2015 SUPER GT Round 1 Report

【SUPER GT 第1戦/岡山国際】

3年連続で悪天候の開幕戦は、「WedsSport ADVAN RC F」が10位入賞、
GT300は「Audi R8 LMS ultra」が昨年の苦労を吹き飛ばす表彰台獲得!!

SUPER GT Round 1

開催日 2015年4月4日-5日
開催場所 岡山国際サーキット (岡山県)
天候 曇り のち 雨
路面 セミウェット ~ ドライ
決勝周回数 82周
(1周=3,703m)
参加台数 43台
(ヨコハマタイヤ装着車 25台)
2015 SUPER GT 第1戦

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

GT500のレギュレーション(規則)が大幅に改められて、今年で2シーズン目。マシン、エンジンともにシーズンを通じた開発によって著しい進化を遂げたこともあり、より一層のスピード、そしてレベルアップが2015年のSUPER GTには予想される。その開幕戦「OKAYAMA GT 300km RACE」が、4月4〜5日に岡山国際サーキットで開催された。

今年もGT500には、ヨコハマタイヤを装着して「WedsSport ADVAN RC F」と「D’station ADVAN GT-R」の2台が参戦。また、車種のバラエティに富むGT300には、FIA GT3のメルセデスベンツSLS AMG GT3やニッサンGT-RニスモGT3、BMW Z4 GT3などに加え、今年からの本格参戦となるJAF GTのマザーシャシーがヨコハマタイヤを装着して参戦することとなった。

「晴れの国」として知られる岡山県ながら、SUPER GTとの相性は今ひとつ。天気予報は週末の高い降水確率を告げており、3年連続でのウェットコンディションを覚悟の上で、それぞれがサーキットに臨むことに。しかしながら、土曜日に関しては予報が外れ、穏やかな気温の中、夜半の雨のため公式練習の開始からしばらくはウェットタイヤが装着されたが、やがて全車ドライタイヤに交換。続く公式予選では、完全にドライタイヤでの走行となった。

ここ数年はお馴染みとなっているノックアウト方式で、公式予選は行われた。まずGT300では、トップタイムを記した「Studie BMW Z4」の荒聖治選手を筆頭に、Q1突破の13台中10台をヨコハマタイヤユーザーが占める。続いて行われたQ2では、マザーシャシーを用いる「VivaC 86 MC」の土屋武士選手が4番手につけ、ヨコハマタイヤユーザーの最上位となった。また、連覇を目指してマシンをスイッチした、「グッドスマイル初音ミクSLS」の谷口信輝選手は7番手につけている。

土曜日の晩から降り始めた雨は、日曜日になって降ったりやんだりを繰り返したものの、結論から言うと一度も乾くことはなかった。朝のフリー走行は完全なウェットコンディションで、レインタイヤが装着された。GT300では、「Audi R8 LMS uitra」の藤井誠暢選手がトップで、2番手は「KSF Direction Ferrari 458」の横溝直輝選手とあって、決勝への期待が膨らむこととなった。

午後2時30分に、決勝レースがスタート。雨はやんでいたものの、路面はまだウェット。その後の回復を見込んで、中にはドライタイヤを履いた車両もあったが、路面の乾きは予想外に遅かったため、結果的に賭けは失敗に終わっている。

GT500では予選11番手の「D’station ADVAN GT-R」は佐々木大樹選手が、そして「WedsSport ADVAN RC F」は関口選手がスタートを担当。難しいコンディションだけに、レース展開はさながらサバイバル戦の様相を示す中、ふたりともコースに踏み留まり、着実に周回を重ねていく。予想以上にライフの長いことが走行中に確認できたこともあり、2台ともにロングスティントを敢行。

「WedsSport ADVAN RC F」は48周目に脇阪寿一選手に交代するまで、暫定ではあるものの、トップを走行したほどだった。一方、「D’station ADVAN GT-R」は前半のうちに車両にトラブルが生じていたため、12番手での折り返しとなったが、49周目まで走行。オルドネス選手はポジションキープでコースに戻る。

「WedsSports ADVAN RC F」はタイヤ無交換策を採るが、レース前半のコンディションのままだったら、暫定トップから7番手に交代していたとはいえ、シングルフィニッシュは十分可能だったはず。しかし、間もなく雨が勢いを増して降り始めたからたまらない。それでも脇阪選手が我慢の走りで10位フィニッシュ、貴重な1ポイントを獲得する。「D’staiton ADVAN GT-R」もトラブルが解消せぬまま走行、入賞まであと一歩となる11位でのフィニッシュを果たしている。

GT300では、「グッドスマイル初音ミクSLS」の片岡龍也選手が、オープニングラップのうちに3ポジション上げて4番手に。これに「VivaC 86 MC」の土屋選手、「KSF Direction Ferrari 458」の横溝選手、やがて「Audi R8 LMS ultra」のリチャード・ライアン選手が続くこととなる。惜しまれたのはオープニングラップのWヘアピンで、「Studie BMW Z4」の荒選手が突然姿勢を乱し、コースアウトしてしまったことだ。自力でピットに戻ったものの、マシンのダメージは大きくリタイアとなってしまう。

ライバルメーカーのタイヤを装着する、2番手の「GAINER TANAX SLS」のビヨン・ビルドハイム選手がドライタイヤを選ぶも、徐々に順位を落とし、またポールスタートの「GAINER TANAX GT-R」を駆るアンドレ・クート選手も思うようにペースが上がらず、2周でトップを明け渡したばかりか、13周目には4番手にダウン。代わって3番手に躍り出たのはライアン選手で、15周目には「Racing Tech Audi R8」のクリスチャン・マメロウ選手が、これに続くことに。予選は17番手だったものの、鋭い追い上げでアウディ勢が編隊を組む。

だが、FIA-GT3の弱点でもある給油に時間がかかることが影響し、「Audi R8 LMS ultra」は藤井誠暢選手に代わってコースに戻ると3番手に、そして「Racing Tech Audi R8」も細川慎弥選手が5番手に落ちてしまう。とはいえ、細川選手は69周目に逆転し、間もなく「グッドスマイル初音ミクSLS」の谷口選手、「VivaC 86 MC」の松井孝允選手が続いて、ヨコハマタイヤユーザーは3位から6位までを占めることとなった。

DRIVER VOICE

脇阪寿一 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 10位】
今シーズンに向けて、いろいろとテストを進めてきたので、去年とは違うレースがお見せできるのではないかと思っています。このオフシーズンはセパンでは2回のテストを行い、鈴鹿でもテストをしました。テストを通じて、いろいろなことを組み立てることができたと思います。第2戦富士に向けてはまたテストがあるので、足りなかった部分を補足して、富士でのレースに臨みたいと思っています。

佐々木大樹 選手 [D’station ADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 11位】
今シーズンも昨年とほぼ同じ体制でSUPER GTに参戦できることになりました。岡山での開幕戦では前半にトラブルを抱えてしまい、難しいレースになりましたが、シーズンはまだ始まったばかりなので、全力を尽くして戦いたいと思います。タイヤについては、状況にマッチすれば、高いパフォーマンスを発揮してくれるので、コンディションに合えば、高い戦闘力を発揮できると思います。富士での第2戦は晴れの天候の中で、いいレースをしたいですね。

リチャード・ライアン 選手 [Audi R8 LMS ultra]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
本当に期待していた以上の、最高の週末になったよ。今年は開幕戦からポディウムに乗れて、非常に僕たちドライバーもそうだし、チーム全体の雰囲気も向上している。去年はシーズンのスタートが悪かったから、そこから上に上がるというモチベーションに欠けていたんだ。次の富士はトップを狙うというか、ここからひとつずつステップアップしていきたい。いちばん大事なことはリスクを抱えないこと。安全かつ、確実な行動をしていきたいね。

藤井誠暢 選手 [Audi R8 LMS ultra]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
今日の3位は非常に嬉しいです。去年はアウディが1台ということもあって、非常に苦しいシーズンではあったんですけど、このオフの間にヨコハマさんが頑張ってくれました! もともとウェットのコンディションと相性が良かったので、タイヤとクルマがすべてマッチしたから、こういう結果が出せました。前のクルマとの差という点では、JAF-GT、FIA-GT3の給油時間の差っていうのもあるので、僕らが持っている戦闘力の中ではパーフェクトなレースだったと思います。

細川慎弥 選手 [Racing Tech Audi R8]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
テストも1回しかできていなくて、探り探りの中、セッティングもまだ煮詰められてもいない状態ではあって。でも、今回レースがウェットになって、クルマのバランスが良かったので、けっこう上がれる手応えがあったんですが、クリスチャン(・マメロウ)選手があそこまで上げてくるとは思わなかった。彼のおかげですね。とりあえずは、みんなが落ち着いて次のレースに取り組めると思います。ここで結果出ていなかったら、ちょっと焦りモードに入っていたと思うので。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル SUPER GT開発統括]

GT500は去年まででしたら、まともにレースができるコンディションではなかったのですが、今年からウェットタイヤを見直した事で今回のような難しいWETコンディションにも幅広く対応する事ができました。また、2台ともレースの半分以上をスタートドライバーで走る事ができた事についても、進歩を感じています。

「D’sation ADVAN GT-R」に関しては、車両トラブルで、ペースが上がらなかったのは残念でしたね。「WedsSport ADVAN RC F」は(脇阪)寿一選手がタイヤ無交換としたのですが、結果的に換えた方が良かったかもしれません。今回、いろいろ試みたことに関して、新しい発見や、多くのデータが取れ、現在の開発の方向性が正しいことも分かりました。但し、進歩はあったものの、当然満足行く結果ではないので、さらに改善して、性能向上を図りたいと思います。

GT300は「Audi R8 LMS ultra」が3位、「Racing Tech Audi R8」「グッドスマイル初音ミクSLS」「VivaC 86 MC」が上位でフィニッシュしてくれました。この中でも、マザーシャシーについては、タイヤの開発は殆ど進んでいないので、クルマ側も含め、まだまだ伸び代があるように思います。

今回好調だった2台のアウディについては、メーカー直系のサポートを受ける事で今まで以上にタイヤの特性を引き出してくれていると感じます。今年はどこの海外メーカーも人の派遣等、力を入れていますよね。多くはヨコハマタイヤのユーザーさんなので、心強く思っています。