【FIA世界ツーリングカー選手権 第23&24戦/ギア (中国・マカオ)】
WTCC Macau
(Guia Circuit)
開催日 | 2014年11月13日-16日 |
---|---|
開催場所 | ギア・サーキット (中国・マカオ) |
コース距離 | 6,120m | 決勝予定周回数 | 10周×2レース |
10年目を迎えたWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)も、いよいよシーズンの大詰めを迎えた。最終戦の舞台はWTCC発足から恒例となっているマカオグランプリ、チャレンジングなストリートコースが用意されている。
2014年はシリーズ10年目にして初めて、開幕戦もストリートコースで行われた。改めて振り返ると時の経つのが早いことを感じさせるが、4月のモロッコ・マラケシュから世界各地を転戦してきたWTCCもTC1規定導入初年度のシーズンを締めくくることとなる。
このプレビューでは、最終戦のマカオにおける最大の特徴と言える、市街地を舞台にしたストリートコースを得意とするのは誰なのかを考察してみよう。
WTCCは発足初年度から、最終戦はマカオで開催され続けている。このほかにも今年はマラケシュがあったように、2007年以降は1シーズンに2~3大会のストリートコースが舞台として用意されてきているのだ。
今年の開幕戦までに開催された市街地レースは、全部で42戦を数える。そして、今年のWTCCに参戦するドライバーの中で、市街地レースで最も多く優勝を飾っている人こそ、ラーダに初優勝をもたらしたロブ・ハフ選手(写真)、その人である。ハフ選手はセアトを駆っていた昨年もマカオで優勝を飾っているほか、2011年のシボレー時代にはマカオの2レースをともに制する快挙もなし遂げた。さらに2008年から2011年まで連勝もしているだけに、マカオでのラーダによる今季2勝目というのは可能性として十分に考えられると言える。
今季参戦しているドライバーで、ハフ選手に次いで市街地レースの勝ち星が2番目に多いのは、シトロエンのイヴァン・ミューラー選手。4勝を挙げており、昨年と一昨年はマカオの第1レースを制している。ただ興味深いのは、ハフ選手が2008年から勝利を重ねてきたのに対して、ミューラー選手は2012年と2013年の2シーズンで4勝を挙げているのだ。これはシボレー黄金期と符合するが、予選でポールを獲得してパッシングの難しい市街地レースの決勝をリードするのが、ミューラー選手のスタイルと言える。
さて、既に選手権タイトルはドライバー部門をホセ・マリア・ロペス選手、マニュファクチャラー部門をシトロエンが獲得している。この組み合わせが今季最強ということになるが、これまでの戦いを振り返ってみると、その強さを実証するひとつのデータを見いだせる。
第2大会・ポールリカールの第2レース(第4戦)。ロペス選手は優勝を飾っているのだが、なんとスターティンググリッドは最後尾の18番手だった。ここから怒濤の追い上げを見せてウィニングチェッカーを受けたわけだが、それまでのWTCC史において最もジャンプアップして優勝を飾っているのは2011年のドニントンパーク、第2レースでシボレー時代のミューラー選手がなし遂げた10番グリッドからの優勝である。この記録を大幅に塗り替えたのが、ロペス選手ということになる。
シトロエンの圧倒的な強さを、もうひとつのデータで見てみよう。第2レースはリバースグリッドが採用されているが、ロペス選手はテルマス・デ・リオ・オンドで10番手、スパ・フランコルシャンで8番手、ザルツブルグリングでは7番手グリッドから優勝を獲得している。また、開幕戦のマラケシュではセバスチャン・ローブ選手が、パッシングの難しい市街地レースながら9番手スタートから優勝を飾っているのだ。
一方、予選結果が順列でグリッドに反映される第1レースも、シトロエンの強さが目立つ。シトロエンは第1レースでこれまでの11戦中、実に10戦を勝利している。そしてなんと、そのうちのスロバキアリンクでローブ選手が2番手グリッドから逆転優勝した以外は、全てがポール・トゥ・ウィンとなっているのだ。
こうした流れを見ても、まずはマカオグランプリの予選、そして2つの決勝レースにおいてどのようなスターティンググリッド配置となるのかが、最初の要注目ポイントとなる。
第23&24戦・マカオの模様は、テレビ大阪で11月21日(金)の25時25分~25時40分、BSジャパンで11月23日(日)の9時15分~9時30分に、それぞれダイジェストが放送されます。こちらもぜひ、お見逃し無く!!
【選手権 ドライバー部門・ポイントランキング (第22戦終了時点)】
順位 | クラス | No. | ドライバー | 車 両 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|
1 | TC1 | 37 | ホセ・マリア・ロペス | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | 422 |
2 | TC1 | 1 | イヴァン・ミューラー | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | 305 |
3 | TC1 | 9 | セバスチャン・ローブ | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | 275 |
4 | TC1 | 18 | ティアゴ・モンテイロ | ホンダ・シビック WTCC | 174 |
5 | TC1 | 7 | ノルベルト・ミケリス | ホンダ・シビック WTCC | 169 |
6 | TC1 | 2 | ガブリエレ・タルクィーニ | ホンダ・シビック WTCC | 167 |
7 | TC1 | 4 | トム・コロネル | シボレーRML・クルーズ TC1 | 148 |
8 | TC1 | 3 | トム・チルトン | シボレーRML・クルーズ TC1 | 144 |
9 | TC1 | 10 | ジャンニ・モルビデリ | シボレーRML・クルーズ TC1 | 108 |
10 | TC1 | 25 | メルディ・ベナニ | ホンダ・シビック WTCC | 85 |
11 | TC1 | 7 | ヒューゴ・ヴァレンテ | シボレーRML・クルーズ TC1 | 70 |
12 | TC1 | 12 | ロブ・ハフ | ラーダ・グランタ 1.6T | 66 |
13 | TC1 | 33 | マー・チンホワ | シトロエン・C-エリーゼ WTCC | 65 |
14 | TC1 | 98 | ドゥサン・ボルコビッチ | シボレーRML・クルーズ TC1 | 41 |
15 | TC1 | 11 | ジェームス・トンプソン | ラーダ・グランタ 1.6T | 20 |
16 | TC1 | 14 | ミハイル・コズロフスキー | ラーダ・グランタ 1.6T | 11 |
17 | TC2 | 6 | フランツ・エングストラー | BMW 320TC | 7 |
18 | TC2 | 27 | ジョン・フィリッピ | セアト・レオン WTCC | 4 |
19 | TC1 | 77 | レネ・ミュニッヒ | シボレーRML・クルーズ TC1 | 3 |
20 | TC2 | 8 | パスカーレ・デ・サバチーノ | BMW 320TC | 2 |
【YOKOHAMAドライバーズトロフィー・ポイントランキング (第22戦終了時点)】
順位 | クラス | No. | ドライバー | 車 両 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|
1 | TC2 | 6 | フランツ・エングストラー | BMW 320TC | 226 |
2 | TC2 | 27 | ジョン・フィリッピ | セアト・レオン WTCC | 143 |
3 | TC2 | 8 | パスカーレ・デ・サバチーノ | BMW 320TC | 98 |
4 | TC2 | 26 | フェリペ・デ・ソウザ | BMW 320TC (E90) | 26 |
5 | TC2 | 15 | カミロ・エチェバリア | BMW 320TC | 12 |
5 | TC2 | 55 | ノルベルト・ナギー | セアト・レオン WTCC | 12 |
7 | TC2 | 27 | ペトル・フーリン | セアト・レオン WTCC | 10 |
8 | TCN | 99 | 谷口 行規 | ホンダ・シビック S2000 TC | 10 |
9 | TC2T | 19 | ヘンリー・ウォン | セアト・レオン WTCC | 6 |
10 | TC2T | 50 | ニキータ・ミスリア | セアト・レオン WTCC | 5 |
日頃は生活道路として多くの車や人が行き交う公道をクローズして、特設コースとして競われるマカオ・グランプリ。全長6,117mのコースは、大きくわけて広いバイパス道路のハイスピードな海側区間と、狭くテクニカルな山側区間にわけられる。
もちろんストリート・バトルゆえにエスケイプゾーンは皆無と言える。その上、山側区間でのパッシングは事実上不可能とも言えるため、海側区間のスタート部における加速合戦、そして山側区間の入り口でのブレーキング合戦が最大の見どころだ。
特に山側区間の入り口となるリスボア・コーナーは多重クラッシュの名所とも言えるポイントで、特にグリッドの中段グループでは混乱が起こる可能性も大きいため、まずは予選でひとつでも上のグリッドを獲得することが勝利への条件のひとつとなる。