マテリアリティ(重要課題)の特定・見直し

横浜ゴムグループでは、2014年、サステナビリティ報告の国際的なガイドライン「GRIガイドライン第4版」(G4)に基づき、自社とステークホルダーの双方にとって影響が大きく、関心の高いテーマをマテリアリティとして特定し、その後、定期的に見直しを行っています。2024年には新中期経営計画「YX2026」に合わせて、当社グループを取り巻く事業環境や社会課題の変化をふまえてマテリアリティの見直しを行い、事業活動が社会や環境に与える影響と社会や環境が事業活動にもたらす影響の双方を考慮して新たなマテリアリティを特定しました。また、それぞれのマテリアリティについて中長期的視点で達成すべき具体的な指標を非財務目標として設定しました。

マテリアリティ(重要課題)の特定プロセス

 

マテリアリティの特定・見直しは、以下のStep1からStep3のプロセスで行っています。今後も環境の変化等を踏まえて定期的に見直しを実施する予定です。

<Step1>課題の認識と整理

外部要因と内部要因(事業活動)の観点から課題を認識し、リストとして整理。

<Step2>影響評価・リスクと機会の分析

リストとして整理した各課題について、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、事業が社会・環境に与える影響および社会・環境課題が事業に及ぼす影響をステークホルダーごとに評価し、バリューチェーンや事業プロセスのどこに影響が生じているかを確認。次に、影響評価に基づき、各課題についてリスクと機会を分析し、その対応策を検討。これらの評価、分析を踏まえて、各課題の影響の大きさ、リスクと機会の観点から重要性を評価し、課題の優先順位付けを実施。

<Step3>マテリアリティの特定(見直し)

優先順位付けした課題について、社内各部門や外部有識者からの意見聴取を行い、その結果を課題の優先順位に反映。重要度の高い課題について社内で議論・承認を経てマテリアリティを特定。

有識者からのご意見

宮永 雅好 氏
中央大学大学院 戦略経営研究科 特任教授
一般社団法人WICIジャパン専務理事
専門は企業価値評価、コーポレートファイナンス、M&A、コーポレートガバナンス、企業情報開示等。
21世紀の企業経営における社会的責務は、人権、労働、環境、腐敗防止の4つの視点からさらに広範でかつ企業自身の持続可能性を含めたサステナビリティという視座へと昇華しています。そして、マテリアリティもグローバルでのダブルマテリアリティの概念で考える流れのある中で、日本では従来のCSRマテリアリティに替えて自社の持続可能性と社会的価値の共創を意識した統合的マテリアリティを経営課題として掲げる企業も増え始めました。こうした流れは21世紀型統合思考経営への進化と符号するものであり、この度の横浜ゴムのマテリアリティの再定義と改定は、時代の先端をいく試みとして評価します。是非ともこのマテリアリティが経営戦略から事業展開において浸透し、自社の経済的価値と社会・環境へのインパクトの創出に繋がるよう期待しています。
山口 俊宗 氏
特定非営利活動法人 経済人コー円卓会議日本委員会 ディレクター
財務、リスク管理関連分野の専門的知見を活かし、主に企業に対する非財務情報開示やESG評価向上に関するアドバイスを行っている。
ESRS(欧州持続可能性報告基準)やIFRSサステナビリティ開示基準等の国際的な開示基準の策定により、非財務情報と財務情報の統合が法制面からも加速しています。マテリアリティは経営の「テーマ」ではなく、財務上のパフォーマンスに直結する「イシュー」であり、明示的な指標と目標を設定し、測定可能な形で実績評価を行うことが求められます。今回見直したマテリアリティを実践し、事業活動がステークホルダーに及ぼす影響を把握し対応することを通じて、経営の透明性とレジリエンスの向上に繋げていかれることを期待します。

横浜ゴムのマテリアリティ

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カテゴリー マテリアリティ 目指す姿
製品・
サービス
持続可能な社会に貢献する
製品・サービスの提供

  • 独自技術による品質と性能の向上を通じた安全で快適なモビリティ社会の実現
  • 高付加価値オフハイウェイタイヤの提供を通じた経済・社会の発展への貢献
  • DXを活用したサービスによる顧客の利便性・効率性の向上
環境 脱炭素社会・循環型経済への
貢献

  • 製品を通じた脱炭素社会への貢献
  • 温室効果ガス排出量、エネルギー使用量の削減
  • 再生可能・リサイクル原料の利用拡大によるサーキュラーエコミーへの貢献
自然との共生
  • ネイチャーポジティブに向けた取り組みの推進
  • 環境マネジメントの強化
地域社会 地域社会との共生

  • 地域社会の課題解決への貢献
人的資本 持続的な企業価値向上を実現する人材力
  • ダイバーシティー&インクルージョンの推進
  • 従業員の能力開発によるイノベーションの創出と生産性の向上
  • 安全で健康的な職場環境
  • 従業員の人権の尊重
サプライ
チェーン
持続可能なサプライチェーンの構築
  • 持続可能な天然ゴム調達
  • サプライチェーンにおける人権の尊重
ガバナンス コーポレートガバナンス強化による経営のレジリエンス向上
  • ステークホルダーエンゲージメントの強化
  • サステナビリティ課題のガバナンスの強化

2023年度までのマテリアリティに関する進捗