2014 JDC Round 3 Report

【全日本ダートトライアル選手権 第3戦/スナガワ】

硬質路面と軟質路面が混在する難しいコンディションの中
PN2クラスは2戦連続でヨコハマタイヤ装着車がワン・ツー独占!!

JDC Round 3

開催日 2014年5月25日
開催場所 オートスポーツランドスナガワ
(北海道)
天候 晴れ
路面 ハーフウェット(散水) のち ドライ
参加台数 114台
(ヨコハマタイヤ装着車 37台)
2014 全日本ダートトライアル選手権 第3戦

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全日本ダートトライアル選手権は、第2戦の九州から約1ヶ月のインターバルを経て、北海道で第3戦を迎えた。

第3戦の舞台となるオートランドスナガワは、全日本ダートトライアル開催コースの中で唯一となる河川敷コースだ。北海道砂川市郊外を流れる石狩川の広大な河川敷を利用して設けられたコースは、上段は砂利と土が踏み固められた硬質ダート、下段は砂利と砂が多い軟質ダートというそれぞれ土質が異なる上下2面のコースで構成されている。
今年もその広大な敷地を利用し、上段のスタート地点から1コーナーまでの4速全開ストレート後、高速コーナーを経て下段へと下り、さらにコースの端からから端までを高速S字コーナーとタイトターンで繋げるダイナミックなコースレイアウトが設定された。

下段は走行を重ねるにつれサスペンションや駆動系に大きなダメージを与えてしまうギャップができやすい状態。さらに上段も硬い路面に滑りやすい砂利と細かいダストが乗っているという、攻略が難しい路面状況だ。
上下段どちらの路面にあわせてタイヤを選ぶのかという判断が難しいコースなのだが、そういった状況の中で今年新設されたPN2クラスでは、幅広い路面に対応するオールラウンダー的な性能を持つADVAN A053が活躍をみせた。


第2戦の恋の浦で18年ぶりに全日本ダートトライアル選手権に出場し、見事な復活優勝を果たした鎌田卓麻選手が、この第3戦でも決勝日前日に行われた公開練習の両ヒートでベストタイムをマークし、好調をアピールした。
ところが、決勝の第1ヒートは「下段から上段に上がった時に一瞬コースを見失ってしまい、ミスコースしかけてしまったんです。でも、サイドターンでなんとかコースに復帰することができました」と、ゴールはするものの順位はクラス最下位という波乱の展開に。
それでも第2ヒートは、「実は公開練習を走った時から、今回の路面はADVAN A053が合っていると確信しました。そのため、ミスコースしかけた第1ヒートはタイム的には勝負にはなりませんでしたが、最後まで走って路面を確認しておきたかったんです。おかげで確信が自信に変わりました」とベストタイムを更新。
見事な逆転優勝を奪うとともに、第2戦に続く2連勝を飾った。
また、2位には鎌田選手と同じくADVAN A053を装着した佐藤秀昭選手が入賞。第2戦に続きヨコハマタイヤ装着車が1-2フィニッシュを飾る結果となった。


PN1クラスでも、オートスポーツランドスナガワをホームコースとする宝田ケンシロー選手が、公開練習、さらに決勝第1ヒートともベストタイムという健闘をみせる。第2ヒートは、宝田選手の全日本初優勝に期待が集まったが、「慣熟歩行した時よりもギャップが増えていて、守りの走りになってしまった」と抑えた走りとなり、惜しくも3位という結果なった。だが、まだ20代というクラス最年少の宝田選手は、ライバルたちにその存在感をしっかりとアピールする結果ともなった。


N2クラスでは、第2ヒートにADVAN A053を装着した矢本裕之選手が、「路面にはもちろん、ハイスピードコースレイアウトにもタイヤが合っていたと思います。最後まで気持ち良く走り切ることができました」と、自身初の3位表彰台を獲得した。


SA2クラスの荒井信介選手は、路面に砂利が多く残っていた第1ヒートにADVAN A031、路面の砂利が履けた第2ヒートはADVAN A053を装着したが、「ギャップを避けるために慎重になりすぎてしまったことと、肝心なところでシフトミスしてしまった。タイムアップする自信はあったんだけどね」と、惜しくもタイムアップはならず。それでも第1ヒートのタイムで2位に入賞する結果となった。


SC1クラスの田口都一選手も、第1ヒートはADVAN A031、第2ヒートはADVAN A053を装着してアタック。第1ヒートでミッショントラブルに見舞われてしまい、第2ヒートもその影響が残っていたが、それでも2位表彰台を奪うという健闘をみせた。


残念だったのがDクラスの谷田川敏幸選手だ。第2戦恋の浦を制し、このラウンドも公開練習では好調をキープしていた谷田川選手だったが、決勝の第1ヒートでまさかのミッショントラブルというアクシデントが発生。メカニックが第2ヒートを出走する予定時間の寸前まで懸命な修復作業を行ったが、残念ながら第2ヒートを出走することはできなかった。

DRIVER VOICE

鎌田卓麻 選手 [栗原オート企画 YH テイン BRZ]

【今回の成績 : PN2クラス 優勝】
ADVAN A053は、決勝前日の公開練習も含めて、今回の路面にバツグンに合っていましたね。それに加え、BRZの特性にもマッチしているタイヤだと思います。縦方向や横方向のトラクションはもちろんですが、斜め方向のトラクションも感じることができるんです。
例えば高速コーナーを全開で旋回している時に、フロントタイヤがしっかりと路面の砂利を斜め方向に飛ばしてくれるので、フロントタイヤが走行した跡のラインをトレースするリヤタイヤの動きが掴みやすい。今回は路面、クルマの特性、僕の走らせ方のすべてにタイヤの特性がピッタリでしたね。
第4戦の門前は初めて走るコースですが、連勝を重ねられるように頑張ります。

佐藤秀昭 選手 [KYB ADVAN オクヤマ 86]

【今回の成績 :PN2クラス 2位】
2戦連続2位というのは、正直悔しいですね。原因は、僕自身がまだこのクルマの特性を掴み切れていないというところというのが大きいです。もう少し走らせ方を研究しなくてはならないですね。タイヤはADVAN 053を装着しましたが、僕の場合はあまりマシンを横にはしないので、縦トラクションがより強いADVAN A031の方が合っていたのかな。

宝田ケンシロー 選手 [KYB ADVAN オクヤマ スイフト]

【今回の成績 :PN1クラス 3位】
ハーフウェット状態だった第1ヒートはADVAN A031で走りましたが、上段の砂利が掃けた第2ヒートは、上段の固い路面はA035が合っているとは思ったのですが、散水直後だったということもあり、A031の路面かなとも思いました。いろいろ考えた結果、フロントにADVANA035、リヤにADVAN A031を装着することを決めました。
でも、結果的にはその選択は失敗でしたね。走りはそれほど悪くなかったのですが、タイムがついてきてくれなかった。もっといろんなことを経験しないとダメだと痛感しました。

矢本裕之 選手 [河童ZEAL北浦運送ランサー]

【今回の成績 :N2クラス 3位】
全日本の表彰台は今回が初めてです。表彰台が目標だったので、ひたすらうれしいですね(笑)。
今回はADVAN A053がバツグンに路面に合っていたと思います。第1ヒートはADVAN A031を装着したんですけど、その時から第2ヒートはADVAN A053と決めていました。スナガワはハイスピードコースですけれど、そのなかで丁寧にクルマを前に進めるようなドライビングを心掛けたのも良かったと思います。次もまた表彰台を獲得できるようにがんばります。

荒井信介 選手 [クスコ アドバン itzz ランサー]

【今回の成績 :SA2クラス 2位】
両ヒートともADVAN A053を装着しましたが、本当は第2ヒートはADVAN A036で行くことも考えていました。結果的には一部は砂利の下の硬い路面が出ていたけれど、全体的にはまだ出てはいないと判断してA053にしたんです。A036でも行こうと思えば行けなくはなかったけれど、今年の路面は例年よりも柔らかめだったからね。タイヤ選択は間違っていなかったと思いますが、シフトミスとギャップをよけすぎたことがタイムに結びつかなかったと思います。
第4戦からはしっかりと巻き返しを図りたいですね。

田口都一 選手 [SP山田 クスコ ヨコハマ ランサー]

【今回の成績 :SC1クラス 2位】
第1ヒートは砂利が多かったのでADVAN A031、第2ヒートは路面の砂利が掃けたと判断してADVAN A053を装着しました。実際には予想よりも砂利が多かったですが、タイヤはしっかりとグリップしてくれました。実は第1ヒートでミッションの調子が悪くなったのですが、第2ヒートはエンジンが壊れる覚悟でアクセルを踏みました。それが結果に結びついたと思います。

FEATURED DRIVER

■N2クラス : 五十嵐貴右 選手

地元北海道から全日本を転戦する五十嵐貴右選手は、ダートラ歴20年以上というベテランドライバーだ。

「今までスポット的に全日本のスナガワラウンドの時には走っていましたが、逆にダートラ歴のほとんどがスナガワばかりだったので、やはり違うコースも走らないと速くなれないと思い、全日本を転戦するようになりました」と、2年前から全日本に年間5〜6戦出場している。

その五十嵐選手が一番好きなコースは、やはりここオートスポーツランドスナガワだという。

「コースに育ててもらったようなものですから。全日本を転戦してみて初めて気づきましたが、スナガワは全国の中で最もアクセルを全開で踏んでいる時間が長いコースです。そういうコースが好きなんですね」と語る五十嵐選手。ちなみに2001年に北海道のチャンピオンを獲得し、その後3年ほど仕事の都合で沖縄に転勤したが、その3年間、沖縄から北海道のダートトライアル地方選手権全戦にシリーズ参戦したというほど、スナガワが大好きなドライバーだ。

その五十嵐選手は、今年のスナガワでは第1ヒートにADVAN A053、第2ヒートにADVAN A036を装着して挑んだが、結果は8位。

「路面が硬い上の段は狙ったラインで走ることができましたが、下の段のギャップが予想以上に大きく、ギャップに跳ねられてアウト側の土砂が堆積したところに乗ってしまいました。A036を装着するのにはまだ早いタイミングでしたね」ということだ。

「全日本のベストリザルトが昨年の今庄の6位。今年はそれ以上の成績を目指すのと、北海道以外のラウンドでもポイントを獲得することが目標です」という五十嵐選手。目標達成に向け、これからも全国のダートトライアルコースで全開アタックをかける。

TECHNICAL INFORMATION

今年のオートスポーツランドスナガワは、例年以上にウェットからドライに変わるポイントが早かったのが大きな特徴だ。第1ヒート前に散水が行われたため、PN1クラスはADVAN A031の路面だったが、PN2クラスでは早くもA053の路面に変わっていた。

ただし、路面の砂利が例年よりも多かったために、第1ヒート、第2ヒートとも超硬質ダート用のADVAN A036の路面にはなりにくいコンディションでもあった。そういった条件の中で、ADVAN A053が持つ路面に対する適応力が広いオールラウンダー的な性能が発揮された1戦となった。