2014 WTCC Round 17&18 Report

【FIA世界ツーリングカー選手権 第17戦&第18戦/北京金港サーキット (中国)】

初開催の北京金港サーキットでシトロエンの連勝がストップ、
第2レースではラーダが悲願のWTCC初優勝を飾った!!

WTCC Round 17&18

開催日 2014年10月4日-5日
開催場所 北京金港サーキット
(中国)
天候 第1レース:晴れ
第2レース:晴れ
路面 第1レース:ドライ
第2レース:ドライ
決勝周回数 第1レース:26周
第2レース:26周
(1周=2,391m)
2014 WTCC 第17&18戦

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2014年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は、終盤のアジア・ラウンドにカレンダーが突入。アルゼンチン戦からの長いインターバルをはさみ、アジアでの緒戦となるのが初開催の中国・北京金港サーキットだ。

首都・北京市の郊外にあるコースは、CTCC(中国ツーリングカー選手権)などの舞台にもなってきた。ただ、その規模はコンパクトで、コース延長は2,391mと今シーズンの開催地で最も短い。コース幅も比較的狭く、路面は滑りやすいうえにコーナーの数が相対的に多いため、摩耗に対して厳しいという特徴を持つ。初開催ということもあり、初開催ゆえに常勝を続けるシトロエンがその勢いを保つのかが注目のポイントとなる。

今回は土曜日と日曜日の2Day開催、土曜は路面はウェットからダンプへと変化するコンディション。そんな中でテスティング走行、フリープラクティスの1回目、ここでシトロエン勢をおさえてトップタイムをマークしたのは、ホンダ・シビックを駆るティアゴ・モンテイロ選手。長いインターバル中に熟成が進められたマシンのパフォーマンスを遺憾なく発揮した。そしてフリープラクティスの2回目では、地元中国から参戦するマー・チンホワ選手がトップタイム。こちらはベルギー以来となる3回目の出場だが、地元の利も活かして速さを見せた。

しかし、公式予選では、Q3まで進出したのはシトロエンのホセ・マリア・ロペス選手とイヴァン・ミューラー選手、ホンダはガブリエレ・タルクィーニ選手、そしてシボレーRMLからジャンニ・モルビデリ選手とトム・チルトン選手という顔ぶれになる。そしてポールポジションを賭けたQ3、トップタイムを刻んだのはチルトン選手。2013年のアメリカ・ソノマ戦以来となる第1レースのポールポジションを獲得した。2番手はタルクィーニ選手、3番手がミューラー選手で、三車種が鎬を削り合う展開が決勝でも期待されるフォーメーションに。

好天に恵まれた日曜日、26周の決勝レースは第1レース(第17戦)が現地時間の14時30分にスタート。今季は2レースともにスタンディング方式でのスタートとなるが、ポールポジションのチルトン選手が好スタートを切って1コーナーに飛び込んでいく。その後ろに続いたのはタルクィーニをかわしてポジションを上げたミューラー選手、さらにロペス選手もアウトからタルクィーニ選手に仕掛けるが、ここはポジションアップならず4番手で変わらず。

トップを守るチルトン選手は2周を終えてミューラー選手に対して2.363秒のマージンを獲得。このまま逃げきりたいところだが、3周目に入って間もなくセクター3でのレネ・ミュニッヒ選手とドゥサン・ボルコビック選手、シボレーRML同士の接触クラッシュにより、セーフティカーが導入される。

車両回収が終わり、レースが再開されたのは11周目。注目の再スタート、ここもチルトン選手がきっちりと決めてトップをキープ。ここからは再びマージンを周回毎に増やして主導権を手放すことなく、28周とされた決勝レースでウィニングチェッカー。自身3回目の優勝で北京金港サーキットのWTCC初ウィナーに輝き、第7戦・スロバキアから続いていたシトロエンの連勝にストップをかけた。2位はミューラー選手、3位はロペス選手という表彰台、YOKOHAMAトロフィーはフランツ・エングストラー選手が連勝を伸ばした。

短いインターバルをはさんで迎えた、第2レース(第18戦)のスタート。リバース方式となるグリッド、その先頭に陣取ったのは前戦・アルゼンチンで初の表彰台を獲得したラーダを駆るロブ・ハフ選手である。そして2番手スタートは第1レースを制したチルトン選手のチームメイトである、ROAL Motorsportのトム・コロネル選手。3番手がラーダのジェームス・トンプソン選手という配置である。

クリアスタートで始まった第2レース、フロントローの2台はポジションをそのままに1コーナーをクリア。3番手はインからローブ選手がトンプソン選手をかわしてポジションをひとつ上げた。ローブ選手はその後、オープニングラップのうちからコロネル選手に対して果敢に仕掛けていくも、そこはコロネル選手がおさえてポジションを譲らず。このまま事実上の硬直状態が続き、その間もハフ選手は快調にラップを刻んでいく序盤戦となる。

第1レースは各選手が不慣れな初開催コースということもあり、セーフティカーも導入される荒れ模様となったが、第2レースは大きなアクシデントもなく周回が重ねられていく。中盤以降で気になるのはハフ選手にコロネル選手やローブ選手がどのタイミングで襲いかかっていくかだったが、ラーダも前戦からのインターバル中にマシンのポテンシャルを磨き上げたか、後続を寄せつけず終盤のバトルに備えてタイヤマネージメントに気をつかいながらコンスタントなラップを刻む余裕を見せる。

17周を終えてコロネル選手に対するマージンを4秒に拡大したハフ選手、このまま赤いユニフォームに身を包むスタッフが歓喜の表情で出迎えるファイナルラップまでマシンを運び、ラーダが悲願のWTCC初優勝を飾ることに成功した。

2位はコロネル選手がポジションを守りきって、オーストリアの第1レース以来となる2回目の今季最上位でフィニッシュ。2レースともにホイールはADVAN RacingRSII-WTCCを装着して戦うROAL Motorsportが表彰台を獲得。3位はローブ選手で、シトロエン勢では唯一の表彰台となった。

DRIVER VOICE

トム・チルトン 選手 [ROAL Motorsport]

【今回の成績 : 第17戦 優勝 / 第18戦 8位】
素晴らしい結果を残せて、私はとても幸せです。WTCCでは3回目の優勝ですが、そのうち2回が中国でのものとなりました。
マシンについては予想よりもコースとの相性が良く、仕上がりもとても満足出来るものでした。第1レースではスタートも完璧に決まり、そこからはプッシュを続けてマージンを稼いでいきました。セーフティカーが導入される展開になりましたが、私は平常心を保ち続けて再スタート後もミューラー選手に対してギャップを構築することが出来ました。そうして作り上げたマージンは、優勝するのに十分なものでした。

ロブ・ハフ 選手 [LADA Sport Lukoil]

【今回の成績 : 第17戦 8位 / 第18戦 優勝】
アルゼンチンでの2位表彰台があったので、今回の素晴らしい結果は誰もが期待していたものだと思います。今回の優勝は私にとって昨年のマカオ以来のものであり、私のレース人生の中でも最も激しい戦いで得た勝利です。
ラーダ・スポーツのみんなは、とても良い仕事をしてくれました。そして今、こうして幸せな結果を手中におさめることが出来たのです。私たちはこの時が来ることを信じて戦い続けてきました。
第2レースでは好スタートを決められ、マージンを稼ぐためにプッシュしました。マシンの調子はよく、序盤を終えて終盤に再びプッシュする必要が生じた時に備えて、タイヤマネージメントをしながらマージンを守っていきました。最終ラップでは若干の振動も出たのですが、トム・コロネル選手を寄せつけることなく、優勝することが出来ました。

TECHNICAL INFORMATION

土曜日がウェット、日曜日がドライとなった北京金港サーキット。初開催ということで各チームは決勝に向けてのセットアップをコンディションの変化に対応させるのが難しかったこともあり、試行錯誤の中でレースを迎える流れとなった。そのため、第1レースではタイヤの摩耗状態も各チームで大きな違いが生じた。その中で最も他のコースと同じようなタイヤの使い方をされていたのが優勝のチルトン選手。最適なセットアップを出来たことは、大きな勝因となったようだ。
事前に予想されたとおり、コースはタイヤの摩耗が多めに推移。TC1規定が導入された今シーズン、これまでで最も摩耗量が多い結果となった。しかし、TC1車両に装着されている新開発の18インチタイヤはポテンシャルの余裕が大きく、もう1レース走ることが出来るほどの摩耗状態であった。