【SUPER GT 第5戦 / 富士】
SUPER GT Round 5
開催日 | 2019年8月3日-4日 |
---|---|
開催場所 | 富士スピードウェイ (静岡県) |
天候 | 晴れ |
路面 | ドライ |
決勝周回数 | 177周 (1周=4,563m) |
参加台数 | 44台 (ヨコハマタイヤ装着車 24台) |
全8戦で争われる2019年のSUPER GTは、いよいよシリーズ後半戦に突入。第5戦は富士スピードウェイを舞台に、500マイル(約800km)もの長丁場で競われた。義務づけられたピットストップは4回だ。
気温31度、路面温度41度と、強烈な暑さに見舞われた3日(土)の公式予選では、GT300のQ1を前回に続いて「リアライズ日産自動車大学校GT-R」がトップに。今回記録したのは平峰一貴選手。また、ヨコハマタイヤユーザーは、13台がQ2進出を果たすことにもなった。
Q2に挑んだ「リアライズ日産自動車大学校GT-R」は、サッシャ・フェネストラズ選手がタイムを落とし、6番手に甘んじた一方で、躍進を遂げたのは佐藤公哉選手から5番手でバトンを託された、「HOPPY 86 MC」の松井孝允選手。3戦連続ポールポジション獲得か、と思われたが、0.08秒及ばず。それでも2番手という好位置を得た。
3番手には「RUNUP RIVAUX GT-R」の青木孝行選手と田中篤選手、柴田優作選手が、そして5番手は「GAINER TANAX triple a GT-R」の星野一樹選手と石川京侍選手が獲得。「リアライズ日産自動車大学校GT-R」とも合わせ、富士を得意とするGT-R勢が上位につけた。
GT500では「MOTUL MUGEN NSX-GT」の中嶋大祐選手こそ、あと一歩のところでQ1突破ならなかったものの、前回タイで3位表彰台を獲得した「WedsSport ADVAN LC500は、坪井翔選手がQ1を担当し、3番手を獲得。そして、「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」は、高星明誠選手が7番手につけていた。
続くQ2ではセッション終盤に、クラッシュ車両が発生し残り20秒を残して赤旗終了。そのため全車が納得のアタックはかなわなかったが、その中でも「WedsSport ADVAN LC500」の国本雄資選手が3番手を獲得。「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」も、ヤン・マーデンボロー選手が6番手につけた。
気温31度、路面温度に至っては51度にも達した猛暑の中で始まった4日(日)の決勝レース。序盤から見せ場を作ったのは「WedsSport ADVAN LC500」だった。スタートを担当した坪井選手は、1周目にポジションをひとつ落とすも、接近戦の中で粘り強く戦い、9周目に3番手の座を取り戻す。その後はペースが安定し始め、先行する2台を追いかけた。
一方、「MOTUL MUGEN NSX-GT」は武藤英紀選手が第1スティントを担当したが、予想以上にタイヤの消耗が激しく、18周を終えたところで最初のピットストップを行うことに。これに対し「WedsSport ADVAN LC500」は、レース前から5回ストップ作戦を採っており、25周目にピットイン。給油とタイヤ交換は行なったが、坪井選手が続けて走行した。
「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」は、スタート担当のマーデンボロー選手が周回を重ねるにつれ順位を落とすことになるも、レース中盤に支障が出ぬように33周目まで走って最初のピットストップを行い、高星選手にスイッチする。ライバルも1回目のピットストップを行う中、「WedsSport ADVAN LC500」は39周目にトップに浮上し、55周目に国本選手に交代。74周目にクラッシュ車両の回収のため、セーフティカー(SC)が導入され、この時点で3番手にいた「WedsSport ADVAN LC500」だが、タイヤ交換を済ませたばかりのライバルたちに囲まれ、リスタート後には11番手まで下がる。
一方、レース中盤はペースを取り戻し、100周を超えたところで4番手まで浮上した「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」ながら104周目に白煙を上げ、ピット入口付近で停車。マーデンボロー選手がマシンを降りた後、マシンが炎上する事態となった。これにより2度目のSCが導入されるとともに、リタイアを余儀なくされる。
このSCも「WedsSport ADVAN LC500」には不利に働き、一時4番手までポジションを上げたが、最後のピットストップを終えた時には9番手まで後退。最終スティントを務めた坪井選手は、トップから1周遅れでチェッカーを受けた。「MOTUL MUGEN NSX-GT」は第2スティントでも苦戦が続き、50周目にピットインを強いられ異なるタイヤを導入。だが、これが功を奏して、中盤以降に持ち直し、特に後半は40周を超えるスティントでつないでいけるように。燃料をセーブしながらの走行となったが、6位でフィニッシュ。チームにとって今季ベストリザルトとなった。
GT300ではレース前半と後半の上位陣は、まったく異なるものとなっていた。予選3番手からターボパワーを炸裂させた「RUNUP RIVAUX GT-R」の青木選手が、オープニングラップのうちにトップに浮上。これを「HOPPY 86 MC」の松井選手が追いかけ、11周目に逆転を果たす。
特に「HOPPY 86 MC」はそのままトップを走り続け、最初のピットストップ後も上位につけるも、2度目のピットストップ時にエアジャッキのノズルに損傷があり、ここでロスを抱えたことで流れを逸してしまった感も。終盤にバックマーカーに追突され、リタイアを喫してしまう。また「RUNUP RIVAUX GT-R」もピット作業違反に対するドライビングスルーペナルティを課せられた後、駆動系トラブルでリタイアとなっていた。
代わって主役の座を射止めたのが、「T-DASHランボルギーニGT3」をドライブする、高橋翼選手とアンドレ・クート選手、藤波清斗選手の3人だった。燃費とタイヤのライフに自信があったことから、最初のピットストップをギリギリまで遅らせ、予選13番手から36周目にトップに浮上。クート選手から藤波選手への交代を39周目に行なったばかりか、40周目には早くも高橋選手に交代! 事実上の4スティント状態とし、ロスを最小限にしたのだ。これでいったんは大きく順位を落とすも、周回を重ねるごと順位は徐々に上がっていく。
待望のトップに躍り出たのは藤波選手のドライブ中の122周目。それから3周後にクート選手に交代、ライバルが遅れて最後のピットストップをすべて済ませた139周目には、36秒もの大量のリードを抱えてトップに返り咲く。「T-DASHランボルギーニGT3」は、そのまま逃げ切ってJLOCの87号車としては初めての優勝を飾ることとなった。
3位は「Modulo KENWOOD NSX GT3」の道上龍選手と大津弘樹選手が獲得し、4位は「UPGARAGE NSX GT3」の小林崇志選手と松浦孝亮選手、山田真之亮選手が、そして5位には「マネパ ランボルギーニGT3」の小暮卓史選手と元嶋佑弥選手がつけて、表彰台の独占こそあと一歩で逃したが、ヨコハマタイヤユーザーの活躍が目立った一戦だった。
【今回の成績 : GT500クラス 6位】
熱の影響でちょっと問題があって、予定よりだいぶ早くピットインすることになりました。全部のスティントがかなり長くなりましたが、全員がノーミスでやれたのかなという印象です。正直、よく4ストップで終わることができたなと思っています。タイヤマネージメントはもちろんですが、燃料の計算もけっこうシビアでした。それでもペースも保っていけたのが良かったと思います。改めてチームの力を感じたし、こういう厳しい展開の中でちゃんと入賞して終われたので、ちゃんと自分たちの力がついてきたのかなと感じることができました。
【今回の成績 : GT500クラス 6位】
最初の暑い時間帯に、予想よりも早くタイヤが垂れてしまって、(タイヤを)換えざるを得なかったです。序盤の2スティントは予定より早いピットストップになってしまったので、そのしわ寄せが後半に来ました。ピットを1回増やさなければいけない可能性もありましたが、そこはチームが作戦を練り直して、使うタイヤも変えて、なんとか踏みとどまりました。レースを通してミスはなかったですし、みんなが力を出し切った結果だったと思います
【今回の成績 : GT500クラス 9位】
いろいろ計算をした結果、5回ストップの方がいいんじゃないかと。2スティント目くらいまでは狙っているポジションに対して順調にリードしていました。このまま行ってくれればいいかなと思いましたが、SC導入のタイミングが悪かったです。最初のSCでは僕はかなり使い込んだタイヤだったのに対し、まわりのライバルはタイヤ交換したてで一番美味しい状態でした。そこで順位を守ることができなかったです。2回目のSCのタイミングも、僕たちにとってはメリットにならなかったです。今回はSCですべてが狂ってしまいました
【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
まずチームに「おめでとう!」と言いたいね。パーフェクトな戦略だったと思う。それとヨコハマのタイヤが、僕らにチャンスを作ってくれたと思う。タイヤが良くなければ勝てなかったし、本当にいいタイヤを用意してくれた。ロングランでもバランスの良さを感じていて、1スティント40周の予定だったんだけど、ドライバーみんなでマネージメントできたのも良かったと思う。JLOCのみんなに感謝したい。アリガトウ!
【今回の成績 : GT300クラス 3位】
去年はこのレース走っていないので、500マイルのレースってどうなのかなって思っていたんですが、今回は確実に自分たちの仕事はこなせたと実感できるレースになりました。特に後半はペースも良く、特に気温が下がってからはタイヤとのマッチングも良かったので、NSX同士の戦いに大津が勝ってくれて、表彰台に立つこともできました。ただ、片側交換とか無交換とか、そういうのは僕らの中ではまだ作戦は立てられませんね。
【今回の成績 : GT300クラス 4位】
今回、自分たちはミディアムハードとハードを持ってきたんですけど、路面温度の高い中、柔らかい方で最後まで保ってくれて、タイヤはノートラブルで、いいパフォーマンスを発揮してくれました。最後に抜かれちゃって、4位になって悔しいんですけど、今年は僕落選続きだった中、こういう長いレースで表彰台争いできたのは良かったですし、今シーズン初ポイントでもあるので、次に向けて弾みがついたと思います。
ようやくGT300で連勝することができました。ラッキーな面もありましたし、荒れ気味なレースでしたが、勝った87号車(T-DASHランボルギーニGT3)にとっては初優勝ですから、それも良かったと思います。GT300は作戦の幅が大きく取れるのが特徴ですが、まさかああいう作戦に出るとは思っていなくて。ちょっとびっくりもしました!
GT300に関しては意外に暑くて、想定の範囲内ではあったのですが、厳しいかも……と思っていましたけど、むしろうまくはまってくれた感じでした。実のところ、GT500も同様に厳しいレースを予想していました。実際結果は今ひとつではありましたが、車種によって厳しい状況もあったのですが、レース全体を見るとレース内容やレースラップに関しては引けを取っていなかったと思います。今までの改善が少しずつ成果を見せていると考えています。
前回のタイから流れは悪くなっていませんし、次回のオートポリスは事前にテストができるので、この流れに乗って全ユーザーが良い結果を残せれば、と思っています。