2019 FIA WTCR Netherlands Report

【FIA WTCR オランダ / ザントフォールト】

テッド・ビョーク選手がレース1と3を制して2勝を獲得、
ランキング争いはレース2を勝利したグエリエリ選手がトップに浮上!!

FIA WTCR Netherlands

開催日 2019年5月17日-19日
開催場所 ザントフォールト
(オランダ)
天候 レース1) 晴れ
レース2) 曇り
レース3) 曇り
路面 レース1) ドライ
レース2) ドライ
レース3) ドライ
決勝周回数 Race 1 : 12周
Race 2 : 14周
Race 3 : 15周
(1周=4,307m)
参加台数 26台
2019 FIA WTCR Netherlands

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スロバキアからオランダへと転戦したFIA WTCR(ワールド・ツーリングカー・カップ)、二週末連続でのレースというカレンダーの中でももっともタイトなスケジュールで第4大会がザントフォールトを舞台に開催された。ここまで3大会/6レースを終えてドライバー部門のポイントリーダーは3勝を挙げているネストール・ジロラミ選手、2点差の2番手でエスティバン・グエリエリ選手が続きホンダ勢がトップ2に立っている。

しかし今回、フリープラクティスの1回目こそホンダ・シビック TCRを駆るアッティラ・タッシ選手がトップタイムをマークしたものの、2回目はテッド・ビョーク選手とヤン・エアラッシ選手がトップ2に名を連ねてLynk&Co・03 TCRが速さを見せた。その勢いはレース1のグリッドを決する予選でさらに加速し、トップタイムのビョーク選手を筆頭に、イヴァン・ミューラー選手、アンディ・プリオール選手、エアラッシ選手と参戦している4台でトップ4を独占したのである。

トップのビョーク選手から5番手のミケル・アスコナ選手(クプラ)までは0.721秒、4番手のエアラッシ選手からでも0.488秒とその差は大きかった。この状況に対して各車に設定されているBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)の変更が決定され、03 TCRはエンジンパワーを100%から97.5%へと引き下げられた。

性能調整を受けた4台の03 TCR、グリッド降格ペナルティで9番手スタートとなったエアラッシ選手を除く3台がトップ3に居並んで迎えたレース1。プリオール選手は出遅れを喫したものの、ビョーク選手とミューラー選手は後続に付け入る隙を与えることなくターン1をクリア。

その後方では18番手スタートのジロラミ選手がポジションアップを図るべく先行車をプッシュするが、集団に飲み込まれるかたちとなって思うようにパスすることが叶わない。一方、随所でサイド・バイ・サイドの激しいバトルが展開されるのを尻目に、ビョーク選手はトップを快走。7周を終えてミューラー選手に0.705秒差、大きなマージンとは言えないもののミューラー選手も真後ろにピタリとつけるまでは至らず。

このままビョーク選手はチェッカーまでマシンを運び、開幕戦・モロッコのレース3以来となる今シーズン2勝目を飾った。そしてミューラー選手は2位でフィニッシュして、Lynk&Co勢がワン・ツー・フィニッシュ。3位は最終ラップで猛追を見せたが一歩及ばなかったアスコナ選手という表彰台の顔ぶれになった。

レース1から一夜明けた19日(日)は、8時ちょうどからレース2と3のグリッドを決する予選が行われた。ここでQ1を4番手、Q2は2番手でQ3への進出を果たしたのがミューラー選手。Q3ではエアラッシ選手を0.443秒おさえてトップタイムを暫定結果には刻んだが、BoPの規定数値に合致しない項目が車両にあったことからポールポジションは幻と化した。

正式な予選結果は、トップがエアラッシ選手で2番手はビョーク選手と再びLynk&Co勢がフロントローを独占。3番手はノルベルト・ミケリス選手、4番手にアウグスト・ファルファス選手とヒュンダイ勢が続き、ミューラー選手は5番手となった。

この予選結果のトップ10を、リバースグリッドに配してスタートを迎えたレース2。ポールポジションはグエリエリ選手、その後方には、ベンジャミン・ルークター選手とヨハン・クリストファーソン選手のフォルクスワーゲン勢が続く。スタートは大きな混乱も無く、トップ集団はグリッド順そのままにターン1をクリア。

しかしこのオープニングラップでタッシ選手がコースオフ、グラベルに捕まってしまう。この車両回収が行われるためセーフティカーが導入され、レースは仕切り直しに。リ・スタートを綺麗に決めたグエリエリ選手は、そのまま隊列を率いるかたちで周回を重ねて優勝。レース1を終えて1点差のランキングトップに立っていたが、レース2を10位で終えたジロラミ選手との得点差を、20へと拡げることに成功した。

比較的クリーンなスタートのレースが続いたオランダ戦だが、レース3は少々状況が変わる展開になった。ミューラー選手のグリッド降格により、右コーナーのターン1に対してアウト側のポールポジションにエアラッシ選手、イン側の2番グリッドにビョーク選手がついてスタートを迎えた。

スタートを巧みに決めたのはビョーク選手、しかしチームメイトのエアラッシ選手が急な角度でイン側へとマシンを振ってブロックするが両者は接触してしまう。幸い走行に支障が生じることは無く、ビョーク選手が前に出てターン1をクリア。このままエアラッシ選手を従えて周回していくが、この後にチームはやや混乱する展開となる。

エアラッシ選手にペナルティが科せられる可能性を考えたチームは、3周目に入ったところでビョーク選手にポジションを譲るよう指示。これを受けてビョーク選手はターン1でインを空けてエアラッシ選手を先行させ、エアラッシ選手にペナルティ分のマージンを築かせることとした。しかしペナルティが科されることはなく、6周目の終盤に今度はエアラッシ選手に対してビョーク選手を先行させるように無線で指示が飛ぶ。

これに対してエアラッシ選手は悲痛な叫びとも聞こえる返答で抵抗を見せる。しかしチームとして戦っている以上は従わざるを得ず、9周目のターン1でインを空けてビョーク選手を先行させた。

このまま両者はチェッカーを受け、ビョーク選手はレース1に続いてオランダで2勝目を獲得。エアラッシ選手は今シーズン3回目の表彰台でWTCR自己最上位となる2位、そして3位にはミケリス選手という結果になった。

DRIVER VOICE

テッド・ビョーク 選手 [Cyan Racing Lynk & Co]

【今回の成績 : Race1 優勝、Race2 12位、Race3 優勝】
ここオランダで2レースを勝つことが出来て、とても幸せな気持ちでいます。レース3については、私は巧くスタートを決められたと思います。エアラッシ選手も自分は好いスタートが出来たと思っていて、トップでターン1に入りたいと思っていたのです。でも、そこには私がいて、最初に入ろうとしていたのです。ただ、エアラッシ選手の気持ちは十分に理解出来ます、レースなのだから誰もが一番になりたいのですから。