2018 JRC Round 9 Report

【全日本ラリー選手権 第9戦/岐阜県高山市】

ADVAN A08Bの245/40R18がデビュー戦で1-2フィニッシュ、
王座を確定したJN6の新井選手組をはじめ5クラスで優勝を飾った!!

JRC Round 9

開催日 2018年10月12日-10月14日
開催場所 岐阜県高山市 近郊
天候 Leg1) 晴れ
Leg2) 曇り のち 晴れ
路面 Leg1) ドライ
Leg2) ウェット
ターマック(舗装路面)
総走行距離 341.75km
SS合計距離 87.28km (12SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km未満)
参加台数 55台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 16台)
2018 全日本ラリー選手権 第9戦

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2018年の全日本ラリー選手権は、終盤の2戦をターマック(舗装路)で競うカレンダー。4月の第3戦以来およそ半年ぶりとなるターマック戦は岐阜県高山市が舞台、今年で第46回を数える伝統の一戦「M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ」が秋の訪れも感じさせる中で開催された。

高山市郊外の「道の駅モンデウス飛騨位山」を拠点に、お馴染みの林道を使ったSS(スペシャルステージ)を2日間で12本、合計距離87.28kmで設定されたアイテナリー。土曜日のLEG1は「青屋上り (8.90km)」、「駄吉下り (6.37km)」、ギャラリーステージでもある「無数河-アルコピア (6.16km)」を、日曜日のLEG2は「牛牧下り (6.33km)」、「あたがす (9.70km)」、そして前日とは逆方向に走る「アルコピア-無数河 (6.18km)」を、各2回ずつ走行する。

カレンダーも10月半ば、紅葉はまだ色づき始めというところだが朝方の気温は一桁と冷え込んだ高山地方。そんな中で注目はJN6のヨコハマタイヤ勢、ひとつめのポイントは「ADVAN A08B」を装着して戦うことだ。昨年9月に16インチサイズがモデルチェンジしている「ADVAN A08B」は、「ADVAN Sport V105」と「ADVAN NEOVA AD08R」のテクノロジーを応用、スポーツ走行を強く意識して開発したストリートラジアルタイヤ。大会前に245/40R18が追加され、WRX STIやランサー・エボリューションといった車種に対応した。

JN6クラスでは3台がこの「ADVAN A08B」を装着して臨むが、ふたつめのポイントはその中で新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)がチャンピオン奪還を賭けて臨むこと。木曜日にはタイトルを争うライバルの勝田範彦選手組が急遽欠場するという情報が入ってきたが、ライバルの動向を別にしても新井選手組は10点以上を本大会で獲得すれば最終戦の新城ラリーを待たずしてチャンピオンが確定するという状況だ。

LEG1が行われた土曜日、注目のオープニングステージ「青屋上り 1」はこちらも今回がデビュー戦というタイヤを装着するライバルの鎌田卓麻選手組(WRX STI)にベストを譲も、奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)がセカンドベスト、新井選手組はサードベストで追走する。SS2は「駄吉下り 1」、その名の通り全線が下り勾配でタイヤへの負担も大きいステージだが、ここで新井選手組がステージベストを奪い「ADVAN A08B」の優れたポテンシャルを遺憾なく発揮した。

戦いは三つ巴の接戦模様、新井選手組は午後のセクションで「青屋下り 2」を制してこの下りステージで強さを見せる。一方、奴田原選手組も1回目は0.2秒という僅差のセカンドベストだった「無数河-アルコピア」の2回目でステージベスト、LEG1最終となったこのステージでは新井選手組が2番手で続いて、初日は新井選手組が2位、奴田原選手組が3位でトップから10.4秒に3台がひしめく結果に。

一夜明けた日曜日のLEG2、天気予報では傘マークもついていたがサービスパークに雨は降っておらずスタート時点では雲間から太陽が顔を覗かせてもいた。しかし林道には夜半に雨があったようで、路面は黒く濡れている状態。この日のオープニングは「牛牧下り 1」、LEG1とLEG2のSS距離はほぼ同じなので前日同様に朝一番から三つ巴の接戦が繰り広げられて新井選手組がセカンド、奴田原選手組はサードベストで鎌田選手を追走する。

そしてSS8「あたがす 1」、前日の結果を基に2番手のスタート順となっていた新井選手組がプッシュしていくと、ストップしている鎌田選手組のマシンが視界に入ってきた。ミッションのトラブルで戦列から消えた鎌田選手組に替わってトップに立った新井選手組、ここからは奴田原選手組との一騎討ちで優勝を争う展開となった。

SS8を制して奴田原選手組との差を6.5秒に拡げた新井選手組、対する奴田原選手組はSS9と10で連続ベストを奪い3.9秒に差を詰める。世界のラリーシーンを戦ってきた、ヨコハマタイヤを装着する両者の一騎討ちは手に汗握る展開となったが、SS11で再び「あたがす」を制した新井選手組が差を拡大、最終ステージで奴田原選手組がベストを奪うも逆転には一歩届かず。

「ADVAN A08B」の245/40R18は全日本ラリー選手権でデビュー戦をワン・ツー・フィニッシュ、優勝の新井選手と田中選手は2015年以来3年ぶりのチャンピオン奪還を確定した。

このほかのクラスでも、ヨコハマタイヤ勢が4つのクラスでLEG1をトップで終える快走を見せたハイランドマスターズ。

前戦のRALLY HOKKAIDOを制しているJN5クラスの川名賢選手は、APRC(FIAアジア-パシフィック・ラリー選手権)のチャンピオンを確定している保井隆宏選手とのコンビで参戦、LEG2も危なげない走りで後続を寄せつけることなく、およそ1年ぶりとなるターマックラリーで優勝を飾った。

JN4クラスは山口清司選手/山本磨美選手組(86)が、LEG1でSS3から3連続ベストを奪いノートラブル・ノーアクシデントでしっかり走りきって10.7秒のマージンを構築。LEG2では山本悠太選手/北川紗衣選手(86)が猛追したが、これを振り切ってフィニッシュまでマシンを運んで今シーズン2勝目を飾った。一方の山本選手組は2位でフィニッシュ、ヨコハマタイヤ勢がワン・ツーという結果となった。

JN2クラスは明治慎太郎選手/北田稔選手組(86)が、初日から総合でも上位に食い込む韋駄天ぶりを見せてLEG1は4本のSSでベストを奪取。LEG2も3本のベストを刻み、終わってみれば2位に50秒以上の大差をつけて第2戦の唐津以来となる今シーズン2勝目を獲得した。

JN1クラスでは、今シーズンからスズキ・スイフトを投入してこのクラスを戦う内藤学武選手/小藤桂一選手組が快走。LEG1ではオープニングから3連続ステージベストで主導権を握り、SS4以外の5つのステージを制覇。二日目も勢いは留まることなく終盤の2ステージで連続ベストを奪ってフィニッシュ、JN1でターマック戦の初優勝を勝ち取った。また、LEG2では伊藤隆晃選手/大高徹也選手組(ノート)が、SS9とSS10で連続ベストを奪いポジションをアップさせ準優勝につなげ、これによりJN6/JN4と並んでJN1もヨコハマタイヤ勢がワン・ツー・フィニッシュでセレモニアルフィニッシュの主役となった。

DRIVER VOICE

新井敏弘 選手 [富士スバル AMS WRX STI]

【今回の成績 : JN6クラス 優勝】
今回はタイトルを争ってきたライバルの勝田範彦選手が欠場ということで、本当は“ガチ”で戦いたかったという思いはあります。条件的には4位でチャンピオンでしたが、これはかえって難しいんですよね。リタイアしたら何を言われるのかわからないので、やや抑えた完走ペースを基本にしましたが、やはり勝って決めたいというところもあって(笑)。全般的に「ADVAN A08B」はポテンシャルが高くて、最後は勝ってチャンピオンを決められてホッとしています。

川名 賢 選手 [CUSCO ADVAN DS3R3MAX]

【今回の成績 : JN5クラス 優勝】
去年の新城で車をクラッシュさせてしまい、ターマックのラリーは今回がおよそ1年ぶりとなりました。ハイランドは昨年も勝ったので2年連続優勝、今シーズンで言うとRALLY HOKKAIDOからの2連勝でとても嬉しいです。良い流れで来ているので、最終戦の新城ラリーでも良いバトルを出来ればと思いますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。

山口清司 選手 [jms エナペタル ADVAN 久與 86]

【今回の成績 : JN4クラス 優勝】
お久しぶりです(笑)。しばらくお休みしていて久しぶりの参戦ですが、LEG1の序盤ではドタバタして危うくコースオフしそうになる場面もあったりしました。しかしSS3で気合を入れ直してトップに立って。LEG2では牛牧が楽しかったのですが、楽しさを噛みしめすぎてちょっとタイムが伸びずに「これはマズい」と。山本選手組が追い上げてきましたが、しっかり逃げきって勝てて嬉しく思っています。

明治慎太郎 選手 [Sammy☆K-one☆ルブロス YH 86]

【今回の成績 : JN2クラス 優勝】
ターマックラリーは久しぶりですが、出走順の関係もあって路面コンディションが良いので気持ちよく走れました。勝たなければいけないというプレッシャーも感じる中での戦いでしたが、途中までは鈴木尚選手との白熱したバトルでした。「ちょっとマズイかな」と思っていたら“忖度”してくれたのか、久しぶりに優勝することが出来ました。

内藤学武 選手 [YH Moty’s BRIG G4 スイフト]

【今回の成績 : JN1クラス 優勝】
タイヤ、オイル、ブレーキ、サスペンションと、非常に優れたマテリアルにも助けられて、楽しく走りながら勝つことが出来ました。10月15日は自分の31歳の誕生日で、30歳最後の日を優勝で飾ることが出来てとても嬉しく思います。ここまでサポートしていただいたGarage Group4と両親に感謝しています。課題も見えてきているので、更に腕を磨いてブッチ切りが出来るように頑張ります。

TECHNICAL INFORMATION

新しく追加された「ADVAN A08B」の245/40R18にとって全日本ラリー選手権のデビュー戦となった本大会だが、期せずしてライバルも新しいタイヤをデビューさせた中で、ヨコハマタイヤ勢がJN6クラスのワン・ツー・フィニッシュを飾って「ADVAN A08B」のデビュー戦に華を添える結果となった。「ADVAN A08B」は2014年にデビューしたスポーツラジアルタイヤで、TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceで強さを見せてきた。その後、2017年9月に16インチが先行してモデルチェンジしていたが、この度245/40R18が追加されて最新のモデルへと進化した。

今回はモータースポーツユーズを主眼としたサイズ拡大の第一弾としてJN6クラス勢が装着して臨んだが、新井選手のコメントにもあるように全般的に優れたポテンシャルを発揮してワン・ツー・フィニッシュを獲得、新井選手組のタイトル奪還を足元から支える結果となった。