2015 JDC Round 6 Report

【全日本ダートトライアル選手権 第6戦/野沢】

Dクラス谷田川敏幸が今季4勝目を挙げて3連覇に王手、
SA2クラスは荒井信介が今季初優勝で2連覇に望みをつないだ!!

JDC Round 6

開催日 2015年8月9日
開催場所 モーターランド野沢
(長野県)
天候 晴れ
路面 ハーフウェット(散水) ~ ドライ
参加台数 143台
(ヨコハマタイヤ装着車 46台)
2015 全日本ダートトライアル選手権 第6戦

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全日本ダートトライアル選手権第6戦が、長野県の野沢モーターランドを舞台に開催された。シリーズはこの大会を含め、残すところあと3戦。今シーズンは混戦模様となっているクラスが多く、シリーズチャンピオンを狙うドライバーにとっては残り2戦を有利に戦う上でも、絶対に落とすことができない重要な1戦となった。

昨年、4年ぶりに全日本戦の1戦として復活を果たしたモーターランド野沢は、今年で3回目の全日本開催となる。全体的に緩やかな傾斜を持つコースは、路面のうねりやジャンピングスポットのようなギャップが点在し、マシンコントロールが難しいコースとしても知られている。さらに、今年のこの地域は梅雨明け以降から大会開催時期までにまとまった雨が降らなかったこともあり、ヒート前にホコリ飛散防止のための散水を行っても、路面はかなり乾いた状況となっていた。競技車がコースを駆け抜けるごとに「野沢パウダー」と呼ばれる粒子の細かい土煙が舞い上がり、そのパウダー状の土煙がふたたび路面を覆ってしまうことから、砂利が掃けた超硬質路面でも「滑りやすい」と感じるドライバーも少なくなかった。

そんな例年になく難しい路面コンディションとなった野沢ラウンドだが、超硬質路面用タイヤながらも対応する路面レンジが広いADVAN A036の特性が各クラスで遺憾なく発揮された。

路面を覆う砂利が掃け、超硬質路面での戦いとなった第2ヒート。SA2クラスは、後半ゼッケンに向けてベストラップの更新ラッシュとなったが、クラス最終ゼッケンの荒井信介選手が、前半の高速セクションではスピードを高く保ちながらコーナーに進入する大胆な攻めの走りで、後半のテクニカルセクションはしっかりとスピードコントロールしてインを外さないメリハリの効いた走りでベストタイムを更新。待望の今季初優勝を奪った。今シーズンの荒井選手は、第6戦まで優勝はなかったものの2位には3回入賞という安定した成績を残していた。この優勝でシリーズトップに並び、残り2戦の結果次第では2年連続チャンピオンの可能性も見えてきた。また、昨年PN1クラスからSA2クラスに移ってきた太田延昭選手もADVAN A036を選び、このクラスでは初の表彰台となる3位に入賞した。

圧巻だったのがDクラスの谷田川敏幸選手だ。今シーズン、開幕3連勝を果たし3年連続チャンピオン獲得に向けて波に乗るかに思えた谷田川選手だが、第4戦と第5戦はタイヤ選択に悩み2戦連続優勝を逃してしまう結果に。この第6戦も第1ヒートは3番手に終わり、3連覇に向けて暗雲が立ちこめたかに見えたが、第2ヒートはその杞憂をしっかりと払いのけた。「第1ヒート後の慣熟歩行で路面を確認し、第2ヒートは自信を持ってADVAN A036を選択した」という谷田川選手は、ゴール手前で姿勢を乱すものの、ライバルに大きく差をつけるオーバーオールタイムでフィニッシュ。今シーズン4勝目を挙げるとともに、3年連続チャンピオンに王手をかけた。2位にはベテランの河内渉選手が入賞。今シーズンはマシンのマイナートラブルやセッティングに悩んでいた河内選手だが、この第6戦で復調。後半戦に向けて面白い存在となりそうだ。

その他、PN2クラスでは、第2ヒートにおいてクラスで唯一ADVAN A036を選択した竹本幸広選手が2位に入賞。SA1クラスではフロントにADVAN A036、リヤにADVAN A053というFF車ならではのタイヤ選択を行った中島孝恭選手が3位に入賞した。さらに、SC1クラスでは第4戦を制した山崎迅人選手が3位、SC2クラスでは田口勝彦選手が2位に入賞してシリーズランキングトップの座を守り切るなど、超硬質路面ながらも滑りやすいという難しいコンディションのなかで、ADVAN A036を選択したドライバーが各クラスで結果を残した。

DRIVER VOICE

荒井信介 選手 [ADVAN クスコ itzz ランサー]

【今回の成績 : SA2クラス 優勝】
今シーズンは決して調子が悪いわけではなかったのですが、なかなか優勝することができず、ようやく第6戦で勝つことができました。実は第2ヒートは最終コーナーを大回りして危うく失敗してしまいそうになったのですが、なんとかベストタイムを更新できてホッとしています。今回の優勝でタイトルに望みが繋がったので、残り2戦も全力で戦い、2年連続チャンピオンを獲れるように頑張ります。

谷田川敏幸 選手 [ADVAN トラスト クスコ WRX]

【今回の成績 :Dクラス 優勝】
第4戦、第5戦ともマシンのセッティングとADVAN A036のフィーリングが合わず苦戦したのですが、今回はセッティングをしっかりと見直してきたことでフィーリングも良くなり、迷いなくADVAN A036を選択できたことが大きかったと思います。特に今日のような超硬質路面は、ADVAN A036で勝たなければ意味がないと思いますので。これで、3年連続チャンピオンに王手をかけることができたので、次戦でしっかりと決めたいですね。

竹本幸広 選手 [ADVAN KYB オクヤマ 86]

【今回の成績 :PN2クラス 2位】
第2ヒートは、クラスのなかで僕だけが超硬質路面用のADVAN A036でしたが、タイヤはしっかりとグリップしてくれました。タイヤ選択にはミスがなかったと思います。ただ、自分自身がまだ86にしっかりと乗り切れていない部分があって、今回もコーナーでアンダーオーバーが出てしまい、タイヤをうまく使い切れなかったことが残念です。次戦はもっと86をコントロールできるように頑張ります。

中島孝恭 選手 [ADVAN ルブロス インテグラR]

【今回の成績 :SA1クラス 3位】
第1ヒートは前後ともADVAN A053、第2ヒートはフロントにADVAN A036、リヤにADVAN A053を装着しました。SA1クラスが出走する時点ではまだ路面にルーズな部分も残っていたので、この選択は路面にも自分の走り方にも合っていたと思います。残念ながら第2ヒートは、ゴールまであと2コーナーというところで土手にイン側をヒットさせてしまいました。チャンピオン争いはかなり厳しくなりましたが、残り2戦も最後まで諦めずに全力で勝負しようと思います。

太田延昭 選手 [SPヤマダ☆戸田FTCランサー]

【今回の成績 :SA2クラス 3位】
昨年、PN1クラスからSA2クラスに移り、現在はクラスの前半ゼッケンの方を走っているのですが、いつも自分が走る時点でそれまでのベストタイムを更新することを目標に走ってきました。今回は両ヒートとも更新でき、最低限の目標はクリアできたかなと思っています。第2ヒートはADVAN A036で走ったのですが、グリップする路面とそうじゃない路面があり、僕にとって難しい路面でした。そういった路面で、もっとタイムを出せるようにスキルを上げていきたいですね。

山崎迅人 選手 [ADVAN ゲンシン ミラージュ]

【今回の成績 :SC1クラス 3位】
第1ヒートはエンジンが不調になり成績を残せなかったのですが、第2ヒートまでにエンジンを修復して表彰台を獲得することができてホッとしています。このコースを走るのは初めてなのですが、ギャップが多いことに驚きました。第2ヒートは前半区間がADVAN A036に適した路面で、後半は予想より砂利が多かったのですが、初めて走るコースとしてはしっかり対応できたと思います。

田口勝彦 選手 [HKS・F・TEINランサー]

【今回の成績 :SC2クラス 2位】
第1ヒートはシフトリンケージとシフトゲートの調子が悪く、10回くらいシフトミスしてしまいました。第2ヒートまでにしっかりと直し、シフト操作の調子は良くなったのですが、残念ながら1位のタイムには届きませんでした。今年はドグミッションとファイナルギヤが合っておらず、トップとのタイム差はそのあたりも影響していると思います。次戦までにはファイナルギヤを交換するので、残り2戦はきっちりと優勝して今シーズンを締めくくりたいと思っています。

上村智也 選手 [ADVAN itzz 磊石 ランサー]

【今回の成績 :SC2クラス 3位】
両ヒートともADVAN A036を装着したのですが、特に第2ヒートはタイヤと路面の相性が合っていたと思います。自分の走りも、第1ヒートで失敗したところを第2ヒートでうまくカバーできたのですが、1カ所だけ路面のギャップに目が行ってしまい、反応が遅れてしまいました。それでも3位に入賞できたのはADVAN A036のおかげです。

河内 渉 選手 [ADVAN KYB ATS ランサー]

【今回の成績 :Dクラス 2位】
今回は優勝を狙っていただけに、自分にとって2位は残念です。実は、今シーズンは開幕戦からマシンの調子が悪く、ずっと思うように走らせることができなかったのですが、いろいろセッティングを変えて今回からやっと思うように走らせることができるようになったんです。大きな失敗はなかったけど、それでも勝てなかったということは、やっぱり現状でヤタ(谷田川)ちゃんが速いということなんでしょうね。でも、残り2戦は1回くらいは勝ちたいですね(笑)。

FEATURED DRIVER

■SA1クラス :福山重義 選手

ダートトライアルでは、改造範囲が広いナンバーなし車両のSC1、SC2、Dクラスといった改造車クラスに出場する選手も多い。豪快なエキゾーストノートとともに走る改造車クラスはギャラリーからの人気も高い花形クラスのひとつだ。今回は、そのなかで、SC1クラスで活躍している福山重義選手を紹介しよう。

鮮やかなオレンジをベースにカラーリングされたDC5型のホンダ・インテグラを駆る福山選手は、ダートトライアル歴24年のベテランドライバーだ。全日本には、2001年にEK9シビックで当時のA2クラスに初出場。その後、2003年からシリーズ参戦を続け、全日本にSC1クラスが設定された2005年には開幕戦優勝を果たすなど、現在までそのキャリアのほとんどを改造車クラスのFF(前輪駆動)車で戦ってきている。

「改造車クラスは、何よりも維持費が安いことが一番ですね。長く競技を続けるために、自分にとっては車検や保険などの維持費がかからない改造車クラスに魅力を感じたというわけです」と、改造車クラスの魅力を語る福山選手。DC5型インテグラに乗り換えてから今年で5シーズン目になる。

そのDC5型インテグラに乗り換えた時からヨコハマタイヤのユーザーとなった福山選手だが、好きなタイヤはADVAN A053とADVAN A036だという。

「A053は、タイヤの剛性感が好きなんです。ステアリングを切った時の反応が良く、コントロールしやすい。A036は、やっぱりグリップ感ですね。トラクションとハンドリングのバランスも良いので、扱いやすいタイヤだと思います」という福山選手だが、今年は第6戦まで表彰台から遠ざかってしまっている。

「今シーズンはうまく走ろうとしすぎて、消極的な走りになってしまいました。昔はもっと攻めていたので、その走りをよみがえらせなければダメですね」と福山選手。第6戦の結果は4位だったが、「第2ヒートは思いっきり踏もうと思っていたので、それだけはしっかりできたと思います」と、復活に向けての手応えをしっかりと掴んだ。後半戦に向けて、さらなる熱い走りを見せてくれることだろう。

TECHNICAL INFORMATION

今年の野沢ラウンドは、土曜日の公開練習が行われず、実質的に決勝が行われる日曜日の1デイイベントとなった。そのため、走行回数が少なく昨年よりも路面の砂利が掃けるタイミングが遅くなり、第2ヒートも走行順が早いPN1クラスからSA1クラスにかけては、超硬質路面ながらもコースの一部に砂利が混在したコンディションとなった。

また、今回は2輪駆動車と4輪駆動車の走行ラインが別々になりやすいコースレイアウトだったことも、砂利が掃けるタイミングが遅くなる要因のひとつとなった。そういったコンディションのなかで、第2ヒートはADVAN A036が持つ路面レンジの広さが武器となり、その特性を活かしたドライバーが好成績を挙げる結果となった。