2015 JGC Round 2 Report

【全日本ジムカーナ選手権 第2戦/鈴鹿・南】

雨に見舞われた鈴鹿サーキット国際南コース決戦、
ADVAN NEOVA AD08RがPN1クラスの表彰台を独占!!

JGC Round 2

開催日 2015年4月4日-5日
開催場所 鈴鹿サーキット・南コース
(三重県)
天候
路面 ウェット
参加台数 159台
(ヨコハマタイヤ装着車 45台)
2015 全日本ジムカーナ選手権 第2戦

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全国的に桜が満開となった新年度最初の週末、全日本ジムカーナ選手権第2戦が、三重県にある鈴鹿サーキット国際南コースで行われた。開幕戦岡山ラウンドは130台とやや寂しい参加台数だったが、日本列島のほぼ中央に位置するここ鈴鹿サーキットには、北海道から沖縄県まで159名の選手が集結した。全日本戦として鈴鹿サーキット国際南コースを使用するのは、2013年以来2年ぶりのこととなる。しかし、その間にもJAF中部ジムカーナ選手権、JAF近畿ジムカーナ選手権などが開催されており、地元の中部・近畿の選手にとっては路面、コースともに慣れ親しんだサーキットといえる。

その鈴鹿国際南コースは、2本のストレートを中心に、S字やヘアピンなどの中高速コーナーを組み合わせたレイアウト。日本で唯一国際格式を取得したカートコースとして、大きな大会なども行われている。雨に見舞われ、ウェットコンディションのなかで戦われた今回は周回路としては使用せず、ホームストレートから2コーナーの先に置かれたパイロンを180度ターンして逆走。コース中央の広場に設定されたパイロンセクションで合計4回の細かいパイロンターンを行ってから、シケイン&ヘアピンを逆走し、最終コーナーまで短く狭いスラロームをくぐり抜けるという設定だ。サーキットジムカーナではあるが、ストップ&ゴーが繰り返されるパイロンセクションがタイムを縮める大きなポイントとなった。特にコース中央のパイロンセクションは、ウェット路面も手伝っていかに短時間で駆け抜けるかを考えた結果、サイドブレーキを引かずにじりじりグリップで抜ける作戦に出るクラスもあるなど、車種によってベストな走り方が異なる、ジムカーナという競技の攻略の難しさと創意工夫の面白さを体現するコース設定だった。

そんな雨のなかで、ヨコハマタイヤのウェット性能をいかんなく発揮して表彰台を独占したのがPN1クラスだ。今年からPN部門/AE部門に導入された使用タイヤに関する規則では、欧州グレーディング制度およびJATMAラベリング制度に適合するタイヤのみ使用が認められているが、ADVAN NEOVA AD08Rは2013年の発売当初から、すべてのタイヤサイズでこの欧州グレーディング制度に適合し、世界でもまったく同じスペックを販売している。

そのため、PN1クラスの主力車種であるスイフトスポーツはもちろん、今年から全日本ジムカーナ選手権に登場してきたGK5型フィットの195/55R15サイズにも当然適合。今回初めてフィットを投入し、全日本戦では初優勝という橋本恵太選手の勝利を、欧州グレーディングのウェットグリップ性能「B」を誇るADVAN NEOVA AD08Rが足元から支えた。さらに、スイフトスポーツを駆るひでき選手が2位、前回の岡山ラウンドでは雨の練習走行でトップタイムをマークし、ADVAN NEOVA AD08Rのウェットでの強さを早々に実証していたGK5フィットの福田大輔選手が3位に入賞と、PN1クラスでADVAN NEOVA AD08Rが表彰台を独占した。

また、PN4クラスでは、岡野博史選手が鬼神の走りで2位に1.3秒もの大差をつけて今季2連勝。ウェット路面ながらやや水が掃けた第2ヒートの難しい路面状況のなか、ADVAN NEOVA AD08Rの排水性能とグリップ力を最大限まで引き出して、劇的な勝利を挙げた。

一方、ADVAN A050を装着して戦うSA1クラスでは、前戦岡山で3位に入賞した工藤典史選手が第1ヒート、第2ヒートともベストタイムを更新して今季初優勝。低温域にマッチするG/2Sコンパウンドが雨で冷えたウェット路面のなかでも好タイムをマークする支えになった。

さらに、SA3クラスでは天満清選手が2位に入賞。「雨の鈴鹿南コースはほとんど走ったことがない」としながらも、低温域からのグリップ性能に絶対の信頼を置いているADVAN A050のG/2Sコンパウンドのおかげで、思い切り踏むことができたという。今シーズン初のフルウェットとなった第2戦での結果は、今後のウェットコンディションでさらなる活躍につながるに違いない。

DRIVER VOICE

橋本恵太 選手 [エグゼスポーツフィット]

【今回の成績 : PN1クラス 優勝】
フィットに乗り始めたのが昨年の12月からなので、まだ完全にマシンが自分のものになっておらず、第1ヒートではアンダーステアを出したり色々タイムロスがありました。タイヤはADVAN NEOVA AD08Rを使用しましたが、コントロール性が高くウェット路面でもしっかりグリップしてくれました。フィットのタイヤサイズはライバルとなるスイフトに比べて細いのですが、第2ヒートでは雨が弱くなり路面の水膜も少なくなったこともあって、より高いグリップを発揮してくれたのが勝因だと思います。全日本戦では初優勝でしたが、ぜひ今後もいい成績を獲れるように頑張ります。

岡野博史 選手 [ADVAN リジット ランサー]

【今回の成績 :PN4クラス 優勝】
今回の路面は非常に難しいコンディションだったと思います。グリップするところと滑るところがあり、しかもグリップする路面と滑る路面のミューの差が大きいからです。第1ヒートでは0.1差でトップタイムを獲れましたが、第2ヒートは一度逆転され、それを再逆転して優勝することができました。タイヤはADVAN NEOVA AD08Rを使用しましたが、このタイヤの特徴である縦方向の強いグリップ力を活かした、立ち上がりでのトラクションとブレーキングを詰める走りを心がけました。また、ターンセクションでも非常にグリップしてくれたので、安心してアクセルを踏むことができました。これで開幕2連勝ですが、次も連勝を目指したいと思います

工藤典史 選手 [ADVAN spm ITO シビック]

【今回の成績 :SA1クラス 優勝】
コースと自分との相性は悪くはなかったのですが、いつも自分の120%の走りをしてしまい、ミスすることが多かったので、今回は平常心で走ることに徹しました。また、このコースのウェット路面を現在のマシンで走るのは初めてでしたが、自分の走りとしては90点くらいで満足できるものだったと思います。タイヤはADVAN A050を使用しましたが、ウェット路面でしたので、信頼の置ける低温向けであるG/2Sコンパウンドを使用しました。タイヤのグリップも高く自分のオーバーアクションの走りにもしっかり応えてくれたのも勝因だったと思います

ひでき 選手 [KYBPinスイフトエンケイS]

【今回の成績 :PN1クラス 2位】
今回の路面は非常に滑る路面だったので、できるだけミスしないように走ることを心がけました。第1ヒートはトップから0.6秒差の3番手で折り返すことができましたが、第2ヒートではさらに順位を上げるつもりで、確実に走り切ればタイムアップできると信じて走りました。第2ヒートの路面は第1ヒートよりも雨が弱くなったことで、コンディションが良くなったことが最初のターンの立ち上がりで分かったので、第2ヒートも思い切り攻めることができましたし、タイヤのADVAN NEOVA AD08Rも想像以上にグリップしてくれました。優勝はできませんでしたが、次も上位を目指して頑張ります

天満 清 選手 [ADVAN ジール クスコ ランサー]

【今回の成績 :SA3クラス 2位】
タイヤはADVAN A050のG/2Sコンパウンドを4輪に装着しました。今回のウェット路面でも確実にグリップしてくれましたし、タイヤを信用して思い切りアクセルも踏むことができたと思っています。ただ、第2ヒートは中間タイムはトップでしたが、後半は大事に走りすぎてしまったのかもしれません。結果は残念ながら2位に終わってしまいましたが、このコースは2年ぶりでしたし、ここではあまり走ったことのないウェットでの感触も掴むことができました。また、色々な面で今後のためにつながるデータが多く得ることができましたし、その意味では優勝するための対策も練ることができると思います。

FEATURED DRIVER

■N1クラス : 厚海貴裕 選手

元々はストリートを走っていたが、あるきっかけでジムカーナに参戦するようになったという異色の経歴の持ち主が、ジムカーナ歴4年、26歳という若手の厚海貴裕選手だ。


「学生の時に山道でドライブを楽しんでいて自損事故を起こしてしまったんです。自分では他の人より運転がうまいと思っていたのでとてもショックで、その後高速道路で手が震えてしまうほどのトラウマを抱えてしまいました」
それでもクルマが好きだったことから、しっかりした運転技術をうまい人に教えてもらおうと考えて出会ったのがジムカーナだったという。「JAF公認競技は敷居が高かったので、ライセンスのいらないジムカーナ系プロショップの走行会に参加して、ジムカーナを本格的に始めました」

始める前までは、「ジムカーナは、外から見ているとドリフトなどと比べてすごさがよく分からず、簡単そうに見えたのですが、実際に自分でやってみると難しくて……正直嫌になりました(笑)」と苦笑する厚海選手。マシンは元全日本選手が乗っていたDC2インテグラで、昨年はJAF関東ジムカーナ選手権のN1クラスに参戦し、シリーズランキング9位だった。

しかし、「これはクルマが嫌になったのではなくて、自分をクルマに合わせていかないとダメだと痛感したんです。自分のテクニックがまだまだ未熟なのは承知の上で、もっと頑張るなら全日本で上位を争う先輩が出ている今しかないと、思い切って(全日本戦に)参戦することにしました」という。

ジムカーナの魅力について「クルマの差ではなく、みんながイコールコンディションで戦えるのがいい」と語る厚海選手は、さっそくヨコハマ・モータースポーツ・スカラシップにも登録している。とはいえ、ADVAN A050を履いたのはなんと開幕戦岡山ラウンドが初めて。A050を選んだ理由は、「単純にADVANブランドに憧れていたから」だという。

「筑波のタイムアタックなどで使われているのを見て、ぜひ自分もADVANを使用したいと思っていました。まだ自分ではADVAN A050の性能を完全に引き出し切れていませんが、もっと練習して入賞できるように頑張ります」 厚海選手の今後の健闘に期待したい。

TECHNICAL INFORMATION

鈴鹿サーキット国際南コースは、普段は主に2ストロークのカートが走行していることから、雨が降るとカートが排出したオイルが浮き、滑りやすくなるという特徴がある。また、カートのレコードライン上はカートタイヤによって路面が磨かれているため、雨になるとグリップレベルが極端に低くなる。決勝日の気温は14度ほどで、タイヤ選択としてはADVAN A050は駆動方式にかかわらず低温向けのG/2Sコンパウンドがベストチョイス。ただし、縦溝がないことから、ハイドロプレーニング現象が起きないよう、カートのレコードラインを外したり、水はけがいい場所を選んで走行するといった攻略が必要だ。

また、第1ヒートのSA1クラスあたりからは雨が止み、ホコリやオイルなどが水とともに掃けたことにより、路面の状態も徐々に改善。第2ヒートではほとんどのクラスでタイムアップを果たし、路面の温度域にマッチしたADVAN A050のG/2Sコンパウンド、溝面積が広く排水性能に優れるADVAN NEOVA AD08Rの両方とも、各クラスでの上位入賞に大きく貢献した。