2014 JGC Round 6 Report

【全日本ジムカーナ選手権 第6戦/もてぎ・北】

台風11号が接近する悪条件のもと平田裕三選手がPN1クラス初優勝、
ヨコハマタイヤ装着車が4クラスを制するとともにPN4クラスは表彰台を独占!!

JGC Round 6

開催日 2014年8月9日-10日
開催場所 ツインリンクもてぎ・北コース
(栃木県)
天候 曇り 時々 雨
路面 第1ヒート:ウェット~ドライ
第2ヒート:ウェット~ドライ~ヘビーウェット
参加台数 138台
(ヨコハマタイヤ装着車 45台)
2014 全日本ジムカーナ選手権 第6戦

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第6戦を迎え、シリーズチャンピオン争いもより白熱とした戦いとなってきた全日本ジムカーナ選手権は、今季初の関東地区での開催となった。開催場所は栃木県のツインリンクもてぎ・北ショートコースだ。
基本的にはカートが走行するコースのため、レコードラインがカートのタイヤで磨かれた状態となっており、かなり滑りやすい反面、レコードライン以外の路面はグリップが高い。スラロームを行なう場合も、コースの右側と左側でグリップが異なるという、非常に難易度の高いコースと言える。

コースレイアウトは、ピットレーンから反時計回りでスタート。メインストレートで高速スラロームをこなし、ストレートエンドで2回の180度ターンを行う。その後外周を周回し、最終ヘアピン後に360度ターンをこなしてメインストレートでフィニッシュという設定だ。
今回のスラロームは徐々にパイロン間隔が狭くなる設定で、スピードコントロールに高い技術が要求され、ターンを行うスペースも狭くなっていた。

さらに追い打ちをかけるように決勝日は台風11号が本州を横断。その影響で決勝の朝はウェット路面でスタート。第1ヒートは時折雨がパラつく程度で、徐々にドライへと変化する状況だったが、天気予報では午後から激しい降雨があると予想されたこともあり、第1ヒートが勝負どころとなると考えた選手が多かった。
それだけに限界までパイロンを攻める選手が多く、第1ヒートは138台中56台がパイロンタッチや脱輪ペナルティを喫する大荒れの展開となった。そんななか、ヨコハマタイヤユーザーである4人のディフェンディングチャンピオンが活躍した。

PN1クラスは、路面が濡れた状態の第1ヒートで、第4戦・スナガワで初の2位入賞を果たした勝野佑紀選手がトップタイムをマーク。これを2013年N1クラスチャンピオンの平田裕三選手が0.1秒差で追う展開だ。
第2ヒートも再びウェット路面となったが、平田選手はドライはもちろんウェットコンディションにも定評のあるADVAN NEOVA AD08Rの性能を引き出し、自己タイムを0.5秒アップさせるベストタイムをマーク。見事な逆転優勝をでPN1クラス移籍後の初優勝を獲得した。また、勝野選手も2位に入り、ADVAN NEOVA AD08Rユーザーがワンツーフィニッシュを飾ることとなった。

チャンピオンに王手をかけている岡野博史選手の参加するPN4クラスは、レコードライン上は第1ヒート、第2ヒートともほぼドライコンディション。第1ヒートから岡野選手が順当にベストタイムをマーク。シリーズランキング2位の角岡隆志選手がわずかに0.07秒という僅差で2番手につける。第2ヒートは角岡選手が岡野選手を上回るタイムをマークするも痛恨のパイロンタッチ。岡野選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝、角岡選手が2位、3位にも新井範正選手が入り、ADVAN NEOVA AD08Rユーザーが表彰台を独占した。
これで岡野選手は今季5勝目。次戦で角岡選手が2位以下なら、岡野選手のチャンピオンが決定する。

SA2クラスでは、昨年のチャンピオン柴田優作選手がパイロンターンでややタイムロスを喫するものの、後半セクションはそのミスを挽回する素晴らしい走りで優勝。
今季4勝目を挙げ、チャンピオンに大きく近づくこととなった。

SA3クラスでは、シリーズランキングトップに立つ天満清選手が第1ヒートのタイムで優勝。チャンピオン獲得を手繰り寄せる大きな勝利を獲得した。

DRIVER VOICE

平田裕三 選手 [ADVAN spm BPF スイフト]

【今回の成績 : PN1クラス 優勝】
第1ヒートはセッティングが合わずにつらかったのですが、第2ヒートは雨が激しくなるという予報でしたので、第1ヒートが勝負だと予想し、確実にタイムを残そうと思って走ったのが良かったと思います。
タイヤはADVAN NEOVA AD08Rですが、205/45R17と205/50R16という選択肢があるなかで、自分に合っている17インチで挑みました。ウェット路面でしっかりとグリップ力を発揮してくれたのも勝因のひとつです。

岡野博史 選手 [ADVAN リジット ランサー]

【今回の成績 :PN4クラス 優勝】
第1ヒートはトップで折り返しましたが、2番手の角岡選手と僅差でしたので、第2ヒートは差を広げようという気持ちで挑みました。第2ヒートはさらに雨が強くなると予想していたので、マシンをウェットセッティングのままスタートしたのですが、意外にグリップが高く、その点ではややセッティングが合わない面もありました。
角岡選手のミスにも助けられましたが、なんとか5勝目を挙げることができてほっとしています。

柴田優作 選手 [ADVAN ペトロナス EXIGE]

【今回の成績 :SA2クラス 優勝】
今回のコースレイアウトは、序盤のターンが左に曲がりながらさらに左にターンしなければならず、フロント荷重になりにくいミッドシップエンジンのエキシージにとっては非常に厳しいコースでした。
第1ヒートのターンでタイムロスしてしまい心が折れそうになりましたが、それで逆に冷静になることができ、後半セクションでなんとか挽回できました。ADVAN A050のG/2Sコンパウンドは路面状況にもマッチしてしっかりグリップしてくれました。

天満 清 選手 [ADVAN レイズ クスコ ランサー]

【今回の成績 :SA3クラス 優勝】
今回はコンディションが雨ということで難しく、正直あまり自信はなかったのですが、あきらめないという気持ちでアタックしたのが勝因だったと思います。
ADVAN A050のG/Sコンパウンドはほぼ乾いた状態の路面でしっかりグリップを発揮してくれて、路面グリップの変化も問題にならなかったですし、セットアップもうまく決まりました。その意味ではスムーズに勝つことができた大会だったと思います。ぜひこのままの調子で2連覇を狙いたいと思います。

FEATURED DRIVER

■PN3クラス : 陰地哲雄 選手

2008年、2009年と連続してRX-7を駆り、近畿地区のN3チャンピオンを獲得。2012年よりトヨタ86に乗り換え、全日本ジムカーナPN3クラスに挑んでいるのが陰地哲雄選手だ。ジムカーナ歴は16年ほどというベテランドライバーだが、RX-7をはじめ後輪駆動車の経験が最も多く、その点ではトヨタ86はうってつけのマシンだったのかもしれない。

「RX-7の時はJAFカップを目標に戦っていましたが、全日本戦に出るようになってからは、JAFの表彰式に呼ばれる成績を出すことを目標としています。近畿地区ではチャンピオンを獲りましたが、さすがに全日本戦のレベルは高く、そう簡単にいい成績は出ないことを身をもって体験しました。ただ、今シーズンは前回のイオックスラウンドで初の表彰台となる3位入賞を果たすことができたんです。今回の成績は7位でしたが、パイロンタッチをしなければ3位相当のタイムが出ていたので、少し自信もついてきました」

そう笑顔で語る陰地選手の走りを支えているのがヨコハマタイヤだ。

「タイヤの性能は抜群なのですが、これまでは自分がなかなか使いこなせていなかったように思います。でも、マシンセッティングなどを変更することで、ここにきてようやくタイヤの性能を引き出す走り方が分かってきました。今回でシリーズランキングも6位に上がったようなので、ぜひこのままの順位を維持してJAFの表彰式に出席したいですね」

シリーズ終盤戦に向け、シリーズランキング6位以内を目指す陰地選手の戦いは続く。

TECHNICAL INFORMATION

ツインリンクもてぎの北ショートコースは路面グリップが部分的に変化する難しいコースだったものの、それ以上に選手たちを翻弄したのが雨だった。第1ヒートはスタート直後から徐々に乾き始め、ほぼドライ路面となったが、午後からは雨の予報があり多くの選手が第1ヒート勝負と考えていた。

そのため、基本的に今回のコンディションでは、前輪が駆動する車種はタイヤの発熱が早いためADVAN A050のG/Sコンパウンドを、後輪駆動車はADVAN A050のG/2Sコンパウンドを装着する選手が多く、各クラスとも路面コンディションの変化によるタイヤ選択は適切だったと言える。