2019 FIA WTCR Slovakia Report

【FIA WTCR スロバキア / スロバキアリンク】

レース1と3で好スタートを決めたマー・チンホワ選手、
レース3は1での借りを返すかたちで優勝を飾った!!

FIA WTCR Slovakia

開催日 2019年5月10日-12日
開催場所 スロバキアリンク
(スロバキア)
天候 レース1) 曇り 一時 雨
レース2) 曇り
レース3) 晴れ
路面 レース1) ドライ~ハーフウェット
レース2) ドライ
レース3) ドライ
決勝周回数 Race 1 : 11周
Race 2 : 9周
Race 3 : 11周
(1周=5,922m)
参加台数 27台
2019 FIA WTCR Slovakia

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前戦のハンガリーから中一週のインターバルを空けて、FIA WTCRは第3大会となるスロバキア戦が5月10日(金)から12日(日)にかけて開催された。東ヨーロッパ地域での2連戦というかたちのカレンダーになるが、舞台となるスロバキアリンクには前戦と同じ27台のマシンが集結した。

前身のFIA WTCC(世界ツーリングカー選手権)時代、2012年にカレンダーへと加わったスロバキアリンクは、2009年にオープンという比較的新しい国際サーキットだ。全長は5,922mと長く、今年のFIA WTCR開催会場ではマカオのギア・サーキットに次ぐロングコース。もっともマカオはご存じのように公道を封鎖して設けられるストリートコースなので、純粋なクローズドコースとしては最長となる。

このスロバキアで、フリープラクティスから速さを見せたのはヒュンダイ勢だった。10日(金)の9時45分から行われた1回目はノルベルト・ミケリス選手、11時30分からの2回目ではニッキー・キャツバーグ選手が、それぞれトップタイムをマーク。そして、この勢いは午後の公式予選になっても衰えることが無かった。

まずはレース1のグリッドを決める公式予選、そのトップを奪ったのはキャツバーグ選手。さらに0.028秒という僅差でミケリス選手が続く結果となった。さらにレース2と3のグリッドを決するノックダウン方式の公式予選も、Q1からQ3まですべてのトップタイムをキャツバーグ選手が独占。総合結果ではキャツバーグ選手にミケリス選手が続いて、こちらもヒュンダイ勢がフロントローを独占するリザルトを残した。

ここで予選タイムに注目してみると、キャッツバーグ選手の予選を通じたベストタイムはQ3でマークした2分09秒639。振り返って2012年に初めてスロバキアリンクでWTCCが開催された時の予選結果を見ると、ベストタイムはミケリス選手がマークした2分12秒990。当時はS2000規定のマシンで競われており、ミケリス選手はBMW 320TCを駆っていた。3秒以上のタイムアップが、7年間でのマシンやタイヤの進化を物語るひとつの数字と言えるだろう。

今回のスロバキア大会は、FIA EWC(世界耐久選手権)という2輪ロードレースとの併催。いわゆる“2&4レースイベント”となっており、11日(土)はEWCの決勝日となるのでWTCRは走行しないという変則的なスケジュールだ。

金曜日の公式予選では青空も顔を覗かせたスロバキアリンクだが、中一日おいて迎えた12日(日)は上空を雲に覆われてしまった。まずは10時45分からのレース1、気温13℃/路面温度16℃という肌寒さのドライコンディションでスタートを迎えた。

1周のフォーメーションラップを終えて各車がグリッドオン、いよいよスタートというタイミングで上空からは無情にもポツポツと雨粒が。全車スリックタイヤでのスタート、果たしてこの雨足が強まるのか誰もが気を揉む中でフロントローのヒュンダイ勢に割って入りターン1を制したのはマー・チンホワ選手(アルファロメオ)。さらに9番手からジャンプアップしてきたのがフレデリック・バービッシュ選手(アウディ)、オープニングラップの中盤までに2番手にまでポジションを上げてきた。

一方で前戦のレース1と2を制したネストール・ジロラミ選手(ホンダ)を含む2台がオープニングラップでコースオフを喫し、このストップ車両を回収するため2周目からセーフティカーが導入された。4周目にレースは再開、規定により当初予定の9周から11周に決勝周回数は増やされた。

リ・スタートからチンホワ選手の真後ろにつけて、激しくプッシュしていくバービッシュ選手。5周目に入ったターン2で遂にチンホワ選手のインをさしてトップを奪うことに成功。懸念された雨足もレース後半ではおさまり、バービッシュ選手がそのままトップを守り抜いて昨年の最終戦・マカオのレース2以来となる優勝を飾った。

レース1から4時間弱の間隔を開け、15時15分のスタートというタイムテーブルのレース2。気温16℃/路面温度20℃とレース1とほぼ変わらず、路面もドライコンディションでスタートした。リバースグリッドとなるためポールポジションはロブ・ハフ選手(フォルクスワーゲン)、2番手グリッドにはジロラミ選手が陣取っている。

ハフ選手とジロラミ選手はターン1から激しい攻防戦を展開、その後方ではツーワイドに留まらずスリーワイド、時にはフォーワイドのポジション争いが勃発し、WTCRならではの超接近戦が繰り広げられた。そして2周目のターン3でハフ選手がアウトにふくらんだ痛恨のミス、この隙を逃すことなくジロラミ選手はトップを奪取した。このままジロラミ選手はウィニングチェッカーまでマシンを運び、さらに2位にはエスティバン・グエリエリ選手がポジションをあげてフィニッシュ。レース2はホンダ勢のワン・ツー・フィニッシュという結果になった。

レース3は16時45分のスタート、11周で競われる。気まぐれな空模様は最後に青空も顔を覗かせ、眩しい日射しも届く中でスタートを迎えた。そのスタートでは、まるでレース1のリプレイかと思わせるような光景が繰り広げられた。

フロントローに陣取るキャツバーグ選手とミケリス選手、2台のヒュンダイに割って入ったのはチンホワ選手が駆るアルファロメオ。ターン1でトップに立つと、レース1と同様に後続を従えてラップを重ねていく。対して追うキャツバーグ選手は、マシンにトラブルが生じてペースダウンを余儀なくされる展開に。替わって追手となったのはミケリス選手、しかしその背後にはチンホワ選手のチームメイトであるケビン・チェッコン選手のアルファロメオが迫っていく。

三つ巴のトップ争いはファイナルラップまで続き、何度もチンホワ選手にプレッシャーをかけていったミケリス選手だったが今回はチンホワ選手が逃げきってレース1の雪辱を果たす結果に。3位にはチェッコン選手が入り、2台のアルファロメオが表彰台を飾る結果となった。

DRIVER VOICE

マー・チンホワ 選手 [Mulsanne Srl]

【今回の成績 : Race1 2位、Race2 9位、Race3 優勝】
レース3では、チームとして最高の結果を得ることが出来ました。自分が勝てたことを本当に嬉しく思い、チームスタッフ全員の努力に心から感謝します。レースでは先頭を走っている時というのは、常に後ろから速い車が迫ってくるものです。そして今回も沢山のプレッシャーがレース中にはありましたが、落ち着いて自分の走りをすることに徹しました。今夜は、盛大なパーティでお祝いですね!!(笑)