2018 FIA WTCR Nederland Report

【FIA WTCR オランダ/ザントフォールト】

WTCR初優勝の笑顔が弾けたオランダ・ザントフォールト戦、
オーレリアン・コンテ選手とジャン・カール・ベルネ選手が勝利を掴んだ!!

FIA WTCR Nederland

開催日 2018年5月19日-21日
開催場所 ザントフォールト
(オランダ)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 Race 1 : 14周
Race 2 : 14周
Race 3 : 15周
(1周=4,307m)
参加台数 27台
2018 FIA WTCR Nederland

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FIA WTCRの第4大会は、オランダのザントフォールトが舞台。世界に知られるオランダの特産品、チューリップの栽培中心地であるハーレムの町から西に10kmというロケーションで、1948年にオープンした歴史あるコースだ。ここでは前身のWTCC(世界ツーリングカー選手権)も開催されていたが、2007年が最後となっているので11年ぶりに装いを新たにしたFIA WTCRとして帰って来たことになる。

ここまでの3大会/9レースを振り返ってみると、勝ち星では3勝を挙げているガブリエレ・タルクィーニ選手(ヒュンダイ)が頭ひとつ抜け出しており、あとは1勝の選手が6人となっている。ただ、シリーズランキング争いではタルクィーニ選手はノーポイント、特に前戦ドイツでレース1と2で共に得点を加えられなかったことが響いて2番手に留まっている。一方、開幕のレース1を除いて決勝では着実に加点を続けてきたイヴァン・ミューラー選手(ヒュンダイ)が、19点差をつけてトップに立っている。

開幕からここまで最大でも中2週、今回のオランダ戦はドイツ戦の翌週と、比較的タイトなスケジュールで競われてきた。しかし、第4大会となるこのオランダが終われば、次のポルトガル戦までは一ヶ月ほどのインターバルが開く。まずは各選手/チームともに、このオランダでしっかり成績を残していきたいところだろう。

ところでWTCRには、ミューラー選手を筆頭に昨年までのWTCCを戦ってきた選手が多く参戦しているが、一方で今年のシリーズ発足にあわせて参戦してきた顔ぶれも揃っている。例えばオーレリアン・コンテ選手(プジョー)は、2017年のTCRヨーロピアン・トロフィーでチャンピオンに輝いた29歳のフランス人ドライバー。39歳のイギリス人、ゴードン・シェデン選手(アウディ)はこれまでにBTCC(イギリス・ツーリングカー選手権)で3回のチャンピオンを獲得している強豪である。

こういった多彩な経歴を有する選手たちのぶつかり合いもWTCRの見どころであるが、このオランダではフリープラクティス1でコンテ選手が4番手、シェデン選手は3番手につけて存在感を見せた。フリープラクティス2ではシェデン選手は10番手に留まったものの、コンテ選手は3番手をマークして好調なスタートを切った。

レース1に向けての予選、ここでトップタイムを叩き出したのはロブ・ハフ選手(フォルクスワーゲン)。そしてシェデン選手は3番手、コンテ選手は7番手と両者ともに悪くない位置に付けてスタートに臨むこととなった。

日本の鈴鹿サーキットよりはかなり小振りであるが、コースサイトの観覧車もランドマークとなっているザントフォールト。レース1はスタートでシグナル消灯のタイミングをやや掴み損ねたハフ選手が一寸出遅れ、セカンドグリッドのヤン・エアラッシ選手(ホンダ)が前に出て1コーナーを制した。これにコンテ選手が続いて2番手にポジションをアップ、ハフ選手は3番手から追う立場となった。

ところがスタート直後に、ミューラー選手とノルベルト・ミケリス選手が接触、ミューラー選手のマシンはガードレールに乗り上げる格好に。このアクシデントにより、レースは開始早々からセーフティカーが導入された。さらに回収には時間も要するため赤旗が提示されて中断、レース1は仕切り直しで再スタートとなる。

30分ほどの長い中断をはさみ、セーフティカーの先導でレースは再開。中断時点でトップだったエアラッシ選手はセーフティカー解除後もトップをしっかり守り、12周目からの2回目のセーフティカー後もポジションを譲ることなくチェッカーまでマシンを運んで第2大会・ハンガリーのレース1以来となる2勝目を飾った。これに続いたのはコンテ選手、こちらは嬉しいWTCR初表彰台を獲得した。

レース2はWTCC時代から活躍しているジェームス・トンプソン選手(ホンダ)がポールポジション、コンテ選手がセカンドグリッドからスタート。1コーナーまでに前に出たコンテ選手がトップ、トンプソン選手が2番手で1コーナーを通過する。

12周のレースは、しばらくコンテ選手、トンプソン選手、そしてペペ・オリオラ選手(セアト)のトップ3が膠着状態でラップを重ねていくが、5周目にコースオフ車両が生じて翌周からセーフティカーが導入されて動きを見せる。8周目からレース再開、規定によりレースは14周で競われることに。そして5番手からスタートしていたエアラッシ選手が12周目でオリオラ選手に詰め寄り、終盤で先行して3番手に浮上。最終ラップの最終コーナーでさらにトンプソン選手をかわし、コンテ選手に続いて2位でチェッカーを受けた。また、コンテ選手は自身のみならず、プジョーのWTCR初優勝という大きな勝利を手中におさめた。

レース3でポールポジションに陣取ったのは、ジャン・カール・ベルネ選手。日本でもSUPER GTの500クラスを戦った経験があり、インディ・ライツや世界耐久選手権、ル・マン24時間レースなど多彩な経験を有するフランス人ドライバーだ。2番手はハフ選手、3番手にはシェデン選手というオーダーで、スタートの時を迎えた。

アウト側のポールポジションからスタートしたベルネ選手は、ハフ選手を牽制しながら1コーナーへトップで入っていく。その後方ではシェデン選手が後退した一方、フレデリック・バービッシュ選手(アウディ)とエステバン・グエリエリ選手(ホンダ)が接触を伴う激しいポジション争いを展開した。

早々にトップに立ったベルネ選手は、後続を寄せつけない走りでラップを重ねていく。結果、ハフ選手にも付け入る隙を与えることなくウィニングチェッカー、ハフ選手が続いてフィニッシュラインを通過。そしてバービッシュ選手が3位でフィニッシュ、シェデン選手は5位というリザルトになった。

DRIVER VOICE

オーレリアン・コンテ 選手 [DG Sport Competition]

【今回の成績 : Race1 2位、Race2 優勝、Race3 7位】
レース1では良いスタートを決められて2位になれましたから、レース2でも同じことをして1コーナーでリードを築くことが出来ました。場所によってはトンプソン選手の方が速かったですが、私は最後までペースを管理してマシンを運びました。プレッシャーもありましたが、とにかく自分の走りに集中してリードを守ったままフィニッシュすることが出来ました。