2017 All Japan Dirt-Trial Championship Driver’s Voice (2)

いよいよ今週、3月19日(日)に栃木県の丸和オートランド那須で開幕を迎える、2017年の全日本ダートトライアル選手権。ヨコハマタイヤを装着して戦う選手にお話しをお聞きした、開幕直前インタビューの後編をお届けします。


SC2 Class – 小関高幸 選手

ダイナミックな走りが持ち味の小関高幸選手は、群馬県でスバル車専門ショップ「K・I・T SERVICE」を営む、スバル車を最も知り尽くした選手の一人だ。さらに選手として全日本ダートトライアル選手権に参戦するのみならず、全日本ラリー選手権などの主催でも要職をつとめてモータースポーツの発展と振興を支えている。そんな小関選手に、今回は全日本ダートトライアル選手権にチャレンジするドライバーとしてお話しをお聞きした。

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「2016年を振り返ると、戦闘力を高めた車両で上位を狙って行ったのですがシーズン中盤で転倒させてしまい、車は全損になりました。そこで急遽、いま使っている車に乗り換えを余儀なくされてしまいました。不本意といえば不本意な一年ではありましたが、そんな中でも上位陣とある程度やり合える自信を持つことも出来たシーズンだったと思っています」

2016年の第5戦、サーキットパーク切谷内での公開練習で転倒を喫してしまった小関選手。修復を試みるもダメージが大きかったために断念、新たにデモカーだったGVB型のスバル・WRXにマシンをスイッチした。

「2016年の第6戦からGVB型を投入しましたが、急なことだったので昨年は“SA車両に毛の生えた程度”という状態でした。ですが、オフシーズン中に過給器や足回りを替えたことなどで、ようやくSC車両と呼べる状態で開幕から挑戦出来ます」

昨年の悔しさをバネに、飛躍を誓う小関選手。2017年の目標をお聞きしてみよう。

「全戦で、しっかりポイントを獲っていきたいですね。魅せる走りをするだけではなく、そろそろ結果も欲しいな、と。とは言っても、ただ結果だけを追うのではなく、魅せる走りをしながら結果もついてくる、そんなシーズンにしたいですね」

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小関選手らしい走りを封印する、という訳ではないようなので、ファンも一安心というところだろう。さて、小関選手はどんなコースが好みなのだろうか。

「自分としては、ハイスピードなオートスポーツランドスナガワやテクニックステージタカタでは、遅い車なりに区間タイムで上位陣と対峙出来ていることもあって好きですね。ただ、スナガワを2017年はスキップする予定なので残念です。一方で全日本に復活したモーターランド野沢、ここは嫌というほど練習で走り込んでいるので、成果を出したいところです」

オフシーズンの間に進化したマシンのポテンシャルも注目を集めるところだが、開幕戦に向けての意気込みをお聞きしよう。

「GVB型をデビューさせたのは、去年の夏の丸和でした。その時点でも後半区間では良いタイムが出ていたんです。今年はマシンの戦闘力が上がってストレートスピードが高くなりますから、最低でも6番手、出来たら表彰台を狙っていきたいですね。ただ、車に慣れる前にシーズンインとなるので、まずは6位以内のポイントをしっかり持って帰りたいと思っています」



D Class – 山本康徳 選手

全日本ダートトライアル選手権には、2011年から一貫してDクラスへの参戦を続けている山本康徳選手。長野県上田市でGarageヤマモトを営み、一般整備からモータースポーツまで幅広く活動している。そんな山本選手にも、まずは自身の2016年を振り返るところからお聞きしてみよう。

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「それまでと同じDクラスに同じランサーでの参戦でしたが、体制が変わってK-oneカラーとなった2016年でした。やるべきことが増えて、前半戦は良い流れと悪い流れが半々という感じでしたが、後半戦になってなんとなく『乗れるようになったかな』という気がしています」

改造範囲が最も広いDクラスだが、自由度が高い一方で車造りが難しい面も否めない。山本選手はオフシーズンの間に、どのように車を煮詰めているのだろうか。

「このオフシーズン中には、ダンパーの仕様を変更しました。もちろん全体的な最適化も図っていますが、まずは手っ取り早くタイムアップに結びつきそうなところから手をかけています」

マシンの戦闘力も磨き上げている山本選手、2017年の目標はどのようなものなのだろうか。

「まずは、シードに復活することが最大の目標です。そのためにも、全ての大会で表彰式に呼んでもらえるような成績を残していかなければいけない、と思っています」

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明確な目標を持って開幕を迎える山本選手。2017年シーズンを戦う上でポイントとなる大会は、どこになると見ているのだろうか。

「2017年はシリーズにモーターランド野沢が復活しましたが、ここは地元ということもあって特にしっかり戦いたいと思っています。あとは自分としてはクネクネしたコースが好きなので、オートパーク今庄やサーキットパーク切谷内といったコースでの一戦もポイントになると思います。シリーズとしてはスナガワをスキップして、残る7戦に出場する予定です」

開幕を控えたいま、山本選手にも抱負をお聞きして締めくくろう。

「Dクラスは重鎮の方もたくさんいらっしゃる激戦区なので、そう簡単に上位には行かせてもらえません。ですが、入賞ラインくらいに安定していられれば、どこかで良い結果にも繋げられると思っています」



D Class – 谷田川敏幸 選手

これまでに13回のシリーズチャンピオンを獲得している、まさに“最強のダートラ・ドライバー”の称号が相応しいと言える谷田川敏幸選手。近年だけ見ても2013年から4連覇中であり、2017年もチャンピオン獲得が期待されるところ。2014年から投入しているGVB型のスバル・WRXも熟成の域に達しているが、まずはマシンについてお聞きしてみよう。

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「2017年のシーズンに向けて、車の基本的なところは変わっていません。やれるところについてはほとんどやって来ているので、ダンパーやスプリングの細かい設定を煮詰めているという感じです。エンジンのセッティングなども最適化は進めていますが、大きく変わるというところは無いですね」

谷田川選手は2010年からヨコハマタイヤを装着して全日本ダートトライアル選手権を戦っている。正確にはその十数年前にヨコハマタイヤを使っていたこともあるので、当時ご本人も“古巣に帰って来た”と表現している。ヨコハマタイヤへの復帰初年度にチャンピオンを獲得すると、翌年も連覇を決める。惜しくも2012年は王座に一歩届かなかったが、2013年から4連覇中であるのは先に記した通りだ。そして2017年、谷田川選手のマシンは横浜ゴムの100周年を記念して伝統のADVANカラーをまとうこととなった。

「もちろん2017年もチャンピオン獲得、これが唯一の目標です。車のハードウェアは変わらないものの、ADVANカラーをまとうことになったので自分にとっては心機一転。いつもの年以上に、緊張感のあるシーズンインとなりますね。横浜ゴムにとっては創立100周年ということもあり、期待される部分も大きいと思います。そんな年だから、きちんと走って勝たなければなりませんし、結果としてチャンピオンを獲得することで100周年をお祝いしなければ、と考えています」

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いよいよ丸和オートランド那須で2017年が間もなく開幕を迎えるが、昨年を振り返った時に丸和に向けた思いを強くする要因がある谷田川選手。

「コースによる得意不得意はありませんが、2016年は丸和で2回行われた全日本選手権をともに負けてしまっています。ですから、ここは何としても取り返したいところで事前のテストでも丸和を攻略するためのセットアップについて煮詰めてきています」

開幕戦に向けての準備も万端整ったという谷田川選手、最後に開幕に向けての抱負をお聞きしよう。

「やはり“開幕ダッシュ”は必要ですし、地元のコースで負けるというのは良くありません。事前テストでの収穫も大きく、良いタイムも出て思い通りのことが出来たという手応えを掴んでいます。連覇に向けてまずは開幕の丸和を勝って“開幕ダッシュ”を決めたいと思っていますので、ぜひ期待してください!!」



2017年も熱い戦いが繰り広げられる全日本ダートトライアル選手権。2017年の開幕戦は、3月19日(日)に栃木県の丸和オートランド那須で開催される。全国から集うトップドライバーが繰り広げる走りを間近に体感出来るダートトライアル、ぜひ観戦に足を運んでいただきヨコハマタイヤ勢へのご声援をよろしくお願いいたします。