アニュアルレポート2020
中期経営計画「グランドデザイン2020(GD2020)」
横浜ゴムは2018年に3ヶ年の中期経営計画「GD2020(グランドデザイン2020)」をスタートし、2020年代における更なる飛躍に向けて各事業の成長戦略と経営基盤の強化に取り組んでいます。
「GD2020」の位置づけ
世界の自動車生産は堅調な成長が見込まれていますが、タイヤの需要はそれ以上の成長が見込まれると見ており、「GD2020」では自動車生産台数の年率1.9%を上回る3.2%の伸長を前提としています。しかし、タイヤ業界における競争は中国を始めとした新興国メーカーの増産で激しさを増しており、タイヤメーカーの金額シェア推移では上位メーカーのシェアが下落傾向にあります。こうした事業環境の中、「横浜ゴムの強みを再定義し、独自路線を強めた成長戦略を通じて経営基盤を強化し、2020年代における更なる飛躍に備える」を「GD2020」の位置づけとしています。
タイヤ消費財戦略
プレミアムタイヤ市場における存在感の更なる向上
拡大の見込まれるプレミアムタイヤ市場における存在感の更なる向上を目指し、4つの戦略を推進します。
プレミアムカー戦略
技術と品質でプレミアムカーから指定されるタイヤメーカーを目指す。
ウィンタータイヤ戦略
国内、欧州、ロシア・北欧向けウィンタータイヤで性能No.1を目指す。
ホビータイヤ戦略
レースやクラシックカーなどあらゆる自動車ユーザーの趣味に対応する商品ラインナップの拡充。
お客様とのコミュニケーション活性化
「クルマのある生活をもっと楽しく!」を体現するタイヤメーカーを目指す。
タイヤ生産財戦略
オフハイウェイタイヤを成長ドライバーとして次の100年の収益の柱へ
オフハイウェイタイヤを成長ドライバーとした事業拡大と北米事業基盤を活かしたトラック・バス用タイヤの拡販に取り組みます。これにより、横浜ゴムグループにおけるタイヤ生産財事業の構成比率を更に高め、次の100年の収益の柱に育てます。
事業別構成比
<オフハイウェイタイヤ>
ATGの農業機械用、林業機械用タイヤ、愛知タイヤ工業の産業車両用タイヤ、横浜ゴムの建設車両用タイヤを最大限に活用し、事業ポートフォリオの更なる拡充を図る。
インドを拠点としたATGの持つ圧倒的なコスト競争力を強みに拡販する。
競争優位な特殊用途タイヤを更に強化する。
<トラック・バス用タイヤ>
米国ミシシッピ州に建設した最新鋭の設備を持つトラック・バス用タイヤ工場の高い品質と柔軟な供給体制を強みに世界最大級の北米市場での拡販を図る。
独自技術SpiraLoop®(スパイラループ)を採用した超偏平シングルタイヤを積極的に展開する。
米国ミシシッピ州に新設したトラック・バス用タイヤ工場の外観
米国ミシシッピ州に新設したトラック・バス用タイヤ工場の設備
超偏平シングルタイヤ
MB戦略
得意分野への資源集中
持続的な成長が期待できる自動車部品ビジネスの拡大と海洋事業での確固たる世界No.1を目指します。
<自動車部品ビジネス>
世界各国に設置した拠点から自動車用ホース配管や接着剤などのグローバル展開を更に加速する。
大変革期を迎えた自動車業界の中で確実に成長していくために次世代技術・商品の開発を推進する。
<海洋事業>
日本、インドネシア、イタリアの3拠点生産体制を最大限に活用し、世界的に高評価を得ているマリンホースや空気式防舷材などを拡販する。
独自技術による商品開発を推進し、更に安全なエネルギー輸送に貢献する。
技術戦略
強みである独自の特性コントロール技術とグローバルな開発体制の拡充により、卓越した性能と品質の商品を作り出し「GD2020」の事業戦略を支えていきます。また、先行技術開発として重要なモータースポーツ活動を今後も積極的に進め、最高レベルの技術を追求します。
グローバル開発体制
R&D拠点 評価拠点
SUPER FORMULAへのワンメイク供給
ブランド戦略
英国プレミアリーグ「チェルシーFC」と2015年7月から5年間のオフィシャルシャツパートナー契約を締結し、グローバルでのブランド強化に取り組んできました。2020年7月からはオフィシャルグローバルタイヤパートナー契約を締結し、引き続きブランド強化を図ります。更にFacebookなどSNSを駆使し、アクティブな企業イメージを訴求していきます。
経営基盤の強化
CSR
取り組む課題を「地球環境」「地域社会」「お客様」「株主・投資家様」「お取引先様」「従業員」の6つのステークホルダーごとに整理・分類し「未来への思いやり」をコンセプトに事業活動を通じた価値を創造します。
人事施策
人的資源の活用と育成による組織の活性化を目指し、在宅勤務制度の導入や育児/介護支援施策の検討、チャレンジドと呼ばれる障がいを持つ方々の自立と社会参画に貢献します。
コーポレートガバナンス
グローバルでガバナンスを強化するため、海外の地域統括会社の持株会社化の推進、地域統括会社への内部監査人の配置、グローバル内部通報制度の導入などを進めます。また、役員制度改革によりガバナンス強化を図ります。
リスクマネジメント
企業が直面する様々なリスクを組織的に管理し最小化するため、CSR会議ほか、委員会や会議体を設置し、運営していきます。
財務戦略
3年間累計で2,000億円の営業キャッシュ・フローの創出を目指します。また、資金調達ではグループ資金の有効活用を図ります。これらにより、有利子負債削減などの財務基盤の強化と適正な株主還元の両立を目指します。配当性向は30%を目標とし、設備投資は減価償却費の範囲内を計画しています。
<財務目標(2020年度)>
売上収益 | 7,000億円 |
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営業利益(率) | 700億円(10%) |
D/Eレシオ | 0.6倍 |
ROE | 10% |
営業キャッシュ・フロー | 2,000億円(3年間累計) |
設備投資 | 減価償却費範囲内(除く戦略投資) |