2018 FIA WTCR Japan Report

【FIA WTCR 日本/鈴鹿】

アルファロメオとプジョーが存在感を見せた日本ラウンド、
レース3はタルクィーニ選手が制してランキング単独首位に!!

FIA WTCR Japan

開催日 2018年10月26日-28日
開催場所 鈴鹿サーキット
(日本)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 Race 1 : 11周
Race 2 : 9周
Race 3 : 11周
(1周=5,807m)
参加台数 25台
2018 FIA WTCR Japan

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今年から発足したFIA WTCR(ワールド・ツーリングカー・カップ)が、待望の日本初上陸を果たした。戦いの舞台は鈴鹿サーキット(三重県)、5,807mの国際レーシングコースでヨコハマタイヤが足元から支えている熱く激しい接近戦が多くのファンを魅了した。

TCR規定車両で世界各地を転戦して競われるFIA WTCRだが、同車両では地域ごとのシリーズも多数開催されている。そして鈴鹿では10月27日(土)に日本でのシリーズ発足についての記者発表会が行われ、2019年に5~6戦のカレンダーで「TCR ジャパンシリーズ」が発足することと、そのワンメイクタイヤサプライヤーをヨコハマタイヤがつとめることが発表された。

そんなTCR車両でのレースで世界の頂点に立っているFIA WTCRだが、今シーズンは7車種が参戦。鈴鹿には合計25台がエントリー、大ベテランから躍進著しい若手まで個性的なドライバーの顔ぶれが揃った。そしてFIA WTCRではデータを基にウェイトやエンジンパワーで性能調整が施されるが、今回はプジョーとアルファロメオが存在感を大きく見せる展開となった。

金曜日の予選で、レース1のポールポジションはオーレリアン・コンテ選手(プジョー)、セカンドグリッドはケビン・チェッコン選手(アルファロメオ)がそれぞれ獲得。さらにノックダウン方式で行われるレース2と3のグリッドを決する予選でも両者は速さを見せ、共にQ3まで勝ち残った両者はチェッコン選手がトップタイム、コンテ選手が3番手タイムをマーク。2番手はガブリエレ・タルクィーニ選手(ヒュンダイ)、そしてリバースグリッドによりレース2のポールポジションとなる10番手にはペペ・オリオラ選手(クプラ)が食い込んだ。

土曜日午後に行われたレース1は、予選中の低速走行が危険行為と見なされて6選手がグリッド降格のペナルティを受けてしまった。上位では3~5番手タイムをマークした選手が対象となり、イヴァン・ミューラー選手(ヒュンダイ)やメルディ・ベナニ選手(フォルクスワーゲン)が繰り上がったグリッドからスタートを迎える。

混乱無くレースはスタート、2周目に入ってチェッコン選手が前を行くコンテ選手に仕掛けていく。1コーナーではコンテ選手が抑えたものの、130Rで一寸の隙をついてチェッコン選手が先行、トップが入れ替わった。しかし3周目、インカット防止のタイヤバリアに接触した車両があり、移動したバリアを修復するためにセーフティカーが導入される。

2周回のセーフティカーランを挟んでリ・スタート、ところが翌周にコースオフ車両が生じて2回目のセーフティカー導入となる。2回目の仕切り直し、そのリ・スタートでもしっかりチェッコン選手はトップを守ってマシンをフィニッシュまで運び、アルファロメオがFIA WTCR初優勝を飾ることに成功。2位争いはミューラー選手が度々コンテ選手に詰め寄るも、これをかわしてコンテ選手がチェッカー。ミューラー選手は3位となり、これによってシリーズランキングでタルクィーニ選手と同点首位で並ぶこととなった。

一夜明けた日曜日は、朝から快晴に恵まれた鈴鹿サーキット。11時05分にスタートしたレース2は、好スタートを決めた2番グリッドのロブ・ハフ選手がサイド・バイ・サイドから先行してトップを奪取。コンテ選手やガブリエレ・タルクィーニ選手(ヒュンダイ)もポジションを上げましたが、一方でエスティバン・グエリエリ選手(ホンダ)はS字コーナーで他車にはじき出されて戦列から消えてしまった。

レース1に続いてセーフティカーが入る展開となったが、再開後もハフ選手は後続にポジションを脅かされることなく走りきって第2戦のハンガリー以来となる待望の2勝目を獲得。その後方で魅せたのがタルクィーニ選手、スプーンカーブでデニス・デュポン選手(アウディ)のインへ見事に飛び込んで鮮やかなオーバーテイク。妙技を繰り出した56歳の大ベテランに対して終盤では25歳のチェッコン選手が迫るも、ここはタルクィーニ選手がポジションを守りきって5位でフィニッシュを飾り、シリーズランキングで単独トップに浮上した。

レース3は与えられるポイントも大きく、シリーズ争いにも影響が大きいだけにそれまで以上の熱戦が繰り広げられた。スタートで速さを見せたのが2番手グリッドのタルクィーニ選手、レース2で背後から追走してきたチェッコン選手のインを1コーナーで奪ってトップに浮上する。チェッコン選手は一旦ドロップしたが、2周目に2番手までポジションを回復した。

ところがチェッコン選手には、スタート違反により5秒のペナルティ加算という裁定が下された。これを知ってか猛チャージ、タルクィーニ選手をパスしてトップを奪還すると、5秒以上の差をつけるべくラップを重ねていく。一方でトップ争いの後方は中盤以降に大混戦となり、随所で接触も伴う激しいポジション争いが。中でも、是が非でもポイントを加算したいミューラー選手は、WTCC時代からの好敵手であるハフ選手と激しい接近戦を展開した。

10周目、ツーワイドやスリーワイドの攻防が繰り広げられた結果、シケインのインカット防止タイヤバリアに接触する車両が現れ、バリアが飛び去ってしまった。しかしここではセーフティカーが導入されることなくレースは続行、トップチェッカーはチェッコン選手でフィニッシュ。しかしペナルティが加算されたチェッコン選手は3位となり、2位のコンテ選手を振り切ってフィニッシュしたタルクィーニ選手が優勝を飾り、ノーポイントに終わったミューラー選手とのポイント差をさらに広げる結果となった。

FIA WTCRは日本ラウンドを終えて、ドライバーズタイトル争いはタルクィーニ選手が291点、イヴァン・ミューラー選手が252点、テッド・ビョーク選手が238点となり、タルクィーニ選手が一歩リード。タイトルの行方は11月15日から18日にかけて開催される最終戦のマカオで決するが、タルクィーニ選手は「私はマカオについては、コーナーと病院をよく覚えています(苦笑)。誰にとってもマカオは特別なレースで、スタート直後の1コーナーを乗り切る必要があります。タイトルに集中して、最後は鈴鹿のように笑顔になりたいですね」と、意気込みを語っていた。

DRIVER VOICE

ガブリエレ・タルクィーニ 選手 [BRC Racing Team]

【今回の成績 : Race1 8位、Race2 5位、Race3 優勝】
レース3を終えて、私の笑顔をみなさんがご覧になっていると思います(笑)。レース1ではグリッド降格もあり、ミューラーが私に対して10点の得点差をつけました。しかし今日は私が、ポイント獲得の機会を得られました。レース2では素晴らしいスタートを切ることが出来ましたが、レース3はさらに素晴らしい結果で成功の鍵になりましたね。チェッコン選手はとても速かったですが、5秒のペナルティを受けました。それによって、正直に言えば私は無理をしてでもトップに立つ必要は無くなり、シリーズ争いを優先してポイント獲得に専念しました。もちろん大きく離されないようにはしましたが、チェッコン選手は本当に速かったですね。今年の鈴鹿は、私にとって勝利を獲得するための良い舞台となりました。