2019 SUPER FORMULA Round 3 Report

【SUPER FORMULA 第3戦/SUGO】

新しいコースレコードは1分3秒台、
山本尚貴選手が王者の貫禄見せ完勝!!

SUPER FORMULA Round 3

開催日 2019年6月21日-23日
開催場所 スポーツランドSUGO
(宮城県)
天候 晴れ のち 曇り
路面 ドライ
決勝周回数 68周
(1周=3,704m)
参加台数 20台
SUPER FORMULA 第3戦

「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の2019年第3戦がスポーツランドSUGOで開催され、ディフェンディングチャンピオンの山本尚貴選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が従来のコースレコードを破ってポールポジションを獲得。決勝レースでも前を譲らずポールトゥウィンで今季初優勝を飾った。

杜の都、仙台から車で約30分。SUPER FORMULAは東北ラウンドを迎えた。スポーツランドSUGOは1周約3.704kmとコンパクトながら、アップダウンの大きさとコーナーからチャレンジングなレイアウトで、アクシデントも起きやすいサーキット。赤旗で走行セッションが止められることも多く、いかに自分のリズムを崩さず、あるいは臨機応変に対応できるかが重要になる。

今シーズンは悪天候に泣かされることも多いSUPER FORMULAだが、この週末も雨の予報は出ていたものの、セッション中にまとまった雨が降ることはほとんどなく、路面状況もセミウェット~ドライコンディションで予選、決勝が行われた。

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公式予選は、通常全車が出走し20分間で行われるQ1が、10台ずつに分けられ各10分間の走行に変更となった。コースが短く、また平均速度も速いSUGOでは混雑から満足なアタックができないことが多く、それを避けるために通常とは異なる方式が採用された。

それぞれの組の上位6台、合計12台がQ2へ進出する。どちらの組も熾烈な争いで、開幕戦の勝者ニック・キャシディ選手(VANTELIN TEAM TOM’S)や第2戦を制した関口選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)といった実力者たちが脱落。山本選手は後半の組に出走してトップタイムでQ1を突破すると、ソフトタイヤで挑むQ2で1分3秒953をマーク。昨年塗り替えられたばかりのコースレコードを0.7秒近く上回り、新しいレコードタイムを打ち立ててQ3進出を果たした。

Q3は2台のマシンがクラッシュしたために赤旗中断。そのままセッションが終了となり、その時点で唯一アタックタイムを記録していた山本選手がポールポジションを獲得することとなった。フロントローポジションを手に入れたのは野尻智紀選手(TEAM MUGEN)。ルーキーのルーカス・アウアー選手(B-Max Racing with motopark)が自己ベストグリッドの3番手となった。

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決勝日の朝は雲も多かったが、午後になると晴れ間も見えるように。この週末一番のコンディションの中、68周による決勝レースが始まった。ホールショットを奪ったのはソフトタイヤを装着していた山本選手。ミディアムタイヤでのスタートを選択した野尻選手はポジションをキープし、3番手のアウアー選手までは予選通りの順位で1コーナーを通過していく。

野尻選手はオープニングラップが終わるところでピットイン。ここから67周をソフトタイヤで走り切る作戦で、全体の15番手でコースに復帰する。同じように序盤でのタイヤ交換作戦を選んだドライバーが全体の半数近くいたことで、それぞれのピット作業が終わったところで野尻選手の順位は8番手まで戻っていた。レース後半にタイヤ交換を行う山本選手は、ピットロード通過と作業分の時間を野尻選手との間に築かなければならない。

2台の差はしばらく膠着状態が続いたが、20周を超える辺りから山本選手のペースが上がり、じわじわとその差が開いていった。51周目に山本選手がピットイン。この時点で野尻選手とのギャップは50秒以上に開いており、山本選手は実質トップを守ってコースに復帰。同じタイミングでピットへ向かったアウアー選手も野尻選手の前でコース復帰に成功した。

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野尻選手はミディアムタイヤ装着のアウアー選手に迫っていくと、56周目の1コーナーでアウアー選手のインに飛び込むが、オーバースピードでコースアウト。グラベルストップしてしまう。野尻選手はここで戦列を離れることになり、レースはセーフティカーが導入される。

このタイミングで最後までピット作業を遅らせていたアレックス・パロウ選手(TCS NAKAJIMA RACING)がピットイン。山本選手が再びトップへ返り咲き、2番手にアウアー選手、そして3番手には予選5位の小林可夢偉選手(carrozzeria Team KCMG)がつける。

60周を終えたところでセーフティカーがコースを離れ、61周目にレース再開。しかし、このリスタートを狙って加速していく中、周回遅れの車両がスピンを喫しコース上にストップしてしまう。再びセーフティカーランとなり、2度目のリスタートが切られたのは66周目。このチャンスをものにしたのは小林選手で、アウアー選手をとらえ2番手に浮上した。

山本選手は小林選手との間に周回遅れを挟んでいたこともあり、残り3周を独走態勢で走り切ると、見事今季初優勝を遂げた。2位の小林選手は昨年の第6戦岡山大会以来となる表彰台獲得。アウアー選手は自身初の表彰台で、これはB-Max Racing with motoparkにとってもうれしい初表彰台となった。

DRIVER VOICE

山本尚貴 選手 [DOCOMO TEAM DANDELION RACING]

【今回の成績 : 優勝】
チーム移籍後、初めての勝利をポールトゥウィンという完ぺきな形で挙げることができ、うれしく思います。素晴らしいクルマを用意してくれたチーム、スポーンサーの皆さんに感謝しています。ポールポジションからのスタートなので、スタートを決めて逃げ切る作戦を採りました。レース展開にも恵まれ、セーフティカーもあまり影響を受けませんでした。どのサーキットに行っても上位で戦えるレベルにつけることができているので、次戦以降もそれを活かしてチャンピオン争いをしていきたいと思います。

ENGINEER VOICE

高口紀貴 [横浜ゴム MST開発部 技術開発2グループ]

予選では、予想を上回るタイムを山本選手が出してくれました。Q2は比較的安定したコンディションで、コースレコードは想定していましたが、タイムとしては4秒台を考えていたので、“3”という数字が表示された時には本当に驚きました。何シーズンかを戦って、SF19とタイヤの理解が進んだ頃には3秒台も出るだろうとは思っていましたが、こんなに早いタイミングで出るとは思っていませんでしたね。

決勝は、ソフトタイヤでスタートして行けるところまで周回数を伸ばし、最後にミディアムタイヤに替えるという戦略をとった山本選手が優勝しましたが、全体を見ると様々な戦略に分かれていましたね。終盤にセーフティカーは出ましたが、随所に見どころもあって、いいレースだったのではと思います。

次戦は7月、富士大会になります。これまでとコンディションが変わり夏場のレースになって、また戦略が分かれたり、新しい戦略が生まれる可能性もあります。引き続き安全に、そして見どころが詰まったレースになることを期待しています。