2017 SUPER GT Round 2 Report

【SUPER GT 第2戦/富士】

GT500のWedsSport ADVAN LC500は連続入賞を「20」に伸ばし、
GT300はD’station Porscheが怒涛の追い上げで表彰台を獲得!!

SUPER GT Round 2

開催日 2017年5月3日-4日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 110周
(1周=4,563km)
参加台数 45台
(ヨコハマタイヤ装着車 25台)
SUPER GT 第2戦

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全8戦で争われるSUPER GTシリーズの第2戦が、ゴールデンウィーク真っ只中の富士スピードウェイで開催された。大観衆の集まる一戦とあって、GT500、GT300ともにヨコハマタイヤユーザーが揃って上位でフィニッシュすることが目標とされていた。

岡山国際サーキットでの開幕戦では、レクサス勢が猛威を振るう中、関口雄飛選手と国本雄資選手の駆る「WedsSport ADVAN LC500」が6位入賞を果たし、これで連続入賞記録をゼッケンと同じ「19」にまで伸ばせば、新たに陣営に加わった、武藤英紀選手と中嶋大佑選手の駆る「MOTUL MUGEN NSX-GT」がホンダ勢唯一の完走を果たして9位入賞。そして、佐々木大樹選手とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手の駆る「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」も10位でゴールし、3台が揃って入賞を果たすこととなった。

一方、GT300でも谷口信輝選手と片岡龍也選手の駆る「グッドスマイル初音ミクAMG」が3年ぶりの優勝を果たし、こちらは上々の立ち上がりとなった。あと一歩のところで表彰台の独占は逃したものの、引き続きヨコハマタイヤユーザーによる大活躍が期待される。

さて、今回のレースは通常より200km長い500kmで争われ、途中2回のドライバー交代を伴うピットストップが義務づけられる。このところ富士のレースは波乱含みの展開となることが多いだけに、ピット戦術の妙が、特にタイヤ交換に関して成績を左右することとなりそうだ。

ドライコンディションで行われた予選において、GT300では「グッドスマイル初音ミクAMG」の片岡選手が2番手につけたのを筆頭に、9台ものヨコハマタイヤユーザーがQ1突破を果たす。続くQ2では計測2周目にトップに立ってからというもの、ラップを重ねるごと短縮を果たした谷口選手が、実に2011年の最終戦以来となるポールポジションを獲得した。「ヨコハマが用意してくれたタイヤが、今回は抜群にカーブ性能が良くて、久々のポールを獲れました。決して僕の腕じゃありません(笑)」と谷口選手が語れば、「本当は僕がQ2行きたかったのに、谷口さんズルい(笑)。実は長いこと、SUPER GTをやっていますが、僕ポールからスタートするの、初めてなんです」と片岡選手。ふたりの表情から笑みは絶えなかった。

2番手はジョノ・レスター選手とともに「GULF NAC PORSCHE 911」をドライブする、峰尾恭輔選手がつけて、3番手は藤井誠暢選手とともに「D’station Porsche」をドライブするスベン・ミューラー選手が獲得。しかし、ミューラー選手には4輪脱輪のペナルティが課せられ、当該ラップの抹消で14番手への降格を余儀なくされてしまう。

GT500では関口選手がQ1を担当した、「WedsSport ADVAN LC500」が4番手に。国本選手がFIA世界耐久選手権(WEC)出場のため、代役として起用された山下健太選手が、Q2において期待に応えて6番手を獲得する。しかしながら、「MOTUL MUGEN NSX-GT」の武藤選手は12番手、「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」のオリベイラ選手は13番手に留まり、Q1突破を果たすことはできなかった。

決勝当日は上空に青空が広がり、霊峰富士もくっきりと姿を見せる、絶好のレース日和に。グランドスタンドや1コーナースタンドなど立錐の余地もないほど大観衆が詰め寄せ、ドライバーたちのテンションを大いに高めることとなった。

 

6番手から決勝レースに挑んだ「WedsSportADVAN LC500」のスタートを担当したのは、今回も関口選手。まずはポジションキープからレースを開始するも、4周目にひとつポジションを落とすと、そこから先のペースが伸びを欠いたことから、28周目に早めのピットストップを行い、山下選手に交代する。この間にライバルの先行を許し、さらに48周目には「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」にパスされて11番手に後退。山下選手はGT500での初レースにも関わらず、大きなミスもなく周回を重ねていく。そして68周目からは再び関口選手がコースイン。  終盤までペースがなかなか上がらず、我慢の展開となったものの、残り12周でポジションを上げて10位でフィニッシュし、貴重な1ポイントを獲得するとともに、連続入賞記録をついに20戦にまで到達させた。

13番手からスタートした「MOTUL MUGEN NSX-GT」は武藤選手が、スタートを担当。徐々に追い上げていくことが期待されたものの、18周目にエンジン系のトラブルを抱えたため、ピットに戻らざるを得ず。修復に長い時間を要して勝負権を失ってしまうも、次戦につなげるためのデータを収集するべく周回を重ねていく。そこからのペースは悪くなかったものの、残り10周でトラブルが再発し、ピットでレースを終えることとなった。

「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」はスタート直後からオリベイラ選手が、ライバルと抜きつ抜かれつの展開を披露し、白熱のバトルを繰り広げた。35周目に交代した佐々木選手が、48周目に10番手に浮上する。その後もコンスタントに走り、77周目からは再びオリベイラ選手がドライブ。このままラストスパートと行きたいところだったが、青旗無視のペナルティとしてドライビングスルーを命じられ、さらにペナルティ消化の際にもピットレーンで速度違反があり、再度ドライビングスルーを命じられてしまう。そのため、2周遅れの12位となり、ポイント獲得は果たせずに終わる。

GT300では絶妙のスタートダッシュを見せた「グッドスマイル初音ミクAMG」の片岡選手が、オープニングの1周だけで後続に1秒の差をつけ、その後はペースを合わせて走る余裕さえ見せた。29周目に早めの谷口選手への交代を行なったこともあり、いったんは順位を落とすものの、全車が最初のピットストップを済ませると、やはりトップをキープしていたばかりか、リードは10番手にも拡大。それでもアクセルを一向に緩めようとはせず、ポール・トゥ・ウィンで2連勝もかくやという勢いを見せていた。

だが、61周目に左フロントのタイヤに突然トラブルが発生し、緊急ピットイン。予定を大幅に改めて、片岡選手への交代を行ったこともあって4番手に留めるも、ゴールまであと5周となった98周目に再びトラブルが発生し、完走は果たしたものの、11位に甘んじた。

これに代わるかのように、終盤のレースを盛り上げたのが、「D’station Porsche」だった。予選のペナルティで藤井選手が14番手からスタートするも、他を圧するペースで早々に入賞圏内に。だが、9周目に先行車両の激しいブロックを避けようとして、最終コーナーでコースアウト。復帰はなったが、22番手まで後退したこともあって、もはや入賞は至難の技かと思われた。しかし、藤井選手はもとより、富士はこのレースウィークで初めてにも関わらず、35周目から70周目まで走行したスベン選手も凄まじい勢いでのリカバリーを見せた。

再び藤井選手が乗り込んだ時には4番手に返り咲いており、76周目には「グッドスマイル初音ミクAMG」をパス。そのままポジションをキープして3位入賞を果たすこととなった。4位は、細川慎弥選手と佐藤公哉選手、元嶋佑弥選手のトリオで挑んだ「ショップチャンネル ランボルギーニGT3」が獲得し、予選11番手だった星野一樹選手と高星明誠選手のドライブする「B-MAX NDDP GT-R」も激しい追い上げを果たして6位でフィニッシュした。

DRIVER VOICE

山下健太 選手 [WedsSport ADVAN LC500]

【今回の成績 : GT500クラス 10位】
初めてのGT500は難しかったですね。練習走行から自分が思ったように乗れていない印象があって不安がありましたが、予選ではそれなりにイメージしたものに修正していけて6番手になれました。決勝は少し苦しくて、前を追いかけるより後ろを抑える方が多い展開になってしまいました。GT300とGT500のクルマは大きく違うから、これからGT300のレースに生かせる部分が多いわけではなさそうですが、一戦だけの参戦とはいえ、本当にいい経験になりました。

佐々木大樹 選手 [フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 12位】
ヨコハマタイヤ勢にとっては、グリップ力のところで苦しいレースになってしまいました。その中でも僕たちはポイント圏内を走っていただけに、ペナルティはすごく残念です。でも、次のオートポリスからは得意なコースが続くので、また頑張りたいです。

中嶋大佑 選手 [MOTUL MUGEN NSX-GT]

【今回の成績 : GT500クラス リタイア】
全体的に厳しい結果になってしまいました。決勝はちょっとタイヤの性能をうまく発揮できない状況で、苦しかったですね。さらにエンジン関係のトラブルも出てしまって、勝負権のないところで走っていましたが、その中で周回を重ねることはできました。ヨコハマタイヤに関しては今回、どちらかというとコンディションに合わなかったと思います。まだどれが正解かわからないですけど、今回のレースへて新しい疑問も出てきたので、それは次につながることでしょう。

藤井誠暢 選手 [D‘station Porsche]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
序盤にきついブロックされてコースアウトして、10秒ほどロスしてしまったのですが、意地でも元のポジションまで戻ってやろうと思って、全部抜きまくってきました。スベン選手も富士は初めてなんですけど、ものすごく速くてGT500との絡みも良かったから、「これは表彰台、行けるんじゃないか」ってムードになってきて。最後は自分もフルプッシュして、500kmを走りきったという印象です。予選で3番手になれていれば、ちょっと違った展開になったかもしれませんが、スピードはあるし、クルマもいいし、タイヤも狙い以上に決まっていたので、この先も強いレースができると思います。100戦目という節目のレースで勝ちたかったですけど、ポディウムには立てたから良かったです。

細川慎弥 選手 [ショップチャンネル ランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
タイヤはまったくタレることなく、1スティントきっちり行けて、最後のスティントは行けそうだったので、リヤだけ2本交換で。その状態でもバランスは悪くなかったみたいで、実際元嶋のタイムは良かったですね。そういう意味ではすごく安定していてくれていたので、良かったです。やっとレースを戦えたので、これからもこの流れで。岡山も予選までは良かったのに、決勝であまり奮わなかったので、そう思うと今回は決勝もちゃんとレースできた感じなので、この感触をキープできれば、と思います。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル SUPER GT開発統括]

今回は事前のテストで確認した、新しい構造、コンパウンドのタイヤをGT500に持ち込んだのですが、予選までのコンディションには手応えを感じていましたが、今日は温度が上がってしまって、想定よりも厳しい状況になってしまいました。本来なら、春先の天気の変わりやすいコンディションには、もう少し温度の守備範囲を広くしないといけませんね。秋口の同じようなコンディションに向け今回の結果をきちんと解析して、修正していきたいと思います。

GT300では「グッドスマイル初音ミクAMG」が残念な結果になってしまいましたが、チームの勝利への執着で攻めのセットになったのが、裏目に出てしまいました。その一方で「D’station Porsche」が予選とレースでうまく攻めと守りのセットを使い分け、素晴らしい追い上げのレースができた事は本当に良かったと思います。いずれにしても、チームとのコミュニケーションを密にし、トラブルや問題を未然に防ぐようにしなければいけませんね。

今回は両クラスとも、あまりいいところを見せられませんでしたが、次回のオートポリスには過去のデータとシーズンオフテスト、この2戦のデータからベストを見極めて臨みたいと思います。