2014 JDC Round 4 Report

【全日本ダートトライアル選手権 第4戦/門前】

難しい路面コンディションに翻弄された門前ラウンド、
ADVAN A053装着車がPN2、SA2、SC2の3クラスを制覇!!

JDC Round 4

開催日 2014年6月15日
開催場所 輪島市門前モータースポーツ公園
(石川県)
天候 曇り 時々 晴れ
路面 ハーフウェット(散水) ~ ドライ
参加台数 151台
(ヨコハマタイヤ装着車 40台)
2014 全日本ダートトライアル選手権 第4戦

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今年は全8戦が組まれている全日本ダートライアル選手権は、折り返しとなる第4戦を迎えた。
前半戦を締めくくるこの大会は、全国を転戦してシリーズを追う選手にとって、後半戦へ向けて重要な1戦となる。シリーズランキング上位に付けている選手は、ライバルとの差を広げておきたいことはもちろん、思うようにシリーズポイントを獲得できなかった選手にとっては、この大会で後半戦に向けての巻き返しの足掛かりを掴みたいところだ。

その第4戦は、石川県輪島市の「輪島市門前モータースポーツ公園」が舞台。
地方自治体が管理するこのコースは、森の斜面を利用した林道風のテクニカルなコーナーが連続する一方、名物の300mストレートから全開でコーナーに進入するダイナミックなギャラリーコーナーを有するなど、多彩なレイアウトが可能なコースだ。

門前のもうひとつの特徴が、「硬質路面状態でも滑りやすい」という特異な路面コンディションだ。
全体的には硬く引き締まった路面なのだが、松ヤニを主成分としたホコリ飛散防止剤を路面に散布しているため、土や砂利がごく小さな球状に固まり、見た目はフラットな路面でも予想以上にルーズで滑りやすい特徴を持っている。特に散水直後の濡れた路面を走行するPNクラスはその影響が大きく、多くの選手がタイヤ選択に頭を悩ませていた。

そういった状況のなか、路面状況をしっかりと把握して攻略したのがPN2クラスの鎌田卓麻選手だ。
まだ路面が濡れた状態の第1ヒート、ライバル選手がウェット路面や軟質路面に対応するタイヤを選択するなかでADVAN A053を選択した鎌田選手は、2位に2秒以上の差を付けるベストタイムをマーク。第2ヒートは路面状況が好転するものの、結局このタイムは誰にも破られず、第2戦から参戦して以来負け知らずの3連勝を飾った。
これでシリーズランキングでもトップに立った鎌田選手は、「この門前を含め、シリーズ後半の4戦はまだ走ったことがないコースばかりです。そのなかで、今回勝てたことは大きい。後半戦もこの調子で勝ち続けて行きたいですね」と、後半戦に向けての自信を覗かせた。

タイヤ選択が最も難しかったのがSA2クラスだ。今回はSA1クラス終了後に散水が入ったため、第1ヒートはハーフウェット状態。第2ヒートも散水が入ったが、気温が上昇したこともあり路面の乾き方は第1ヒートよりも早い。
そのため、超硬質路面用のADVAN A036を装着する選手も多かったが、そのなかでADVAN A053を装着した大西康弘選手が第1ヒート3番手から逆転優勝を果たした。
「第2ヒートは路面が乾いたとはいえ、滑る部分はまだ残っていると判断してADVAN A053を装着しました。狙いどおりの走りがしっかりできたと思います」と勝因を語る大西選手。また、2位には0.3秒差で荒井信介選手が入賞し、SA2クラスはヨコハマタイヤ装着車がワン・ツー・フィニッシュを飾る結果となった。

SC2クラスも、第2ヒートはSA2クラスと同様に硬質路面用のタイヤを装着する選手と超硬質路面用のタイヤを装着する選手が混在したが、そのなかで田口勝彦選手は「どちらのタイヤでもいけるコンディションだったので、路面に合わせるというよりも自分の走り方に合っているタイヤを選びました」と、ADVAN A053を装着。
第1ヒートのタイムを一気に約4秒近く縮め、今季初優勝を果たした。

第1ヒートのトップタイムを奪った谷田川敏幸選手は迷わずADVAN A036を装着。
「タイヤは路面にピッタリだったけれど、Gのかかるコーナーでリアサスペンションが踏ん張ってくれず、挙動が乱れてしまった」と言いながらも、しっかりと2位に入賞を果たし、後半戦に向けて巻き返しの足掛かりを掴んだ。

そのほか、N1クラスでは2010年の門前ラウンドを制するなど、門前をホームコースとする広上徹選手がADVAN A053の185/65R15サイズを装着し4位に入賞するなど、各クラスでヨコハマタイヤ装着車が上位入賞を果たす結果となった。

DRIVER VOICE

鎌田卓麻 選手 [栗原オート企画 YH テイン BRZ]

【今回の成績 : PN2クラス 優勝】
門前を走るのは今回が初めてでしたが、アップダウンのある林道風のコースレイアウトは、違和感なく走ることができました。まるでラリーのスペシャルステージを走っているような気分でしたね(笑)。
第1ヒートは僕以外の皆さんはウェットタイヤを装着していましたけれど、僕のなかではADVAN A053を装着することに迷いはなかったですね。ADVAN A053は路面への対応幅が広いので、少々濡れている路面や滑りやすい路面もカバーしてくれるのです。シリーズの後半4戦は自分にとって未知のコースばかりですけれど、今回のタイヤ選択や結果は、後半戦に向けての自信にも繋がりますね。

大西康弘 選手 [アドバン テイン F-1 ランサー]

【今回の成績 :SA2クラス 優勝】
第1ヒートは路面が滑りやすくて、自分自身のドライビングミスも多かったのですが、逆に路面とタイヤの相性は悪くないと思いました。第1ヒートのミスを第2ヒートで修正すれば優勝できるんじゃないかという思いもあったので、第2ヒートも第1ヒートと同じADVAN A053を選択しました。
今年は第1戦の丸和から優勝するつもりで挑んでいましたが、マシントラブルが重なってなかなか結果を出せませんでした。ラリーからダートトライアルに転向して2シーズン目ですが、やっと勝つことができてホッとしています。
クルマを作ったり、メンテナンスする上でいろいろな方にお世話になっているので、少しは恩返しできたかなと思います。

荒井信介 選手 [クスコ アドバン itzz ランサー]

【今回の成績 :SA2クラス 2位】
第1ヒートはADVAN A053、第2ヒートはADVAN A036という選択は、どちらも悪くはなかったと思います。
ただ、第2ヒートはADVAN A053とA036の中間的な路面だったことは確かで、どちらでも走れるのですが、どちらがよりベストマッチだったかという判断は難しいですね。結果的にはADVAN A036だとアクセルを踏み切れないような路面のヌルヌル感を感じるコーナーがあって、そこを踏み切れなかったのがそのままタイム差に繋がったのだと思います。

田口勝彦 選手 [HKSマッドクロックランサー]

【今回の成績 :SC2クラス 優勝】
結果的には第2ヒートにADVAN A053を装着しましたが、実は第1ヒートでADVAN A036を装着して大失敗していました。路面コンディションとまったく合っていなかった。見た目は超硬質路面に近かったんですけどね。ドライの路面を選んで走ってもグリップしてくれず、イメージとは違う路面でした。
でも、その失敗があって「これは第2ヒートで路面が乾いたとしても、ADVAN A036の路面にはならないな」という確信を持てました。
昨年の門前はマシントラブルでまともに走ることができなかったので、これでやっとリベンジすることができました。後半戦もこの調子で戦いたいですね。

谷田川敏幸 選手 [ADVAN トラスト インプレッサ]

【今回の成績 :Dクラス 2位】
「タイヤ選択に迷った時はADVAN A036」と決めているので、第2ヒートは迷わずADVAN A036を装着しました。実際に、Dクラスが走る頃には第1ヒートのようなヌルヌル感はありませんでしたね。タイヤはしっかりと効いてくれたと思います。
ただ、Gがたまっていくようなアングルが深いコーナーの立ち上がりで、リヤが腰くだけになるような挙動が出て、ハーフスピン状態になってしまったのです。それがタイム差に出てしまいましたね。サスペンションセッティングの問題だと思うので、次戦までにはしっかりと対策してきます。

広上 徹 選手 [クアトロデゥエ インテグラ]

【今回の成績 :N1クラス 4位】
今回、初めて185/65R15サイズのADVAN A053を履いてみました。感想は、路面コンディションが難しい状況でしたが、コントロールの幅が広いという印象はありましたね。
門前はホームコースで、過去に優勝した経験もあるので今回も狙っていましたが、路面に翻弄されてしまったのが残念です。いつもの門前の路面であれば勝機はあったと思うのですが。門前は、路面が掃けたらクルマが横を向いていようが前を向いていようが、とにかくラインの上にいないとダメなコースです。今回は、そのラインの上もヌルヌルだったので、普段の門前とはまったく違う印象を受けました。

FEATURED DRIVER

■PN2クラス : 奥村直樹 選手

今年から新設されたPN2クラスにK-oneカラーのトヨタ86で出場する奥村直樹選手。
ダートトライアル歴22年、全日本歴14年の奥村選手は、かつてはランサーエボリューションIXでSA2クラス2勝、昨年までは軽量ハイパワーのミラージュ4WDでDクラスに参戦するなどハイパワー4WDのエキスパートというイメージが強いが、その奥村選手がなぜPN2クラスに移籍したのか、その理由を聞いてみた。

「自分なりにダートラを盛り上げようという気持ちがあって、そのためにはやっぱり新しいクルマが出てこなきゃ盛り上がらないじゃないですか。そんな時にPN2クラスという新しいクラスができて、トヨタ86という話題のクルマで走ることができる。一時はランサーエボリューションIXでSA2クラスを走ろうかなと思ったこともあったのですが、PN2クラスの話が出た時には“これだ!”と即決しました(笑)」という理由で、今年のPN2クラスにフル参戦しているという。

その奥村選手だが、最も改造範囲が広いDクラスのマシンとは対極に位置するPN2クラスのトヨタ86には、今までにない難しさを感じているという。
「Dクラスのマシンは、仮にドライビングでミスをしたとしてもパワーでそのミスをリカバーできる部分も持ち合わせていますが、トヨタ86はそういったごまかしが効かない。タイムを出すためには、車速を高く維持しながらコントロールしなければならず、そういった面ではDクラスのマシンにはない難しさがありますし、そこに面白さがあると思います。なかなか思うようにコントロールするところまではいっていないんですけどね」と、現在も悪戦苦闘中だという。

開幕戦の丸和と第2戦の恋の浦での「ただクルマに乗っているだけの状態」から、第3戦スナガワと今回の門前は「やっと踏めるようになってきた」という奥村選手。Dクラスのマシンを手足のように操ってきただけに、後半戦の活躍に期待したいドライバーのひとりだ。

TECHNICAL INFORMATION

門前は、土質や路面の定圧方法により路面コンディションが変わるため、もともと攻略が難しいコースのひとつだが、今年はホコリ防止剤と散水のタイミングにより、例年以上にタイヤ選択が難しい状況となった。
特に散水の影響を受けたSA2クラスは、第1ヒートではADVAN A031とADVAN A053、第2ヒートではADVAN A053とADVAN A036の切り替えタイミングの見極めが難しかったようだ。

そういった場合、タイヤの特性だけではなく、タイヤの良い部分を引き出すようなドライビングも重要となる。PN2クラスの鎌田卓麻選手、SA2クラスの大西康弘選手、SC2クラスの田口勝彦選手らの豊富なラリー経験が、タイヤ選択やタイヤの特性に合わせたドライビングに活かされ、それぞれのクラスでADVANユーザーが優勝を掴むことができた。