Impression
ADVAN V61、
意外性の中に潜むブランドの個性
2026.6.12
どんなに高性能なクルマであっても、加速したい、曲がりたいという乗り手の意思を路面に伝えるのはタイヤの仕事。だからSUV全盛の現代には、それに相応しいタイヤが必要になるのである。そんな道理を肌で感じるべく、三菱アウトランダーPHEVにプレミアムSUV向けタイヤ「ADVAN V61(アドバン・ブイ・ロクイチ)を装着し、都心から八ヶ岳までロングドライブに興じてみた。
Words:吉田拓生 / Takuo Yoshida
Photography:望月勇輝 / Yuki Mochizuki(Weekend.)
岩井田涼太 / Ryota Iwaida(Unripe)

プレミアムSUV向けタイヤ「ADVAN V61」を装着した三菱アウトランダーPHEV(P Executive Package)。今回は沢すみれさんとモータージャーナリストの吉田拓生が、都心から八ヶ岳までのロングドライブへ。市街地から高速道路、そしてワインディングまで、様々なシチュエーションを通じてその実力をインプレッションした。
SUV人気、そして電動化に
最適なタイヤとは
現代の乗用車の主流はSUVへと移り変わっている。背は高いけれどスタイリッシュ。4駆モデルが少なくないが、都会的な雰囲気を纏ったモデルも多い。また背の高さを活かして床下に駆動用バッテリーを積むことで電動化モデルにも向いているが、車重は重めということになる。今回の三菱アウトランダーPHEVもそう。エンジンも積んでいるが基本的には前後に配されたモーターで走り、その車両重量は約2.2トンとなっている。


では今をときめくSUVに適したタイヤにはどのような条件が求められるのか? 最も重要なことは車重をしっかりと支えること。その前提なくして操縦性や高速安定性といった部分に言及することはできないのである。SUVはセダンやスポーツカーよりも背が高いことにより、コーナリングではタイヤにより大きな荷重が掛かることになる。そんな難題を克服したうえで、最新のタイヤにはウェット性能や低燃費性能、静粛性といったあらゆる条件が求められるのである。
三菱アウトランダーPHEVに装着されたADVAN V61、サイズは純正装着と同じ前後とも255/45R20 105W XLである。「SUV向け」というイメージとは裏腹に、このタイヤのトレッドパターンはひと目でわかるほどスポーティだ。4本の縦溝がはっきりと刻まれているだけでなく、左右非対称のトレッドパターンを与えられている。排水性の良さやしなやかさを想起させる内側のトレッドに対し、外側のショルダー部分は溝が少なめで、見るからにコーナリング時の剛性が高そう。つまりSUV向けというよりバランスに優れたスポーツタイヤのような精悍な表情をしているのである。


重量級のSUVを支える高い剛性を備えながら、スポーティな左右非対称トレッドパターンを採用した「ADVAN V61」。SUVに求められる快適性と、ADVANならではの走りの楽しさを両立している。装着サイズは255/45R20 105W XL。
モーターに負けない静けさが
生み出す極上のミュージック
そのままスポーツタイヤとして通用するであろうADVAN V61の表情を眼に焼き付けつつ三菱アウトランダーPHEVに乗り込み、早朝の都心をスタートする。最初に驚かされるのはスポーティなトレッドパターンの印象と相反するような静粛性の部分。「エッ、静か! シンとしてる」助手席に座った沢すみれさんが声を上げたのは発進した直後。こちらが思っていたことを先に言われてしまったのだった。
三菱アウトランダーPHEVはバッテリーを発電機として利用することが多く、基本的にはモーターによって走行する構造になっていることもあり、街中を走るようなシーンではエンジンを停止させたままEV走行をしていることがほとんど。パワートレーンがほぼ無音ということになると、タイヤが発するノイズの方がクローズアップされてしまうことが多いのだが、今回はそれもほとんど感じられない。沢さんも「トンネルみたいに横に壁がある場所を通過するときって、普通は車内がうるさくなるのに、今回はほとんど変わらないですね」と驚いている。そしてこれまで体験したことがないような“静かすぎる車内”では、特に声のトーンを上げずにリラックスして話すことができ会話が弾む。

モーター走行が中心となる街中でのEV走行シーン。車両本体が無音に近いからこそクローズアップされがちなロードノイズも、「ADVAN V61」の高い静粛性によって気にならないレベルに抑え込まれている。
走行中の車内が驚くほど静かだといいことがもうひとつ。それは車内のエンターテイメントを格上げしてくれることだった。三菱アウトランダーPHEVに装備されているサウンドシステムはヤマハとの共同開発による逸品。リンクさせたスマホでお気に入りの音楽を流してみると、「すごい! クルマの中とは思えない! まるでコンサートホールで聞いているみたい」とお気に入りの様子。高品質のオーディオはもちろんだが、静かな室内空間だからこそ音質がより一層引き立つのである。


車を停めて一息つく車内。道中の驚くほど静かで快適な移動空間を振り返り、「ADVAN V61」がもたらす恩恵について自然と会話が弾んでいる。これだけの長距離を走ってきても疲労感を感じさせないのは、不快なノイズを抑え込むタイヤと、車内を満たすサウンドシステムの立体的な音楽がもたらす「くつろぎの時間」のおかげだろう。
くつろぐパッセンジャーと
楽しむドライバーの2面性
静粛性の次に感じたのは“しっとりとした乗り心地の良さ”だった。20インチという大きめのタイヤ径に対するこちらの先入観もあって、静粛性の部分と同じような意外性がある。だが興味深いのは乗員全員がお尻を通して感じている快適な乗り心地と、ドライバーが感じているフィードバックに若干の違いがあることだろう。というのもステアリングから伝わってくるADVAN V61からはちゃんとしたコシの強さ、そして転がり抵抗の低さが感じられるのだ。

都心からスムースに走り続け、八ヶ岳へと近づく2人。転がり抵抗性能「AAA」を獲得した「ADVAN V61」は、燃費の向上や快適な乗り心地をバックアップするだけでなく、ADVANブランドならではの優れたタイヤ構造によって、ドライバーへ的確なフィードバックを伝えてくれる。
高速道路を降りてワインディングに入ると、ドライブする楽しさ、つまりADVANらしさがクローズアップして感じられるようになった。ステアリングを切り込んだ初期からすっきりとコーナリングフォースが立ち上がり、クルマ全体もそれにリニアに反応してくれるので、自然とペースが上がっていく。深く回り込むようなコーナーでステアリングを切り込んで外輪にしっかりと荷重を掛けてもSUV特有の重心の高さによってタイヤが押しつぶされるような感じは皆無。路面に対するタッチの軽快な感じも保たれていたのである。

次のカーブが待ち遠しい! そんな感覚を共有すべく、助手席でくつろいでいた沢さんにステアリングを委ねてみた。
「あっ、すごく滑らか。でも助手席で感じていたより軽快な感じがする!」
走り出してすぐ、彼女もクルマとタイヤの相性の良さを感じ取った様子。
「結構急なカーブでもグラッとしないでスムーズに曲がっていってくれるから、運転していて気持ちがいい。これまでのSUVのイメージが変わるかも!」
ワインディングで楽しむADVAN V61は、見た目(トレッドパターン)通りにスポーティな感じも伝わってくるし、一方では静粛性や乗り心地の良さといった快適性能の部分も健在。その結果として運転を楽しむドライバーと助手席でくつろぐパッセンジャーという異なる世界観を演出できているのだろう。
ADVANを掲げる理由
走りに没入できること
目的地に設定していたレストランに到着すると、しばらくタイヤのトレッドやサイドウォールをじっくりと眺めてしまった。ちなみに「ADVAN V61」という文字に続くE+(イー・プラス)はEV(電気自動車)やPHEVといった高荷重、高出力のモデルに対応したモデルであることを示す称号である。そして様々なシチュエーションでADVAN V61を試乗した後でE+のロゴを見ると、その意味を素直に受け入れることができるようになる。


サイドウォールに刻印されたE+(イー・プラス)はEV(電気自動車)やPHEVといった高荷重、高出力のモデルに対応したモデルであることを示す称号である。タイヤの詳細や他のタイヤとのスペック比較については、特設サイト「ヨコハマタイヤのSUV」をぜひご参照いただきたい。
ヨコハマタイヤのSUV ADVAN V61
YOKOHAMAのSUV向けタイヤのラインナップにはハイエンドなモデルやヨーロッパ車に最適なADVAN Sport V107や、オフロードをも射程に入れたGEOLANDARなどがあり、クルマの個性や用途に応じて選ぶ楽しみもある。だが今回の三菱アウトランダーPHEVの場合はADVAN V61がベストマッチングなのだと実感できたのだった。


最終目的地の八ヶ岳・五光牧場に着いたあとも、疲れもなく笑顔で会話が続く。走行距離メーターにはまだまだ十分な余裕があり、PHEVの優れた環境性能と、それを足元で支える「ADVAN V61」のポテンシャルの高さを証明するロングツーリングとなった。
ADVAN V61は新車装着(OE)用タイヤとして様々な自動車メーカーが採用している実績があるので、今回確認できなかったウェット性能などの部分も含め、SUV向けタイヤとしての基本性能はきちんと盛り込まれているはずだ。それに加えドライビング自体が楽しくついつい走りに没入してしまうような感覚も、リプレイス(市販)タイヤとして指名したくなる大切な資質。それこそがV61がADVANブランドを掲げている理由に違いないのだ。
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