2019 SUPER GT Round 2 Report

【SUPER GT 第2戦 / 富士】

またも天候に翻弄されるかたちとなったSUPER GT、
小暮卓史選手が元嶋佑弥選手とともにGT300初の表彰台へ!!

SUPER GT Round 2

開催日 2019年5月3日-4日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 雨 のち 曇り
路面 ウェット ~ ドライ
決勝周回数 110周
(1周=4,564m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 24台)
SUPER GT 第2戦

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全8戦で争われるSUPER GT・第2戦の舞台は、富士スピードウェイ。10連休となるゴールデンウィークの真っ最中に、しかも改元となった令和最初のレースとして開催された。

予選はコンディションに恵まれ、Q1の開始時は気温22度、路面温度36度と、季節的に理想的な状態からの開始となった。GT300ではQ1突破なった16台中11台がヨコハマタイヤユーザーという好調な滑り出しの中、Q2でもその勢いは保たれた。ポールポジションを獲得したのは「リアライズ日産自動車大学校GT-R」。Q1でサッシャ・フェネストラズ選手が2番手につけ、Q2では平峰一貴選手がコンマ8秒もの短縮を果たし、レコードタイムまであと一歩と迫ることとなった。

また、2番手も佐藤公哉選手からバトンを託された松井孝允選手のドライブする「HOPPY 86 MC」が、そして3番手も坂口夏月選手からバトンを託された平木湧也選手のドライブする「ADVICSマッハ車検86MCマッハ号」が獲得し、ヨコハマタイヤユーザーはトップ3を独占する。

一方、GT500ではQ1からタイムアタックをするタイミングが各車によってバラける展開となったが、朝の公式練習から手応えをみせていた「MOTUL MUGEN NSX-GT」は武藤英紀選手がQ1を担当。計測3周目に8番手に浮上し、Q2進出を決めた。Q2では、ヨコハマタイヤユーザーとして唯一進出した「MOTUL MUGEN NSX-GT」は中嶋大祐選手がアタックを担当。従来のコースレコードにあと一歩と迫るタイムを叩き出し、ホンダ勢最上位ともなる4番グリッドを獲得した。

決勝レースはスタート直前に雨が降り出し、GT500は各車ともにウエットタイヤを装着。セーフティカースタートとなり、3周目からバトルが開始された。「MOTUL MUGEN NSX-GT」は武藤選手が第1スティントを担当。スタート直後の1コーナーで日産GT-Rの1台を抜き3番手に浮上する。しかし、その周の後半で少し膨らんだコーナーリングによりポジションダウン。その後も力強い走りを見せたものの、ライバルたちの先行を許して6周目には10番手となった。

一方、「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」は高星明誠選手、「WedsSport ADVAN LC500」は坪井選手がスタートドライバーを担当。2台とも序盤はライバル複数台と抜きつ抜かれつのバトルをしながらも、それぞれ10周を終えた時点でそれぞれポジションをひとつずつ上げる。

13周目に入ったところで雨が強くなりセーフティカー(SC)が導入。その後も雨足は強まる一方で、15周目に赤旗が出されることに。約30分の中断ののち、SC先導でレースが再開される頃には雨もやみ、路面は徐々に乾き始めていく。37周を終えた「WedsSport ADVAN LC500」がピットイン。国本雄資選手に交代するとともにドライタイヤを装着。翌周には残る2台のヨコハマタイヤユーザーもピットイン。「MOTUL MUGEN NSX-GT」は中嶋選手に交代し、「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」はマーデンボロー選手が第2スティントを担当した。

しかし、想定よりも低い気温と路面温度になったこともあり、3台とも思うようにペースを上げることができない。「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は63周目にピットインしてタイヤ交換を行ない、再び追い上げを試みるも、68周目に車両トラブルが発生し再びピットイン。ガレージ内での修復作業を余儀なくされた。これによりトップから7周遅れとなるも、修復を終えてコースに復帰を果たした。

70周を過ぎると各車2回目のピットストップを敢行。「MOTUL MUGEN NSX-GT」は74周目にピットインし再び武藤選手が乗車し、「WedsSport ADVAN LC500」も75周目に坪井選手が再びマシンに乗り込んだ。また93周目には「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」が最後のピットストップを行い、再び高星選手に交代。最終的に14位でチェッカーを受けた。

「MOTUL MUGEN NSX-GT」の武藤選手は一時7番手まで順位を上げるも、タイヤが苦しくなり始め徐々に順位を落とす我慢の展開を強いられた。それでも、持てる力のすべてを出して武藤選手はマシンをゴールへと運んだが、ポイント圏内に一歩及ばず11位でレースを終えた。そして「Weds Sport ADVAN LC500」は、89周目にタイヤ交換のみを行うためにピットイン。これにより13番手まで後退を余儀なくされ、そのままの順位でフィニッシュした。

GT300はポールスタートの平峰選手がドライブする、「リアライズ日産自動車大学校GT-R」のリードからレースは開始されるも、降りしきる雨がペースを乱し、トップを走れたのは5周のみ。また「HOPPY 86 MC」の松井選手も同様にペースが上がらず、徐々に順位を落としてしまう。逆に順位を上げてきたのが、「Modulo KENWOOD NSX GT3」の大津弘樹選手で、予選は8番手だったものの、4周目には4番手に浮上する。

雨量が増したことから12周目からSCが入り、15周目には赤旗が出てレースは中断。再開後の18周目に先行車両のオーバーシュートにより、大津選手はひとつ順位を上げ、さらなる上昇の期待が込められたが、早めのドライバー交代が裏目に出たのと、やがてマシントラブルに見舞われて大きく順位を落とす。

雨はやんで路面は徐々に乾いていったことから、36周目に早めのドライバー交代とドライタイヤへの交換を行なっていたのが、それまで8番手を走行していた「マネパ ランボルギーニGT3」。これが功を奏し、元嶋佑弥選手からハンドルを託された小暮卓史選手は、一気に4番手にまでジャンプアップを果たす。さらに62周目には1台を抜いて、3番手に浮上。そして、37周目にフェネストラズ選手に代わった「リアライズ日産自動車大学校GT-R」は、引き続き2番手を走行していた。

この2台は75周目、同時にピットイン。揃って早めに交代していた1台に抜かれてしまうも、ペースは決して悪くない。平峰選手が前を行く車両を攻め続けていくが、抜ききれなかったばかりかタイヤを酷使してしまったことが、裏目に出てしまう。そこで勝負に出たのが元嶋選手だった。徐々に差を詰めていき、ラスト5周となる100周目の1コーナーで元嶋選手は、平峰選手をかわして3番手に浮上する。その結果、「マネパ ランボルギーニGT3」の小暮選手はGT300以降から2戦目にして、早くも表彰台に上がることとなった。

4位は「リアライズ日産自動車大学校GT-R」で、6位は「グッドスマイル初音ミクAMG」が獲得した。

DRIVER VOICE

武藤英紀 選手 [MOTUL MUGEN NSX-GT]

【今回の成績 : GT500クラス 11位】
ウエット路面のスタートになり厳しい状況になってしまいましたが、自分なりには限界を攻めて走り、大祐にバトンを渡しました。ドライタイヤで挽回してくれたので、自分も意気込んで最終スティントに行きましたが、8周目くらいからグリップレベルが落ちてしまい、辛かったです。でも最後までなんとかコントロールしてチェッカーを受けました。この結果を受け止めて、今後の開発につなげることができればと思います。

坪井 翔 選手 [WedsSport ADVAN LC500]

【今回の成績 : GT500クラス 13位】
今週は本当にいいことがなかったです。予選も決勝も正直ダメでした。ドライコンディションになってからグレーニングが出てしまって全然タイヤが持ちませんでした。仮に予選順位が前でも、ちょっとどうにもならない感じでした。もう一度タイヤも含めて見直さないといけないのか、というくらい今回は悪かったです。でもクルマはすごく良かったので、あとはそこにタイヤをどうマッチさせるかだと思います。

高星明誠 選手 [リアライズコーポレーションADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 14位】
ウエット路面では最初が良かったのですが、徐々に雨量が減ってきてからは速さが出せなくて正直苦しかったです。予定より早い1回目のピットストップとなりましたが、そのタイミングが良かったのか8番手まで行けましたが、ロングランのペースが悪くて、タイヤにグレーニングが起きて全然持たなかったです。そこが次のレースに向けての課題になってしまったなと思います。そこはタイヤを開発してもっと安定するタイヤを目指さなきゃいけないと思います。あとタイヤだけじゃなくてクルマのポテンシャルも足りていないと思うので、そこも一緒に改善していきたいです。

小暮卓史 選手 [マネパ ランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
表彰台に上がれて、本当に良かったです。クルマも速かったし、元嶋選手が最後に抜いてくれたのは、本当に嬉しかったですね。ペースも良かったので、決勝は期待を持って挑めました。タイヤは僕のセッションはフロントが少し厳しかったんですが、最小限に抑えて行けました。次の鈴鹿ではウエイトも多少重くなりますが、まだまだ狙える位置だと思うので、なんとか元嶋選手と力を合わせて、また表彰台を目指します。鈴鹿もきっといいレースができると思っています。

平峰一貴 選手 [リアライズ日産自動車大学校GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
実質、僕らはこれが最初のレースのようなものなので、これで良しとします。タフなレースでした。タイヤは最後ちょっときつかったですね。NSXを追いかけるのに厳しくしちゃって、最後ランボに抜かれちゃいましたけど、いいレースはできたんじゃないかと思います。荒れ模様の展開の中、とりあえず自分たちのレースはできたんじゃないかと思います。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

本当にアンラッキーな感じで、特にGT300のユーザーさんには迷惑かけてしまいました。雨がなければ、もっと違った結果になったと思いますが、本当に申し訳なく思います。予選の時のコンディションが、かなり我々のタイヤに合っていただけに、本当に残念です。

雨さえなければ、レースはまったく違った戦いになっていたと思います。競争をガチガチやっていて大きな差がない中で圧倒的に勝つというのは難しいですけれど、十分戦えるレベルにあると思うので次戦は雪辱を果たしたいですね。

GT500に関しては、気温がすごく下がったことでタイヤのレンジ、下側を外してしまいました。もう、どうにもこうにもならないという状況になり、必要以上にピットを重ねざるを得なかったという状況で……。すごく残念なレースになってしまいました。ずっと濡れていれば、十分ではないですけど、今までよりパフォーマンスは上がってきているのですが、ドライアップしていく状況の中でうちのパフォーマンス不足が、やっぱりまだまったく改善されていないというのが明らかになってしまいました。

次の鈴鹿では、GT500は今年のベストリザルトが出せるように頑張りたいと思いますし、GT300は今回同様、予選からいいところが見せられるんじゃないかと思っています。