2014 WTCC Round 19&20 Report

【FIA世界ツーリングカー選手権 第19戦&第20戦/上海国際 (中国)】

第19戦はシトロエンが表彰台独占でマニュファクチャラー王座獲得、
第20戦ではモロッコのメルディ・ベナニ選手が嬉しい総合初優勝!!

WTCC Round 19&20

開催日 2014年10月11日-12日
開催場所 上海国際サーキット
(中国)
天候 第1レース:晴れ
第2レース:晴れ
路面 第1レース:ドライ
第2レース:ドライ
決勝周回数 第1レース:14周
第2レース:14周
(1周=4,603m)
2014 WTCC 第19&20戦

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

2週連続の中国大陸開催となるWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)、先週の北京金港に続いて今週の舞台となったのはF1レースの開催でも知られる上海国際サーキットだ。北京がミニサーキット的なコンパクトさであったのに対して、上海は世界第一級の国際レーシングコース。北京ではシトロエンの連勝にストップがかけられたが、上海ではテスティング走行からシトロエン勢が速さを見せつけるレースウィークとなった。

金曜日のテスティング走行は、曇りで気温23℃/路面温度27℃というドライコンディション。午前中に30分間行われた走行、ここでトップタイムをマークしたのはシトロエンのマー・チンホワ選手だ。上海生まれの26歳は、8歳からレーシングカートを始めて英才教育を受けてきた。2006年に4輪レースデビュー、イギリスF3や中国ツーリングカー選手権などを経て、F1のステアリングを握った経験もある。そんな期待の若手が、地元でまずはリザルトの最上段に名前を刻んだ。

土曜日もドライコンディションに恵まれた上海、フリープラクティスは1回目がイヴァン・ミューラー選手、そして2回目はチンホワ選手とシトロエン勢がやはり速さを見せ続けた。

そして迎えた公式予選。Q1開始直前には、にわか雨が空から落ちてきて各チームを慌てさせたが、幸いにコースがウェットに転じるまでの量は降らず。そして12台のQ2進出選手が絞り込まれたが、タイムとしてはチンホワ選手を筆頭にトップ4をシトロエン勢が占める展開に。

前戦・北京の借りを返すかのようなシトロエン勢の躍進はQ2に入っても留まることなく、今度はミューラー選手がトップに立ったのを筆頭にまたもトップ4はシトロエン勢が独占。つまり、シトロエン以外でQ3に駒を進められたのはたった一人、ホンダ・シビックを駆るノルベルト・ミケリス選手であった。

Q3で孤軍奮闘となったミケリス選手は4番手に食い込んで意地を見せたが、トップ3はシトロエンが占めた。第1レース(第19戦)のポールポジションはランキングトップのホセ・マリア・ロペス選手、2番手は地元のチンホワ選手、3番手がミューラー選手、そしてセバスチャン・ローブ選手が5番手というフォーメーションになった。
なお、Q2の結果を基にしたリバースグリッドによる第2レース(第20戦)のポールポジションは、ホンダ・シビックのメルディ・ベナニ選手、2番手がシボレーRMLのヒューゴ・ヴァレンテ選手である。

第1レース(第19戦)のスタート、1コーナーはポールからスタートのロペス選手が順当に制し、これに2番手スタートのチンホワ選手、3番手スタートのミューラー選手が続く。そして6番手スタートのティアゴ・モンテイロ選手(ホンダ)が躍進、アウト側のラインからミケリス選手をかわして4番手で1コーナーをクリアしていく。しかしターン3で再びミケリス選手が先行、さらにガブリエレ・タルクィーニ選手がモンテイロ選手をかわして5番手にポジションをアップする。

オープニングでトップ3フォーメーションを固めたシトロエン勢だったが、この流れに乗り遅れてしまったローブ選手は2周目に激しく先行するモンテイロ選手に仕掛けて行った。セクター3の長い直線、その終盤からサイド・バイ・サイドに持ち込むと、接触を伴いながらターン14と15を横並びでクリア。そして最終コーナーまでに6番手のポジションを奪い、ホームストレートへと帰って来た。

さらにローブ選手は4周目にアウト側からタルクィーニ選手を、6周目にはミケリス選手をかわして、4番手にまで浮上。これでシトロエンのトップ4独占フォーメーションが完成した。

一方でトップ3グループは、チンホワ選手もロペス選手に一時は0.517秒差にまで詰め寄るも、トップの座を奪うまでには至らず。終始安定したラップを刻み続けたロペス選手がポール・トゥ・ウィンで、今季8勝目を飾ることに成功した。
また、この結果によりシトロエンは参戦初年度ながらマニュファクチャラーのタイトルを獲得した。

第2レース(第20戦)はポールポジションのベナニ選手を筆頭に、4番手のタルクィーニ選手、5番手のモンテイロ選手とホンダ勢が揃って見事なロケットスタートを披露。1コーナーにはベナニ選手がトップで入ると、タルクィーニ選手、モンテイロ選手と続いて飛び込んだ。

ホンダ勢を追うシトロエン勢の筆頭は5番手のミューラー選手。しかし2周目のターン14、前を行くヴァレンテ選手に仕掛けるべくコーナー進入でアウト側のラインをとったミューラー選手に対して、ローブ選手がインから接触。ミューラー選手は右リアの足回りを破損して戦線離脱、ローブ選手に対してもレース終了後にペナルティが科される展開となった。

また、ホンダ勢の中でもタルクィーニ選手は5周目にマシントラブルが襲い、無念のリタイアを喫してしまう。これにより3番手にはロペス選手が繰り上がることに。

こうした後続のアクシデントを尻目に、快走を続けたのがトップのベナニ選手。レースが折り返す7周を終えて2位のモンテイロ選手に4.165秒のマージンを稼ぎ、主導権をがっちり握っていく。結局、最後までそのポジションを脅かされることなくマシンをチェッカードフラッグまで運び、ベナニ選手は選手権部門の嬉しい初優勝を飾ることに成功した。
また、2位にモンテイロ選手が続き、ホンダ勢がワン・ツー・フィニッシュをなし遂げた。

DRIVER VOICE

ホセ・マリア・ロペス 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第19戦 優勝 / 第20戦 3位】
私にとってはとても大切な週末であったことから、自分自身がやや神経質になっていたと認めざるを得ないところがあります。この週末で重要だったのは、シトロエンがマニュファクチャラーのタイトルを確定させることにありましたが、それを達成することが出来ました。
私はチームのみんながどれほど努力して、良い仕事をしてきたのかを知っています。ですからみんなを讃え、感謝したいですね。
第1レースの勝利は、決して簡単なものではなかったのですが、パフォーマンスをしっかり出せました。チンホワ選手が後ろからずっとプッシュしてきましたが、彼はとても素晴らしいドライバーですし、母国でいいところを見せたいという思いもあったのでしょうね。
第2レースはミューラー選手が不運なアクシデントに見舞われたこともあり、私としては確実に選手権のポイントを積み重ねることを目標としました。

メルディ・ベナニ 選手 [Proteam Racing]

【今回の成績 : 第19戦 10位 / 第20戦 優勝】
私にとって、本当に素晴らしい一日となりました。まだ信じられないという思いですし、母国のモロッコがどんな騒ぎになっているのかを想像しているところです(笑)。
母国・モロッコはモータースポーツの世界ではまだ歴史が浅く、WTCCも2009年に初めて開催されました。その時に私は参戦のチャンスをもらったのですが、それ以降は夢のような日々を過ごせています。特にモロッコ国王をはじめとした、これまで支えてくれているみんなに感謝したいですね。
また、プロ・チーム・レーシングとホンダにも感謝しています。僕たちはプライベーターチームですが、ホンダからは手厚いサポートを受けています。彼らは全てのデータや技術を共有してくれるので、本当にありがたいです。

TECHNICAL INFORMATION

前戦の北京金港から、上海国際へと舞台を移したWTCC。新規定TC1車両のパフォーマンスも遺憾なく発揮できるコースと言える上海だが、昨年と予選ラップを比較するとTC1車両の速さが見えてくる。昨年の予選ファステストラップはシボレー・クルーズでミューラー選手が刻んだ1分53秒486。これが今年、ロペス選手がシトロエンでマークしたファステストラップは1分48秒782、実にタイムで約4.5秒、1キロあたり1秒も速くなっているのだ。
このように磨かれた速さがTC1車両の特徴だが、18インチの専用タイヤはその走りをしっかりと支えている。もちろん上海でもトラブルは皆無で、再来週に開催される鈴鹿サーキット・フルコースを舞台とする日本ラウンドでも、白熱した戦いが期待されるところだ。