2017 SUPER FORMULA Round 6 Report

【SUPER FORMULA 第6戦/SUGO】

SUGOラウンドを関口雄飛選手が2年連続で制し、
注目のタイトル争いは8名が権利を残して最終戦へ!!

SUPER FORMULA Round 6

開催日 2017年9月22日-24日
開催場所 スポーツランドSUGO
(宮城県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 68周 (1周=3,704km)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第6戦

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「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の第6戦がスポーツランドSUGOで開催され、関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が今季2勝目を獲得。昨年の同ラウンドでは驚異的な速さを見せて優勝したが、今回も終始レースをコントロールし、タイトル争いでも大きくトップに近づいた。

1周が3,704mとシリーズ開催コースの中では短く、ラップタイムも1分10秒を切るほど速いSUGO。決勝レースの走行距離は通常通りの約250kmだが、ピット作業義務のないレースフォーマットが採用されるこのレースは、毎戦速さとともに「いかに燃費を向上させるか」という点も重要になる。今大会も、給油を選ぶドライバー、ノーピット作戦を敢行するドライバーと、様々な戦略が入り乱れる戦いとなった。

公式予選が始まったのは、23日(土)の午後。前夜から朝にかけて雨が降ったため、午前中のフリー走行はウェットコンディションで行われたが、予選までには路面も乾き、終始ドライコンディションで最速をかけた戦いが展開された。9月も下旬に入り、Q1開始時の気温は21℃、路面温度は22℃と低め。タイヤのウォームアップも入念に行わなければならず、これまでと異なり、各セッション前には全車がずらりとピットロードに整列し、スタートの時を待つ様子が見られた。

1分5秒530というタイムでQ1を制したのは関口選手。ヤン・マーデンボロー選手が0.15秒差で続き、ITOCHU ENEX TEAM IMPULが速さを見せるセッションとなった。SUGO初走行となったフェリックス・ローゼンクヴィスト選手(SUNOCO TEAM LEMANS)やピエール・ガスリー選手(TEAM MUGEN)はそれぞれ10番手、12番手ながらQ1通過を果たした。

Q2ではアンドレ・ロッテラー選手がトップタイムを奪取。中嶋一貴選手も3番手タイムを記録し、ここではVANTELIN TEAM TOM’Sが速さを見せたが、最終的にポールポジションを獲得したのは、今シーズンのルーキードライバー、ニック・キャシディ選手(KONDO RACING)。これまでのレコードタイムを0.1秒削り、新たなレコードホルダーとなった。関口選手はフロントローポジションを獲得。目下2連勝中のガスリー選手が3番手に続いた。

決勝が行われる24日(日)は秋晴れの空が広がり、絶好のレース日和。午前中のフリー走行では、決勝に向けて各車はマシンのバランス確認やロングランのチェックを行っていたため、1分7秒台半ばのトップタイムから1分10秒台まで、ベストタイムには大きな差が開いていた。特に燃費計算のためのシミュレーションを入念に行っているマシンもいて、ベストタイムが並ぶリザルトから決勝の行方を占うことはいつも以上に困難となった。

14時10分に決勝レースがスタート。関口選手が抜群のスタートダッシュを見せた一方で、キャシディ選手はマシントラブルで動き出しが遅れ、後続に飲み込まれてしまう。関口選手、ガスリー選手、そして4番手スタートのロッテラー選手がトップ3を形成してオープニングラップを終了。ただし、ロッテラー選手は7周目にチームメイトの先行を許し、中嶋一貴選手が3番手となってレースは進んでいくことになる。

トップ3は、しばらくは集団での戦いになっていたが、10周を過ぎたころから一気に関口選手がペースアップし、独走状態に。レースの約3分の2を消化した42周目に、周回遅れのマシンに追いつく直前という絶好のタイミングでピットに入ると暫定6番手でコースに復帰した。

ピットレーンの長さから、ピット作業時間を含めたロスタイムは30秒前後と推定されたが、関口選手に代わってトップに立ったガスリー選手とのタイム差は約27秒で、前を走るマシンがピット作業を行った場合は悠々とトップに戻れる位置。ガスリー選手も自己ベストタイムを更新しながらギャップを広げようとプッシュするが、関口選手も安定したペースで周回を重ね、両者のギャップはほとんど変わらないまま終盤へと進んでいく。

57周終了のタイミングでピットインを選択したガスリー選手は、関口選手から4秒ほど後ろの位置で復帰。1台、また1台と前のマシンがピット作業へと向かい、51周目には再び関口選手が先頭に戻ってくることに。終盤の3周ほどはペースコントロールしたことでガスリー選手との差が縮まったが、関口選手は着実にトップを守り切ってチェッカー。第2戦の岡山大会に続き2勝目を飾った。

関口選手にテール・トゥ・ノーズまで迫りながらも逆転がかなわなかったガスリー選手だが、3戦連続の表彰台獲得でシリーズポイントも大きく追加。首位と僅か0.5ポイント差まで近づけることに成功した。

無給油作戦を敢行した中で最上位につけたのはローゼンクヴィスト選手で、7番手スタートから非常に安定したペースを刻み、一時は4番手に浮上。終盤に1台にかわされたものの5位でとどまり、ポイントランキングも3位をキープ。ポイントリーダーとしてSUGOに臨んだ石浦宏明選手(P.MU / CERUMO • INGING)も6位フィニッシュでポイントを追加し、なんとかリーダーズレッドを死守。

この結果、計算上は8名のドライバーにタイトル獲得の可能性が残された状態で、最終戦の鈴鹿大会を迎えることとなった。

DRIVER VOICE

関口雄飛 選手 [ITOCHU ENEX TEAM IMPUL]

【今回の成績 :優勝】
SUGOはSUPER GTで最年少優勝を記録できた場所ですし、F3のチャンピオンも決めている、相性のいいコースです。決勝日の朝のフリー走行でクラッシュしてしまい、レースに向けたデータが十分に取れないまま臨むことになりましたが、セットアップもバッチリと決まっていました。チャンピオンの可能性を残していますが、最終戦でも勝たないと権利はないと思っているので、しっかりと準備を進めていきたいと思います。

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [横浜ゴム モータースポーツ開発部]

去年SUGOで関口選手は圧倒的なパフォーマンスを見せて優勝しましたが、そういう走り方なだけあって、タイヤはかなり摩耗していました。今年はそれに比べて摩耗も少なかったので、滑らせ方も少なかったのでしょう。昨年は思いがけないスピンやブレーキングで滑ってしまうような場面が全体的にあったように見られましたが、2017年仕様に変わってからそういうことがほとんどなくなりました。

SUGOでは何かアクシデントがあるとすぐにセーフティカー(SC)が出たりするのですが、今回は決勝中1度もSCが入りませんでした。安定感や、高荷重域でのパフォーマンスの向上を目指して今シーズンのタイヤ開発を行っていましたので、今日のレースを見ると狙い通りに進められたのかなと感じました。

最終戦では、レース1とレース2でフォーマットが異なりますが、どちらもタイヤに関する心配はありません。開幕戦の時点でコースレコードの更新はできましたが、シーズンを通して各チーム、ドライバーもタイヤとマシンの熟成が進んでいるでしょうから、さらにレコードを塗り替えてくれるのではないかと期待しています。