2019 FIA WTCR Hungary Report

【FIA WTCR ハンガリー / ハンガロリンク】

レース1と2ではホンダ・シビック勢が優勝のハンガリー戦、
レース3ではヒュンダイ勢がワン・ツー・フィニッシュ!!

FIA WTCR Hungary

開催日 2019年4月26日-28日
開催場所 ハンガロリンク
(ハンガリー)
天候 レース1) 曇り
レース2) 雨
レース3) 曇り のち 雨
路面 レース1) ドライ
レース2) ハーフウェット~ウェット
レース3) ハーフウェット~ウェット
決勝周回数 Race 1 : 12周
Race 2 : 12周
Race 3 : 17周
(1周=4,381m)
参加台数 27台
2019 FIA WTCR Hungary

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4月にアフリカ大陸のモロッコで開幕した2019年のFIA WTCR(ワールド・ツーリングカー・カップ)は、いよいよヨーロッパ・ラウンドに突入。第2大会はハンガリーのハンガロリンクが舞台、ここを皮切りに7月上旬にポルトガルで行われる第6大会まで、およそ2ヶ月半で5大会をヨーロッパ大陸で消化していくこととなる。

前身のFIA WTCC(世界ツーリングカー選手権)がハンガリーで初めて開催されたのは2011年のことだった。この時は当初予定されていたモロッコ戦がキャンセルされ、急遽代替地として開催されるという経緯があった。その後はレギュラーの開催地として定着、FIA WTCRになってもカレンダーに組み込まれている。

また、2011年の開催で存在感を見せた地元ハンガリー出身のノルベルト・ミケリス選手は、今年のFIA WTCRにもヒュンダイを駆って参戦。地元のヒーローとして圧倒的な人気を誇り、ミケリス選手の走りに対してはまるで地響きのような大歓声が寄せられるだけに、今回もその戦いぶりには注目が集まることとなった。

開幕戦のモロッコがストリート・コースであったのに対して、ハンガリーは常設コースのハンガロリンクが舞台。丘陵地帯に造られた全長4,381mのコースはアップダウンも大きく、風向きによっては路面がダスティになりやすいという特徴もある。まだ東西冷戦期の1986年には東ヨーロッパで初のF1グランプリが開催されたことを、ご記憶のオールドファンも多いのではないだろうか。

現地時間の4月27日(土)、15時15分にスタートしたレース1は12周で競われる。気温15℃/路面温度25℃のドライコンディションだが、曇り空でやや風が強い中でポールポジションに陣取ったのはネストール・ジロラミ選手(ホンダ)、2番手はイヴァン・ミューラー選手(Lynk&Co)、そして3番手はエスティバン・グエリエリ選手(ホンダ)というスターティンググリッドだ。

好スタートを決めたのは4番手スタートのオーレリアン・パニス選手(クプラ)、ターン1で鋭くインを奪うとグエリエリ選手の前に出る。しかし続くターン2ではポジションが入れ替わり、グエリエリ選手がインを奪って再び3番手を奪い返すと、それに続いてヤン・エアラッシ選手(Lynk&Co)も先行、巧みな走りで5番手スタートからひとつポジションを上げてきた。

3周を終えてトップはジロラミ選手、0.607秒差の2番手はミューラー選手、1.060秒差の3番手にグエリエリ選手という順位、各車の差は大きく開くことなく隊列状態の走行が続く。しかし5周目に入り、エアラッシのマシンが挙動を乱してポジションをダウン。サスペンションのトラブルにより、惜しくもこの周でリタイアを喫してしまった。

最終ラップにミュラー選手とグエリエリ選手はポジションアップを狙うも、それぞれ先行車に詰め寄りきることが叶わず。ジロラミ選手がそのままウィニングチェッカーを受けることに成功、FIA WTCRの初優勝を獲得。ミューラー選手とグエリエリ選手が続き、ホンダ勢が表彰台のうち2つのポジションを飾った。

一夜明けた28日(日)も、空模様は前日と変わらず灰色の雲に上空が覆われているハンガロリンク。気温16℃/路面温度19℃と昨日に似たコンディションだが、生憎の雨がポツポツとコースを濡らし始める中で12周のレース3はスタートを迎えた。

午前中に行われたノックダウン方式の予選、ここでトップに立ったのはミケリス選手(ヒュンダイ)。ただしレース2は予選結果のトップ10をリバースグリッドで配するので、ポールポジションからスタートするのはジャン・カール・ベルネ選手(アウディ)。3番手グリッドにはFIA WTCC時代にBMWで名勝負を幾度も繰り広げてきた、アウグスト・ファルファス選手(Lynk&Co)が控えている。

各車はワイパーも作動させてスタート、ターン1のインを奪ったのは2番手スタートのダニエル・ホグロフ選手(クプラ)、これに4番手スタートのテッド・ビョーク選手(Lynk&Co)が続いてベルネ選手は3番手にドロップ。アウト側からターン1にアプローチしたファルファス選手は苦しい立ち位置となり6番手にまで順位を落としてしまった。その後方は、スリーワイドで軽い接触も伴う状況。さらに先頭集団でもミケル・アスコナ選手(クプラ)が果敢にポジションアップを図ったが姿勢を乱したが、両側のマシンにはさまれながらなんとか立て直すという激しいバトルが展開される。

そしてトップ争いは、オープニングラップのうちにホグロフ選手がコーナーで挙動を乱した隙に、ジロラミ選手とベルネ選手が先行。その後もコンディションの悪化に伴い各所で接触が続発する荒れたレースとなったが、ジロラミ選手はフィニッシュまでマシンを運んでレース1に続いて連勝を飾った。

スタート前に降り出した雨の影響で荒れたレース2、満身創痍状態のマシンも多かったが17時には15周の予定でレース3がスタートする。短い時間でマシンの修復を強いられたチームも多かったが、1台もグリッドから欠けることなく27台がスタートを迎えた。その先頭、ポールポジションに陣取るのはミケリス選手、地元のヒーローだけに観客席のボルテージも高まっていく。

幸いに雨は止み、各車はスリックタイヤでスタート。注目のターン1、ここでインを奪ってミケリス選手の前に出たのは2レース1で表彰台を獲得しているグエリエリ選手。さらに4番手スタートのガブリエレ・タルクィーニ選手(ヒュンダイ)が続いて2番手にポジションアップ、ミケリス選手は3番手にドロップしてしまう。

しかしグエリエリ選手は5周目に後退、さらに11周目に単独クラッシュで戦列から消えてしまう。このクラッシュでセーフティカーが導入され、レースは17周に延長された。

残り2周でリ・スタート、トップの2台は順位を入れ替えることなくフィニッシュしてタルクィーニ選手が前戦・モロッコのレース2以来となる今シーズン2勝目をゲット。ミケリス選手は準優勝で地元ファンの期待に応えヒュンダイ勢がワン・ツー・フィニッシュ、3位にはヤン・エアラッシ選手(Lynk&Co)という表彰台になった。

DRIVER VOICE

ガブリエレ・タルクィーニ 選手 [BRC Hyundai N Squadra Corse]

【今回の成績 : Race1 13位、Race2 17位、Race3 優勝】
レース3は素晴らしい内容になりました。地元のミケリス選手には残念でしたが、私はここハンガリーで昨年、そして今年も優勝を飾ることが出来ました。ミケリス選手は私のことを嫌っていて表彰台では「殺してやりたい」と思ったでしょうが(笑)、それはドライバーとして当然の心境ですよね。トップを争っていたグエリエリ選手に何が起こったのか私にはわかりませんが、彼が戦列から消えてとても驚きました。シーズンを戦う上ではとても重要なポイントを獲得しましたが、まだ先の道のりは長いです。ただ、マラケシュでもハンガリーでも勝てたことは、シーズンを戦う上で大きな意味を持っていると思います。