2018 FIA WTCR Morocco Report

【FIA WTCR モロッコ/ムーレイ・エル・ハッサン】

モロッコで注目の開幕を迎えたFIA WTCRは激しい接近戦の応酬、
大ベテランのタルクィーニ選手が2レースを制して強さを見せた!!

FIA WTCR Morocco

開催日 2018年4月6日-8日
開催場所 ムーレイ・エル・ハッサン
(モロッコ)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 Race 1 : 20周
Race 2 : 20周
Race 3 : 23周
(1周=2,971m)
参加台数 25台
2018 FIA WTCR Morocco

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

2005年に発足し、翌年からヨコハマタイヤがワンメイクタイヤサプライヤーをつとめてきたFIA WTCC(世界ツーリングカー選手権)が2017年をもって終了。その後を受け継ぐ形で発足したFIA WTCR(ワールド・ツーリングカー・カップ)も、ヨコハマタイヤが足元で戦いを支えることとなった。

新たにTCR規定を採用し、世界各地で開催されているTCR車両でのレースシリーズにおける頂点にも位置することとなったWTCR。1大会3レース制のフォーマットを採用し、基本は土曜日に2回のフリープラクティスの後に予選~決勝レース1を行う。そして日曜日にはQ1~Q3と予選を行い、この結果のトップ10をリバースグリッドに配して決勝レース2、さらに予選結果順のグリッドからスタートする決勝レース3という流れになる。

また、WTCCと大きく異なる点として、マニュファクチャラーチーム登録が廃された。自動車メーカーのいわゆる“ワークスチーム”は出場することが無く、参加者は全てがプライベーターという位置づけになる。これにより、WTCCでは有力マニュファクチャラーに勝利が偏る傾向も見られたが、これが是正される上に車両の性能調整(BoP)もあって白熱したレースが期待される。

2018年は日本を含む全10大会のカレンダー、注目の開幕はモロッコが舞台。ムーレイ・エル・ハッサンはWTCC時代からお馴染みだが、2016年にFIAグレードⅡの準常設コースとなっている。2009年にWTCC初のアフリカ開催として注目を集め、さらに同年の大会では地元もメルディ・ベナニ選手がインディペンデントトロフィーの優勝を飾り、ここを足掛かりに今年のWTCRにも参戦するトップドライバーへの道を歩みだしている。

注目の開幕戦には25台がエントリー、車種はホンダ・シビックTCRをはじめ、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR、アウディ・RS3 LMS、ヒュンダイ・i30N TCR、プジョー・308 TCRと多彩な顔ぶれが揃った。そして注目の決勝レース1、予選はヒュンダイ勢がトップ3を占め、ポールポジションを奪ったのはテッド・ビョーク選手。

しかし決勝レース1でロケットスタートを見せたのは大ベテランのガブリエレ・タルクィーニ選手、1コーナーをアウト側から制してトップに立つ。間もなく後続の多重クラッシュによりセーフティカーが導入され、その後にレースは赤旗が提示されて中断。仕切り直しとなったが、リ・スタートからタルクィーニ選手は再びしっかり主導権を握ってマシンを運び、記念すべきWTCR初戦ウィナーに輝いた。

一夜明けた日曜日のレース2、リバースグリッドによりポールポジションに陣取ったのはペペ・オリオラ選手(セアト)、セカンドグリッドはSUPER GTの500クラスを駆った経験も有するジャン-カール・ベルネイ選手(アウディ)。スタート直後の1コーナー、両者は接触しながらターンイン、ここでベルネイ選手がトップを奪う。そして2番手に浮上したのは地元のヒーロー、メルディ・ベナニ選手(フォルクスワーゲン)。

両者は6周を終えて1.139秒差という接戦を繰り広げるが、8周目に1コーナー先で停車車両が発生してセーフーティカーが導入される。さらに一旦は解除されたが別の停車車両により12周目から再びセーフティカーが入る波乱の展開となったが、そんな中でベナニ選手の追撃を振り切ってベルネイ選手がトップを守りきってフィニッシュした。

レース3はタルクィーニ選手がポールポジション、セカンドグリッドにはイヴァン・ミューラー選手(ヒュンダイ)という、WTCCでタイトル争いの主役を演じてきた両者がフロントローに並んだ。スタートを上手くまとめたタルクィーニ選手はトップで1コーナーを通過、その後方ではミューラー選手と3番手スタートのノルベルト・ミケリス選手(ヒュンダイ)が激しく接触を伴うポジション争いを展開する。

そしてこのレース3でも、何度かセーフティカーが導入されることとなったが、そんな中でもタルクィーニ選手はベテランらしい貫祿のレース運びでトップの座を譲らず。最後はミューラー選手とビョーク選手を従えてレース1に続く優勝を飾り、これによってレース3の表彰台はヒュンダイ勢が独占する結果となった。

DRIVER VOICE

ガブリエレ・タルクィーニ 選手 [BRC Racing Team]

【今回の成績 : Race1 優勝、Race2 19位、Race3 優勝】
レース1で、勝利の鍵となったのはスタートでした。その後の予選、Q1とQ2はタイヤをマネージメントして、Q3のアタックに集中していきました。レース2ではスタートでウォールに接触して、サシペンションに問題を抱えてしまいました。しかしレース後に、メカニックたちが素晴らしい仕事をしてくれたお蔭で、レース3では全く問題なくスタートからリードを保って戦うことが叶いました。