【SUPER FORMULA 第5戦/もてぎ】
SUPER FORMULA Round 5
開催日 | 2019年8月16日-18日 |
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開催場所 | ツインリンクもてぎ (栃木県) |
天候 | 晴れ |
路面 | ドライ |
決勝周回数 | 52周 ※スタートディレイにより51周とした (1周=4,801m) |
参加台数 | 20台 |
「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の2019年・第5戦がツインリンクもてぎで開催され、平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が予選2位から逆転優勝を飾った。2013年に国内トップフォーミュラにデビューした平川選手にとって、これが嬉しい初優勝となった。
夏休み真っ最中のツインリンクもてぎには、予選日で1万7500人、決勝日には1万9500人と多くの観客が集まった。もてぎは施設内に子供が楽しめるアクティビティも多々あり、SUPER FORMULAを見るのは初めてという家族連れも多かった。国内トップフォーミュラの速さとプロドライバーたちが繰り広げる熱い戦いに、観客席も盛り上がっていた。
台風一過の影響もあり、レースウィークは気温35℃以上の猛暑日が続いた。その中で、平川選手は序盤から好調な様子を見せる。レースウィークの走りはじめとなる16日(金)の専有走行では、2位のアレックス・パロウ選手(TCS NAKAJIMA RACING)に0.3秒以上の差をつけてトップタイムを記録。パロウ選手はセッション途中でコースオフする場面もあったが、最終的には2番手タイムを記録し、第4戦の優勝者として今回もまずまずの仕上がりであることをうかがわせた。
一夜明けた予選日。午前中のフリー走行ではほとんどのドライバーが、ポールポジション争いのために重要となるソフトタイヤでのセットアップを重点的に行っており、最終的にはパロウ選手が1分32秒793でトップタイムをマーク。関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が2番手、福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が3番手と続き、平川選手は14番手に。前日の練習走行は気温が高かったといっても曇り空の下だったため、その時と比べてフリー走行は気温も路面温度も大きく上昇。コンディションが変化していたため、状況への合わせこみをじっくり行っていた。この合わせこみが結果的に、予選結果、そして初優勝へと平川選手を導くことになる。
迎えた予選、平川選手はミディアムタイヤを使用するQ1でトップタイムをマーク。Q2では「アタックラップでコース上の混雑に引っかかってしまって」と振り返ったように、トップから約0.3秒差を付けられたが、6位でなんとかQ3に駒を進める。
そしてQ3では、Q2の反省も踏まえて混雑を避けるため、1アタックが計測できるぎりぎりのタイミングまでコースインを遅らせる作戦に。これが功を奏し、1分31秒641とQ2でのベストタイムから0.6秒縮めて2番手のポジションを獲得。ポールポジションはパロウ選手で、前戦の富士に続き2戦連続のポールポジション獲得。昨年、石浦宏明選手(当時JMS P.MU/CERUMO・INGING)が記録したコースレコードをただ一人打ち破り、新たなレコードホルダーとなった。
翌18日(日)も灼けるような暑さは変わらず、SUPER FORMULAの決勝レースが始まる時点で気温は37℃、路面温度は49℃を指していた。最前列につけたパロウ選手と平川選手、そして2列目に続いた福住選手とルーカス・アウアー選手(B-Max Racing with motopark)はソフトタイヤでのスタートを選択。その後方は、3列目に並んだ石浦選手、野尻智紀選手(TEAM MUGEN)がミディアムタイヤ、7番グリッドの小林可夢偉選手(carrozzeria Team KCMG)がソフトタイヤ、8番グリッドの山本尚貴選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がミディアムタイヤと戦略が分かれた。
ところが山本選手がフォーメーションラップに向かう際にエンジンストールを喫し、ピットスタートとなったのを皮切りに、フォーメーションラップを終えスタートを迎える直前に、さらに2台のマシンがエンジンをストールさせてしまうという波乱の展開に。これによりスタートはディレイとなり、周回数は1周減算されて51周となって改めてスタートが切られた。
上位3台は順当にスタートを切り、小林選手が抜群の蹴り出しで4位にポジションアップ。この4台がそれぞれのギャップを保ちながら、序盤の数周が進んでいく。次第に、トップ争いのパロウ選手と平川選手の間隔が縮まり、23周目の90度コーナーでパロウ選手がオーバーランしたチャンスを生かして最終コーナーの手前で逆転に成功した。
トップに立った平川選手は、パロウ選手との差を一気に広げていくと、36周目にピットイン。すでにピット作業を終えているドライバーたちの中でトップの位置でコースに復帰した。パロウ選手は決勝レースのコンディションにマシンがマッチしていないのか、ペースを上げることができず苦戦。平川選手がピット作業に向かった翌周にピットインすると、暫定2位でコースに復帰したものの、後続の逆転を許し最終的には4位となっている。
全車がピット作業を終えた42周目に、平川選手はトップに返り咲く。残り周回数は10周を切り、2位との差は約9秒。ミディアムタイヤで安定したラップを刻み、堂々のトップチェッカーを受けた。平川選手は昨年のもてぎ大会で2ストップ作戦を敢行し予選9位から決勝で2位表彰台を獲得しているが、今回は王道ともいえる作戦で逆転勝利を飾った。
2位に入ったのは小林選手。レース前半は福住選手を攻略できず苦しい様子だったが、33周目の3コーナーでようやく福住選手をかわすと、パロウ選手にも接近。さらに、平川選手、パロウ選手がピットに向かい暫定トップに立ってからは、すでに40周近く走行しているソフトタイヤで速いラップタイムを刻むと、42周目にピット作業を行い2位でコース復帰。最後は平川選手に2.9秒差まで迫り2位表彰台を得た。
3位には、予選12位から大きくポジションアップしたニック・キャシディ選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が入り、ポイントランキングで山本選手をかわしてトップに躍り出ることとなった。
【今回の成績 : 優勝】
嬉しいというより、感謝の気持ちの方が大きいです。なかなか結果が出ない中、チームの皆さんが頑張ってくれましたし、周りで支えてくれるファンの皆さんやスポンサーの皆さん、家族の応援があって、この週末は自信をもってレースに臨むことができました。今回初優勝できたので、この先2勝目、3勝目とどんどん勝ちを挙げていけるよう、これからも頑張ります。
昨年記録したコースレコードを、さらに更新することができました。気温や湿度の高さを考えると、クルマのトータルパッケージでのパフォーマンスはギリギリだったかもしれないと思いますが、その中でパロウ選手が速さを見せてくれましたね。
決勝では、今シーズンこれまでで最も高温のコンディションとなったのでソフトタイヤのタイムダウンが心配されましたが、想定よりもタイムダウンは少なかったことが収穫でもあり課題でもあると考えています。その影響か、ほとんどのチームでこれまでどおりソフトタイヤメインの戦略は変わらなかったようです。
一方で終盤にミディアムタイヤを装着した小林選手が1分36秒085というタイムを記録し、ミディアムタイヤのパフォーマンスをこれまでのレース以上に証明してくれました。これをきっかけに、ミディアムタイヤの印象が変わるのではないかと思っています。
次戦の舞台となる岡山国際サーキットは、昨年雨の中で非常に魅力的なドライバーバトルが展開されました。今年はドライコンディションの中で素晴らしい戦いが見られることと、コースレコードの更新に期待しています。