【FIA世界ツーリングカー選手権 第3&4戦/ムーレイ・エル・ハッサン (モロッコ)】
WTCC Morocco
(Moulay El Hassan)
開催日 | 2015年4月17日-19日 |
---|---|
開催場所 | ムーレイ・エル・ハッサン (モロッコ) |
コース距離 | 4,624m | 決勝予定周回数 | 14周×2レース |
アルゼンチンでの開幕戦からおよそ1ヶ月半のインターバルをはさみ、WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は戦いの舞台を南米大陸からアフリカ大陸へと移す。昨年は開幕戦が催されたモロッコ、ムーレイ・エル・ハッサンで今シーズン初の市街地特設コースにおけるバトルが演じられる。
マラケシュの公道を封鎖して設けられるコースは、シケインが設けられた平行する2本のストレート上を基本に、これらをヘアピンでつなぐレイアウト。一見すると単調にも見えるが、両サイドはストリートコースということでガードレールに囲まれランオフエリアはほぼ皆無。他の市街地レースと同様に、パッシングポイントが限られるが、そこでギリギリのバトルが演じられるためにWTCCらしいアグレッシブなレース展開が期待される。
2009年に初めてWTCCのカレンダーに組み込まれて以来、2011年は開催がスキップされたが、今年で6回目の開催を数えるWTCCのモロッコ・ラウンド。過去の戦績を見ると、第1レースは2013年を除く全てでポールポジションを獲得した選手が逃げきっての優勝を飾っている。一方でリバースグリッドとなる第2レースは、ポール・トゥ・ウィンで決したのは2010年の一度のみ。ほかは後方グリッドからスタートに臨んだ選手が逆転を飾っており、ふたつのレース展開が大きく異なるものとなる傾向が見られる。
また、ストリートバトルであるがゆえのアクシデントも多く、ほぼ毎年2つのレースのいずれかでセーフティカーが導入される展開となっている。WTCC公式サイトのインタビューに、YOKOHAMAトロフィーのランキングトップに立つメルディ・ベナニ選手も語っているが、やはり常設サーキットコースでの戦い以上に、予選でいかに前方のグリッドを獲得出来るかが重要であり、ここは勝敗を分ける大きな要素として注目すべきポイントになる。
3月上旬にアルゼンチンで開催された開幕戦は、2レースともにシトロエン勢が優勝を飾って、昨年来の強さが不変であることを強くアピールした。第1戦は表彰台を独占、第2戦もワン・ツー・フィニッシュと、やはり現時点では群を抜く速さを見せていると言えるだろう。
マシンは昨年と変わらず、C-エリーゼWTCCを投入しているシトロエン。ディフェンディングチャンピオンのホセ・マリア・ロペス選手、WTCC最多王座獲得を誇るイヴァン・ミューラー選手、WRC王者であるセバスチャン・ローブ選手、中国人初のFIA世界選手権優勝を昨年のロシア・ラウンドで飾ったマー・チンホワ選手、この4選手がマニュファクチャラーチームの看板を背負って走るという布陣は昨年と変わらない。
しかし一方で、今年はSebastien Loeb Racingが発足し、C-エリーゼWTCCを駆ってYOKOHAMAトロフィー登録でメルディ・ベナニ選手が参戦する。ベナニ選手はアルゼンチンの第2戦でYOKOHAMAトロフィー優勝を飾り、幸先よいシーズンインを切った。
当サイトでも何度かご紹介しているように、ベナニ選手はモロッコ人ドライバー。2009年に初めて開催されたモロッコ・ラウンドにセアト・レオンを駆ってWTCC初参戦を果たし、この大会で見事にインディペンデントトロフィーの優勝を飾ったことで、現在のWTCCレギュラー参戦への道を開いたドライバーだ。WTCCではこれまで、アルゼンチンのロペス選手、ハンガリーのノルベルト・ミケリス選手、ドイツのフランツ・エングストラー選手など、地元レースでファンの声援にも後押しされて好成績を残してきた選手が少なくない。シトロエンという戦闘力の高いマシンを駆るベナニ選手、地元レースを大いに盛り上げてくれる存在となりそうだ。
【選手権 ドライバー部門・ポイントランキング (第2戦終了時点)】
No. | クラス | ドライバー | 車両 | チーム |
---|---|---|---|---|
1 | ホセ・マリア・ロペス | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | Citroen Total WTCC | |
2 | ガブリエレ・タルクィーニ | ホンダ・シビック WTCC | Honda Racing Team JAS | |
3 | Y | トム・チルトン | シボレーRML・クルーズ TC1 | ROAL Motorsport |
4 | Y | トム・コロネル | シボレーRML・クルーズ TC1 | ROAL Motorsport |
5 | Y | ノルベルト・ミケリス | ホンダ・シビック WTCC | Zengo Motorsport |
7 | Y | ヒューゴ・ヴァレンテ | シボレーRML・クルーズ TC1 | Campos Racing |
9 | セバスチャン・ローブ | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | Citroen Total WTCC | |
11 | Y | グレゴアール・ドゥムースティエ | シボレーRML・クルーズ TC1 | Craft Bamboo |
12 | ロブ・ハフ | ラーダ・ヴェスタ | LADA Sport Rosneft | |
15 | ジェームス・トンプソン | ラーダ・ヴェスタ | LADA Sport Rosneft | |
18 | ティアゴ・モンテイロ | ホンダ・シビック WTCC | Honda Racing Team JAS | |
19 | リカルド・リデル | ホンダ・シビック WTCC | Nika International | |
25 | Y | メルディ・ベナニ | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | Sebastien Loeb Racing |
26 | Y | ステファノ・ディアステ | シボレーRML・クルーズ TC1 | ALL-INKL.COM Munnich Motorsport |
27 | Y | ジョン・フィリッピ | シボレーRML・クルーズ TC1 | Campos Racing |
33 | マー・チンホワ | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | Citroen Total WTCC | |
37 | ホセ・マリア・ロペス | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | Citroen Total WTCC | |
68 | イヴァン・ミューラー | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | Citroen Total WTCC | |
98 | ドゥサン・ボルコビッチ | ホンダ・シビック WTCC | Proteam Racing |
【YOKOHAMAドライバーズトロフィー・ポイントランキング (第2戦終了時点)】
順位 | No. | ドライバー | 車 種 | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | ノルベルト・ミケリス | ホンダ・シビック WTCC | 18 |
2 | 3 | トム・チルトン | シボレーRML・クルーズ TC1 | 15 |
3 | 25 | メルディ・ベナニ | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | 15 |
4 | 11 | グレゴアール・ドゥムースティエ | シボレーRML・クルーズ TC1 | 9 |
5 | 26 | ステファノ・ディアステ | シボレーRML・クルーズ TC1 | 6 |
6 | 98 | ドゥサン・ボルコビッチ | ホンダ・シビック WTCC | 5 |
7 | 27 | ジョン・フィリッピ | シボレーRML・クルーズ TC1 | 4 |
8 | 4 | トム・コロネル | シボレーRML・クルーズ TC1 | 2 |
9 | 7 | ヒューゴ・ヴァレンテ | シボレーRML・クルーズ TC1 | 0 |
2009年、50年ぶりのFIA世界選手権レースとしてモロッコで開催された時から、WTCCが戦う場はマラケシュの市街地特設コースが用意されてきた。旧市街地は世界遺産にも登録されているマラケシュ、エキゾチックな街並みの中を走るストリートを閉鎖してのコースは、一般公道ということでサーキットに比べて路面のミューは低い。さらにストレートが主体のレイアウトとなるため、タイヤへの直接的な負担は小さいコースであると言える。
ただ、市街地レースということで接触やクラッシュが多く、一度アクシデントが生じるとコース上に部品が散乱することとなり、これを拾って思わぬダメージをタイヤに受けてしまうことが注意点となる。
これまでのコースレコードは、2014年の決勝でホセ・マリア・ロペス選手(シトロエン)が記録した1分43秒704(平均車速157.776kph)。予選のファステストラップは同年、セバスチャン・ローブ選手(シトロエン)が記録した1分43秒706(平均車速157.77kph)となっている。