2017 TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge (1)

トヨタ自動車のWRC(FIA世界ラリー選手権)復帰もあり、大いに注目を集めているモータースポーツカテゴリーがラリー。先進国から発展途上国まで、世界中のあらゆる国や地域で行われているカテゴリーであるが、頂点となるWRCに対して純粋な参加型のボトムレンジでも盛り上がりを見せている。日本において多くの参加者を集めているのが「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ」、このカテゴリーの魅力はどこにあるのかを検証してみよう。


前身から数えて16年目を迎えた“ラリチャレ”の歴史

“ラリチャレ”と親しみを込めて呼ばれている「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ」は、2002年に発足した「TRDヴィッツラリーチャレンジ」が原点となる。日本で初めてのワンメイク(単一車種)によるラリーシリーズとして産声を上げ、SCP10型の初代となるトヨタ・ヴィッツによって競われてきた。

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その後、一つ目の転機となったのが2012年。この年の4月には新しい2ドアスポーツであるトヨタ・86が発売となったが、“ラリチャレ”も新車種を含めて参加者の幅を拡げてますますの発展を図るべく「TRDラリーチャレンジ」へと装いを新たにした。これにより「86クラス」や「トヨタ車クラス」が設定され、それまでのヴィッツのみという状況から参加車種の対象が拡大され、さらなる参加者を集めることとなった。

さらに2016年、ふたつめの転機が訪れる。主催をTOYOTA GAZOO Racingに移管し、名称も「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ」へと改めた。シリーズは北海道から九州四国までの全国で開催され、新たにハイブリッドカーのトヨタ・アクアや、トヨタ車以外の車両によるクラスを新設して更に門戸を拡大。

また2016年のトピックスとしては、前身が発足した2002年から続いていたタイヤワンメイク制度が廃されたことも挙げられる。これによりヨコハマタイヤのモータースポーツ・スカラシップでも対象カテゴリーとされ、ADVAN A036やADVAN A053などを装着して戦う参加者も好成績をおさめて表彰台を飾るようになった。

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TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ、その魅力とは?

多くの参加者が集い賑わいを見せているTGRラリーチャレンジ(TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ)、その魅力はどこにあるのだろうか。抽象的な表現ではあるが、一言で表せば「誰もが楽しめる」という点に尽きるとも言えるだろう。

いざ始めてみようと思っても、現実的にはモータースポーツに敷居の高さを感じてしまうというケースも少なくない。しかしTGRラリーチャレンジの場合は、車についてはJAF(日本自動車連盟)などの規則に従った車両であることは大前提となるが、ナンバー付なので通勤や買い物などに普段は使うことが可能。マイカーで週末はラリー参戦、というスタイルで楽しむことが叶うのだ。さらに規則により改造範囲は厳しく制限されているので、低いコストでイコールコンディションが保たれている。

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クラス区分も細かく設定されており、そこにはドライバーの経験値や実績という要素も加味されている。詳しくは次のページでご紹介するが、大きくわけて“Cクラス(Challenge)”と“Eクラス(Expert)”のふたつに分類され、さらに車種やエンジン排気量で細分化するという仕組みが取られている。そして、C-2とC-3クラスには前年の同クラスでシリーズ上位3位までに入賞した選手の参加は認められない。また、C-2/C-3/E-1/E-2の各クラスには海外での公認競技会や、国内でもラリーのみならずスピード行事(ジムカーナ/ダートトライアル)の全日本選手権や主要レースにおいてシリーズ6位以上の入賞経験者は参加できないとされている。

こうした規則により、ラリー初心者にとって参加しやすく“競う”というモータースポーツの醍醐味を楽しむことが叶うフィールドが用意されることとなる。なお、コ・ドライバーについては参加制限がかからないが、抵触する選手については緊急時を除いてドライバーとの交代は認められないと定められている。

大会が基本的に日曜日の1Dayで開催される点も、週末を有効に使えるという点で大きなメリットとなる。日曜日は少々の早起きが必要になるものの、コースを下見してペースノートを作成するレッキから、競技本番、そして表彰式までが一日でコンパクトにまとめられている。なお、TGRラリーチャレンジに初参加の選手は、前日に行われる講習が義務づけられている。

最後にぜひお伝えしたい魅力、それは参戦費用の安さである。現時点(2017年2月)の発表では、2017年シリーズの各戦エントリー費は一般が37,800円、学生は32,400円。これにはクルー2名分の昼食もついている。さらにキャッシュバック制度が用意されており、遠隔地での大会に遠征参加した場合は、規則の定めにより距離に応じて15,000円もしくは30,000円のキャッシュバックを受けられる。これを活用して安価にラリーを楽しむもよし、休みを活用してラリー参戦に観光を加えてドライブを楽しむもよし、ということだ。

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