All Japan Student Automobile Asociation Dirt-Trial (1)

“若者の自動車離れ”というフレーズが聞かれるようになって久しいが、18歳で運転免許を手にした若者にとって、モータースポーツに触れるきっかけのひとつとなってきたのが大学の自動車部。いまも全国の多くの大学で自動車部は活動しており、全国から猛者が集う大会として全日本学生自動車連盟による競技会がある。今回は丸和で開催されたダートトライアルの模様を中心に、今なお熱い学生モータースポーツの世界をご紹介していこう。


全日本学生自動車連盟の下で競い合う大学自動車部!!

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1952(昭和27)年に、13の大学が加盟して発足した全日本学生自動車連盟。現役学生によって構成される常任委員会が中心となりつつ、OBによる理事会がこれをサポート。全国5つの地域支部それぞれに加盟する大学の自動車部が積極的な活動を展開している。

1966(昭和41)年からは全日本総合杯を設定。フィギア、ジムカーナ、ダートトライアルの3種目、その順位による合計獲得ポイントで競われます。また、男子団体、女子団体、男子個人、女子個人の各部門が設定されており、女子学生たちも熱いドライビングを見せてくれるのだ。

例えて言うならば高校野球における甲子園大会のような位置づけで、やはりこの全日本総合杯という栄誉の存在は大きい。各自動車部はその活動成果の集大成として、この全日本総合杯を目指して日々努力を積み重ねている。

モータースポーツというとドライバーにとかくスポットライトが当たるものだが、主将を頂点とした自動車部のメンバー一人一人が戦いの主役だ。ステアリングを任されるドライバーはもちろんだが、最高の状態に車を仕上げるためのメカニック担当、チームの活動を多方面から支えるマネージャー、それぞれが自らの立場と役割をしっかり果たして勝利を目指す姿は、SUPER GTなどのプロフェッショナルモータースポーツとなんら変わることはないのである。


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独自の車両規定で競われる学生モータースポーツ!!

学生たちのモータースポーツということで、車両規定は全日本選手権や地方選手権などJAF公認競技とは異なる部分も存在している。その詳細について、全日本学生自動車連盟の理事をつとめられている、法政大学体育会自動車部OBOG会副会長の樋口雅樹さんにお聞きした。

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「全日本学生自動車連盟では独自の統一規則を設けており、加盟校の自動車部はそれに則った車両で切磋琢磨しています。規則は全国統一で、コスト面にも配慮して制定されています。JAFの規定に照らし合わせればスピードSA車両に近い内容ですが、ある程度の改造範囲を持たせているのは学生のスキルアップとモチベーションを高める効果があるからなのです」

「クラス区分はありません。エンジン排気量の上限はあり、4輪駆動とターボやスーパーチャージャーなどの過給器は禁止されています。中には小排気量の車種を選んでいる自動車部もありますが、これはダートトライアルでの横転など大きなアクシデントの際に、車を安価に交換出来るからという背景があるからでしょう」

「競技は3人のドライバーが1台の車で走ります。全日本選手権などと同様に、基本的に1人が2回の走行をしてベストタイムを競い合います。部門としては個人、団体、女子の3つがあり、個人は個々のベストタイムで純粋に競い合います。団体は3人のベストタイム合計によるもの。そして最近は女性のモータースポーツにおける活躍が注目を集めていますが、女子学生よる女子の部でも熱い戦いが繰り広げられています」



次回は、ヨコハマタイヤを装着して戦った自動車部をご紹介いたします。