2015 J-F3 Round 3&4&5 Report

【全日本F3選手権 第3戦&第4戦&第5戦/もてぎ】

第3戦はニック・キャシディ選手がスタートでトップを奪い優勝、
第4&5戦は山下健太選手が連勝を飾る!!

Japanese F3 Round 3&4&5

開催日 2015年5月9日-10日
開催場所 ツインリンクもてぎ (栃木県)
天候 第3戦:曇り
第4戦:晴れ
第5戦:晴れ
路面 第3戦:ドライ
第4戦:ドライ
第5戦:ドライ
決勝周回数 第3戦:14周
第4戦:14周
第5戦:20周
(1周=4,801m)
参加台数 16台
2015 全日本F3選手権 第3&4&5戦

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全日本F3選手権の第2大会が、今季唯一の3レース大会としてツインリンクもてぎで開催された。前回に続いて専有走行が木曜日、金曜日に3セッション行われ、トップタイムをマークしていたのは山下健太選手。これに高橋翼選手、高星明誠選手が続き、F3-Nクラスでは小河諒選手がトップとなっていた。

第3戦の予選では、山下選手がただひとり1分45秒を切ってトップに。チームメイトのニック・キャシディ選手にさえ、コンマ5秒の差をつけていた。F3-Nクラスでは小河選手がトップ。三浦愛選手にコンマ3秒の差をつけていた。第4戦の予選でも、このふたりがトップながら、山下選手には高星選手がコンマ06秒差、小河選手には三浦愛選手がコンマ001秒(!)差にまで肉薄。「セッティングの変更がうまくいきました」と揃って口にし、右肩上がりの調子であることを強調した。なお、第5戦の予選は行われず、土曜日のうちに行われる第3戦の結果が、そのままグリッドに反映されることとなっている。

金曜日までは天気に恵まれたが、天気予報が告げていたとおり、土曜日だけが曇天に。今回は3レース大会ということもあって、タイヤは3セット使用可能で、2回の予選で使用されなかったニュータイヤをどこで投入するかも勝敗を左右した。第3戦で唯一装着したのがキャシディ選手で、その効果のほどはスタート直後に明らかになる。ポールシッター山下選手のミートタイミングは悪くなかったものの、その脇をキャシディ選手が、力強い蹴り出しで追い抜いていったからだ。

もてぎと言えば、オーバーテイクが困難なサーキットとして知られるだけに、ここで前に出たことが最大の勝因に。山下選手は最後までキャシディ選手に食らいついていったが、逆転するには決め手を欠いて、そのまま逃げ切りを許してしまう。3位は高星選手が獲得。

一方、F3-Nクラスでは小河選手がエンジンストールで大きく順位を落とし、代わって三浦愛選手がトップに立つ。激しい追い上げで3周目には2番手に上がった小河選手ながら、6周目の5コーナーで痛恨のスピン。これで再び3番手に後退、8周目には2番手に返り咲くも、その時点で三浦愛選手とは約7秒の差が。徐々に詰めていったが、差を2秒以内とするのが精いっぱい。三浦愛選手が今季2勝目を、初めて鈴鹿以外のサーキットで挙げた。

日曜日は天気が回復して、青空の下で決勝レースが行われた。第4戦では高星選手がニュータイヤを投入。しかし、そつなくスタートを決めた山下選手を逆転するまでには至らず。スタート直後は3台でトップグループが築かれたが、まずキャシディ選手が脱落。さらに山下選手と高星選手の一騎討ち状態も、7周目までだった。1秒半にまで差が広がると、山下選手は高星選手にペースを合わせる余裕さえ見せて、難なく逃げ切りを果たした。

F3-Nクラスではスタートで三浦愛選手の先行を許した小河選手だったが、遅れを取ることなく食らいついていく。じっくりと逆転の機会を待つはずだった小河選手ながら、3周目の1コーナーで三浦愛選手は、クラス違いの車両と接触。これでトップに立った小河選手は、じわじわと差を広げていき、今季2勝目をマークすることとなった。

そして第5戦でようやくニュータイヤを投入したのが、山下選手と4番グリッドに並んだ福住仁嶺選手ら。スタートで山下選手がトップに立ち、福住選手にいたっては高星選手、キャシディ選手を一気に抜き去り、2番手に浮上した。しかし、福住選手も勢いに乗る山下選手にはついていけず。それまでの2戦より6周多い、20周だったにもかかわらず、山下選手は最後までハイペースを維持して2連勝を達成。キャシディ選手が3位、高星選手が4位に留まったこともあり、1ポイント差ながら、このふたりを抑えてランキングのトップに躍り出た。また、2位の福住選手はルーキーとあって、初の表彰台に上がることに。5位は3戦ともチームメイトの高橋翼選手が獲得している。

F3-Nクラスでは小河選手が『三度目の正直』に成功、2番グリッドからのスタートを完璧に決めて、三浦愛選手の前に出たからだ。1周目だけは三浦愛選手の抵抗を許したものの、それ以降は容赦なく振り切っていった。これで2連勝、今季3勝目をマークした小河選手は、すでに10ポイントの差を三浦愛選手に対してつけている。なお、DRAGON選手は開幕から5戦連続で3位に。そろそろもうひとつ、もうふたつ上の順位が欲しくなって来たことだろう。

DRIVER VOICE

ニック・キャシディ 選手 [PETRONAS TOM’S F314]

【今回の成績 : 第3戦 優勝 / 第4戦 3位 / 第5戦 3位】
第3戦の優勝は、本当に満足のいくものだった。スタートを決めて、最初の1周はギャップを作ることに集中した。今週はチームメイトが速かったから。大きなギャップは築けなかったけれど、ここはなかなか抜けるコースじゃないし、ミスさえしなければ逃げ切れるだろうと思っていた。でも、第4戦はトップに出られなかったし、何ともならなくて、退屈なレースになってしまった。第5戦もそう。どうやらクルマのバランスが悪かったようで、終わってみれば悔しい週末になってしまったよ。

山下健太 選手 [PETRONAS TOM’S F312]

【今回の成績 : 第3戦 2位 / 第4戦 優勝 / 第5戦 優勝】
今回は予選で2回ともポールが獲れて、先頭からスタートできたのに、第3戦では自分よりニック選手がいいスタートを切って、1コーナーで先行されてしまいました。ペースも悪くなかったので、チャンスがあれば抜き返そうと思ったのですが、隙を見せてくれなくて。でも、第4戦では普通にスタートが切れたので、1コーナーにトップで入ってからは、もう大丈夫だと思っていました。さらに第5戦ではスタートが完璧に決まって、自分でもビックリ! 最後までプッシュし続けましたが、クルマのバランスが良かったこともあり、タイヤも最後までパフォーマンスを発揮してくれました。ランキングのトップに立ったのもビックリしましたが、まだいっぱいレースはあるので、一戦、一戦を大事に戦っていきます。

三浦 愛 選手 [EXEDY RACING F307]

【今回の成績 : 第3戦 10位(F3-Nクラス 優勝) / 第4戦 11位(F3-Nクラス 2位) / 第5戦 11位(F3-Nクラス 2位)】
第3戦は自分も少しストールしかけていたので、鈴鹿の第1戦と一緒で、ただただラッキーな勝利になりました。というのは、練習でやってきたことや、チームが完璧に仕上げてくれたクルマを少しも活かせなかったからです。優勝できましたけど、決していい内容ではありませんでした。第4戦はスタートで前に出ることができたのに、違うクラスのドライバーと接触してしまい、抜かれてからは実力の差を感じました。ただ、走りは第3戦に比べれば、だいぶ改善されていて、第5戦ではさらに感じられたのも事実です。勝てない限りは悔しい思いが続くと思うので、クルマの良さをもっと引き出せるよう、自分のドライビング技術をもっともっと上げていきたいと思います。

小河 諒 選手 [KeePer TOM’S F306]

【今回の成績 : 第3戦 11位(F3-Nクラス 2位) / 第4戦 10位(F3-Nクラス 優勝) / 第5戦 10位(F3-Nクラス 優勝)】
第3戦では鈴鹿の第1戦と同じミスをしてしまい、自分の能力を出せるクルマを作ってくれたチームに申し訳なく思いました。そこで第4戦は普通に動き出すこと、第5戦はいいスタートを切ることを目標にして、それが達成できたのはすごく良かったです。第4戦で、僕は何かをしたわけではなく、三浦選手の接触で前に出られたわけですが、僕のプランでは同じ周に抜くつもりで冷静に走っていたら、チャンスが転がり込んできました。レースペースが良かったんで、第5戦ではずっとプッシュしようとも考えていて。長いレースでしたから、タイヤが後半どうグリップダウンするか、今まで以上に理解できたことが、今後にきっと役立つと思います。

TOPICS

■次戦から投入される2015年モデルのタイヤとは!?

ヨコハマタイヤが供給する全日本F3選手権のコントロールタイヤが、岡山国際サーキットで行われる次回の第3大会からスペックを改めることになった。どういう変化を遂げるのか、ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル第二開発部長の山根賢司が解説する。

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「第3大会から投じられる2015年モデルですが、2014年モデルとの違いはコンパウンドとコンストラクション(構造)の両方が見直されていることです。プロファイル(形状)に関しては一緒。安定方向に振っていまして、あまりタイムが落ちないよう配慮しています。単にゴムが柔らかくなるとか硬くなるという話ではなく、安定性のいいゴムに変えて、熱による変化が少なくなるという感じです」

この変更により、ドライビングに変更は必要なのだろうか。

「予選に関して基本的にピークグリップは’14年モデルとほぼ変わらず、クルマのセットによって、よりタイムが出たり、出なかったりする感じだったのですが、タイムアタックのラップ自体はだいたい一緒ぐらいで、1ラップ伸びるということはまずないですね。ですからドライバーが極端に乗り方を変える必要はないでしょう。むしろ決勝で、’14年モデルは終盤に若干タイムの落ち込みがありましたので、そのあたりを改良して安定方向に持ってきています。だから、最後まで皆さんにプッシュしていただけるのではないでしょうか」

我慢を強いられず、最後までせめて走り続けられることで、レース展開に影響が及ぼされるか。あるいは現時点でもしっかりマネージメントできているドライバーが、より速さを際立たせるのか。そのあたり、次回のレースではじっくり注目して欲しい。