2019 SUPER GT Round 4 Report

【SUPER GT 第4戦 / チャーン(タイ)】

GT300でヨコハマタイヤ勢がワン・ツー・フィニッシュ、
GT500はWedsSport ADVAN LC500は今季初の3位表彰台!!

SUPER GT Round 4

開催日 2019年6月29日-30日
開催場所 チャーン・インターナショナルサーキット
(タイ・ブリーラム)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 66周
(1周=4,554m)
参加台数 39台
(ヨコハマタイヤ装着車 19台)
SUPER GT 第3戦

SUPER GTの第4戦が、タイのチャーン・インターナショナルサーキットで開催された。今年で6回目の開催となるが、強烈な暑さをもライバルとする戦いは、もはや必至といえた。ところが、こと予選に関しては開始時点での気温は32度とそう暑くなく、路面温度も40度で時折さわやかな風も吹いて、過ごしやすくもあった。

GT300のQ1トップは「リアライズ日産自動車大学校GT-R」のサッシャ・フェネストラズ選手が獲得し、ヨコハマタイヤユーザーは12台がQ2進出に成功。続くQ2では早々と「HOPPY 86 MC」の松井孝允選手が1分32秒台に乗せ、自らの持つレコードタイムにあと一歩と迫るが、直後に「リアライズ日産自動車大学校GT-R」の平峰一貴選手に逆転を許す。

しかし、松井選手にとって限界はさらに先にあった。続いてのアタックで1分31秒839を新たなレコードタイムとして記すとともに、2戦連続で佐藤公哉選手とともに駆る、「HOPPY 86 MC」を決勝の最前列に並べることに成功する。2番手には「リアライズ日産自動車大学校GT-R」が、そして「D’station Vantage GT3」の藤井誠暢選手とJ.P.デ・オリベイラ選手が3番手を獲得した。

GT500では「MOTUL MUGEN NSX-GT」の武藤英紀選手こそ、Q1で13番手に留ったものの、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の高星明誠選手は4番手、「WedsSport ADVAN LC500」の坪井翔選手は5番手でQ1突破に成功。

Q2では坪井選手のパートナー、国本雄資選手が渾身のアタックを見せ、従来のレコードタイムに9/1000秒差に迫るタイムを記録してトップに立つ。これでポールポジション獲得かと思われたが、終了間際に1台の逆転を許し、「WedsSport ADVAN LC500」は2番手に。そして「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は、ヤン・マーデンボロー選手が6番手を獲得した。

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日曜日の決勝は気温が35度にも達し、ようやくいつもどおり灼熱のコンディションの中で、レースは開始された。2番手スタートの「WedsSport ADVAN LC500」の国本選手は、序盤からトップを追い回す勢いを見せたが、6周目に3番手に後退の後、徐々にペースが上がらなくなり、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の接近を許すことに。マーデンボロー選手は1周目の混戦をうまく抜け出してからは、その後も順調なペースで上位を追いかけていたのだ。

26周目のターン3でマーデンボロー選手は、国本選手に並びかけたが、ここでは順位は変わらず。その一方で、後方から迫ってきた車両が4番手浮上を狙っていたが、サイド・バイ・サイドでの戦いの結果、やはり順位の入れ替わりはなし。直後の27周目に、2台はピットイン。「WedsSport ADVAN LC500」は坪井選手に、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は高星選手に交代する。

一方、「MOTUL MUGEN NSX-GT」は武藤選手がスタートを担当、混戦の序盤に順位を上げ、一時は11番手に浮上するも、そこからペースを上げることができず順位を落としていた。33周目にピットに入り、中嶋大祐選手と交代するが、36周目にバトルを繰り広げていた車両と接触し、そこに行き場をなくした後続車両が突っ込むアクシデントが発生。この接触で右フロントの足回りにダメージを負った「MOTUL MUGEN NSX-GT」はピットに戻ってきたものの、そのままリタイアとなってしまう。

このアクシデントでコース上に留まった車両が出たため、セーフティカー(SC)がコースイン。この時点で「WedsSport ADVAN LC500」は6番手、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は8番手を走行していたが、43周目にSCが解除されると、それまでに差も詰まっていたこともあって、上位での混乱の隙に2台とも順位を上げ、坪井選手は3番手に浮上。高星選手も着実な追い上げで4番手まで順位を上げた。

終盤は2台ともペースが上がらず苦しい展開となったものの、しっかりポジションは守り抜いてゴール。「WedsSport ADVAN LC500」は昨年の第7戦以来となる、今季初の表彰台を獲得した。「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」も4位入賞を果たし、高星選手はファステストラップも記録。ともに今季ベストリザルトとしていた。

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GT300ではポールスタートとなった「HOPPY 86 MC」の佐藤選手ながら、加速に勝る「リアライズ日産自動車大学校GT-R」のフェネストラズ選手に、1コーナーを立ち上がった直後のストレートでかわされてしまう。それでもしばらく2番手をキープし続けた一方で、激しい3番手争いを繰り広げていたのが「D’station Vantage GT3」のデ・オリベイラ選手と「GAINER TANAX triple a GT-R」の星野一樹選手を含む3台。

この攻防から抜け出したオリベイラ選手は、やがて佐藤選手にも迫っていき、逆転を果たすことに。一方で、あらかじめタイヤ無交換を決めていた佐藤選手は、今は我慢の時とタイヤセーブに徹することとなる。

その間にも逃げ続けていたフェネストラズ選手は最大11秒とまでしていた、リードが5秒を切るまでにオリベイラ選手に迫られていたが、29周目にピットに入ってコース上での逆転を許さず。それから間もなくGT500のアクシデントによってSCが入る。

「D’station Vantage GT3」は直前に入ってロスを最小限とすることができたが、藤井選手がコースに戻ると、「リアライズ日産自動車大学校GT-R」の平峰選手の後ろに。再スタートが切られた後に逆転を試みるが、バックマーカーに行く手を拒まれたばかりか、接触によるダメージがやがてタイヤに及んで、大きく順位を落とすこととなる。

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41周目に「リアライズ日産自動車大学校GT-R」がトップに返り咲き、そして2番手には「GAINER TANAX triple a GT-R」の石川京侍選手がつけていた。この時点での差は1秒強。しばらくは着かず離れずの展開が続いたが、ゴール間際になって差が一気に詰まり、平峰選手がGT500に進路を譲ってインを開けたターン5で、石川選手が切れ味鋭く逆転に成功。優勝を飾ることとなった。そして、GT-Rとヨコハマタイヤユーザーによるワン・ツー・フィニッシュも達成された。

4位はタイヤ無交換作戦で「HOPPY 86 MC」が獲得し、5位は予選21番手から激しい追い上げを果たした「マネパ ランボルギーニGT3」の小暮卓史選手と元嶋佑弥選手が獲得した。

DRIVER VOICE

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN LC500]

【今回の成績 : GT500クラス 3位】
最初の3周以内にトップに立とうと思っていたのですが、チャンスをうまく作れず、トラフィックに引っかかったところで3番手に落ちてしまって……。前の2台が速くて「まずいな」と思っていたところで、ミニマムでピットインして何とかポジションをキープすることができました。今週末トータルでいうと3位になれる力はなかったけれど、ひとりひとりの力がうまく組み合って、すごいチーム力を発揮できたレースになったと思います。

坪井  翔 選手 [WedsSport ADVAN LC500]

【今回の成績 : GT500クラス 3位】
前半の国本選手からタイヤがきついという話は聞いていて、同じタイヤで僕も行く予定だったので、相当タイヤをいたわらないと後半が苦しくなると。うまくマネージメントしながら走っていたら、幸いなことにSCが入って、前とのギャップが詰まったのでチャンスだと思いました。さらにSC明けのペースが良かったので、トップ2台にも追いつけていたのですが、最後の10周はリヤタイヤがきつくなって。最後の10周なんとか踏ん張り抜きました。

星野一樹 選手 [GAINER TANAX triple a GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
タイのコースではクルマだけじゃなくて、ヨコハマタイヤさんがすごく強くて、ぼくはここで3勝すべてヨコハマタイヤさんに挙げさせてもらっているのですが、常にロングのペースが良くて、なおかつ1周のパフォーマンスも高いっていう、最高のタイヤを用意してもらっていることも勝因だと思っています。京侍の走りも安心して見ていられて、2位表彰台かと思ったら、最終ラップにニューヒーロー誕生。騒ぎすぎて今、声が出ないほど(笑)。本当に嬉しいです!!

石川京侍 選手 [GAINER TANAX triple a GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
素直に嬉しいです!! 予選こそ7番手でしたが、レース展開も良くてSCのタイミングも良く、硬めのタイヤを使っていたから最後まで粘っていれば、どこかでチャンスが来るかなと思っていたんですが、なかなかチャンスはやってこなくて。でも、最後の最後、行くしかないと思って抜けた感じですね。GT300のヨコハマさん、初優勝に貢献できて嬉しいですし、チームもすごいいい仕事をしてくれました。チーム一丸になって獲れた勝利だと思います。

平峰一貴 選手 [リアライズ日産自動車大学校GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
いいレースはできたと思います。サッシャが序盤に逃げてくれたのですが、差を詰められた理由は今、検証中です。ピットの作業もすごく速くて、僕はトップで戻れたのも良かったです。そのまま逃げたかったんですが、仕方ないですね。向こうの方が同じ車でもウエイトが軽かったというのもあるでしょうし。とりあえず、一戦ごと少しずつ順位を上げていって、新規チームでも表彰台に立てて良かったんじゃないでしょうか。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

GT300はようやく優勝、2位とワンツーということで。ただ、本当は予選からユーザーさんたちは速さを見せていたので、表彰台を独占できたらもっと良かったんですけど、今は本当にホッとしています。25号車(HOPPY 86 MC)に関しては新しく入れたタイヤが良くて、基本的に今後それをベースとして、さらに開発していく予定です。構造を変えて一発もロングも両方向上できるような構造で確認できたので。25号車にリスクを取ってもらったおかげです。

GT500もやはり一発は何とか出せるのですが、レースラップで若干劣っていたかな、というところはありました。本当にもう少しというところでしたが、19号車(WedsSport ADVAN LC500)も24号車(リアライズコーポレーションADVAN GT-R)に関しても良いペースでレースができたので、今回は本当に、今までの前半戦を思えば、ずいぶんいいレースができるようになったと思います。

次回の富士ではGT300に関しては、今度こそ表彰台を独占したいですね!! GT500に関してはまだまだ課題は多いですが、前回の富士よりは良い結果が出せるように、しっかり準備していきたいと思います。