2014 JGC Round 7 Report

【全日本ジムカーナ選手権 第7戦/恋の浦】

全日本初開催の恋の浦でヨコハマタイヤ勢が6つのクラスを席巻、
N2・小林、SA1・斉藤、SA2・柴田の3選手がチャンピオンを獲得!!

JGC Round 7

開催日 2014年9月13日-14日
開催場所 スピードパーク恋の浦
(福岡県)
天候 晴れ
路面 ドライ
参加台数 121台
(ヨコハマタイヤ装着車 37台)
2014 全日本ジムカーナ選手権 第7戦

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全日本ジムカーナ選手権の第7戦は、熊本県のモビリティおおむたが昨年で閉鎖されたことにより、初開催となる福岡県福津市のスピードパーク恋の浦で開催された。このところ大雨に見舞われることの多い九州地方だったが、この週末は好天に恵まれ、玄界灘を背景に走行する競技車が映える絶好のジムカーナ日和となった。

コースレイアウトは、基本的にはアップダウンがあり路面も全般的にバンピーなミニサーキットを使用したコースジムカーナ。縁石が高く、ショートカット部分には急勾配がついており、車速によってはフロントバンパーをヒットしてしまうマシンもいたほどだった。
一方、終盤には広場を利用したパイロンセクションが設けられ、今回も180度で折り返すフリーターンが設定された。さらにフィニッシュ直前の180度ターンは、かなりの下り急勾配の中で旋回しなければならないなど、全体的にかなりの難易度と個性を持った攻めがいのあるコースだったと言える。

多くの選手にとって初めての走行となる今大会は、ヨコハマタイヤ勢が大いに活躍を見せた。

スタート前からすでにタイトルを決定させていたのが、N2クラスの小林辰朗選手だ。
シリーズランキング2位の選手が欠場したため、有効ポイントの関係により全日本ジムカーナ参戦6年目にして初のチャンピオンを決定させた。それでも「勝って決めたい」と語る小林選手は、第1ヒートこそフリーターンでミスし2番手に甘んじたが、第2ヒートで素晴らしい走りを披露。見事に逆転優勝を決め、タイトル決定に華を添えた。

SA1クラスでは第1ヒートに工藤典史選手がベストタイムをマークし、シリーズリーダー斉藤邦夫選手がわずか0.01秒差の2番手で折り返す。だが、第2ヒートに入ると斉藤選手はベテランらしく落ち着いてアタック。ミスコースに終わった工藤選手を交わし、0.05秒の逆転に成功。4年連続9度目のタイトルを決めた。

ここまで4勝を挙げ、柴田優作選手がタイトルに大手をかけているSA2クラス。その柴田選手は第1ヒートから2位以下に1秒以上の差をつけるベストタイムをマーク。
このタイムには誰も近づけず今季5勝目とともに、SA2クラスでは3年連続、それ以前のN3クラスのタイトルも含めると6年連続タイトルという偉業を成し遂げた。

そして、タイトルは決まっていないが、見事な優勝を果たした選手もいる。PN3クラスでは第1ヒートに森嶋昭時選手が2位以下に0.37秒の差をつけるトップタイムをマーク。第2ヒートではややタイムダウンを喫したものの、ライバル選手も軒並みタイムダウンし森嶋選手が優勝。最終戦に望みをつないだ。

PN4クラスではタイトルに大手をかけている岡野博史選手が不参加だったが、シリーズ2番手につけている角岡隆志選手が、ほとんどの選手がパイロンペナルティを受けた第1ヒートをノーミスで走り切りトップで折り返す。第2ヒートでも自己ベストを縮めて貫録の優勝。最終戦で岡野選手とタイトルをかけて争うことになった。

そして、最多台数の激戦区であるN1クラスは、シリーズ2位につけている箕輪雄介選手が第1ヒートのタイムで今季3勝目を挙げ、最終戦での勝負に弾みをつけた。

この結果、10月12日に埼玉県の本庄サーキットで開催される最終戦では、PN4クラスが岡野選手と角岡選手というヨコハマタイヤユーザー同士がチャンピオンを賭けた戦いに臨むことに。ほかにもPN3クラスの森嶋選手、N1クラスの箕輪選手、そしてSA3クラスの天満選手が、チャンピオン獲得に向けた権利を有して最終決戦を迎える運びとなった。

DRIVER VOICE

森嶋昭時 選手 [ADVAN レイズ K1 トヨタ86]

【今回の成績 : PN3クラス 優勝】
今シーズンはミスによる自滅もありましたが、パイロンコースでの調子が良く、今回も難しいフリーターンがありましたが、なんとか自分のイメージどおりのターンができました。特にタイヤと路面との相性が良く、高いグリップを発揮してくれたので、このトリッキーで狭いコースでも思い切り攻めることができました。

角岡隆志 選手 [ADVAN TOLAP’ Ω ランサー]

【今回の成績 :PN4クラス 優勝】
今回のコースは路面に傾斜がある場所でターンをしなければならなかったり、非常にリスキーなコースでしたが、このようなコースは好きなので、自分としては楽しく走ることができました。今回は岡野選手もいませんでしたので、余計に「勝って当然」という周囲からのプレッシャーもあって大変でしたが、ADVAN NEOVA AD08Rと路面との相性も良く、しっかり走ることができたと思います。タイトル争いを最終戦まで持ち越すことができて、その点ではホッとしています。

箕輪雄介 選手 [ADVAN ペトロナス インテグラ]

【今回の成績 :N1クラス 優勝】
このコースの路面は非常に目が粗くタイヤ攻撃性が高いのですが、第1ヒートでかなりタイヤが摩耗してしまうため、1本目勝負だと考えていました。特にコース幅が狭くてバンピーなので、自分の狙ったラインを通るのが難しい。いかに早めのアクセルオンを我慢して、フロントを逃がさずに走るかがポイントだと思いました。
1本目になんとかそういう走りができたことと、使用したADVAN A050のG/Sコンパウンドが高いグリップ力を発揮してくれたのが勝因だと思います。最終戦もぜひこの勢いのままに、タイトルを獲得したいと思います。

小林辰朗 選手 [ADVAN トタル ザクロス RX7]

【今回の成績 :N3クラス 優勝 (シリーズチャンピオン確定)】
念願だったタイトルが獲得でき、非常に嬉しく思っています。正直スタート前からほぼチャンピオンが決まっていたので、少しなく拍子抜けという感じもありました。ただ、チャンピオンとして走るなら絶対に勝ってやるぞという気持ちで挑んだので、プレッシャーもありましたが結果的にはなんとか勝てて良かったと思います。
タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドを使用しましたが、スタートからゴールまでしっかりグリップを発揮してくれました。

斉藤邦夫 選手 [ADVAN A050 シビック]

【今回の成績 :SA2クラス 優勝 (シリーズチャンピオン確定)】
チャンピオンを決めることができ、これで今シーズンはひと段落といったところです。タイトルが決まるまでのペースは昨年と同じようなもので、今回は6位以上で自力チャンピオンを決めることができる状況でしたが、だからと言って抑えて走ろうとは思いませんでした。パイロンタッチとミスコースに注意して、イチかバチかではなく確実に走ることを心がけました。1本目でタイヤもかなり摩耗しましたが、2本目も高いグリップを発揮してくれたのが良かったのだと思います。

柴田優作 選手 [ADVAN ペトロナス EXIGE]

【今回の成績 :SA2クラス 優勝 (シリーズチャンピオン確定)】
ここ数戦マシンが不調だったのですが、今回はその原因が分かり、テストも行ってしっかり直すことができたので、今回はここ数年にないほどいい状態でスタートすることができました。
タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドを使用しました。2本目はかなり摩耗した状態でスタートしたためパイロンタッチしてしまいましたが、走りには満足していますし、チャンピオンを決めることもできたので嬉しく思っています。

FEATURED DRIVER

■SA1クラス : 神里義嗣 選手

第2戦仙台ラウンドに続き2度目の全日本挑戦となったのが、沖縄県から参加してきた神里義嗣選手だ。
神里選手は、沖縄県で開催されているエキサイティングジムカーナシリーズに参戦してきた。ジムカーナ歴は15年でエキサイティングシリーズのFFクラスチャンピオン経験ももつ、実力派のドライバーだ。

「やはり沖縄から本土への参戦は経済的に厳しくて、沖縄のドライバーの全日本戦参加というのは、なかなか実現できないというのが実情です。自分も最初は全日本戦への参加はまったく考えていなかったのですが、沖縄から参加しているN1クラスの高江淳選手をはじめとした先輩たちを見たり、関東からトップドライバーの方たちが沖縄まで走りに来てくれたりして、それを見たらどうしても参加したくなりました」

実は今年の第2戦仙台ラウンドでもダブルエントリーで参加しており、全日本の雰囲気を肌で感じたという。

「ものすごくレベルが高いですし大会も華やかで楽しい。参加してみて良かったと思っています。それに、沖縄のジムカーナは基本的にADVAN NEOVA AD08Rで走っているのですが、今回は初めてADVAN A050を使用しました。ADVAN A050のグリップの高さにはあらためて驚きました。コースは難しさも感じましたが、同時に今まで以上にジムカーナが楽しいと実感しました。タイヤの温度管理や使い方も今まではまったく分からなかったのですが、そういうこともみなさんを見ていて勉強になったことが、大きな収穫だったと思っています」

そう語る神里選手は、今後もフル参戦は難しいものの、スポットで全日本戦に参加してきたいと笑顔で語ってくれた。今回は9位に終わった神里選手。ぜひさらなる高みに上れるように今後の参戦にも期待したい。

TECHNICAL INFORMATION

全日本ジムカーナとしては初開催となったスピードパーク恋の浦の路面は、一般的な舗装だが非常に路面が粗くタイヤ攻撃性が強いのが特徴だ。ADVAN A050を使用した選手はすべて高温向けコンパウンドであるG/Sコンパウンドをチョイス。タイヤの摩耗が激しいため、第1ヒートが勝負どころとなったが、そんななかでも第2ヒートにタイムアップする選手もおり、実際にそういう選手が優勝を果たしている。
2本の走行に使用するタイヤをどうマネージメントし、いかにコース攻略をものにするかがポイントと言えるだろう。