【SUPER FORMULA 第4戦/富士】
SUPER FORMULA Round 4
開催日 | 2018年7月6日-8日 |
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開催場所 | 富士スピードウェイ (静岡県) |
天候 | 晴れ |
路面 | ドライ |
決勝周回数 | 55周 (1周=4,563m) |
参加台数 | 19台 |
「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の第4戦が静岡県の富士スピードウェイで開催。目まぐるしく変わる天候のなか予選を制したニック・キャシディ選手(KONDO RACING)が、決勝レースでも完璧なレース展開で優勝。自身初のSUPER FORMULAでの勝利を飾った。
この週末は全国的に豪雨が猛威を振るい、富士スピードウェイのある静岡県東部も土曜日までは激しい雨と風に見舞われた。レースウィークを前に行われた来季からの新型マシン「SF19」のシェイクダウンもほとんどウェットコンディション。6日(金)の専有走行、7日(土)午前のフリー走行も、同じくウェットコンディションでの走行となった。ここでトップタイムを奪ったのは山下健太選手(KONDO RACING)。キャシディ選手も5番手と、KONDO RACINGが上々の滑り出しを見せた。
公式予選は、Q1の前半がドライ、後半がウェット。Q2は路面が乾きはじめたダンプコンディション、Q3はコースインと同時に大粒の雨が降り出し完全ウェットコンディションにと、目まぐるしくシチュエーションが変わっていった。
Q2、Q3はもともと7分とセッションが短いうえに、コース状況に合わせてセッション途中でタイヤを交換する時間もとられ、各車ともアタックのチャンスは非常に限られたが、そのわずかなチャンスをものにしたのがキャシディ選手。Q3ではほとんどの選手が計測3周でタイムを出している中、チェッカーフラッグが振られる直前に4周目に入れたことでさらにタイムアップし、逆転で今季初、自身2度目のポールポジションを手に入れることとなった。フロントローに並んだのは、同じく4周目のチャンスを得た山本尚貴選手(TEAM MUGEN)。2列目には石浦宏明選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が入った。
決勝日は雨もほとんどなく、週末で一番暑さを感じるコンディションとなった。ピットウォークの時間には、およそ2万人のファンが見守る中でSF19のデモランが行われ、熱気も高まった状態で決勝レースが行われた。予選上位6台の中で、5番グリッドの塚越広大選手(REAL RACING)をのぞく5台がソフトタイヤでのスタートを選択。
シグナルのブラックアウトとともにスタートダッシュを見せたのは、ポールシッターのキャシディ選手と石浦選手だが、それ以上のロケットスタートを見せたのが予選6番手の関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)だった。キャシディ選手が山本選手のけん制のためにイン側へとラインを変えたことで、視界の開けた石浦選手が横に並びかけ、コースのアウト側にスペースを見つけた関口選手がオーバーテイクシステムも駆使して石浦選手のさらに横に並び、3ワイドで1コーナーへ飛び込んでいった。
これで、キャシディ選手、石浦選手、関口選手というオーダーでオープニングラップを終了。その後ろにも、けり出しに優位なソフトタイヤ勢が上位に固まり、ミディアムタイヤ勢では8番グリッドから1つポジションを上げた国本雄資選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が最上位の7番手で周回が進んでいった。
上位争いは、キャシディ選手と石浦選手の2台のみが1分25秒台のラップタイムを連発して3番手以降とのギャップを大きく広げ、序盤から一騎打ちの様相を呈する。周回遅れをパスするのに一瞬テールトゥノーズまで接近する場面はあったものの、2台は1秒前後の差で膠着状態のままレース後半へ。
先に動いたのはキャシディ選手で、35周を終えたところでピットインし、ミディアムタイヤに交換。チームもスムーズな作業でキャシディ選手を送り出し、暫定4番手でコースに復帰した。一方の石浦選手は、キャシディ選手が目の前から外れクリアラップとなった瞬間から猛チャージをかけ、その5周あとにピットへと入った。タイヤ交換は早かったものの、ギアがうまく入らずにわずかにタイムを失ってしまう。その間にフレッシュタイヤでプッシュしていたキャシディ選手は十分なマージンを持った状態で石浦選手のアンダーカットを阻止。
全車がピット作業を済ませた45周目には首位に返り咲き、そのままトップチェッカー。SUPER FORMULA参戦2年目にして初優勝を遂げた。KONDO RACINGにとっても10年ぶりの国内トップフォーミュラでの勝利で、記念すべきレースとなった。
石浦選手に続き3位でチェッカーを受けたのは、国本選手。ミディアムタイヤでスタートした中で最上位を周回していた国本選手は11周目と早めのピットインで、ソフトタイヤでロングスティントを走破する作戦をとり、アンダーカットを成功させて大幅ポジションアップ。JMS P.MU/CERUMO・INGINGも久々に2台揃っての表彰台獲得となった。
【今回の成績 : 優勝】
スタートはホイールスピンに気を付けて、安全に行きました。バックマーカーに引っかかっている周が多く、それでラップタイムを落としてしまい、ピットインのタイミングはいつがいいのか、凄く考えました。最終的には自分で決断しましたが、チームの作業もスムーズでしたし、ちょうど誰もいないスペースにピットアウトできたので、ウォームアップもうまく行ったし、ミディアムタイヤでも非常にいいペースで走ることができました。チャンピオンシップでもトップに近づいてきましたが、そちらを気にしてしまうと1戦1戦で大事なことが分からなくなってくるので、この先もクルマを進化させることに集中したいですね。それが結果的にチャンピオンにつながればいいと思っています。
予選日は目まぐるしくコンディションが変わりましたが、決勝レースはドライコンディションに終始して、気温も路面温度も上がってきました。その状況からして、ソフトタイヤでも40ラップほどは周回できるだろうけれど、その先まで持つのかどうかということに対しては少しギャンブルかなと考えていました。
スタート時点で路面温度は37℃でしたが、ここまで上がればソフトタイヤはきちんと作動しますし、スペックの違いがしっかりと出て、レースにもそれが現れるだろうと思っていました。実際ソフトタイヤは1分25秒台のラップタイムが出ていましたし、そこから10周ぐらいすると落ちはじめ、27秒台で推移していました。
ただ、ミディアムタイヤの方はラップタイムが27~28秒台で、ソフトタイヤと1.5~2秒ほど差があり、遅かったなという印象です。26秒台ぐらいで周回できていれば、もっと拮抗したレースになったのでしょうが、今回に関してはソフトタイヤで長く走った方が有利という展開になりました。
次戦のもてぎは2016年から2スペック制を採用しており、SUPER FORMULAでも一番、2種類のタイヤを使ったレースに関してデータを持っているコースです。タイヤの使い方をより理解しているチームやドライバーがレースウィークを有利に進めていくと思っています。