2015 WTCC Round 5&6 Preview

【FIA世界ツーリングカー選手権 第5&6戦/ハンガロリンク (ハンガリー)】

[Preview] 地元のヒーローに、大声援は追い風となるか!?

WTCC Hungary
(Hungaroring)

開催日 2015年5月1日-3日
開催場所 ハンガロリンク
(ハンガリー)
コース距離 4,381m
決勝予定周回数 14周×2レース
2015 WTCC 第5&6戦 プレビュー

開幕からおよそ1ヶ月のインターバルで開催された第3&4戦を終え、いよいよWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)はタイトなスケジュールで各国を転戦するヨーロッパラウンドへと突入する。その皮切りとなるのがハンガリー、この週末はハンガロリンクでの第5&6戦が開催される。既にチームはサーキット入りを済ませており、金曜日の現地時間で18時30分から今回はシェイクダウンと称した30分の走行枠が設けられており、ここから走行がスタートする。

[Photo]

さて、ハンガリー戦と言えば地元のノルベルト・ミケリス選手が注目株の筆頭だ。2012年にはBMW 320TCを駆って総合優勝を飾り、サーキットは全体が大きく揺れるほどの歓声に包まれた。今シーズンも当時と同じZengo Motorsportから参戦するミケリス選手、マシンはホンダ・シビックを駆っているがシビックでの最上位は昨年のアルゼンチンとマカオで獲得している2位。地元ファンの声援を背に、シビックでの初優勝に期待が高まる。



データが裏付ける、WTCCで最もハンガリーを得意とする選手とは!?

地元のミケリス選手のみならず、ハンガリーにおける戦いぶりにぜひ注目していただきたいのが、シトロエンのイヴァン・ミューラー選手だ。セアト、シボレー、そしてシトロエンとWTCCで黄金期を築き上げたマシンを栄光へと導いた立役者こそが、過去4回のWTCCチャンピオンに輝き、モロッコでの第2レースで自身WTCC通算41勝目を飾っているミューラー選手である。

2014年から新規参入したシトロエンへと移籍したのは、ドライバーとしての速さを認められているからのみならず、卓越したマシン開発能力やチームメイトのスキルアップコーチ役など、チーム全体のレベルアップを任されてのこと。WTCCのプロモーション映像で、教師に扮してセバスチャン・ローブ選手に教室でレースについてコーチングするというものがあったのはひとつの象徴と言えるだろう。

[Photo]

シボレー時代にはチームメイトとの確執も噂されるほど、コース上では激しいバトルを見せたミューラー選手。ただし、決して暴れん坊というわけではなく、他の選手であればノーズを入れることをためらうような相手のほんの一瞬の隙さえも見逃さずに突いて、時には接触も伴いながら鮮やかなパッシングを見せていた。しかし前述のようにシトロエンでの立ち位置は、シボレーまでとは若干異なるようにも見える。コース上でも特にチームメイトに対して一か八かのバトルを仕掛けるような場面を見られることは少なくなった。

2014年はシリーズ4勝を挙げたミューラー選手。そのうちの1勝はハンガロリンクが舞台であったが、歴史を紐解いても2011年の初開催から昨年までの4シーズン、ハンガロリンクでは必ず優勝を飾ってきているのだ。さらに細かく見ると、2012年からは3年連続で第1レースをポール・トゥ・ウィンで制している。このことからもWTCCドライバーの中でもっともハンガロリンクを得意としていることは明らかなだけに、まずは土曜日の予選でトップタイムを刻むかというところから注目していただきたい。



【選手権 ドライバー部門・ポイントランキング (第4戦終了時点)】

順位 No. ポイント ドライバー 車両 チーム
1 37 93 ホセ・マリア・ロペス シトロエン・C-エリーゼ WTCC Citroen Total WTCC
2 9 76 セバスチャン・ローブ シトロエン・C-エリーゼ WTCC Citroen Total WTCC
3 68 57 イヴァン・ミューラー シトロエン・C-エリーゼ WTCC Citroen Total WTCC
4 33 38 マー・チンホワ シトロエン・C-エリーゼ WTCC Citroen Total WTCC
5 2 38 ガブリエレ・タルクィーニ ホンダ・シビック WTCC Honda Racing Team JAS
6 18 36 ティアゴ・モンテイロ ホンダ・シビック WTCC Honda Racing Team JAS
7 25 26 メルディ・ベナニ シトロエン・C-エリーゼ WTCC Sebastien Loeb Racing
8 3 21 トム・チルトン シボレーRML・クルーズ TC1 ROAL Motorsport
9 5 18 ノルベルト・ミケリス ホンダ・シビック WTCC Zengo Motorsport
10 26 12 ステファノ・ディアステ シボレーRML・クルーズ TC1 ALL-INKL.COM Munnich Motorsport
11 15 6 ジェームス・トンプソン ラーダ・ヴェスタ WTCC LADA Sport Rosneft
12 7 4 ヒューゴ・ヴァレンテ シボレーRML・クルーズ TC1 Campos Racing
13 27 4 ジョン・フィリッピ シボレーRML・クルーズ TC1 Campos Racing
14 19 3 リカルド・リデル ホンダ・シビック WTCC Nika International
15 11 1 グレゴアール・ドゥムースティエ シボレーRML・クルーズ TC1 Craft Bamboo
16 12 1 ロブ・ハフ ラーダ・ヴェスタ WTCC LADA Sport Rosneft
17 4 0 トム・コロネル シボレーRML・クルーズ TC1 ROAL Motorsport
18 98 0 ドゥサン・ボルコビッチ ホンダ・シビック WTCC Proteam Racing
19 14 0 ミハイル・コズロフスキー ラーダ・ヴェスタ WTCC LADA Sport Rosneft

【YOKOHAMAドライバーズトロフィー・ポイントランキング (第4戦終了時点)】

順位 No. ポイント ドライバー 車両 チーム
1 25 31 メルディ・ベナニ シトロエン・C-エリーゼ WTCC Sebastien Loeb Racing
2 5 30 ノルベルト・ミケリス ホンダ・シビック WTCC Zengo Motorsport
3 3 29 トム・チルトン シボレーRML・クルーズ TC1 ROAL Motorsport
4 26 20 ステファノ・ディアステ シボレーRML・クルーズ TC1 ALL-INKL.COM Munnich Motorsport
5 27 15 ジョン・フィリッピ シボレーRML・クルーズ TC1 Campos Racing
6 11 9 グレゴアール・ドゥムースティエ シボレーRML・クルーズ TC1 Craft Bamboo
7 7 8 ヒューゴ・ヴァレンテ シボレーRML・クルーズ TC1 Campos Racing
8 98 5 ドゥサン・ボルコビッチ ホンダ・シビック WTCC Proteam Racing
9 4 2 トム・コロネル シボレーRML・クルーズ TC1 ROAL Motorsport

CIRCUIT

[Photo]

ハンガリーの首都・ブタペストの北東およそ20kmに位置するハンガロリンク。1986年にオープン、同年には東欧初のF1グランプリが開催されたことでも知られる国際サーキットコースだ。

2011年からWTCCが開催されているが、昨年の開催前には路面改修が施されて全体的なグリップが向上。全長4,381m、アップダウンもあり攻略が難しいコースのひとつといえる。

またタイヤの摩耗に対してはやや厳しいコースであり、各選手はタイヤマネージメント能力も試される。無理にパッシングを何度も仕掛けるのではなく、真後ろからプレッシャーをかけ続けて先行車のタイヤ摩耗を進めさせ、ここ一番の勝負どころで一気に抜き去る、というような組み立て、そして駆け引きが随所で演じられることになるだろう。

コースレコードは2014年の予選でシトロエン・C-エリーゼを駆るイヴァン・ミューラー選手がマークした1分48秒727(平均車速 145.05kph)。決勝ファステストラップは同年の決勝でやはりミューラー選手が1分50秒119(平均車速 143.223kph)を記録している。