2014 JDC Round 8 Report

【全日本ダートトライアル選手権 第8戦/タカタ】

最終戦タカタはADVAN A053が5つのクラスを制覇、
PN2、SA2、Dクラスは優勝でシリーズチャンピオンを獲得!!

JDC Round 8

開催日 2014年10月5日
開催場所 テクニックステージタカタ
(広島県)
天候 曇り のち 雨
路面 ハーフウェット(散水)〜ウェット
参加台数 153台
(ヨコハマタイヤ装着車 44台)
2014 全日本ダートトライアル選手権 第8戦

 PN2クラス 優勝(シリーズチャンピオン)|鎌田卓麻選手

 SA2クラス優勝(シリーズチャンピオン)|荒井信介選手

 Dクラス優勝(シリーズチャンピオン)|谷田川敏幸選手

 SA1クラス優勝|中島孝恭選手

 SC1クラス優勝|田口都一選手

 SC2クラス 2位|上村智也選手

全日本ダートトライアル選手権は、最終ラウンドとなる第8戦を迎えた。これまでタイトルが決まったクラスはPN1クラス、N2クラス、SC1クラスの3クラスのみ。残る6クラスは、この最終戦でタイトルの行方が決定する。

舞台となる広島県のテクニックステージタカタは、豪快なドリフト走行が可能な高速コーナーや全開で攻めるS字コーナーなど様々なコーナーが存在し、選手からもギャラリーからも人気を集めている。今年は153台が出走し、コースサイドの観戦場所に陣取った数多くのギャラリーがダイナミックな走りを堪能していた。

しっかりと整備されたフラットな硬質路面を有するテクニックステージタカタだが、この日は台風18号が日本に接近していたため、鉛色の雲が空一面を覆い、いつ雨が降り出してもおかしくないという状況。例年であれば路面の砂利が掃けた第2ヒートが勝負となるが、その第2ヒートには雨が降ることが予想されていたため、各クラスとも第1ヒートから白熱した戦いが繰り広げられた。

PN2クラスは、鎌田卓麻選手が第1ヒートのベストタイムをたたき出しトップに躍り出る。第7戦を終えた時点でシリーズ3位につける鎌田選手だが、この最終戦の結果次第では逆転チャンピオンの可能性もある。その鎌田選手、雨がちらつき始めた第2ヒートも全開でコースを攻めベストタイムを更新。2位に3秒以上もの大差をつけるタイムで今季5勝目を獲得するとともに、シリーズチャンピオンの座もつかんだ。
「路面コンディションが難しく、超硬質路面用のADVAN A036と路面の対応幅が広いADVAN A053のどちらで勝負するか最後まで悩みましたが、最終的には路面の砂利が掃け切れていないと判断し、ADVAN A053を選択しました。判断は間違っていなかったと思います」と勝因を語った。

そして、今回はこのADVAN A053が、PN2クラスに留まらず各クラスで活躍した。

第2ヒートのSA1クラスが走行する頃には雨が本格的に降り出し、路面は完全にウェットコンディションとなった。ドライ路面で走行した第1ヒートのタイムに届かない選手が続出するなか、第1ヒート2位の中島孝恭選手がベストタイムを更新し逆転優勝を果たした。
「第2ヒートの路面はウェット状態でしたが、硬質路面には変わりがないので第2ヒートもADVAN A053で勝負しました」という中島選手。タイヤのトラクションを活かした巧みなマシンコントロールを発揮し、有終の美を飾った。

第7戦を制し、5年ぶりのタイトルに王手をかけたSA2クラスの荒井信介選手も、ADVAN A053を装着した第1ヒートにベストタイムをマーク。このタイムは第2ヒートに入っても誰にも破られることなく、チャンピオン獲得を優勝で決めた。
また2位には、荒井選手に0.46秒差まで迫った石戸昭太郎選手が入賞。3位には今季2勝を挙げている大西康弘選手が入賞し、SA2クラスはヨコハマタイヤ装着車が表彰台を独占した。

SC1クラスは、第1ヒートにADVAN A053を選択した田口都一選手が優勝した。これまで2位は何度も獲得していた田口選手だが、全日本優勝は今回が初めて。全日本参戦10年目で念願の初勝利をつかんだ。

そして最終戦を締めくくったのが、Dクラスの谷田川敏幸選手だ。
「ADVAN A036かA053のどちらかで悩んだ時はA036を選ぶ」というほどADVAN A036に絶対的な信頼を寄せている谷田川選手だが、今回は「迷うことなくADVAN A053の路面」と判断して第1ヒートに装着。自信を持って挑んだトライは、2位に2秒以上の大差を付けるベストタイムをマークし、今季4勝目を獲得。2年連続チャンピオンをつかむためには優勝が絶対条件という厳しい状況に立たされていた谷田川選手だが、自らの手で栄冠をつかみ獲った。

また、SC2クラスでは上村智也選手が移籍後初となる2位表彰台を得るなど、最終戦は各クラスでヨコハマタイヤユーザーが活躍を見せた1戦となった。

DRIVER VOICE

鎌田卓麻 選手 [栗原企画 ADVAN テイン BRZ]

【今回の成績 : PN2 クラス優勝 (シリーズチャンピオン確定)】
第2ヒートは、ゴールしたとたんに足がガクガクと小刻みに震えるほどアクセルを踏みました。ダートトライアルはミスが許されない競技なので、スタートする前はものすごく緊張していたんです。チャンピオンを獲得することができ、ホッとしたというのが正直な気持ちです。
第1ヒートで谷田川(敏幸)さんがADVAN A053を装着していたことと、大西(康弘)さんのアドバイスを参考に、第2ヒートもADVAN A053を選択しました。路面コンディションにもピッタリでしたね。

荒井信介 選手 [クスコ アドバン itzz ランサー]

【今回の成績 : SA2クラス 優勝 (シリーズチャンピオン確定)】
第1ヒートの慣熟歩行の時点ではADVAN A036を使いたいような雰囲気だったけれど、実際には砂利が思ったよりも掃けず、パウダー状のダストが路面に乗った状態だったので、ADVAN A053で走ることを決断しました。その第1ヒートでしっかりタイムを出すという気持ちで攻めたのが勝因だと思います。
タイトル獲得は第7戦の優勝が大きな転機でしたが、優勝を逃した時も2位を安定して獲れたということも大きかったですね。

谷田川敏幸 選手 [ADVAN トラスト インプレッサ]

【今回の成績 : Dクラス 優勝 (シリーズチャンピオン確定)】
今までドライ路面のタカタは自分にとってはADVAN A036が定石だと思っていましたが、今年の路面は例年よりも路面の砂利が浮いていて、Dクラスが走行する頃にはアウト側にも砂利が積もっている状態でした。その状況に合わせ、タイヤ選択に迷いがなく攻め切れたことが勝因だと思います。
今シーズンは序盤戦にポイントを獲れず、後半2戦は絶対に負けられないという厳しい戦いとなりましたが、シーズン途中にセッティングを見直すことができたことが、2年連続のタイトルに繋がりました。最後まで応援してくれた皆さんに本当に感謝しています。

中島孝恭 選手 [ADVAN ルブロス インテグラR]

【今回の成績 : SA1クラス 優勝】
第2ヒートは、ADVAN A031も選択肢にあったのですが、第1ヒートの感触が良かったこともあってADVAN A053を装着しました。ウェット路面でしたが、縦方向のトラクションを生かすようにこれまでになく丁寧に走ったことがタイムアップに繋がったと思います。
今年は開幕戦と最終戦で優勝することができましたが、来年はシリーズタイトルにも絡むことができるように頑張ります。

田口都一 選手 [ADVAN☆SP ヤマダ ランサー]

【今回の成績 : SC1クラス 優勝】
全日本に参戦するようになって苦節10年、やっと勝つことができました。全日本優勝を目標に走ってきたので、初優勝はやはり嬉しいですね。
今回のレイアウトはコーナーの進入であまり車速を落とさず、立ち上がりのスピードもしっかり稼ぐようなコーナーが多かったと思います。第2ヒートは雨だと予想していたので、第1ヒートに集中力を高めて走ったのが結果につながりました。ちなみにADVAN A053は、ウェット路面の第2ヒートも自分なりには性能を発揮してくれたと思います。

FEATURED DRIVER

■PN1クラス : 馬渡貴章 選手

スイフトスポーツがリザルトの上位を占めるPN1クラスのなかで、少数派のヴィッツRSで奮闘しているのが馬渡貴章選手だ。
競技歴は25年というベテラン選手だが、ヴィッツRSで全日本に出場するのは今年で3年目だという。

「以前はランサーやインプレッサで地区戦を中心に出場していたのですが、仕事の関係でしばらく競技を休んでいたんです。それで、3年前にもう一度ダートトライアルを始めようと思った時に、全日本だけではなく関東戦も走ることができるようにと1500ccのヴィッツを選びました」という馬渡選手だが、「本当は他の人と違うことをやりたいという気持ちも強く、ヴィッツを選んだのかもしれませんね。へそ曲がりなんですよ(笑)」と笑う。

その馬渡選手が、来年はスイフトスポーツにマシンチェンジをする予定だ。
「まぁ、今さらですが、やはり同じ土俵で戦いたいという気持ちが強くなったんです」と語る馬渡選手。過去最上位は2013年の切谷内ラウンドでの7位だが、2015年は6位以内入賞を目指して奮闘する予定だ。

ちなみにその切谷内で装着していたタイヤがADVAN A036。
「超硬質路面での効きがいいうえにタイヤのライフも長いんです。少々減っても効いてくれる。プライベーターにとってもありがたいタイヤだと思います」と、ヨコハマタイヤのなかで最も好きなタイヤだという。激戦区のPN1クラスのなかで、馬渡選手にとって来シーズンは勝負の年となりそうだ。

TECHNICAL INFORMATION

今年のテクニックステージタカタの路面状況は、例年よりも砂利が多いことに気温が低かったことも重なり、特に第1ヒートは後半クラスまで散水の影響が残るような状況となり、例年のように超硬質路面用のADVAN A036を投入するタイミングが難しい路面コンディションとなった。
そのなかで、路面状況を的確に判断してチャンピオンを獲得したPN2クラスの鎌田卓麻選手、SA2クラスの荒井信介選手、Dクラスの谷田川敏幸選手をはじめ、SA1クラスの中島孝恭選手、SC1クラスの田口都一選手など、FR、FF、4WDという駆動方式やエンジンパワーを問わず、ADVAN A053が持つ幅広い路面に対応する特性を存分に発揮して非常に良い結果でシーズンを締めくくった。