2021 SUPER FORMULA Round 4 Report

【SUPER FORMULA 第4戦 / SUGO】

予選は関口雄飛選手が3年ぶりのポールポジション獲得、
決勝は福住仁嶺選手が喜びのSUPER FORMULA初優勝!!

SUPER FORMULA Round 4

開催日 2021年6月19日~20日
開催場所 スポーツランドSUGO
(宮城県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 53周
(1周=3,586m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第4戦

2021年のSUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)は第4戦が宮城県のスポーツランドSUGOで開催され、公式予選では関口雄飛選手(carenex TEAM IMPUL)が3年ぶりにポールポジションを獲得。決勝では参戦3年目の福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が悲願の初優勝を飾った。

スポーツランドSUGOは昨シーズン閉幕からパドックやコースの一部改修工事が行われた。大きな部分はピットロードとその合流地点で、ピットロードを約2m拡幅。それに伴いホームストレートの位置も外側に2m移動することになった。出口はこれまでの2コーナー立ち上がり部分から3コーナー付近へと延長された他、コース上は一部ランオフエリアが舗装され安全性の向上が図られた。またパドックエリアでは西側ピットが立て替えられ、メディカルセンターや車検場が移設され、エントラントの利便性が向上している。

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このような改修が行われたスポーツランドSUGOでのSUPER FORMULA初走行となった19日(土)はあいにくの雨。19台の車両と各チームは、公式予選に向けてフリー走行からセットアップを煮詰めていった。このセッションで福住選手は2番手に0.3秒の差をつけてトップタイムをマーク。2番手の阪口晴南選手(P.MU/CERUMO・INGING)と3番手の坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)との差が1000分の14秒という僅差からも、福住選手の好調ぶりがうかがえたが、公式予選ではまさかの5番手。Q3には進出したものの、「フリー走行とは全く感覚が変わってしまって」と、トップから0.5秒差をつけられる結果となってしまった。

公式予選で輝きを見せたのは関口選手。フリー走行で5番手と好位置につけるとQ1は4番手タイムをマークしたが、Q2ではアタックラップに赤旗中断となってしまった。赤旗中断の原因車両と判定された松下信治選手、坪井選手はここで予選敗退が決定し、残るノックアウト車両はあと1台。そのボーダーラインにいたのが関口選手、大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)、そして野尻智紀選手(TEAM MUGEN)の3人だった。残り時間3分で走行が再開すると、それぞれ1アタックに集中していく。結果、関口選手は3番手でQ2を突破。トップタイムを記録していた坪井選手が予選敗退のため、5番手に着けた大湯選手がQ3進出を決め、野尻選手はわずか1000分の19秒差でポールポジション争いを逃すこととなった。

Q3は開始と共に雨脚が強まり、さらに難しいコンディションとなったが、関口選手は計測2周目でトップタイムをマーク。いったんは宮田莉朋選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)と阪口選手に上回られてしまうが、関口選手は再び自己ベストタイムを更新してトップを奪い返し、3年ぶりとなるポールポジション獲得を決めた。フロントローには牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、阪口選手と宮田選手が2列目に並ぶ結果となった。

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決勝日は午前中に小雨がぱらつくことはあったが、天気は急激に回復。前日に梅雨入りが宣言されたとは思えない夏のような日差しが照り付ける中、気温24℃、路面温度34℃というコンディションで53周の決勝レースがスタートした。トップで1コーナーを通過したのは関口選手。やや出遅れた牧野選手をかわして阪口選手が2番手に浮上し、さらに抜群のスタートを切った福住選手と大湯選手が3、4番手に並ぶ。

スタートしてから序盤は関口選手が福住選手とのギャップを保ってレースをリードする展開に。大湯選手がアンダーカットでの逆転を狙ってピットウィンドウが開いた10周目にピットインしたものの、タイヤ交換でミスが出てしまいロスタイム。コース復帰した大湯選手はリカバリーしようとファステストラップを連発しながら周回を重ねていった。

関口選手は17周目にピットインするが、この動きを見た福住選手はオーバーテイクシステム(OTS)を作動させてインラップで関口選手との差を詰めると、18周目にピットイン。チームもその走りに応えるかのように、TEAM IMPULよりも速い作業時間で福住選手をコースへと送り出す。これで福住は暫定12番手、タイヤ交換を済ませた中ではトップに躍り出ることとなった。

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その後続々と車両がタイヤ交換のためにピットに向かっていくが、ここまで2勝を挙げシリーズランキングをリードしている野尻選手は41周まで前半スティントを引っ張る作戦に出る。予選でQ2敗退を喫し11番手スタートとなっていた野尻選手だが、上位陣を上回るようなレースペースで追い上げ、28周目には実質トップの福住選手に22秒の差をつけていた。

ピットストップでのロスタイムを考慮すると福住選手をかわすことは難しいと思われたが、41周目にピット作業を済ませると6番手でコース復帰。直後のハイポイントコーナーでは、すでにタイヤ交換を済ませている宮田選手が背後から襲い掛かってくるが、これを何とか押さえ込んでポジションキープに成功すると、5番手の牧野選手に迫っていった。45周目のハイポイントコーナーで2台はテールトゥノーズにまで接近。馬の背コーナーに入るところで野尻選手がOTSを使ってイン側に飛び込んでくるが、牧野選手もOTSを作動させて応酬。野尻選手の猛追は終盤まで続いたが、牧野選手は最後までこれをしのぎ切っている。

トップに目を戻すと、福住選手は終盤に入っても安定したペースを崩すことなく、2番手の大湯選手とのギャップもコントロールして周回。危なげない走りでトップチェッカーを受け、フル参戦3年目で歓喜の初勝利となった。2位の大湯選手は大量ポイント獲得でシリーズランキング2位に浮上。関口選手は残念ながらポール・トゥ・ウィンとはならなかったが、今季初表彰台を手にした。

DRIVER VOICE

福住仁嶺 選手 [DOCOMO TEAM DANDELION RACING]

【今回の成績 : 優勝】
第2戦以降、SUPER FORMULAだけでなく他のカテゴリーでもタイミングが悪いことが続き、それも自分の実力だといろいろ考えてしまうこともありました。予選は悔しい結果でしたが、今日は状況が変わって、すべての運が自分のほうに向いてくれて優勝することができました。応援してくださっている皆さん、いいクルマに仕上げてくださったチームの皆さんに感謝しています。

ENGINEER VOICE

高口紀貴 [横浜ゴム MST開発部 技術開発2グループ]

予選は前戦のオートポリス大会と同じくウェットコンディションになりましたが、あの時と比べると気温も路面温度も上昇した割には、思っていたよりもウォームアップに時間がかかったような印象を受けています。コース特性としてオートポリスよりも負荷が少ないことが理由かと思いますが、パフォーマンスとしては十分にいいものを発揮したと思っています。

フリー走行では赤旗が3度出ましたが、路面の改修に関する影響があったと考えます。改修された路面と従来の路面のグリップ差に原因があったと思いますが、予選と決勝では一度も赤旗が出ず、クリーンな戦いを見せてもらい、トップドライバーの皆さんの力を感じました。決勝では野尻選手が最後までピットインを引っ張る作戦に出ていましたが、きれいにタイヤを使っていました。摩耗形状的にも問題なく、最後まで安定して使えていたのではないでしょうか。

今回、決勝レース前のグリッド上で全車のタイヤ検査を行い、レース中の第2スティントで装着するタイヤの検査も行いました。いろいろと検査をしながらレースウィークを進めていった結果、トラブルなくレースを終えることができました。次戦以降も継続してやっていく予定です。もてぎ大会は暑い時期のタフなレースになりますが、また素晴らしいレースが見られることを期待しています。