2017 SUPER FORMULA PLAYBACK (1)

ヨコハマタイヤのワンメイクで競われる2年目のシーズンとなった、2017年のSUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)。激戦の一年を、ダイジェストで振り返ります。


毎戦ウィナーが入れ替わる、白熱の前半戦

2017年のシーズンを振り返るには、開幕前の3月に行われた合同テストをスタートと見るのが正しいだろう。3月6日から7日に鈴鹿サーキットで行われたテストでは、初日から従来のコースレコードを上回るタイムが非公式ながら記録された。F1にも匹敵するタイムとなったことで、その速さを支えるヨコハマタイヤにも大きな期待が寄せられたのである。一方、3月31日から4月1日に富士スピードウェイで行われたテストは、二日目に季節外れの雪が降る生憎の天候となり、この日は午前のセッションが中止となった。

迎えた鈴鹿での開幕戦では、公式予選で実に上位8台がコースレコードを更新。ポールポジションを賭けたQ3ではトップ2台が1分35秒台にたたき込み、最後は僅か100分の9秒差という白熱の展開となった。決勝はタイヤ1本以上の交換が義務づけられて距離は203kmという短めの内容で競われたが、ポールからスタートした中嶋一貴選手が快走。セーフティカーも味方につけてタイヤ交換をロス無く済ませ、堂々のポール・トゥ・ウィンで幸先よいシーズンインを飾った。

第2戦の岡山国際サーキットは、2レース制フォーマットを採用。“晴れの国おかやま”らしく好天に恵まれたレースウィーク、土曜日はタイヤ交換義務の無い30周のレース1はセカンドグリッドから好スタートを見せたアンドレ・ロッテラー選手が主導権を奪取。中盤以降は徐々に後続との差を広げて、2015年の最終戦以来となるウィニングチェッカーを受けた。日曜日はタイヤ4本交換が義務づけられて、51周で競われた。予選3番手の関口雄飛選手はオープニングラップでポジションを下げ、集団に飲み込まれてペースアップが叶わず。そこで1周目を終えるタイミングで早々にピットインを敢行、クリアラップを取りやすいタイミングで復帰してプッシュを続けた。この作戦が功を奏して、トップの石浦宏明選手がピットインしている間にポジションを入れ替えることに成功。そのまま逃げきってチェッカーまで運び、SUPER FOMULAで2勝目を飾ることに成功した。

カレンダーが7月に入り、富士スピードウェイを舞台に開催された第3戦。30℃を超える暑さの中、予選ではディフェンディングチャンピオンの国本雄資選手がQ1からQ3までを完全制覇する速さを見せた。決勝もその速さは変わらず、チームメイトの石浦宏明選手が追うもトップを守って国本選手が31周を終えてピットイン。しかしアウトラップで、まさかのマシントラブルに襲われて万事休す。代わってレースをリードしたのは石浦選手、シーズン初勝利を手中におさめた。

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熾烈なタイトル争いの後半戦、しかし最終戦で待ち受けていた空模様は……

シーズンの折り返し点となる第4戦は、夏休みにツインリンクもてぎで行われた。この大会ではソフトコンパウンドタイヤの投入が話題となったが、予選は豪雨に見舞われてしまう。日曜日の決勝は天候が回復してコンディションもドライ、順延されたQ2以降の予選と決勝が開催された。ソフトとミディアムの装着車がほぼ半々という展開で迎えたスタート、ソフトタイヤ勢が先行逃げきりを図ったが、ピット作業の早さもあって中盤でトップに立ったのはピエール・ガスリー選手。GP2王者の参戦は開幕から話題を集めていたが、その実力を遺憾なく見せつける逆転劇を演じて堂々の初優勝をなし遂げた。

シーズンは後半戦に突入、第5戦は九州のオートポリスが舞台となった。2016年は熊本地震の影響で開催が中止されたため、ヨコハマタイヤを装着したSUPER FORMULAにとってオートポリスはこれが初めての大会となる。前戦に続いてソフトコンパウンドタイヤも供給、2スペックを如何に使うか戦略も見どころとなった一戦。そんな中で前戦の勝者、ピエール・ガスリー選手はスターティンググリッド上でミディアムからソフトへとタイヤを交換。5番手スタートから一気に2番手にジャンプアップ、接戦から先にピットインしたガスリー選手はミディアムに交換して戦列に復帰。対するトップの野尻智紀選手はファーストスティントを引っ張ったが、ガスリー選手が猛プッシュで逆転に成功して見事な二連勝を飾った。

全7戦のシリーズ、チャンピオン争いの行方も混沌とする中で迎えた第6戦は東北のスポーツランドSUGOで競われた。9月も後半となり、みちのくの空は「天高く馬肥ゆる秋」という言葉を思い出させる秋晴れとなった。この大会はピットイン義務がなく、速さと燃費の両立が求められる。フリー走行などで綿密な燃費シミュレーションも行って迎えた決勝、好スタートを見せたのは2番手グリッドの関口雄飛選手でオープニングラップでトップに立った。さらに10周すぎからペースアップした関口選手が独走の展開となり、最後は猛追したピエール・ガスリー選手を振り切って昨年に続いてSUGOを制してシーズン2勝目となった。

泣いても笑ってもこれが最後、8人がチャンピオンの可能性を残して迎えた鈴鹿サーキットでの最終戦(第7戦)。8人のうち4人、石浦宏明選手、ピエール・ガスリー選手、フェリックス・ローゼンクヴィスト選手、関口雄飛選手は自らが優勝すれば相手の成績に関わらずタイトル確定となるだけに、金曜日の記者会見でも強い意気込みをそれぞれが語っていた。しかしこの週末は、大型の台風が日本列島に接近。それは事前に予報で伝えられていたのである程度の覚悟は出来ていたところだが、実際の勢力は想像以上のものがあった。金曜日よりも土曜日はコンディションが一層厳しくなり、予選の進行もままならない状態に。日曜日もさらなる天候の悪化が見込まれたため、オーガナイザーとアソシエーションは日曜日のスケジュールを全てキャンセルするという苦渋の決断を下すことに。そして2017年のシリーズ争いは、石浦選手が自身2回目のタイトル獲得という結果になった。

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次のページでは、シリーズチャンピオンに輝いた石浦宏明選手と、チームの立川祐路監督から寄せられたコメントをご紹介いたします。