2019 SUPER GT Round 3 Report

【SUPER GT 第3戦 / 鈴鹿】

ADVICSマッハ車検MC86マッハ号がGT300で準優勝を獲得、
GT500はWedsSport ADVAN LC500が7位で、2台が入賞果たした!!

SUPER GT Round 3

開催日 2019年5月25日-26日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 52周
(1周=5,807m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 24台)
SUPER GT 第3戦

激戦続くSUPER GTは今回が第3戦と、早くも中盤戦に突入することになった。その舞台は鈴鹿サーキット。予選は今回も天候に恵まれたが、やや恵まれすぎの感も。5月とは思えぬ暑さの中での走行となった。

GT300の公式予選開始時点での気温は31℃で、路面温度は48℃と、まるで真夏並みのコンディションの中、Q1トップは「ADVICSマッハ車検MC86マッハ号」の坂口夏月選手が獲得し、2番手は「HOPPY 86 MC」の佐藤公哉選手、3番手は「シンティアム・アップル・ロータス」の加藤寛規選手でマザーシャシー(MC)勢が上位を独占。ヨコハマタイヤユーザーは11台がQ1突破を果たす。

Q2でもMC勢の快進撃は続き、実に0.8秒のタイムアップを果たした「HOPPY 86 MC」の松井孝允選手が、自身4回目のポールポジションを獲得し、3番手には「ADVICSマッハ車検MC86マッハ号」の平木湧也選手がつけた。

GT500のヨコハマタイヤユーザートップは「MOTUL MUGEN NSX-GT」。予選一発の速さに、何かプラスな要素を見つけたようだ。武藤英紀選手が担当したQ1は、7番手で通過。続くQ2では中嶋大祐選手が6番グリッドを獲得した。ホンダ勢の最上位とはならなかったが、確実に良い流れを持った状態で予選を終える。

一方、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は、公式練習で2番手とあって予選でも上位進出が期待されたものの、Q1では高星明誠選手が公式練習での速さを再現できず13番手。「WedsSport ADVAN LC500」は国本雄資選手がQ1を担当。いち早くコースインしタイムアタックを試みたが、Q2進出ラインに0.2秒届かず11番手に終わった。

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迎えた日曜日の決勝レース。上空には薄雲がかかって、若干日差しが和らぎ、気温は29℃、路面温度は41℃と、この時期本来の暑さに戻ったような感もあった。その決勝では、いきなりの波乱も……。「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」のヤン・マーデンボロー選手がスタートラインを通過前に他車を追い越し、ドライビングスルーペナルティを受ける羽目に。これによりレース序盤から大きな遅れをとってしまう。

6番手スタートの「MOTUL MUGEN NSX-GT」は、武藤選手が序盤から思うようにペースを上げることができず、4周目にポジションをひとつ下げると、後続の先行を徐々に許し、17周目には9番手に後退。対照的に「WedsSport ADVAN LC500」は序盤から好ペースで周回し、6周目に1台をパスし10番手に浮上。第1スティントを担当した国本選手が順調な走りを見せ、上位の集団に食らいついていった。

17周目にGT500の1台がクラッシュし、セーフティカー(SC)が導入される。ちょうどレース全体の3分の1を経過していたこともあり、ヨコハマタイヤユーザーの3台はこのタイミングでピットストップを行うことを決断。22周を終えてセーフティカーが解除されたタイミングで、揃ってドライバー交代を行なった。

その中でも迅速な作業を「MOTUL MUGEN NSX-GT」が見せた。序盤に抜かれた数台のマシンをピットストップで逆転し、5番手まで挽回。さらに中嶋選手のペースも良く、安定した走りでポジションをキープする。

しかし、36周目の200Rを過ぎたところで左リアタイヤにトラブルが発生。なんとか自走でピットまで戻り、再び戦列に復帰するも、この間に1周遅れの13番手まで後退。終盤に他車の後退でひとつ順位を上げ、12位でチェッカーを受けた。悔しい結果にはなったものの、レースペースなどの内容面では良い手応えをつかんでいた様子だった。

そして「WedsSport ADVAN LC500」は坪井翔選手が後半を担当。特に他車と接近してのバトルになることもなく、淡々としたレース展開となったが、最終的に7番手まで順位を上げてフィニッシュ。今季2度目のポイントを獲得した。高星選手が後半を受けた「リアライズコーポレーション ADVAN LC500」は、SC導入でペナルティの遅れを取り戻し、上位を目指して粘り強く走行。最後は後続のライバルに迫られてしまったが、8位まで上げて今季2度目の入賞を果たした。

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GT300はポールからスタートした「HOPPY 86 MC」の佐藤選手がトップをキープした一方で、「ADVICSマッハ車検MC86マッハ号」の平木選手は1周目に5番手、2周目には6番手にまで順位を落としてしまうも、その後はポジションキープの展開に。しばらくは上位にこう着状態が続くも、GT500にクラッシュがあり、17周目からSCがコースイン。これが何より痛手になったのが「HOPPY 86 MC」だった。2番手につけていた2秒ほどのマージンを失ったからだ。

3周後のSCラン明けに上位陣の多くがドライバー交代を行い、最初にピットを離れたのは「HOPPY 86 MC」の松井選手で、次いで「ADVICSマッハ車検MC86マッハ号」の坂口選手、ともにタイヤは無交換。その後にドライバー交代を行なった車両1台に割って入られるも、全車がピットを済ませると「HOPPY 86 MC」はトップをキープしたまま。そのまま逃げ切るものと思われた。

だが、その松井選手のペースが今ひとつ。2番手の車両が徐々に迫り、42周目には逆転を許す。そればかりか坂口選手も急接近。そんな中、坂口選手は44周目の2コーナーでGT500の車両に追突されてスピン、万事休すかと思われたものの、すぐに立て直して1台には抜かれたが、なんと次の周にはその車両を抜き返して、再び松井選手に迫っていく。

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最終ラップに突入した段階で「HOPPY 86 MC」と「ADVICSマッハ車検MC86マッハ号」の差はコンマ1秒を切るまでに。それでもシケイン直前までは松井選手が逆転を許さず、これで勝負あったかと思われた直後に痛恨のオーバーラン、その脇を坂口選手がすり抜ける。再始動に手間取ったこともあり、松井選手は5位でのゴールがやっと。一方、労せずして「グッドスマイル初音ミクAMG」の谷口信輝選手もひとつポジションを上げていた。

今季初の入賞で表彰台を得たばかりか、望外の2位という結果まで獲得しただけに、「ADVICSマッハ車検MC86マッハ号」のピットは歓喜に包まれ、「10何年やって、やっとだよ!」と玉中哲二チーム代表は安堵の表情で語っていた。4位は谷口選手と片岡龍也選手の「グッドスマイル 初音ミクAMG」で、5位は前述のとおり「HOPPY 86 MC」。7位は道上龍選手と大津弘樹選手の「Modulo KENWOOD NSX GT3」、8位はリチャード・ライアン選手と富田竜一郎選手の「Hitotsuyama Audi R8 LMS」が獲得した。

DRIVER VOICE

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN LC500]

【今回の成績 : GT500クラス 7位】
まずまずのペースで走ることができましたし、途中で23号車をオーバーテイクできて、良いレースができたと思います。途中SCが入って、レース再開の時に坪井選手に代わってからは、単独での走行でしたが、まわりのトラブルなどもあり、7位でゴールすることができました。前回の富士では少し厳しかったですが、今回はしっかりとレースをすることができて、すごくポジティブな週末となりました。次戦のタイ大会も気を引き締めて戦いたいと思います。

中嶋大祐 選手 [MOTUL MUGEN NSX-GT]

【今回の成績 : GT500クラス 12位】
順位を落としたのは残念でしたが、それまではけっこう良い調子でした。結果としては残念ですが、昨年よりも良い位置で戦えているので見てのとおりです。そういう意味で、そこまで悲観していないというか、次戦のタイ大会がすごく楽しみですね。ウェイトハンデも僕たちは“残念ながら”ものすごく軽い状態で次のレースに行けるので、タイでしっかりと良い結果を出したいです。

坂口夏月 選手 [ADVICSマッハ車検MC86マッハ号]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
僕はTEAM MACHに所属して3年目ですが、今まで悔しいレースが多かったので、表彰台という結果でやっと恩返しができて、まずはホッとしています。決勝では平木選手がちゃんとタイヤマネージメントしてくれたので、僕はコンスタントにタイムを刻めて、その点は良かったですね。終盤に追突があって、正直もう表彰台は厳しいなと思ったんですが、最後の最後に2番手に上がれたので、諦めずに走って良かったです。

谷口信輝 選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
うちのタイヤも決して元気だったわけじゃないけれど、あの手この手使って頑張って走ったら、なんとか4位で終われて良かったです。でも正直、負けていますよね、よそに。苦しい中、なんとか取りこぼさず、我慢して耐えて、着実にポイントを獲れているのは良かったんですけど、今後に向けてはヨコハマさんと力を入れて、いいのを作らないとチャンピオン争いには加われないと思います。

佐藤公哉 選手 [HOPPY 86 MC]

【今回の成績 : GT300クラス 5位】
仕方ないですね。ただ僕自身、内容的には収穫が多くて、勉強にもなりました。MCで初めてドライコンディションでレースできたから、『こういうことか、ああいうことか』っていろいろ分かったので。最後に何があったのか、クルマが帰ってきてから検証してみないと分かりませんし、タイヤに関しても。僕のスティントからいろいろできたことがあったかもしれませんが、今後に向けてはそのあたりは、プラスにしていきたいと思います。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

本来GT300はここで勝たなければいけないレースでした。ここを落としたのは痛いです。25号車(HOPPY 86 MC)に関しては残念でした。でも5号車(ADVICSマッハ車検MC86マッハ号)は若いドライバーが頑張っていましたし、クルマに関しても今年は速くなっているのが外から見ても明らかなので、今後の活躍が期待できますね。本当に、チームもドライバーも頑張ってくれました。

GT500では16号車(MOTUL MUGEN NSX-GT)がずっと上位を走っていたのに、タイヤにトラブルが起きてしまい、確認したのですが何が原因かまだ分かっておらず、詳細に解析して原因をつかまなくてはいけないと思っています。ペースが良かっただけに残念です。他の2台に関しては、近いポジションのクルマのラップタイムが他社さんも伸びず、拮抗した中での走行でしたが、うまく耐え抜いてくれたことがポイント獲得につながったと思います。早めのピットだったのでセカンドスティントは長くなってしまいましたが、ドライバーが頑張ってくれました。

次のタイは暑いですが、鈴鹿の暑さとは違うので、それほど心配していません。なので今度こそGT300は優勝を、GT500は今季ベストの結果を目指したいと思います。