2017 SUPER FORMULA Round 7 Report

【SUPER FORMULA 第7戦/鈴鹿】

台風の接近により決勝レースは中止となった最終戦、
石浦宏明選手が2度目のシリーズチャンピオンを獲得!!

SUPER FORMULA Round 7

開催日 2017年10月20日-21日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候
路面 ウェット
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第7戦

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全7戦で争われるSUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)も、いよいよ最終戦を迎えることとなった。第6戦終了時点でドライバーズチャンピオンの可能性を残したドライバーは8名。そのうち石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)、ピエール・ガスリー選手(TEAM MUGEN)、フェリックス・ローゼンクヴィスト選手(SUNOCO TEAM LEMANS)、そして関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)の4名は、優勝すればライバルたちの成績に関わらずタイトルを獲得できる可能性を残して最終戦へと挑むことに。20日(金)にはこの4名の記者会見が行われ、それぞれがタイトル獲得に向けての意気込みを語った。

しかし、週末は超大型の台風21号が日本列島に接近し、鈴鹿も20日から終日ウェットコンディション。比較的水の量が少なくコンディションの落ち着いていた専有走行では、1分50秒493をマークした石浦選手がセッショントップに立ち、0.1秒差で関口選手が2番手に。一方のガスリー選手、ローゼンクヴィスト選手はそれぞれ12、13番手に留まっていた。

一夜明けた21日(土)の空模様は、前日よりも激しい雨。この天候を考慮し、前日の時点で「公式予選が実施されなかった場合は、フリー走行で記録されたベストタイムによってスターティンググリッドを決定する」と発表されていたこともあり、9時10分から開始されたフリー走行は、序盤から予選さながらの熱い走りが披露された。

計4度の赤旗が掲示される荒れたセッションとなったが、ここでトップタイムを記録したのは伊沢拓也選手。野尻智紀選手も2番手タイムを記録し、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGがワン・ツー体制を形成した。今大会は2レース制となっているため、レース2のスターティンググリッドは各自のセカンドベストタイムによって決定するが、その結果ではガスリー選手が2番手につけ、石浦選手は8番手と大きく水をあけられる形となった。

午後に向けて、さらに雨は強さを増していったものの、なんとか公式予選Q1は午後1時55分にコースオープンを迎えた。ただし、各車がコースインすると同時に急激に雨が強まり、先頭を切って出ていったP.MU/CERUMO・INGINGの2台やアンドレ・ロッテラー選手(VANTELIN TEAM TOM’S)がコントロールラインを通過したところで赤旗中断。40分後に走行再開となったが、数台がタイム計測を開始したタイミングでローゼンクヴィスト選手が1コーナーでコースアウトしたため、再度赤旗が掲示された。車両回収が終わると、残り約15分で再びセッションスタート。ところが、今度は小林可夢偉選手(KCMG)がコースオフしてしまい3度目の赤旗中断となる。

この時点でガスリー選手はまずまずのタイムを記録しタイミングモニターの上位につけていたが、石浦選手はまだアタック計測ができておらず、順位も後方。15時ちょうどにセッションが再開されると、P.MU/CERUMO・INGINGの2台は真っ先にコースへと入っていった。

すでに1本目のアタックを終えてタイム計測を済ませていた国本雄資選手が石浦選手に先頭を譲ると、石浦選手は視界も確保された先頭でアタック。なんとかタイム計測を行い、ガスリー選手の上に立つことに成功した。これを受けて、ガスリー選手もさらに自己ベストタイムの更新を目指すが、なんと残り時間が1分のところでガスリー選手がコースオフ。これでタイム更新のチャンスを失い、セッションも赤旗掲示をもって終了。天候悪化のためにQ2、Q3のキャンセルも発表された。

トップタイムを奪ったのはロッテラー選手。石浦選手がタイム計測を行った直後にトップタイムをマークしていた。2番手には野尻選手、3番手に中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が続いた。レース2のポールポジションとなるセカンドベストタイムを記録したのはヤン・マーデンボロー選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)で、これが自身初のポールポジション獲得となった。

その後、さらなる天候の悪化が予想されることから、鈴鹿サーキットとSUPER FORMULAを運営する日本レースプロモーションが協議の上、翌22日に予定されていた全ての競技の中止を決定。この日の予選結果をもって、今シーズンのランキングも確定となった。

予選結果で得られるポールポジションポイントはロッテラー選手とマーデンボロー選手が手にしたため、ランキング上位陣の入れ替えはなく、石浦選手が0.5ポイントと僅差ながら逃げ切りでタイトル獲得を達成。全ドライバーの中で唯一、全戦でポイント獲得を果たす着実なレース運びで、2015年に続き、自身2度目の国内最高峰フォーミュラでの戴冠となった。

また、チームランキングでもP.MU/CERUMO・INGINGが2位に4ポイント差をつけて連覇を達成した。

DRIVER VOICE

石浦宏明 選手 [P.MU/CERUMO・INGING]

【2017年 シリーズチャンピオン】
最終戦を最後まで戦えなかったのは残念ですが、1戦1戦をしっかりと戦えたことがチャンピオンという結果につながっていると思います。才能のあるドライバーたちと戦えて非常にいい経験になりましたし、その中でトップに立てたことは自分にとって大きな自信になりました。チームタイトルも2年連続で獲ることができましたが、連覇というのはなかなかできないこと。毎戦とてもいいマシンを用意してくれたスタッフの皆にはとても感謝しています。

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [横浜ゴム モータースポーツ開発部]

最後までレースが実施できなかったことは残念ですが、降雨やコース上の水の量の変化など、いろいろなウェットコンディションでの走行になり、得るものは多かったと思っています。比較的水の少なかった金曜日には1分50秒台のタイムが記録されましたが、コースレコードとタイム比較して、ウェットタイヤとしての機能はきちんと果たせていると感じました。もちろん今後に向けての課題も残っていますし、新しいパターンなども考えているので、ウェットコンディションでテストができる機会があればそれを試す準備は進めています。

今回、2019年に導入予定の新型車両についてもアナウンスがされましたが、そこに向けても新しいタイヤを作る準備を進めています。来年の7月にはテスト走行を始めると聞いていますので、それまでにはある程度のスペックを固める予定です。

今年は新しい構造でのタイヤを供給しましたが、タイムの向上も見られましたし、スピンなどのシーンもずいぶん減ったように見えました。去年に比べて懐の深い、ドライバーにとって乗りやすいタイヤができたかなと感じています。2スペックにしても、タイムが速くてピークのある、皆さんに喜んでいただけるタイヤができて良かったです。各チームが準備段階から幅広い戦い方をしていて、見る方としてもいろいろと考えを巡らせながら楽しんでいただけたのではないでしょうか。今年得たものを活かして、来年はもっと攻めたソフトタイヤを供給できるよう、開発を進めていきたいと思います。