2014 SUPER GT Round 4 Report

【SUPER GT 第4戦/SUGO】

予選順延など不安定な天候に祟られたSUGO、
優勝のランボルギーニを筆頭にGT300のTOP10をヨコハマタイヤ勢が独占!!

SUPER GT Round 4

開催日 2014年7月19日-20日
開催場所 スポーツランドSUGO (宮城県)
天候 曇り
路面 ドライ
決勝周回数 79周
(1周=3,704m)
参加台数 38台
(ヨコハマタイヤ装着車 20台)
2014 SUPER GT 第4戦

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7月19~20日にスポーツランドSUGOで開催された「SUGO GT 300km RACE」。前戦のオートポリス同様、アップダウンに富んだ山岳コースが舞台となったシリーズ第4戦は、猫の目のように変わる空もようと路面コンディションの中、各陣営が難しい戦いを強いられる週末となった。


土曜のSUGOは朝から霧雨が断続的に降り続くなど、すっきりとしない天候に。午前9時からの公式練習もウエット宣言が出される中、各車レインタイヤでの走行に終始したが、赤旗が3度も提示される波乱のセッションでもあった。
さらに午後2時からの公式予選開始を前に濃霧がサーキットを覆うこととなり、主催者はセッション開始を遅らせて天候の回復を待ったものの、結局午後3時過ぎに視界不良のためこの日の予選はキャンセルに。公式予選は日曜の朝に順延されることとなり、昨年オートポリス同様の1Day開催となってしまった。

一夜明けた日曜も朝から雨模様となる中、午前9時05分からスタートのGT300公式予選。セッション序盤はまだ雨も降って路面も水しぶきが上がるほど濡れていたが、雨があがって徐々に路面状態が向上していく。
多くのマシンがインターミディエイト(浅溝)タイヤでアタック、GT300ではヨルグ・ベルグマイスター選手が駆る「PUMA KRH PORSCHE」がヨコハマタイヤ勢最上位の5番手につけ、「クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3」の山西康司選手がこれに続いた。

GT300のアタックに続いて行われたGT500の公式予選では、「WedsSport ADVAN RC F」は関口雄飛選手が、「D’station ADVAN GT-R」はミハエル・クルム選手がアタックを担当。
関口選手は序盤から精力的にアタックを敢行も、5周目の1分21秒815がベストタイムとなり14番手に留まった他、クルム選手はミッショントラブルに見舞われ貴重な時間を失ったことも影響し1分22秒441の15番手となってしまった。

午後2時からの81周の決勝を前に、雨はほとんどやんでしまったことで、GT500、GT300ともに全車がスリックタイヤでフォーメーションに出て行くこととなったが、なんとここで雨が降り始めてしまう。
セミウエット路面ということもあり、フォーメーションラップが2周追加される間にさらに雨脚が強まったため、79周に減算された決勝がスタートとなった段階で、いきなり関口選手がスタートドライバーを務める「WedsSport ADVAN RC F」を含む7台のGT500勢がピットでレインタイヤにチェンジ。逆にここで佐々木大樹選手がドライブする「D’station ADVAN GT-R」はスリックタイヤのままステイする戦略を選ぶ。
このため1周目を終えて「D’station ADVAN GT-R」は8番手に浮上。一方「WedsSport ADVAN RC F」はタイヤ交換を行ったため、15番手にポジションを下げることとなった。


序盤スリックタイヤの「D’station ADVAN GT-R」は、なかなかペースが上がらず苦戦を強いられるも、徐々に雨が上がって行くとペースアップ。12周目に7番手にまで浮上を果たすと、35周目までそのポジションをキープ。「PETRONAS TOM’S RC F」や「DENSO KOBELCO SARD RC F」との攻防の中、一時はポジションを下げたものの、佐々木選手は6位にまで浮上した51周目までまずまずのペースで周回を重ねると、残る30周足らずをクルム選手に託す。
一方、「WedsSport ADVAN RC F」の関口選手はスタートの段階でレインタイヤに履き替えるという選択となり、いったんは最後尾にまで後退。しかし、追い上げの最中に7周目の4コーナーでコースオフを喫した他、予想外に急激に雨が止んだことで、止むなく再度ピットインしスリックタイヤに履き替えることとなり、大きく後れをとってしまう。
それでも関口選手は52周目までスティントを引っ張り、1分14秒552という好タイムを刻んで後半スティントを脇阪寿一選手に委ねることとなった。

これでしばらくは「D’station ADVAN GT-R」11番手、「WedsSport ADVAN RC F」12番手での走行が続いたが、終盤に雨が再び降り始めたために2台はレインタイヤに履き替えるためにピットイン。
その後雨がおさまったことで大幅なポジション回復は許されなかったものの、クルム選手の「D’station ADVAN GT-R」は10位フィニッシュで貴重な1ポイントを獲得。脇阪選手の「WedsSport ADVAN RC F」は12位でのチェッカーとなった。

一方GT300では、フォーメーションラップの最中に降り出した雨に、すぐ対応したか否かで明暗が分かれた。
結論から言えば、雨はすぐにやんでしまい、GT500同様再交換を強いられたからだ。その中には、普段から奇襲作戦を得意とする「グッドスマイル 初音ミク Z4」の片岡龍也選手の姿も含まれていた。

しかし、その混乱に乗じて予選8番手から一気に順位を上げていたのが、「WAKO’S Exe Aston Martin」の安岡秀徒選手だ。オープニングラップのうちに3番手に浮上し、いったんは抜かれた「SUBARU BRZ R&D SPORT」を7周目に抜き返す。天候の回復と合わせ、さらにペースを上げて16周目には2番手に、そして19周目の1コーナーでは「GAINER DIXCEL SLS」と接触はあったものの、トップ浮上にも成功する。そのままハイペースで逃げ続けた安岡選手は、トップのままパートナーの加納政樹選手をコースに送り出せるだけのリードも築く。
だが、43周目のドライバー交代で左リアホイールにダメージがあったことから、本来は無交換のはずのタイヤをリアだけとはいえ換えねばならず、さらにギアにトラブルがあってピットを離れるのに手間取ってしまう。

その間にトップに立ったのは、青木孝行選手から「マネパ ランボルギーニ GT-3」のステアリングを託された、織戸学選手だった。
交代前にも着実な追い上げで2番手にまで上がっていたが、タイヤ無交換策が功を奏した格好だ。その後、再び雨が降り始めるが、織戸選手の勢いは衰えず。それどころか勢い余って60周目の馬の背コーナーでコースオフしたものの、わずかに2番手に差を詰められるのみに。
GT300で唯一74周の走破も果たし、織戸選手、青木選手ともに2009年以来となる勝利を飾ることとなった。

2位は黒澤治樹選手と黒澤翼選手の駆る「LEON SLS」が、3位はリチャード・ライアン選手と藤井誠暢選手の駆る「Audi R8 LMS ultra」が獲得し、ヨコハマタイヤユーザーが表彰台を独占。
そればかりか上位10位までを占めて、絶えず天候の変化する困難な状況での強さをアピールすることになった。

DRIVER VOICE

脇阪寿一 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 12位】
雨量が多いときのパフォーマンスは非常に良かったと思いますが、いわゆるちょい濡れのコンディションでのスリックのウォームアップが今ひとつでしたし、その一方でちょい濡れでのレインタイヤのパフォーマンスも少し足りなかった。そういう状況のある中で、スリックで決勝をスタートしたところで雨が降り出したとき、チームとしては安全策を採ってタイヤを換えざるを得なかったのですが、その後雨がやんでしまって……。
僕の後半のスティントでもスリックで出たものの、雨が降って来てレインに履き替えました。我々のクルマの方も含めてということになりますが、よりコンディション変化への幅広い対応力をつける必要があると感じましたね。鈴鹿で予定されているテストを踏まえ、出来る限りのことをやって上位を狙うべく、次の富士に臨みたいと思います。

佐々木大樹 選手 [D’station ADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 10位】
スタートでステイを選んだのは、チームからはドライバーが判断して良いよと言われていた中で、雨が少ない状況ではレインタイヤでのペースがあまり良くなかったこともあり、それならスリックに賭けるしかないなと。ハードタイヤだったこともあってなかなかウォームアップせず、最初の数周は“これは失敗したな”と思ったのですが、徐々に路面が乾いてタイヤが温まってくるとペース自体も悪くなかったですし、結果として最善の策が採れたように思います。
多くのマシンが飛び出していたことからも分かるように、GT300をかわすにしても、ライン以外は濡れているという難しい状況でポジションを落としたシーンもありましたが、良い勉強が出来ました。51周という長いスティントをこなせたことも自信になりましたし、GT-Rが強い次の富士では勝てるようなレースをしたいですね。

織戸 学 選手 [マネパ ランボルギーニ GT-3]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
久しぶりの優勝は正直、すごく嬉しいです。これもチームやパートナーの青木選手、スポンサーとヨコハマタイヤのおかげですね!
鈴鹿のテストで良いタイヤができたので、このコンディションに絶対マッチするという読みが、完璧に当たりました。何よりランボルギーニにこだわってきて、勝てたことが嬉しいし、ずっと青木選手と一緒に勝ちたかったからね。優勝できてハッピー!
この天候を含めてSUGOの天使が、僕らに降りてきたような感じですね。優勝は1回すると、自然に波に乗ったりするものなので、次の富士でも表彰台に乗ります、たぶん(笑)。

青木孝行 選手 [マネパ ランボルギーニ GT-3]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
予選は交互に担当しているので、今回は僕の順番だったのですが、みんな最後の周にタイムが出ているのに僕はインターミディエイトを使い切ってしまい、9番手。ただ、その順位だったことで、かえってまわりを落ち着いて見られたんです。それでみんなが混乱している間に2番手まで上がれたように思います。
織戸選手にタイヤ無交換で代わって、ピットでトップに立ってからは雨の中でも速かったし、こんなに離さなくてもいいのに、と思ったぐらい。織戸選手とコンビを組んで3年、絶対に勝つんだと言い続けて3年もかかってしまいました(笑)。ここから流れに乗れるかどうかは実力次第。ただ、この結果を得られたのは、何よりチーム力だと思います。

黒澤治樹 選手 [LEON SLS]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
僕自身、過去に勝ったこともありますが、LEON RACINGとしてはこの2位が最高位です。荒れたレースになったけれど、とりあえず自分たちのできることに集中しようと。こういう天候はさんざんル・マンで経験しているし、それに比べると夜がない分助かりました(笑)。
翼にも表彰台に上がって欲しかったし、チームを作ってくれたオーナーに少し恩返しができたと思います。次は、いちばん高いところに! 翼もつらいコンディションの中、スリックでスタートして良い経験になったんじゃないですか。

藤井誠暢 選手 [Audi R8 LMS ultra]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
正直言ってドライコンディションではストレートが厳しくて、僕もリチャードも抜かれちゃっているんですが、恵みの雨が来てくれました! 雨が降ると、僕らのR8はコーナリングとブレーキングがすごく良いので、その部分がタイヤとのマッチングと合わせて使うことができ、最終的に3位まで追い上げられました。
今年、すごく良い体制を作ってもらえたのに、ドライで今まで苦労してきましたが、4戦目でようやくポディウムに立てて。お世話になったチームやアウディジャパン、ヨコハマタイヤに感謝したいです。タイヤの選択は自分たちでもやりましたが、チームもすごく良いジャッジをしてくれましたね。

TURNING POINT

久々の美酒を味わったJLOCの則竹代表、ヨコハマタイヤのさらなるサポートに期待

織戸学選手と青木孝行選手がドライブする「マネパ ランボルギーニ GT-3」が、この菅生のGT300で優勝を飾った。トラブルに見舞われることなく、絶えず変化し続ける天候の中、タイヤ無交換作戦を採っての勝利には、ヨコハマタイヤが高い適応力と耐久性で勝利をアシストした。

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エントラントのJLOCは、ジャパンランボルギーニオーナーズクラブの正式名称が示すとおり、ランボルギーニ車をこよなく愛する有志によって結成されたチームで、もちろんのことチーム発足以来、一貫してランボルギーニ車だけを走らせてきた。その発足はスーパーGTを超えて、JGTCのスタートにも等しいから、シリーズの古参チームのひとつでもある。

GT300での勝利は06年の第1戦・鈴鹿ラウンド以来。この時もまたヨコハマタイヤを用い、2位に26秒差の圧勝と、今回の菅生はまさにそのときの再現のような展開となった。

JLOCの則竹功雄代表は、この久々の勝利をヨコハマタイヤに向けて、こうコメントしてくれた。
「長年に渡る献身的なサポートに、心から感謝しています。久々の優勝が飾れて非常に嬉しく思うととともに、これからも力強いサポートをお願いします!」と。
これからもJLOCが、ヨコハマタイヤとともに優勝を重ねることを期待したい。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル SUPER GT開発統括]

非常に天候が不安定なレースウィークとなった今回のSUGO大会ですが、GT500に関してはちょっと我々としては反省点が多かったと思います。今回の決勝のような荒れた展開となったときに、ドライにしてもウエットにしても、タイヤが持っている守備範囲が狭すぎて、うまくその中間的な部分を埋めるものが無かった。もっと守備範囲を広げられるようなものを持っていかなければと思います。

今回のような荒れたレースは、もちろん外すこともありますが、ある意味チャンスでもあるのですから、こういうレースをしっかりと獲って行けるようなタイヤを準備しなければならないと感じました。

その一方で、GT300では無交換や2本交換など、アクロバティックな技を選んだマシン達が表彰台に上がってくれました。予選では他社製タイヤユーザーに上位グリッドを奪われましたが、結果としてGT300では幅広い戦略に応えられるタイヤを用意出来ていたということだと思います。その点で、GT500は特化しすぎていたのかもしれません。

次戦の富士は結果を出さなければならない重要なポイントになるレースと捉えていますので、GT300はもちろん勝てるように、GT500も表彰台を狙えるような形で臨みたいと思います。