用によって、バリューチェーンで間接的に排出する「製品使用段階でのGHG排出量」(Scope3)において、約1,748千t-CO2の排出量の削減になると算定しています。環境貢献商品化において、環境貢献度、環境影響の実績評価はしていません。

事例紹介

高圧水素ガス用ホース(ibar HG82)

水素社会インフラ普及には耐圧・耐久に優れ、かつ軽量・柔軟性を有するホースの開発が不可欠です。
PBO繊維と鋼線のハイブリッド補強構造を新規に開発し、これらの要求に応える製品を上市しました。

低燃費タイヤ「BluEarth- GT AE51」

従来品(BluEarth-A)で定評のあった優れたウェットグリップ性能を確保しながら、低燃費性能を一段と向上。国内ラベリング制度においては全サイズで最高グレードのウェットグリップ性能「a」を獲得。ころがり抵抗性能では31サイズで「AA」、26サイズで「A」を獲得しています。

SUV用スタッドレスタイヤ「iceGUARD SUV G075」

「iceGUARD」の基本コンセプト「氷に効く」「永く効く」「燃費に効く」を投入しており、「燃費に効く」では低燃費タイヤブランド「BluEarth」の技術を応用した「低発熱トレッドゴム」を採用し、発熱によるエネルギーロスを抑え、ころがり抵抗を5%低減しています。さらに横浜ゴム独自のシミュレーション技術により溝配置を適正化することでパターンノイズを28%低減(騒音エネルギー低減率での比較)するなど静粛性を高めています。

低燃費性能重視型トラック用オールシーズンタイヤ「BluEarth 711L」

「BluEarth 711L」は、YOKOHAMAのトラック用タイヤ史上最高の燃費性能に到達しました。この性能アップが高速道路を走行する割合の高いお客さまの輸送コストを大幅に削減します。先進技術である剛性を高めた新開発トレッドパターンに加え、新規のコンパウンド配合とYOKOHAMA独自の混合技術によって、当社のオールシーズンタイヤ「710R」に対してころがり抵抗を42%低減できました。
「BluEarth 711L」は、国内大型トラック用タイヤとして、初めて低燃費タイヤブランド「BluEarth」の名を冠した商品です。

省電力コンベヤベルト「ECOTEX」

省電力コンベヤベルト「ECOTEX(エコテックス)」を日本最長(約14km)のコンベヤラインである秩父太平洋セメント(株)様のKLTラインへ納入しました。「ECOTEX」は優れた耐久性に加え、ローラーと接する下面カバーゴムの粘弾性を最適化し、ローラーの乗り越え抵抗を小さくすることでコンベヤの消費電力削減に貢献します。KLTラインでは同商品納入後の消費電力測定において、当社従来品と比べて50%以上の大幅な消費電力削減(当社調べ)を実現しています。なお、秩父太平洋セメント(株)様は本交換工事に伴い、第77回石灰石鉱業大会にて「石灰石鉱業協会賞 最優秀功績賞」を受賞しており、「ECOTEX」の省電力性能が評価されました。

次世代冷媒に対応したカーエアコン用ホース

北米カーメーカー向けにカーエアコンの次世代冷媒として普及が進んでいるHFO-1234yfに対応したカーエアコン用ホースを開発しました。今回開発した高圧用と低圧用のホースは、すでに採用されています。
現在、カーエアコンの冷媒として広く使用されているHFC-134aは、地球温暖化への影響度合い(GWP=地球温暖化係数)が1,430と高いですが、HFO-1234yfのGWPは4に抑えられており、地球温暖化防止の観点から切り替えを促進する動きが進みつつあります。しかし、HFO-1234yfは長期使用により徐々に分解が進み、酸を発生させる性質があるため、最内面に樹脂層を持つホースでは樹脂が腐食してしまうという問題がありました。この対策として、樹脂材を改良する方法と、樹脂と冷媒との接触を防ぐ方法がありますが、北米カーメーカーの要望に応えるため、樹脂層の内面にゴム層を有するホース構造を採用し、樹脂との接着性を改善した内面ゴムを開発することで、冷媒と樹脂との直接の接触を防ぎ、樹脂の腐食・冷媒の漏えいを防ぐカーエアコン用ホースを開発しました。

カーエアコンの冷却効率を向上させる内部熱交換器(IHX)

カーエアコンシステムの冷却効率を向上させる2重管型内部熱交換器(IHX※1)を開発しました。
現在、カーエアコンの冷媒として広く使用されているHFC-134aは、GWP※2(地球温暖化係数)が1,430と高いため、地球温暖化防止を目的として同係数が低いHFO-1234yf(GWP=4)への切り替えが進みつつあります。一方、HFO-1234yfはHFC-134aと比較して冷却効率が低下しますが、今回開発した2重管型内部熱交換器により、この冷却効率低下をカバーできます。これは、従来は別々に構成されていた2本の冷媒配管の一部を一体化して2重管として構成したものであり、高温冷媒と低温冷媒の温度差を利用して内部熱交換することでエアコンシステム全体の冷却効率が向上します(図1)。なお、カーエアコンシステムはエンジンルーム内の狭い空間に配管されていることから、そのエンジンルーム内のレイアウトに応じて配管設計を行う必要がありますが、内部にフィンを配置(図2)することで曲げても冷媒の流路が潰れないため、従来のエアコンシステム配管と同様、自由に配管設計を行うことができます。
今回開発した2重管型内部熱交換器は、すでに採用されています。
  • 1:IHX=Internal Heat Exchanger
  • 2:GWP=Global Warming Potential
図1:2重管構造の内部熱交換器を採用したカーエアコンシステムのイメージ
図2:フィン付き2重管構造のパイプ断面図

ライトウエイト低燃費タイヤ「BluEarth-air EF21」

最新の軽量化設計による環境貢献を目指した先進技術コンセプトタイヤ「BluEarth-air EF21」を開発しました。
「BluEarth-air EF21」は、燃費向上を目的とした車両全体の軽量化への寄与、使用材料の省資源化による環境貢献を目指し、ヨコハマの最新の軽量設計技術を採用。軽量で薄くかつ高剛性な構造を実現し、質量において約25%の軽量化を達成しました。また、新たに開発した専用コンパウンドと最先端のゴム混合技術「A.R.T. Mixing」を採用。国内タイヤラベリング制度において転がり抵抗性能「AAA」、ウェットグリップ性能「a」の最高グレードを獲得しており、優れた低燃費性能とウェット性能を発揮します。
「BluEarth-air EF21」は当社の創立100周年を記念して開発され2017年12月に100本限定で販売されました。
その性能は、「BluEarth-1 EF20」に継承されています。

今後の課題

お客さまとの約束で新商品への入れ替え困難な旧商品の取り扱いが課題となっています。
それ以外の商品については、2017年度末、国内外で販売している全商品における環境貢献商品化100%を達成しています。引き続き、今後、環境貢献商品化100%の維持とさらなる環境改善に向けた活動を進めていきます。