2019 FIA WTCR China Report

【FIA WTCR 中国 / 寧波】

アクシデント続発のタフな展開となった中国ラウンド、
2レースを制したミューラー選手がタイトル争いで躍進!!

FIA WTCR China

開催日 2019年9月13日-15日
開催場所 寧波国際スピードパーク
(中国)
天候 レース1) 晴れ
レース2) 晴れ
レース3) 晴れ
路面 レース1) ドライ
レース2) ドライ
レース3) ドライ
決勝周回数 Race 1 : 13周
Race 2 : 15周
Race 3 : 18周
(1周=4,010m)
参加台数 26台
2019 FIA WTCR China

ヨーロッパ各地を転戦してきた2019年のFIA WTCR(ワールド・ツーリングカー・カップ)は、長めの夏休みをはさんでアジアへと戦いの場を移した。その初戦となる第7大会は中国が舞台、寧波国際スピードパークで競われる。この新しいサーキットでは一昨年にFIA WTCC(世界ツーリングカー選手権)が開催され、昨年発足したFIA WTCRでもカレンダーに組み込まれている。

全10大会中の7大会目となる中国ラウンドだが、シリーズ争いの行方も気になってくるところ。トップに立っているのはエスティバン・グエリエリ選手(ホンダ)で、24ポイント差の2番手で追っているのがノルベルト・ミケリス選手(ヒュンダイ)というトップ2になっている。そして3番手につけるテッド・ビョーク選手が駆るのはLynk & Co 03 TCR、もちろんメーカーの地元・中国での勝利が期待される存在となる。

ここまでの7大会、各3レースずつの計21レースが行われてきているが、参戦している全ての車種が優勝を飾ってきており戦いは混戦模様。残る3大会で得られる可能性のあるポイントを考えてみればチャンピオン争いはまだ上位陣に大きな差が開いているとは言えず、タイトルをかけた戦いはますますヒートアップすることが予想された。

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9月13日(金)の17時ちょうどから、レースウィーク最初の走行となるフリープラクティス1がスタート。45分間のセッションでトップタイムを刻んだのはマー・チンホワ選手(アルファロメオ)で1分51秒419、2番手のネストール・ジロラミ選手(ホンダ)、グエリエリ選手、ニッキー・キャッツバーグ選手(ヒュンダイ)までの上位4選手が1分51秒台をマークした。

一夜明けた14日(土)の9時からはフリープラクティス2、こちらではミケル・アスコナ選手が2回のプラクティスを通じて唯一の1分50秒台をマークする。2番手はオーレリアン・パニス選手で、クプラ勢がトップ2を独占。3番手にはマー選手が食い込んで、地元優勝へ向けた勢いを見せてきた。

そして11時からはレース1に向けた公式予選が30分間のセッションで行われ、トップタイムを刻んだのはLynk&Co 03 TCRを駆るイヴァン・ミューラー選手。2番手にマー選手、3番手はアスコナ選手という顔ぶれになり、この3選手が1分50秒台にたたき込んできた。

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13周で競われるレース1は15時40分にスタート、注目のスタートでロケットダッシュを決めたミューラー選手が1コーナーに先頭で飛び込んでいく。その後ろではアスコナ選手がマー選手に仕掛けてサイド・バイ・サイドを展開したが、ここはマー選手がしっかり抑えてポジションは変動せず。一方でランキングリーダーのグエリエリ選手はスターティンググリッドで消火器が誤作動してしまいピットスタートとなってしまい、勝負権を失ってしまっていた。

レース1から各車は随所で激しい鍔迫り合いを演じ、縁石を果敢に攻めていく。路面もところどころダスティになって行ったが、トップグループの3台は互いを牽制しながらコンスタントにラップを重ねて行った。5周を終えてミューラー選手とマー選手の差は僅かに0.511秒、レース後半にどこでマー選手が仕掛けて行くのか注目が集まっていく。

後半に入ってマー選手はミューラー選手のミラーいっぱいに自分の姿を見せるまでピタリと背後に着ける走りを披露。しかし、そのマー選手のミラーにはアスコナ選手がいっぱいに映っており、トップ3のテール・トゥ・ノーズが続いた。そんな状況がファイナルラップまで続き、最終コーナーではマー選手が果敢に攻めて行ったがミューラー選手は動じることなく抑えきってウィニングチェッカー。ミューラー選手が待望の今シーズン初優勝を飾り、表彰台の真ん中で笑顔を見せた。

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15日(日)はノックダウン方式の予選を朝から行い、午後にはレース2を13周、レース3を16周で競うという忙しタイムスケジュールだ。まずは予選、Q3まで勝ち残ってトップを奪ったのはレース1を制しているミューラー選手。一方で総合10番手となり、レース2のポールポジションを獲得したのはアンディ・プリオール選手で、2レースともにLynk&Co 03 TCRが先頭でスタートすることとなった。一方、Q2での接触によりジロラミ選手にはペナルティが科されてグリッド降格となった。

レース2は14時30分にスタート、プリオール選手と2番手スタートのミケリス選手、3番手スタートのビョーク選手がポジションをそのままにオープニングラップを駆け抜けていく。しかしその後方は大混乱、各所でヒートアップしたバトルから接触やコースオフが頻発し、その中にはグエリエリ選手の姿もあった。各所のストップ車両を回収するために早々にセーフティカーが導入され、長い隊列走行からレースは仕切り直しとなる。

およそ10分のセーフティカーランが解除されると、ミケリス選手がプリオール選手をパスするべく果敢な走りを見せる。プレッシャーを常にかけ続け、11周目の最終コーナーではインをさしてストレートでサイド・バイ・サイドに持ち込んだ。ここはプリオール選手が凌いだが3番手を走るチームメイトのガブリエレ・タルクィーニの援護もあって再びミケリス選手はプッシュ、12周目で姿勢を崩してコースオフしたプリオール選手をパスすることに成功。ミケリス選手とタルクィーニ選手のヒュンダイ勢が、ワン・ツー・フィニッシュという結果になった。

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多くのマシンが破損したレース2終了から、長い間をおかずにスタートを迎えるレース3。ポールポジションはミューラー選手、2番手にはヤン・エアラッシ選手(Lynk & Co)と、叔父と甥の関係にある二人がフロントローに並んだ。

スタートをスムーズに決めたトップグループに対して、後方はまたも大混乱に。多重クラッシュが複数発生して早々にフルコースイエローの提示からセーフティカー導入となってしまう。そしてレースが再開されてもバトルが鎮静化することは無く、再開された翌周には2ヶ所で接触からのコースオフとクラッシュが発生。ティアゴ・モンテイロ選手(ホンダ)のマシンはストレートの真ん中にストップしたため、再びセーフティカーが導入された。

セーフティカー導入により18周とされたレース3は、10周目からの再開。波乱の展開となったがトップの2人はその影響を受けることなくマシンを運び、ミューラー選手がレース1に続いて今シーズン2勝目をゲット。エアラッシ選手が準優勝で、Lynk & Coが地元戦をワン・ツー・フィニッシュで締めくくった。

中国での3レースを終えて、ランキング争いはミケリス選手がトップに浮上。グエリエリ選手は15点差の2番手で、追う立場へとポジションを入れ替えた。そして2レースを制したミューラー選手がグエリエリ選手と1点差の3番手に躍進、4番手のビョーク選手をおさえてLynk & Co勢のトップに立っている。

DRIVER VOICE

イヴァン・ミューラー 選手 [Cyan Racing Lynk & Co]

【今回の成績 : Race1 優勝、Race2 3位、Race3 優勝】
レース1でのポール・トゥ・ウィンに満足していましたが、日曜日の朝にも再びポールポジションを獲得出来てさらなる満足を得られました。チームが素晴らしい仕事をしたからこそ、それに相応しい結果を残せて素晴らしい週末になりました。チャンピオン争いという面ではまだトップは遠いですが、この週末の結果でわかるように一気にポイントを重ねてポジションアップすることも可能です。ですから、この先どうなるかはまだ分かりませんが、何かが起こる可能性はあるでしょうね。