2019 FIA WTCR Japan Report

【FIA WTCR 日本 / 鈴鹿・東】

レース1をグエリエリ選手、レース2をミケリス選手が制して、
チャンピオン争いがヒートアップした日本ラウンド!!

FIA WTCR Japan

開催日 2019年10月25日-27日
開催場所 鈴鹿サーキット・東コース
(日本/三重県)
天候 レース1) 曇り
レース2) 曇り
レース3) 曇り
路面 レース1) ドライ
レース2) ドライ
レース3) ドライ
決勝周回数 Race 1 : 26周
Race 2 : 24周
Race 3 : 30周
(1周=2,243m)
参加台数 29台
2019 FIA WTCR Japan

4月にモロッコで開幕した2019年のFIA WTCR(ワールド・ツーリングカー・カップ)は、世界各地を転戦して今年もアジアラウンドに突入。シリーズ発足初年度の昨年に続き、前身のひとつであるFIA WTCC(世界ツーリングカー選手権)から数えると2008年から12回目となる日本ラウンドは鈴鹿サーキット・東コースを舞台に開催された。

東コースではWTCC時代の2011年から2013年にかけて開催されたが、FIA WTCRになってからは初めてとなる。2019年シーズンの開催地としては全長2,243mの東コースは最短のコースとなり、25,378mと最長のニュルブルクリンクが170のコーナーで構成されるのに対して鈴鹿・東は8コーナーとなる。

エントリー台数は29台、その中にはワイルドカード枠でともにアウディを駆る宮田莉朋選手と富田竜一郎選手も含まれる。シーズンは日本を含めて残り3戦だが、前戦の中国を終えてランキングトップはノルベルト・ミケリス選手(ヒュンダイ)。2番手は15点差のエスティバン・グエリエリ選手(ホンダ)、そして中国で2レースを制したイヴァン・ミューラー選手(Lynk&Co)がグエリエリと僅か1点差の3番手となっている。

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走行は10月25日(金)の朝に行われるフリープラクティス1からとなるが、生憎のコンディションとなってしまった。朝から雨が降り続き、その雨足は時間とともに強まっていく。そのため8時30分からの1回目、10時15分からの2回目ともにヘビーウェットというコンディションになったが、各車はラップを重ねて予選に備えて行った。

レース1のスターティンググリッドに反映される公式予選は、13時ちょうどにスタート。時間雨量8mmを超える強い雨の中、速さを見せたのはホンダ勢。開始早々にトップタイムを刻んだティアゴ・モンテイロ選手は中盤でタイムアップ、そのままリザルトの最上位に名前を刻んで予選を終えた。2位はグエリエリ選手、3位はネストール・ジロラミ選手となり、ホームコースとも言える鈴鹿でトップ3を独占した。

天候は予報の通りに急速に回復、雨の影響でスケジュールが遅れていたが雨が止んだ中でレース2と3のスターティンググリッドを決するノックダウン方式の公式予選がスタート。まだ路面はウェットだが空は明るさが戻り虹も姿を見せる中でのアタック合戦となる。Q3に進出した5選手でトップタイムを叩き出したのはヨハン・クリストファーソン選手(フォルクスワーゲン)でレース3のポールポジションを獲得。総合10番手はミケリス選手で、こちらはレース2のポールポジションを獲得した。

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SUPER FORMULAとTCR ジャパンシリーズが併催される今回、FIA WTCRの26日(土)はレース1が15時05分から行われた。このグリッドは金曜日の予選結果に基づくが、多くの選手にセッション中の危険行為(低速走行)によるペナルティが科された。その結果、グエリエリ選手がポールポジションからスタートを迎えることに。

パッシングが難しい東コースゆえ、スタート直後のターン1には自ずと注目が集まる。そのスタートで好ダッシュを見せたのは2番手グリッドのニールス・ランゲヴェルト選手(アウディ)、しかし2周目でグエリエリ選手が抜き返してトップを奪還した。そのまま2台は後続をじわじわ引き離して行ったが、7周目にフレデリック・バービッシュ選手(アウディ)がストップして回収のためセーフティカーが導入される。

リ・スタート後は3番手のモンテイロ選手が後続をおさえるかたちで、トップを走るグエリエリ選手を援護するフォーメーション。4番手のテッド・ビョーク選手(Lynk&Co)が執拗にプッシュするも抜きあぐねるのを尻目に、トップのグエリエリ選手はニールス・ランゲヴェルト選手(アウディ)をおさえてトップを快走。そして22周目のストレートエンドでニッキー・キャッツバーグ選手(ヒュンダイ)に追突されたアンディ・プリオール選手(Lynk&Co)がコースオフしてバリアに衝突、このためセーフティカーが導入されて周回を重ね、そのままチェッカー提示でレースは終了。グエリエリ選手が再びシリーズランキングのトップを奪うことに成功した。

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27日(日)の10時から行われたレース2は、ミケリス選手がポールポジションからスタートを迎える。グエリエリ選手は6番手スタート、タイトル獲得に向けてミケリス選手は絶対に負けられない一戦となる。それを象徴するシーンは、スタート直後に見られることとなった。レッドシグナルがブラックアウト、スタートダッシュでミケリス選手はマシンをイン側に振って2番手スタートのロブ。ハフ選手(フォルクスワーゲン)を徹底的にブロック。さすがにランオフに迫るまでのライン取りについては黒白旗が提示されるもペナルティが科されることは無くトップを守った一方、グエリエリ選手は9番手にドロップして厳しい状況となった。

中盤、若干ペースが鈍ったミケリス選手に対して、ハフ選手が真後ろにピタリとしてプッシュしていく。しかしミケリス選手もしっかりポジションを守ってレースの主導権を手放すことは無かった。その後方は14周目の段階でハフ選手の2.860秒うしろにタルクィーニ選手。そのタルクィーニ選手を追撃したのがケビン・チェッコン選手(アルファロメオ)、昨年の鈴鹿でレース1を勝利しているだけに大ベテランをパスするのか注目が集まる。

18周目にはターン1でサイド・バイ・サイドに持ち込んだチェッコン選手だったが、大ベテランのタルクィーニ選手がターン2で先行を許さず3番手を堅守。ファイナル一周前にも再びチェッコン選手が仕掛け、両者は軽く接触したがポジションを入れ替えるには至らず。結果、ミケリス選手が逃げきって優勝を飾り10番手に終わったグエリエリ選手を再び逆転してランキングのトップを奪取。ハフ選手が準優勝で今シーズン初表彰台を獲得、3位はタルクィーニ選手となった。

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大きなアクシデントも無く終わってレース2から、短いインターバルをはさんで迎えるレース3は11時30分にフォーメーションラップが開始された。ポールポジションはクリストファーソン選手、グエリエリ選手は4番手、ミケリス選手は10番手のグリッドからスタートの時を迎えた。注目のスタートでは4番グリッドのミケル・アスコナ選手(クプラ)が大きく出遅れ、これを尻目に2番手スタートのモンテイロ選手が鋭いダッシュでターン1でトップに立つも、ターン2で僅かなインの隙にノーズをねじ込んだクリストファーソン選手がトップを取り戻した。

一方、レース1で好位置につけながらパドルシフトのトラブルを喫していた宮田選手が、オープニングラップでトム・コロネル選手(クプラ)らと接触、クラッシュとなったことからレース3は開始早々にセーフティカーランとなってしまった。多重クラッシュだったことから長い隊列走行が続き、レースは8周目まで再開されず。クリストファーソン選手を先頭に、モンテイロ選手、グエリエリ選手、ビョーク選手、プリオール選手という並びで周回を重ねていく。

リ・スタートはクリーンなものとなり、ここはアクシデントもなく各車が一列のままで走行。そしてラップを重ねるにつれてクリストファーソン選手がマージンをじわじわと拡大、14周を終えて1.298秒だったモンテイロ選手との差は26周終了時点で3.886秒にまで拡大した。一方、激しい追い上げを見せたのがチェッコン選手、21周目にハフ選手、22周目にタルクィーニ選手、23周目にはプリオール選手と名手を次々にかわして5番手にまで躍り出た。

そして迎えたファイナル1周前の29周目、富田選手がグラベルでストップ。これに対してセーフティカーが導入され、レース3はレース1同様にセーフティカーランのままチェッカーを迎えることとなった。ウィナーはクリストファーソン選手、2位はグエリエリ選手。そして更にポジションをあげたチェッコン選手が3番手でチェッカーを受けたが、こちらは接触行為に対するペナルティで6位という結果に。またモンテイロ選手にも、走路外走行とセーフティカー中の追い越しに対してペナルティが科され、これらによってミケリス選手は8位に。ランキングはグエリエリ選手が288点でトップ、ミケリス選手が282点で2番手となった。

DRIVER VOICE

エスティバン・グエリエリ選手 [ALL-INKL.COM Munnich Motorsport]

【今回の成績 : Race1 優勝、Race2 10位、Race3 2位】
前戦の中国では戦闘力はあったのですが、少し運が足りませんでした。その結果として全く得点を加えられなかったのですが、日本では50点以上を獲得できて嬉しく思っています。優勝したレース1ではセーフティカーが導入されましたが、リ・スタートではひとつの作戦を組み立てていました。東コースは距離が短いので、少しギャップを与えて3~4コーナーで引き離そうというものです。それが功を奏した部分もありますが、ホンダ・シビックの優れたパフォーマンスを証明することも出来ました。最終戦までタイトル争いにしっかり留まって行きたいと思います。