2015 WTCC Round 5&6 Report

【FIA世界ツーリングカー選手権 第5戦&第6戦/ハンガロリンク (ハンガリー)】

第2レースは地元のミケリス選手が3年ぶりの優勝、
“ふたりのトム”も表彰台を獲得した!!

WTCC Round 5&6

開催日 2015年5月1日-3日
開催場所 ハンガロリンク
(ハンガリー)
天候 第1レース:曇り
第2レース:曇り
路面 第1レース:ドライ
第2レース:ドライ
決勝周回数 第1レース:13周
第2レース:14周
(1周=4,381m)
2015 WTCC 第5&6戦

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2011年からWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)の舞台となっている、ハンガリーのハンガロリンク。今年も第5&6戦が5月3日に、大勢のファンが見守る中で決勝レースを行った。ここまで2大会/4戦、昨年に引き続いてシトロエン勢が圧倒的な強さを見せているWTCC。4戦全勝、しかもそのうちの3戦では表彰台を独占してライバルたちを大きく引き離している。

そんな強さはハンガリーでも不変だった。土曜日は雨が降りウェットコンディションとなったが、2回のフリープラクティスではともにホセ・マリア・ロペス選手(シトロエン)がトップタイムをマーク。ただし2番手にはガブリエレ・タルクィーニ選手、3番手にはティアゴ・モンテイロ選手というホンダ・シビック勢が食い込んで意地を見せた。

ウェットコンディションのままで迎えた公式予選。Q1ではハンガリーを得意とするイヴァン・ミューラー選手(シトロエン)がトップタイム、これに続いたのはロブ・ハフ選手(ラーダ)という興味深いリザルトになる。Q1の上位12台によるQ2はロペス選手がトップ、ミューラ選手、セバスチャン・ローブ選手と続きシトロエンがトップ3を独占。Q3に進出した上位5台は、この3人にヒューゴ・ヴァレンテ選手(シボレーRML)とマー・チンホワ選手(シトロエン)を加えたラインナップ。Q3はミューラー選手がヴァレンテ選手を僅か0.233秒おさえて第1レース(第5戦)のポールポジションを獲得した。

一夜明けて雨はあがったハンガロリンク。路面はドライコンディションに回復、ただし上空は雲に覆われているという状況だ。いつもより1周多く設定されたフォーメーションラップを経て全車がグリッドオン、レッドシグナルが消灯すると見事なロケットスタートを決めたのがロペス選手。3番グリッドからヴァレンテ選手をかわすと、ミューラー選手のインを奪ってターン1で真横につけると、そのままターン2でトップを奪うことに成功した。

しかしミューラー選手も簡単に先行を許すはずが無く、再びサイド・バイ・サイドに持ち込む。しかしロペス選手がここをおさえてトップを譲らず。その後方では6番手スタートのモンテイロ選手が、ローブ選手との激しい接近戦を制して5番手へとポジションをあげた。

13周の決勝、一度トップに躍り出たロペス選手は快調なペースでラップを刻んでいく。折り返しとなる7周を終えて2番手のミューラー選手に対して2.218秒のマージンを構築、完全にレースの主導権を握っていた。一方でミューラー選手は3位のヴァレンテ選手を3.118秒引き離しており、シトロエンの1-2フォーメーションは磐石のものとなった。

このまま後半もロペス選手がリードを守り、最後は3.958秒にまでその差を拡げてフィニッシュ。アルゼンチン、そしてモロッコに続いて第1レースを制してシーズン3勝目を飾った。これに続いたのはミューラー選手。そして3位にはヴァレンテ選手が入り、YOKOHAMAインディペンデントトロフィーを制するとともにシトロエンの表彰台独占を阻止した。

第2レース(第6戦)のスターティンググリッド、その先頭に陣取ったのはノルベルト・ミケリス選手。ハンガリー出身のミケリス選手、地元ファンの大きな声援を受けてのポールポジションである。2番グリッドはトム・チルトン選手、そして3番グリッドにはトム・コロネル選手と、ROAL Motorsport勢のシボレーRMLが並ぶ。6番グリッド以降からスタートするシトロエン勢の追撃から、これら先頭グループが逃げきることが出来るか注目だ。

スタートではペナルティによる最後尾グリッドとなったタルクィーニ選手がランオフエリアに飛び出す場面もあったが、大きな混乱は無く各車はターン1へ。そしてコロネル選手がチルトン選手をかわして2番手にアップする一方、やはりシトロエン勢が怒濤の追い上げを見せてローブ選手とロペス選手はアウト側から3番手のチルトン選手に迫る。その後方ではハフ選手とチンホワ選手が接触、ハフ選手がスピンを喫する場面もあったが、幸いに大きなアクシデントには至らなかった。そして、やや混乱模様のオープニングラップでポジションをあげたもう一人がモンテイロ選手。1周を終えて4番手、表彰台を狙える位置につけた。

ポールポジションからスタートしたミケリス選手は、ホームコースのハンガロリンクでファンの期待に応える好走を披露。ラップを重ねる毎にマージンを構築し、6周を終えて2番手のコロネル選手を5.261秒引き離す。この差は後半になってさらに拡大、最後は7.103秒の差をつける独走で大観衆の声援とチアホーンが響くホームストレートでウィニングチェッカーを受けた。2位はコロネル選手、3位はチルトン選手でROAL Motorsportの2台が揃って表彰台を獲得。

この結果6戦目にして今シーズン初めて、シトロエン勢の姿がない表彰台となったとともに、YOKOHAMAインディペンデント勢が表彰台を独占することとなった。

DRIVER VOICE

ホセ・マリア・ロペス 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第5戦 優勝 / 第6戦 6位】
これだけの大観衆を前にしての勝利は、特別なものになりました。私はなにより、スタートが重要であると考えていました。それはチャンピオン争いにとっても重要であるため、ヴァレンテ選手を抜きたかった。しかし正直に言うと、ミューラー選手までを抜くことは想定していませんでした。4回のチャンピオンを獲得したミューラー選手とのバトルは、素晴らしいものでした。そして私もチャンピオンの称号を、ミューラー選手と同様に得たいと思います。

ノルベルト・ミケリス 選手 [Zengo Motorsport]

【今回の成績 : 第5戦 8位 / 第6戦 優勝】
地元で大勢のファンを前にして勝てたのは幸運であり、私自身も驚いています。2012年にここハンガロリンクで叶った初勝利を思い出しました。この素晴らしいマシンを造り上げてくれたみなさんに、心から感謝します。第2レース(第6戦)は、全てが思い通りにいきました。私はとにかくプッシュするために集中しており、バックミラーは見ませんでした。そしてサインボードで表示される残り周回数も気にしないようにしました。その結果、フィニッシュしてウィニングチェッカーを受けた私は、とても興奮しました!!

TECHNICAL INFORMATION

予選はウェットコンディションとなったハンガロリンクだが、18インチとなったTC1車両はタイヤのキャパシティにも余裕があるため、各チームはセットアップの個性も見せながら予選に挑んだ。そんな中でシトロエン勢が速さを見せたが、一方でホンダ勢もフリープラクティスの上位リザルトに名を連ねるなど、チームやドライバーが如何に巧くタイヤを使うかもWTCCの見どころになってきている。

ドライに転じた決勝、ハンガロリンクのコースはタイヤに対して厳しい路面であるが、そんな中で繰り広げられた激しいバトルにおいてもタイヤのトラブルは皆無。地元で凱旋優勝を飾ったミケリス選手の好走も、しっかり支えたハンガリー戦であった。