2018 FIA WTCR Portugal Report

【FIA WTCR ポルトガル/ヴィラ・レアル】

スリリングでエキサイティングなポルトガルのストリートバトル、
ジョーカーラップも戦いを左右する白熱のレースが展開された!!

FIA WTCR Portugal

開催日 2018年6月22日-24日
開催場所 ヴィラ・レアル
(ポルトガル)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 Race 1 : 13周
Race 2 : 11周
Race 3 : 15周
(1周=4,790m)
参加台数 27台
2018 FIA WTCR Portugal

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2018年のFIA WTCR(ワールド・ツーリングカー・カップ)は、ポルトガルのヴィラ・レアルを舞台に前半戦の締めくくりとなる第5大会が開催された。ポルトガル北部の町に設けられたのはエキサイティングなストリートコース、ここはWTCC(世界ツーリングカー選手権)時代から使われているコース。初の世界選手権として2015年に開催されて以来、毎年白熱した戦いが繰り広げられてきている。

WTCCからWTCRになった2018年、戦いを面白くする要素のひとつが“ジョーカーラップ”だ。2017年のWTCCポルトガルで世界選手権として初めて採用されたシステムで、コース上に設けられた迂回ルートを全ての選手が必ず決勝中に1回は通過しなければならないというものだ。さらに3周目までは入ることが許されず、レース展開に応じてどのタイミングでジョーカーラップに入るかという戦略は、勝敗を分ける大きな要素となってくる。

フリープラクティスで幕を開けたレースウィーク、2回のセッションでともにトップタイムを刻んだのはテッド・ビョーク選手(ヒュンダイ)。しかしレース1に向けた予選になると強さを見せたのがフォルクスワーゲン勢、セバスチャン・ローブ・レーシングのロブ・ハフ選手がリザルト最上段に名を刻むと、これにメルディ・ベナニ選手が続いてワン・ツー体制でフロントローを独占した。

南欧の気持ちよい陽差しが降り注ぐ中、27台はオンタイムでグリッドオン。レッドシグナルが消灯すると全車一斉にアクセルオン、狭いストリートコースを1コーナーへと飛び込んでいく。緩い右ターンの1コーナーから左の2コーナーは各車クリアしたが、ややきつい右の3コーナーでハフ選手とメルディ・ベナニ選手、ともにフォルクスワーゲンを駆るチームメイト同士の接触に端を発した多重クラッシュが発生。地獄絵図と化したコース上では一部のマシンからは火災も発生して、レースは即座に赤旗が提示されて中断となってしまった。

2時間ほどの中断を経てセーフティカー先導でレースは再開、難を逃れたイヴァン・ミューラー選手が先頭で17台が仕切り直しのスタートに臨んだ。さすがに大きなアクシデントがあった直後ということもあってか、仕切り直しとなったレース1は比較的大人しい展開に。グリッド順にミューラー選手、エスティバン・グエリエリ選手(ホンダ)がフィニッシュラインを通過、3位は最終ラップでガブリエレ・タルクィーニ選手(ヒュンダイ)が失速を喫した隙にポジションを上げたペペ・オリオラ選手(セアト)となった。

前日のレース1におけるアクシデントにより、27台中4台は出走が叶わなかった日曜日のQ1。Q2、Q3と勝ち進んでトップに立ったのはビョーク選手、2番手はノルベルト・ミケリス選手、3番手はガブリエレ・タルクィーニ選手とヒュンダイ勢がトップ3を独占した。

リバースグリッドで迎えるレース2のスタート、ポールポジションはゴードン・シェデン選手(アウディ)、セカンドグリッドにはミューラー選手というフロントロー。オープニングラップの中盤でミューラー選手が果敢に仕掛けてサイド・バイ・サイドに持ち込むが、ここはシェデン選手が堪えてトップを譲らず。逆にミューラー選手はマト・ホモラ選手(プジョー)の先行を許して3番手に後退を喫してしまう。

ホモラ選手はミューラー選手をかわした直後、ガードレールにマシンをヒットさせて左前部にダメージを受けた。しかし走行に大きな支障は無かったようで、引き続き前を行くシェデン選手を追走する。そして6周目、シェデン選手がジョーカーラップに入りホモラ選手らが先行、シェデン選手は4番手にドロップ。

8周目にはホモラ選手がジョーカーラップを通過、これでトップはミューラー選手に。こうなるとミューラー選手のジョーカーラップ通過タイミングと、それまでにどれだけのマージンを構築出来るのかが注目のポイントとなる。ミューラー選手は2.7秒ほどのマージンを築き上げて10周目でジョーカーラップに飛び込んだ。

通常のルートで進んだホモラ選手、合流ポイントを一寸先に駆け抜けてミューラー選手をかわすことに成功。このままホモラ選手がフィニッシュまでトップをキープ、今シーズン9人目のウィナーとなった。そして2位はミューラー選手、3位は7番手スタートから順位を上げたペペ・オリオラ選手(セアト)という顔ぶれが表彰台を飾った。

レース3も好天の下でスタートを迎えたポルトガル戦、ポールポジションにはビョーク選手が陣取った。その後方にはミケリス選手とタルクィーニ選手、BRC Racing Teamの2台がビョーク選手を追う陣形だ。スタートして間もなく、タルクィーニ選手がミケリス選手の前に出る。そしてややリードを築いたビョーク選手は4周目にジョーカーラップを通過、トップを守ったままでBRC Racing Teamの2台を従える構図が続く展開に。

5周目から2周回、セーフティカーが導入された。さらに10周目からもセーフティカーが入る展開となったが、ジョーカーラップを終えてトップを守っているビョーク選手は有利な立場のままで周回を重ねていくことに。そのまま悠々とウィニングチェッカーを受けることに成功、第3大会・ドイツのレース3以来となる今季2勝目を飾った。

DRIVER VOICE

テッド・ビョーク 選手 [Mracing – YMR]

【今回の成績 : Race1 24位、Race2 10位、Race3 優勝】
チームは夜を徹してマシンをレース1のアクシデントから修復し、素晴らしい仕事をしてくれました。そんな彼らに支えられて出走したQ1は、素晴らしい気分になりました。ただ、ノルベルト・ミケリス選手は手を負傷してしまい、多くの点で辛い週末になったことも事実です。レース3でそれぞれが採った戦略については何とも言えませんが、このコースは追い越しがとても難しいのでジョーカーラップというシステムはとても良いと思います。