2021 SUPER FORMULA Round 3 Report

【SUPER FORMULA 第3戦 / オートポリス】

雨と風、そして霧にも翻弄されたオートポリスラウンド、
参戦2戦目のG・アレジ選手がポール・トゥ・ウィンを達成!!

SUPER FORMULA Round 3

開催日 2021年5月15日~16日
開催場所 オートポリス
(大分県)
天候
路面 ウェット
決勝周回数 42周
(1周=4,674m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第3戦

2021年の「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」第3戦が、オートポリスで開催された。週末を通して悪天候に見舞われた中、参戦2戦目となるジュリアーノ・アレジ選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)がポールポジション獲得。決勝レースは天候悪化から赤旗終了となり、スタートからポジションを守り切ったアレジ選手が初優勝を飾った。

オートポリスの週末の天気予報は雨。その予報通り、予選日は朝から大粒の雨がコースに降り注いだ。午前中のフリー走行では雨脚が強まってほとんどの車両がピットで待機するような場面も。そんな中でトップタイムをたたき出したのは大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)。コースコンディションが悪化する前のセッション序盤で記録したタイムだったが、開幕戦と第2戦で示した速さを今大会でも示していた。なお、予選方法はノックアウト方式ではなく40分間の1セッションですべてのグリッドを決定する計時方式へと変更された。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

迎えた予選は、開始からわずか4分で大嶋和也選手(NTT Communications ROOKIE)がコースアウトし赤旗提示により中断。小雨にはなっていたがコース上の水量は多く、水が溜まっている部分に足元をすくわれるドライバーが続出し、40分の間に計4回の中断を挟む難しいセッションになった。

ここで、ピットロード出口に一番近い場所にピットを構えていたKuo VANTELIN TEAM TOM’Sがそのメリットを最大限に活かす。セッション再開と同時に先頭でコースへと出ていくアレジ選手は、他車の水しぶきに視界を遮られることもなく、自らのペースでアタックに入ることができたのだ。途中まではチームメイトの宮田莉朋選手のタイムに及ばずにいたが、3度目のセッションが再開したところで自己ベストタイムを更新。宮田選手のタイムを僅か0.085秒上回りタイミングモニターのトップに躍り出た。

このセッション再開直後に雨脚が強まり、コース上はみるみるヘビーウェットに。タイム更新が可能な最後のチャンスをしっかりとつかみ、アレジ選手が参戦2戦目にして初のポールポジションを獲得した。フロントローは宮田選手がつけ、阪口晴南選手(P.MU/CERUMO・INGING)が予選自身最高位となる3番手につけた。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

一夜明けた決勝日も悪天候は変わらず、午前中に予定されていたフリー走行は中止に。決勝レースもスタート時間が順延し、14時55分にようやくフォーメーションラップが切られた。

蹴り出し、加速ともに抜群のスタートを切ったアレジ選手はトップで1コーナーを通過。対する宮田選手は加速が鈍りポジションダウンし、代わって2番手に上がってきたのは予選4位の関口雄飛選手(carenex TEAM IMPUL)だった。

その後方では、坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)と平川亮選手(carenex TEAM IMPUL)が1コーナーに入っていくところで接触し、ともにスピン。コース上でのアクシデントに後続のマシンもグラベルまではみ出ながら回避するなど、スタート直後から混乱状態になってしまった。これを巧みによけながら大幅なポジションアップに成功したのが予選13位の松下信治選手(B-Max Racing Team)。その背後には予選11位の大津弘樹選手(Red Bull MUGEN Team Goh)が着けた。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

平川選手と坪井選手、さらにグラベルストップしてしまった国本雄資選手(KCMG)のマシンを回収するため、レースはオープニングラップからセーフティカー(SC)が導入される。4周目にSCのランプ点滅が消え、いよいよリ・スタートに。それぞれがスタートダッシュを決めるべくコントロールラインを目指していくが、先頭のアレジ選手がブリッジを抜けた先でわずかに挙動を乱しラインを外してしまう。ここをチャンスとばかりに関口選手がぐっと差を縮め逆転を狙うも、最終コーナーでコースのアウト側にラインをとってしまいオーバーラン。これで2番手には松下選手が上がることになり、以下、大津選手、阪口選手の順でリ・スタートが切られた。

リ・スタート後は水煙の立ち上る中、随所でオーバーテイクシーンが勃発した。スタートで8番手までポジションを下げてしまった宮田選手が、再開直後の1コーナーで2台をまとめてかわして6番手浮上。さらに7周目にも同じ1コーナーでオーバーテイクシステムを作動させ、5番手の塚越広大選手(ThreeBond Drago CORSE)をかわしてみせた。4番手にいたのは阪口選手。カート時代からのライバル対決がスーパーフォーミュラでも展開されるかに思われたが、阪口選手は8周目、一足先に大津選手をとらえて3番手に浮上。宮田選手はその翌周に大津選手を攻略したが、すでに阪口選手とは数秒のギャップが広がってしまっていた。

レースは11周目に入ったところで大粒の雨により2度目のSC導入。さらに天候が悪化してきたため、13周目に赤旗中断。その後天候の回復が見込めないことからレース終了となった。この結果、ポールポジションからスタートダッシュを成功させてトップをキープしたアレジ選手がスーパーフォーミュラ初優勝を果たすことに。アレジ選手を追いかけていた松下選手は、レース後にスタート手順違反のペナルティとしてレースタイムに5秒加算のペナルティを受け3位。阪口選手が2位に繰り上がることとなった。

DRIVER VOICE

ジュリアーノ・アレジ 選手 [Kuo VANTELIN TEAM TOM’S]

【今回の成績 : 優勝】
まさかこんなに早くスーパーフォーミュラで優勝することができるとは思っていませんでした。まだまだ僕はこのカテゴリーを学んでいる最中で、どうしたらもっと速く走れるのか、それだけを考えていました。デビューレースとなった鈴鹿戦ではあまりスタートが良くなかったのですが、今回は本当にいいスタートが切れました。素晴らしいマシンを用意してくれて、たくさんのサポートをくれたチームに本当に感謝しています。

ENGINEER VOICE

高口紀貴 [横浜ゴム MST開発部 技術開発2グループ]

オートポリスでは、2019年も予選で雨に見舞われましたが、当時はフォーミュラマシンが走れるかどうかという雨量だったとはいえあまりにも耐ハイドロ性能が良くなく、翌2020年から改良してきました。今回本格的にウェットタイヤを使用しましたが、予選では様々な水量の中でもアタックできるようなタイヤになったなと感じました。

他にも、コース上で水がたまって川ができているところへ飛び込んだ時などはやはり抵抗を受けて挙動を乱したりしてしまいますが、比較的コントロール下にあるふらつきでしたから、そういう意味でもウェットタイヤの改良を示せたと思います。次戦SUGOは改修されて初めてのSUPER FORMULA走行なので未知数な部分はありますが、安全に、また素晴らしい戦いが見られることを期待しています。

最後に、今大会から日本レースプロモーションさんご協力の下、グリッド上で全車両のタイヤチェックを行うことにしました。SUPER FORMULAでは現在、決勝レース中の給油が禁止となっており、ガソリンを満タンにした状態でスタートするケースが増えている他、オーバーテイクシステムも使用可能時間が増えたことでタイヤへの負荷が増してきています。今後も安全性を確保し、すべてのドライバー、チームが素晴らしい戦いを見せられるようサポートしていきます。